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立ちくらみとは | 原因や予防法、考えられる病気など

病気
起き上がったり立ち上がったりしたときに、めまいやふらつきを起こす状態のことを「立ちくらみ」といいます。その原因には、貧血や低血圧などさまざまな病気や生活習慣が考えられます。「立ちくらみ」の原因を、対処法や予防法とともに解説します。
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(1)立ちくらみとは

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1140762

椅子やベッドから、急に立ち上がったり起き上がったりすると、めまいを感じてふらつくことがあります。このような状態を、「立ちくらみ」といいます。

立ちくらみは、おもに低血圧によって脳に十分な血液が送られないことが原因で起こります。そのため、脳貧血といわれることもあります。

立ちくらみの症状自体は一時的なもので、しばらくしゃがみ込む、横になるなどすることで、数秒から数分間のうちにおさまっていきます。

ひどい時には失神してしまうことも

ただし、ひどいときには気が遠くなって失神したり、痙攣を起こすこともあります。

高齢や体質が原因となっていることが多く、特に運動した後や飲酒、重い食事の後、排尿後などに起こりやすくなります。

また、なかには病気が原因になっていることもあるので、けっして気にしなくてよい症状というわけではありません。

(2)立ちくらみの原因となる病気① 起立性低血圧

寝転がっていたり、座っていたりする状態から立ち上がると、重力によって血流が一気に下半身へと流れ込みます。それが原因で脳への血流が不足し、立ちくらみを起こすのが「起立性低血圧」です。

集会などで、長時間立ち続けているときにもよく見られます。

多くの場合、休んでいれば回復するため大きな問題はありません。ただし、なかには糖尿病やパーキンソン病といった重大な病気が原因となっているケースもあるので注意が必要です。

これらの病気は、神経をおとろえさせ、血圧を正常に戻す機能を働きづらくします。

めまい以外にも、顔色が悪くなる、冷や汗が出る、吐き気をもよおす、といった症状も見られます。また、失神したさいに転倒して怪我を負うこともあるので、気を付けなければいけません。

薬剤性

降圧薬などを内服していると、自然と低血圧になります。また、中枢神経を抑制する作用のある、抗不安薬や睡眠薬、抑うつ薬などを内服していても低血圧になる可能性があります。

また、身近な鎮痛薬などの内服でも、低血圧になり、立ちくらみを起こす可能性があります。

体液量の減少

大量の汗をかいたり、水分を取らない生活を送ったりすることで、血液を含む体液が減少することで低血圧を起こします。その低血圧が立ちくらみにつながります。

(3)立ちくらみの原因となる病気② 貧血

貧血は、鉄分が不足することで起こる症状です。

鉄は血液の赤血球のなかにあるヘモグロビンの材料となります。ヘモグロビンは酸素を赤血球に取り込み、体中の細胞へと運ぶ重要な役割をになっています。

そのため、鉄欠乏性貧血になると、脳にも十分に酸素が送り込めず、それが原因で立ちくらみを起こしやすくなります。

めまい以外にも、頭が重い、全身に倦怠感がある、などの症状が見られます。また、酸素をよけいに取り入れようとして、動悸や息切れも起こります。

若い女性や高齢者に多い

貧血が原因となる立ちくらみは、特に鉄分が不足しやすい若い女性や高齢者などに多く見られます。

なかには、大血管破裂や消化管出血が原因で貧血となっているケースもあります。便が黒くなる、血が混じる、また女性の場合は生理以外で不正出血があるときなどは注意が必要です。

(4)立ちくらみの原因となる病気③ 自律神経失調症

自律神経は、心臓や肺のはたらきをコントロールして、生命を維持するための大切な神経です。

緊張時には交感神経が、リラックス時には副交感神経がはたらいて、交互にバランスを取っています。このバランスが崩れてしまうことを、自律神経失調症といいます。

自律神経失調症になると、体のさまざまな機能がうまくはたらかなくなります。たとえば、本来であれば血圧が低いときには交感神経によって血管がちぢみ、体中に血流をうながします。これがうまくはたらかないと、それが原因で脳への血液が不足して立ちくらみを起こすことがあります。

