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どうして寝言をいうのか?仕組み、5つの原因、考えられる病気など

悩み
「最近、寝言が増えた」「家族の寝言に悩まされている」など寝言にまつわるお悩みを持っている人は多いのではないでしょうか。寝言は病気の症状の一つとして現れることもあります。特に高齢者の寝言には注意が必要です。自分の寝言のパターンと原因を知ることでその裏に隠れた疾患に気づくことができるかもしれません。
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誰しも、寝ているときに「寝言」を言ったことはあるでしょう。その原因については、数多くのものが考えられますが、なかには病気につながる危険なケースもあります。

いったい寝言はどんなメカニズムで発生するのでしょう。自分自身では気づきづらい症状だけに、余計心配になりますが、その原因を知ることで、寝言を改善していきましょう。

(1)寝言のメカニズム

寝言の多くはレム睡眠中に生じる

睡眠の状態は、レム睡眠とノンレム睡眠に分かれています。レム睡眠とは体は休んでいても脳は活動している状態です。眼球がしばしば左右に動くことがあるため、「Rapid Eye Movement(REM)」からレム睡眠と呼ばれます。

これに対して、ノンレム睡眠は、身体の筋肉の緊張は保たれており、脳がしっかり休んでいる状態のことを指します。また、ノンレム睡眠中の脳は、生存に必要なホルモンを分泌し、ストレスを解消する作業をしているとされています。

人は睡眠中、このレム睡眠とノンレム睡眠を繰り返しており、その周期はおよそ90分となっています。

寝言自体はレム睡眠の際に発することが多いものですが、ノンレム睡眠の際にはっきりとした言葉で寝言を発するような場合には、脳がきちんと休めていなかったり、脳の状態が正常でないことが疑われることもあります。

(2)寝言のパターン

まずは寝言のパターンについてみていきます。レム睡眠時とノンレム睡眠時でも違いがあるのですが、人間は寝ている間にレム睡眠とノンレム睡眠を繰り返します。

体は休んでいるのに脳が活動している睡眠は「レム睡眠」で、脳も体も休んでいる状態が「ノンレム睡眠」です。

レム睡眠時の寝言の特徴

脳が活動している状態で、夢を見ているのがレム睡眠時です。

そのため、レム睡眠時の寝言には次のような特徴があります。

  • 朝方、眠りが浅いときに出やすい
  • 夢の内容と関係する寝言が多い
  • 奇想天外な寝言が多い

ノンレム睡眠時の寝言の特徴

体も脳も休んでいる状態であるノンレム睡眠時の特徴は次の通りです。

  • 入眠直後、眠りが深いときに出やすい
  • 日常生活での出来事に関する寝言が多い
  • 怒りや悲しみなど負の感情が寝言に現れやすい

このように睡眠のパターンによって寝言の特徴は様々で、原因も異なってきます。そのため自分がどのタイプの寝言か把握しておきましょう。

(3)寝言の原因① 精神的ストレス

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1683137

精神的ストレスを強く感じているときには浅い眠りが長時間続き、夢を見る時間が長くなる傾向があります。そうなるとレム睡眠時の寝言が多くなると考えられています。

寝言でうなされていたら、見ている人は心配になりつい起こしたくなりますが、そうすると脳内に悪夢がインプットされる可能性があります。

レム睡眠時では一晩で夢は4.5回ほど見ると言われています。人間はすべての夢を記憶するわけではないので、うなされていたとしてもそのままそっとしておいた方がいいかもしれません。

(4)寝言の原因② 病気

寝言の原因は病気の場合もあります。では具体的に寝言を引き起こしていると疑われる病気にはどんなものがあるのでしょうか。寝言の裏に、見過ごすことのできない心や体の重大な疲れや疾患が隠れていることもあるのでしっかりと確認しておきましょう。

睡眠時無呼吸症候群

中高年の人に多いのが「睡眠時無呼吸症候群」です。この場合の寝言はうめき声が多く、具体的に言葉を発するわけではありません。

うめき声のほかに、いびきをかいていたり、呼吸が一時停止したりしている場合、睡眠時無呼吸症候群の疑いがあります。

以下のような生活習慣がある方は特に注意しましょう。

  • 喫煙がやめられない
  • お酒が好き
  • 糖尿病や高血圧症の病気がある
  • 暴飲暴食をする

太っている人がかかりやすい症状と思いがちですが、痩せている人でもかかる病気であり、女性男性関係なくかかる病気です。

レム睡眠行動障害

寝ているときに大きな声や奇声を上げる、暴れるなどの行動に出る場合、「レム睡眠行動障害」の可能性があります。夢の中でやっている行動を、そのまま現実でもやってしまい、けがをするというケースもあります。

40歳以上の男性がなるケースが多いですが、この行動はだいたい10分以内に収まります。そばにいる人は見守っておき、それ以上の続くようであれば、明かりをつけたり目覚まし時計を鳴らしたりと、本人が起きるようにうながします。

急に体をゆすったりすると、悪夢と現実がごちゃ混ぜになって混乱する可能性があるため、慎重に対応しましょう。

ナルコレプシー

ナルコレプシーはいわゆる「居眠り病」です。寝言の中身は感情的なものが多く、悪夢が原因ということがよくあります。ナルコレプシーは若いころに発症し、寝入りばなに夢を見ることも多く、金縛りにもあいやすいとされます。

また、笑う・怒る・驚くなどの感情表現をしたときに体の力が抜けるといった症状があります。

会議中や自転車をこいでいるときなど、通常では考えられないようなときに居眠りするのがこの病気の特徴です。「やる気がない」などと周囲から理解されにくい病気ですが、非常に深刻な病気です。

