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【徹底解説】立ちくらみとは|原因・症状・対処法・予防法

悩み
立ち上がった時にめまいがする、ふらつくなどの経験をしたことがある人は多いのではないでしょうか。 このような症状は立ちくらみといい、立ちくらみは様々な原因疾患により起こる症状です。また、加齢により特に原因疾患がなく起こってしまう場合もあります。 立ちくらみの原因と対処法、予防法を解説します。
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(1)立ちくらみとは

立ちくらみとは、立ち上がった時に起こるめまいやふらつき、目の前が暗くなるなどの症状で、脳貧血とも呼ばれます。立ちくらみは様々な原因により起こる可能性があり、原因により治療法も様々です。中には日常生活の改善や工夫により予防できる立ちくらみもあります。

立ちくらみはひどい場合には気を失い転倒することもあります。転倒した場所が駅のホームや車道であった場合は二次災害により命を脅かされる恐れがあります。また、転倒時に頭を打つこともあり、生命に関わる症状です。

立ちくらみには重篤な疾患が隠れている恐れもあり、それらの症状に早期に気づき、受診することが重要です。

(2)立ちくらみが起こるメカニズム


出典:https://www.photo-ac.com/

立ちくらみは、脳の血流や酸素不足に陥ることで起こります。

正常では、立ち上がるなど脳の血流が変動した時にはそれを一定に維持する調整機能が働きます。

しかし何らかの原因により、その調整機能がうまく働かず脳が虚血状態になることでめまいやふらつき、失神などの症状が起こります。

(3)立ちくらみの原因

立ちくらみの原因として主に3つがあげられます。

起立性低血圧① 自律神経障害

自律神経は、血管を収縮させて血圧をあげる「交感神経」と血管を広げて血圧を下げる「副交感神経」の二つのことを指します。

この二つがうまく作用せず、様々な不調が起こるのが、自律神経障害です。

主な症状① パーキンソン病

パーキンソン病は、脳内のドーパミンという物質が減少することで、運動や自律神経が障害され様々な症状が現れる病気です。

パーキンソン病では、自律神経の調節機能が障害されることで、立ち上がった時に血圧が上がらず、脳に血流が十分に行かないため立ちくらみを起こします。

主な症状② 糖尿病

糖尿病が進行すると、末梢神経に不要な物質が蓄積し、神経機能が障害されます。感覚や運動の神経機能だけではなく、自律神経機能も障害され、立ち上がった時の血圧調整が上手くできず、立ちくらみを起こします。

パーキンソン病や糖尿病のほかにも、抑うつ症状やレム睡眠行動障害などの症状があげられます。

起立性低血圧② 薬剤性

降圧薬などを内服していると、自然と低血圧になります。また、中枢神経を抑制する作用のある、抗不安薬や睡眠薬、抑うつ薬などを内服していても低血圧になる可能性があります。

また、身近な鎮痛薬などの内服でも、低血圧になり、立ちくらみを起こす可能性があります。

起立性低血圧③ 体液量の減少

大量の汗をかいたり、水分を取らない生活を送ったりすることで、血液を含む体液が減少することで低血圧を起こします。

その低血圧が立ちくらみにつながります。

神経調節性失神

神経調節性失神とは、交感神経と副交感神経のバランスが悪くなって血圧の低下や脈拍が下がるなどで失神(=立ちくらみ)を起こす症状です。

神経調節性失神の中には、「血管迷走神経性失神」、「状況失神」、「頸動脈洞症候群」の3つがあります。

心疾患

不整脈などの心疾患でも立ちくらみを引き起こします。

徐脈や頻脈、脈拍のリズム異常がひどくなると、脳へ送るための十分な血液が心臓から拍出されなくなり、脳が虚血状態に陥ります。

また、上記3つの原因のほかに、子どもがなりやすい立ちくらみの原因もあります。

起立性調節障害

起立性調節障害は、子どもに多い自起立性調律神経の調節機能障害です。

これは交感神経の調節が上手くできないことが原因で、立ち上がった時に血圧が上がらず脳に血流が十分行かなくなるために起こります。

(4)立ちくらみの症状

立ちくらみは急に立ち上がるなど、頭の位置が急激に高くなった場合に起こりやすい症状です。

立ちくらみの症状としては、フワフワするようなめまい、目の前が暗くなる、ふらつき感、血の気が引くような感じ、頭がぼんやりする感じなど人によって表現は様々です。

これらのめまい症状に伴い頭痛や耳鳴り、息切れ、動悸、顔色不良、吐き気などの随伴症状が現れる場合があります。

立ちくらみの場合、頭の位置を低くし安静にすることで徐々に症状が改善していきます。

(5)立ちくらみとめまい

めまいには回転性めまいと浮動性めまいがあります。

回転性めまいは、自分は動いていないのに、周囲や天井がグルグルと回転しているように見えるめまいです。回転性めまいは内耳の平衡感覚の異常で起こることが多く、メニエール病が代表的です。