自律神経失調症の他の症状

ほかにも、頭痛や耳鳴り、肩こり、腰痛、動悸、ほてり、不眠、便秘、頻尿などが自律神経失調症の症状としてあります。また、倦怠感や食欲不振、情緒不安定のように精神面にも影響が出ます。

このような自律神経失調症は、おもに不規則な生活やストレスが原因となって起こるといわれています。

(5)立ちくらみの原因となる病気④ 脱水・熱中症

脱水症では、汗をかくことで水分とともに血液中のナトリウムも失われます。

そうすると、浸透圧によって血液中の水分が細胞内に引き込まれ、全身の血液量が減ってしまいます。これが原因で血圧の低下をまねき、立ちくらみを引き起こすことがあります。

めまいのほかにも、体のだるさや微熱、呼吸や脈が速くなる、といった症状が見られます。

脱水症は運動時だけではなく、入浴や飲酒、就寝中にもよく起こります。特に、高齢者は喉の渇きなどの感覚がおとろえるので注意が必要です。

熱中症になると体に熱がこもるため、体温を下げようとして体中の血管が広がります。それが原因で低血圧をまねき、やはり立ちくらみを起こすことがあります。

(6)立ちくらみの原因となる病気⑤ 更年期障害

女性は、閉経の前後5年あたりになると更年期をむかえます。

更年期では女性ホルモンのエストロゲンが減少し、全体のホルモンバランが崩れます。それが原因で、さまざまな症状があらわれるようになります。これを、更年期障害といいます。

もともと、エストロゲンには血管を広げるはたらきがあります。更年期障害になるとそれがうまくはたらかなくなり、血流が悪化しやすくなります。

また、更年期には女性ホルモンの分泌を指令する視床下部や脳下垂体も混乱し、自律神経のバランスを崩して、血圧を上げるはたらきが弱まります。

血圧の低下が立ちくらみを引き起こす

これらの影響で血圧が低下し、立ちくらみを起こす原因となります。

特に、更年期障害でのぼせやホットフラッシュ、発汗などの症状が出ている人は、めまいやふらつきも多くなるといわれています。また、立っているときに視界が暗くなる症状が出ることもあります。

更年期障害にはほかにも、吐き気や動悸、手足の冷え、肩こり、などの症状があります。また、食欲不振やうつ、不安、不眠、情緒不安定、といった精神面への影響も見られます。

(7)日常生活上の原因

立ちくらみは、自律神経のバランスが崩れることが原因で起こります。そのため、日常生活でもさまざまな点に気をつけなければいけません。

睡眠不足

睡眠の際には、体をリラックスさせるために副交感神経にスイッチを切り替えます。

ところが、寝る直前に食事や入浴をしたり、テレビやスマートフォンを見たりしていると、交感神経が刺激されてうまく眠ることができません。

それが原因で自律神経のバランスが崩れると、ますます睡眠不足に陥り、悪循環となります。

生活リズムの乱れ

自律神経は、食事や睡眠などの行動に合わせて、一日のなかで交感神経と副交感神経を切り替えています。

しかし、日によって食事や睡眠の時間がバラバラになると、それだけ自律神経に負担がかかり、バランスが崩れてしまいます。

また、アルコールの摂りすぎにも注意が必要です。アルコールには利尿作用があるため、脱水症を引き起こして立ちくらみの原因となるからです。

(8)立ちくらみを起こしやすい場面

立ちくらみは、急激に頭の位置が高くなった時に起こりやすい症状ですが、それ以外に血圧が下がった状態や、交感神経が働きづらい状態の時に起こしやすいという特徴があります。

具体的に立ちくらみを起こしやすい場面は、

  • 起床時
  • 入浴時
  • 排尿・排便時

などです。

入眠中

入眠中は、身体の機能は最小限となっており血圧は通常時よりも低くなっています。そのため急激に起き上がると脳の血流不足を起こしやすくなります。

また、入眠時は休息をとるために交感神経よりも副交感神経が優位になっている状態です。そのため体勢の変化に応じて血圧を上げる順応がしづらい状態であり、より立ちくらみを起こしやすくなります。

