介護に関わるすべての人を応援します

フレイルとは | 定義、サルコペニアとの違い、4つの予防法など

悩み
フレイルとは、加齢による心身のおとろえのことをいいます。この状態をそのまま放っておくと、やがて悪循環におちいって、寝たきりや介護が必要な状態となってしまいます。ここでは、その原因や予防法またよく似た症状「サルコペニア」、「ロコモティブシンドローム」との違いについて解説します。
公開日
更新日

(1)フレイルとは

出典:https://www.photo-ac.com/

フレイルとは、加齢によって心身が弱っている状態のことをいいます。

もともとは、海外で用いられている「Frailty(フレイルティ)」という言葉で、以前はそのまま訳して「虚弱」や「老衰」などとあらわされていました。

しかし「Frailty」には、早めに適切なサポートを受ければ、もとの健康を取り戻すことができるといったポジティブな意味も込められています。そのため、日本老年医学会では2014年に新しく、これを「フレイル」と称することを決めました。

フレイルでは、運動機能や認知機能がおとろえ、慢性疾患で生活にも困難が生じ、やがて閉じこもりがちになります。じつは、介護を必要とする人の多くがこのようなフレイルを経験していることが分かっています。

つまりフレイルというのは、ちょうど健康と要介護の中間にある段階と捉えることができます。

(2)フレイルの原因

フレイルは、加齢によるさまざまなおとろえが原因となっています。たとえば、筋力や運動機能の低下、認知機能の低下、意欲や判断力の低下、などが挙げられます。

ほかにも、呼吸器疾患による呼吸困難や、心血管疾患による活動の限定も考えられます。さらに、抑うつ症状や関節炎、貧血などの慢性的に管理が必要な疾患も、フレイルの原因となります。

筋力が低下すると、基礎代謝量が落ちてエネルギー消費量が少なくなります。すると、食欲も失われ、それにともない体重が落ち、栄養失調にもなっていきます。この低栄養もまた、フレイルの主な原因のひとつとなります。

このように、フレイルでは、原因のひとつひとつがおたがいに影響しあい、ますます悪循環におちいるフレイルサイクルを形成します。

さらに、フレイルでは社会や環境の変化なども原因となりえます。たとえば、加齢によって活動範囲が狭くなり、他人とのコミュニケーションがめっきり減ってしまう。また、低収入や孤独によるストレスなども、症状を進行させるきっかけとなります。

(3)フレイルに陥るとどうなるのか

出典:https://www.photo-ac.com/

フレイルになると、体力のおとろえによって、抵抗力が大きく落ちてしまいます。その影響で、外的なストレスにとても弱くなり、感染症や怪我などのダメージからも、なかなか回復することができません。

そのため、健康な人であればすぐに治るような風邪でも、悪化して肺炎を発症することがあります。

また、全体的な気だるさから、転倒しやすくなり、打撲や骨折をする可能性も高まります。このような病気や怪我がきっかけで入院すると、さらにフレイルが悪化しそのまま寝たきりになってしまうケースも少なくありません。

このように、フレイルにおちいることで、病気や入院、そして死亡などのリスクは一気に高くなってしまうのです。

(4)フレイルの評価基準

フレイルかどうかを判断する評価基準には、さまざまなものがあります。そのなかでも、もっとも多く採用されているのが、医学者のリンダ・フリード氏が提唱した5つの基準です。

このうち、1〜2つ該当する場合は、前段階の「プレフレイル」。3項目以上当てはまる場合は、「フレイル」というふうに判断されます。

自分がどれほど当てはまるかチェックしてみてください。

チェックリスト

何もしていないのに、年間で体重が4.5kg以上マイナス、あるいは5%以上マイナスとなったことがある。

週に3〜4回、すべてのものごとが面倒になり、疲れたような感じになる。

歩行速度が1.0m/秒未満。

筋力・握力が男性は26kg未満、女性は18kg未満。

軽い運動や体操、定期的な運動やスポーツをいずれもしていない。

(5)フレイルの予防法① バランスのよい食事

フレイルのもっとも大きな原因とされているのが低栄養です。高齢になると食が細くなり、栄養が不十分になりがちです。特に、一人暮らしの高齢者は食事に手間暇をかける時間が少なく、食事が偏って、低栄養になりやすい傾向があります。