浮動性めまいは、地に足がつかないようなフワフワとしたような感覚になるめまいです。脳の異常や脳への血流不足が原因で起こることが多く、立ちくらみでは浮動性めまいを呈する場合が多いのが特徴です。

(6)立ちくらみを起こしやすい場面

立ちくらみは、急激に頭の位置が高くなった時に起こりやすい症状ですが、それ以外に血圧が下がった状態や、交感神経が働きづらい状態の時に起こしやすいという特徴があります。

具体的に立ちくらみを起こしやすい場面は、起床時、入浴時、排尿・排便時などになります。

入眠中は、身体の機能は最小限となっており血圧は通常時よりも低くなっています。そのため急激に起き上がると脳の血流不足を起こしやすくなります。

また、入眠時は休息をとるために交感神経よりも副交感神経が優位になっている状態です。そのため体勢の変化に応じて血圧を上げる順応がしづらい状態であり、より立ちくらみを起こしやすくなります。

入浴中は、温熱効果により全身の血管が拡張している状態になります。通常、血管が拡張すると血圧が下がりますが、入浴中は全身に水圧がかかるため血圧は維持されます。

しかし、湯船から立ち上がった瞬間に水圧は解かれるため、拡張した血管により血圧が急激に下がり、立ちくらみを起こします。

排尿・排便時には副交感神経が優位となるため交感神経の働きが鈍くなり、血圧を上げる順応が起こりにくくなります。そのため、トイレから立ち上がった時に立ちくらみを起こす危険があります。

また、男性は立ったままの排尿時でも立ちくらみを起こすことがあります。

(7)立ちくらみが起きた時の対処法

立ちくらみが起こった時は、まずは転倒しないようにすることが大切です。

立ちくらみを自覚したら、まず周囲の安定したものに掴まり、安全を確保しましょう。キャスターが付いた物や不安定な物に掴まると転倒の危険があるので、必ず安定した物に掴まりましょう。

頭を低い位置へ下げた方が回復しやすく、可能であればその場に横になるのが一番です。足をクッションなどに乗せて高くすることで更に脳血流を改善させることができます。横になれない場合は椅子や床に座り、頭を下げて回復を待ちましょう。

そのまま安静にしていれば数分で回復するでしょう。回復してもすぐに立ち上がらずに、臥位から座位、座位から立位と徐々に体勢をあげていきましょう。

(8)立ちくらみの治療法

立ちくらみは、様々な基礎疾患により起こっている症状なので、治療の基本は基礎疾患に対しての治療となります。

神経調節性失神では、患者教育や環境調整、日常生活の改善などが最も有効な治療と言われています。

起立性低血圧の原因に糖尿病、パーキンソン病などの病気がかくれている場合や心疾患により立ちくらみがある場合には、それぞれの疾患に応じて薬物療法や手術療法が必要です。

薬剤性の低血圧の場合は、降圧剤の量や種類の見直しや内服している薬剤で立ちくらみの原因になるものはないか降圧剤の量や種類を見直し、適切な量へ調整をします。

(9)立ちくらみの予防法

立ちくらみを予防するには、急に立ち上がることは避け、臥位から座位、座位から立位と時間をかけてゆっくりと立ち上がりましょう。

また、立ちくらみを経験したことがある人は、何か安定した手すりなどを持ちながら立ち上がると安心です。

長時間座った状態では足に血液が溜まりやすく、上半身には血液が少ない状態になっています。この状態で立ち上がると脳の虚血により立ちくらみを起こします。そのため、立ち上がる前に足の運動を行い、足に溜まった血液を全身へ戻すことが有効です。

脱水でも立ちくらみはおきやすくなるためこまめに水分をとることも大切です。貧血による立ちくらみの場合には、貧血を改善するための日常生活上の工夫が必要です。食事はバランス良く3食しっかりと摂り、肉や魚、ひじきや緑黄色野菜など鉄分が多く含まれている食品を摂るように心がけましょう。鉄分と共にビタミンCやビタミンB12を摂ることでさらに鉄分の吸収を良くします。

(10)立ちくらみの改善は日常生活から

このように立ちくらみは原因疾患がある場合の他、日常生活によるものもあります。日常生活を見直すことで立ちくらみも改善できるかもしれません。

立ちくらみは転倒につながる怖い症状です。立ちくらみで怪我をしないために、危険な動作を避け、ゆっくりと立ち上がることが大切です。

日常生活と動作を工夫し、立ちくらみを起こさない毎日を過ごしていきましょう。

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