入浴中

入浴中は、温熱効果により全身の血管が拡張している状態になります。通常、血管が拡張すると血圧が下がりますが、入浴中は全身に水圧がかかるため血圧は維持されます。

しかし、湯船から立ち上がった瞬間に水圧は解かれるため、拡張した血管により血圧が急激に下がり、立ちくらみを起こします。

排尿・排便時

排尿・排便時には副交感神経が優位となるため交感神経の働きが鈍くなり、血圧を上げる順応が起こりにくくなります。そのため、トイレから立ち上がった時に立ちくらみを起こす危険があります。

また、男性は立ったままの排尿時でも立ちくらみを起こすことがあります。

(9)立ちくらみの危険性と対処法

立ちくらみは、安静にしていればすぐに回復する症状です。ただし、ひどいときには失神を起こし、転倒する原因ともなるので気をつけましょう。

もし立ちくらみになったら、まずはしゃがんだり寝転んだりして、いったん元の姿勢に戻ってください。その後、落ち着いてきたら、立ち上がります。

このとき、怪我をしないように、あわてずにゆっくり動くことが大切です。特に、入浴中は立ちくらみになりやすく、足元がすべりやすいので注意してください。

また、寝転がって休むときには、血流が頭に戻るように脚を高くしておきましょう。

立ちくらみの原因として熱中症が考えられる場合には、木陰や空調の効いている屋内など、涼しい場所へ移動して回復を待ちます。首筋や脇の下の静脈を冷やして体温を下げ、スポーツドリンクで水分を補給しましょう。

熱中症は、あまりに症状がひどいと自力で水分を補給することができません。そのときは、すみやかに病院で受診するようにしてください。

(10)立ちくらみの治療法

立ちくらみは、様々な基礎疾患により起こっている症状なので、治療の基本は基礎疾患に対しての治療となります。

神経調節性失神では、患者教育や環境調整、日常生活の改善などが最も有効な治療と言われています。

起立性低血圧の原因に糖尿病、パーキンソン病などの病気がかくれている場合や心疾患により立ちくらみがある場合には、それぞれの疾患に応じて薬物療法や手術療法が必要です。

薬剤性の低血圧の場合は、降圧剤の量や種類の見直しや内服している薬剤で立ちくらみの原因になるものはないか降圧剤の量や種類を見直し、適切な量へ調整をします。

(11)立ちくらみの予防法

立ちくらみは、日ごろの心がけで予防することができます。その方法は、原因によって大きく2つに分けられます。

血圧のコントロール

立ちくらみは、脳への血流が低下することが原因で起こります。そのため、なるべく低血圧の状態を避けることが大切です。

まず、立ち上がるときはゆっくり動きましょう。特に、起床時は、立ち上がる時の血圧の調整がうまくいかずに血圧が下がり、脳全体への血流が一時的に低下します。そのため、立ちくらみがおきるのです。血圧が低くなっているので注意が必要です。

高齢者は血圧のコントロールがおとろえていることがあるので、長時間立ち続けることは避けてください。

適度な運動も、血行改善で予防法となります。冷え性を防ぐための、きつめのストッキングなども効果的です。

交感神経をととのえる

自律神経のバランスが乱れると、血圧をうまくコントロールできずに立ちくらみを起こしやすくなります。

自律神経をととのえるには、生活リズムを規則正しくすることが大切です。毎日、なるべく決まった時間に寝起きや食事を行いましょう。目がさめたら、日光を浴びることで交感神経のスイッチが入ります。

しっかり睡眠をとることも重要です。ぬるめのお湯につかると、副交感神経のスイッチが入って眠りやすくなります。

体の熱をしっかり逃がすために、かならず寝る1〜2時間前に入浴は済ませておきましょう。アロマオイルやハーブティーでリラックスするのもおすすめです。

(12)立ちくらみの原因への理解が病気の早期発見につながる


出典:https://www.photo-ac.com/

立ちくらみは、誰でも日常的に起こりやすい症状です。しかし、油断しているとその背後に隠された病気を見逃す可能性もあります。

めまい以外にも、さまざまな症状をともなっているときには注意してください。特に、頻繁に立ちくらみになる、立ちくらみが長く続く、といった人は、一度病院で相談してみることをおすすめします。

早期発見には、立ちくらみがどのような原因で起こり、どのような症状になるのか、ということを知っておくことが大切です。そのうえで、日ごろから対処法や予防法を心がけるようにしましょう。

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