(5)病的な寝言かどうか判断する方法

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2281990

病的な寝言かどうかを判断するには、医療機関で検査を受ける必要があります。また、睡眠中の行動によって周囲が困惑したり、日中の活動に影響が出ているような場合にも、検査を受けたほうがよいでしょう。実際に問題のある寝言なのかを判断するためには、以下のような検査方法が挙げられます。

画像検査

寝言の原因が脳や神経の病気でないかを判断するために、CTやMRIによる画像検査を行います。

映像や音声による解析

睡眠中の状況を把握するために映像を記録したり、寝言を録音するなどして、その内容を解析します。

脳波や呼吸の検査

睡眠中に脳波を計測するほか、睡眠中の呼吸状態を観測します。

(6)病的な寝言の治療方法

冒頭でも触れたように、現在までのところ直接的・根本的に寝言を止める方法はなく、寝言を治す薬や治療法も確立されていないのが現状です。

このため、寝言が何らかの病気が起因しているのであれば、その病気に対する治療を行います。

また、ストレスが原因で寝言が続いているのなら、カウンセリングをはじめとして薬物治療が行われることがあります。

要するに、「寝言そのものが疾患であり、寝言を完全に止めることが目的である」のではなく、「何らかの疾患が引き起こしている寝言が目立つ場合に注意する」のが肝要なのです。

(7)高齢者の寝言には注意が必要

疾患の症状として現れる時がある

寝言を一晩中発し続けたり、大きな声で寝言を発するような場合には、生理的な症状ではなく、レム睡眠行動障害と呼ばれる睡眠障害の影響かもしれません。

レム睡眠行動障害は、眠りが浅いレム睡眠時に夢の内容と合わせて寝言を発したり体が動いてしまう症状を伴うものをいい、脳幹部の脳腫瘍をはじめ、体の動きが遅くなったりバランスが悪くなるパーキンソン病などでも起こるほか、レビー小体型認知症によっても引き起こされることがあります。

レビー小体型認知症はレム睡眠行動障害以外にも注意力の低下や視覚認知の障害、記憶障害のほかさまざまな症状が現れ、高齢の男性に多い認知症の一種です。現在、アルツハイマー型認知症に次いで多い認知症で、脳血管性認知症とともに「三大認知症」とも呼ばれています。このため、高齢者が常軌を逸した寝言を頻繁に発するようであれば特に注意が必要です。

(8)寝言の解消法① 原因を知る

寝言は子供のころに多く見られ、大人になるにつれなくなっていくものです。そのため、小さいころの寝言はそれほど気にする必要はありません。だいたい思春期までになくなるので、やさしく見守ってあげましょう。

しかし成人後に寝言が頻発するようだと病気の可能性もあるので、寝言の原因をしっかりと把握しておきましょう。

日常生活を振り返る

自分の生活を今一度見直してみましょう。知らず知らずのうちに自分の感情を押し込めてはいませんか。

あるいは仕事やそれ以外のことでストレスを感じてはいないでしょうか。日常生活に寝言の原因はないか考えてみてください。

高熱の病気で寝言が出ることも

インフルエンザなどにかかり高い熱が出たときに、寝言を言うこともあります。

先ほどお話しした心的外傷後ストレス障害や、睡眠時無呼吸症候群・ナルコレプシーでも寝言を言う場合があるので、そういった病気の症状で、ほかに自分に当てはまるものはないか、調べて原因をチェックしてみましょう。

抗うつ剤などの薬の副作用も

抗うつ剤や胃かいようの薬を服用している人は、副作用が原因で寝言を発することもあります。思い当たる方はかかりつけの医師に相談してみましょう。

(9)寝言の解消法② 快眠できる環境を整える

寝言の解消をするには、「眠りの質を上げる」ことも大事です。では具体的にどんなことをすればいいでしょうか。いくつか挙げてみましょう。

夕食は眠る3時間前にすませる

夕食は就寝の3時間前にはすませておきます。食べる量が多くても、消化不良になりますし、眠りの質も下げてしまうので、「腹八分目」を心がけます。

明かりをすべて消す

安眠するには、ブルーライトなどもよくないと言われています。部屋を真っ暗にしてぐっすり眠れる環境づくりをします。寝る前のスマホやPCの操作も体内の時計を狂わせるので、使用しないようにしましょう。

アロマをたく

アロマは睡眠にいいと言われます。リラックス効果やストレスを和らげる効果があるアロマには、ラベンダー・ベルガモットなどがありますので、そういったアロマをチョイスし、香りに包まれて寝床についてみてください。

入浴をする

忙しいときでもシャワーだけにせず、しっかりと湯船につかります。少しぬるいお風呂がベストで、熱すぎるのはNGです。入る時間は20分ほどで、眠る1時間前までに入浴するようにします。

寝る前にストレッチや読書

就寝前に自分なりのルーティンを作っておくのも入眠しやすくなります。

例えばストレッチをする・読書をするなど、寝る前にやることを決めて実行すると、快適に眠りやすくなります。

(10)対策を知り、寝言を減らすことに役立てよう

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1265605

ここまで述べたように、寝言は時々発せられる程度であれば、さほど問題ではありませんが、あまりに頻繁に発せられると、ベッドパートナーや同室者にまで環境性睡眠障害をもたらす可能性もあります。ストレスなどが原因と考えられる場合には、生活習慣や睡眠環境を整えるなどして、できるだけ寝言を減らす努力をしたほうがよいでしょう。

寝言は、重大な病気が引き起こしている場合もあります。そのため「たかが寝言」と簡単に考えないようにしましょう。

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