そこで、フレイルの予防法となるのが栄養バランスの取れた食事です。バランスのよい食事は免疫力を高め、フレイルサイクルの悪循環を断ち切ることができます。

食事ではできるだけ、主食、主菜、副菜をしっかり摂るようにしましょう。なかでも、筋肉作りに欠かせないタンパク質は、筋力のおとろえをふせぐために重要です。そもそも、高齢になると食後に作られるタンパク質の量が低下してしまいます。そのため、通常の成人よりも多くの量を摂取する必要があるのです。

目安としては、体重1kgあたり、1gのタンパク質です。薄切りの肉2〜3枚、魚の切り身1切れ、卵1個、豆腐半丁のいずれかを毎日食べていれば十分でしょう。

また、転倒による骨折をふせぐためには、骨を作るカルシウムも重要です。そのための、ビタミンD摂取と日光浴も忘れないようにしてください。

(6)フレイルの予防法② 感染症の予防

免疫力のおとろえた高齢者にとって、インフルエンザや肺炎などの感染症は大敵です。

特に、フレイルになると、通常なら問題ないような常在菌などにも感染してしまうケースがあります。それが原因で、入院や寝たきりになってしまうこともめずらしくありません。

このようなフレイルによる重症化をふせぐには、そもそも感染症にかからないように気をつけておくことが大切です。普段から、手洗いやうがいを欠かさず、清潔に保つ努力をしましょう。

インフルエンザの重症化は、常在菌による感染症をまねきやすくなります。インフルエンザワクチンを受けることも予防の1つです。

また、フレイルでは嚥下障害も起こりやすくなります。誤嚥性肺炎を引き起こさないように、普段から口内ケアで口腔を清潔に保つことも忘れないようにしてください。

(7)フレイルの予防法③ 適度な運動

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1692848

高齢になると、誰でも筋力は少しずつおとろえていきます。

筋力のおとろえは、基礎代謝の低下につながり、低栄養をまねいてフレイルの原因にもなります。また、活動範囲が狭くなることで自宅に閉じこもりがちになり、ますます日常生活での運動をしなくなってしまう傾向があります。

これを予防するには、毎日適度な運動を行うようにしましょう。

ウォーキングで、1日5,000歩程度がちょうどよい運動量となります。いきなりそこまでできないという人は、毎日歩いている時間や距離を、少しずつ伸ばしていく方法もおすすめです。

何より、毎日続けていくことがもっとも大切なポイントです。

筋力のおとろえは、フレイルのなかでも、もっとも短期間で回復させやすい原因のひとつです。ぜひ、日常生活に運動を取り入れて、予防法としてみてください。

筋力低下を遅らせるために有効な、簡単にできる運動については以下の記事もぜひご参考ください!

(8)フレイルの予防法④ 社会とつながりをもつ

高齢になると、友人や知人が周囲から少しずつ減っていきます。特に、最近では一人暮らしの高齢者も多いため、一日中誰とも会ったり喋ったりしないという人も増えています。

特に、食事を一人で行う人は、低栄養や運動機能の低下など、フレイルになる割合が高くなるといわれています。

このようにコミュニケーションが減っていくと、人間関係自体が面倒になり、ますます社会に出る意欲を失ってしまいます。

これを予防するには、地域のボランティアや趣味のサークルに参加して、できるだけ人とのつながりを持つようにすることが大切です。食事をいっしょにする相手ができれば、低栄養も解消することができてさらに効果的です。

(9)サルコペニア・ロコモティブシンドロームとの違い

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1504437

フレイルとよく似た症状に、「サルコペニア」と「ロコモティブシンドローム」があります。

サルコペニアは、筋肉という意味の「sarx」と、喪失という意味の「penia」を合わせて作られた言葉で、「加齢性筋肉減弱症」、すなわち加齢からくる筋肉量低下のことをいいます。サルコペニアになると、日常生活での動作に困難をきたし、転倒や寝たきりのリスクが高まります。

一方、ロコモティブシンドロームは、「運動器不安定症」のことです。骨、関節、筋肉などに問題が生じて、運動に不自由が出る状態のことをいいます。ロコモティブシンドロームは、症状が進むと、それだけ要介護になるリスクを高めるとされています。

この2つの症状がフレイルと異なるのは、いずれもあくまで身体面のみに注目している、という点です。これに対し、フレイルは精神面や心理面、さらに社会的環境などもその原因のひとつとして考えています。

フレイルとは、加齢による身体能力低下を身体能力の問題としてのみ捉えるのではなく、加齢による影響を広く捉えようとする概念なのです。

(10)フレイルとはなにか理解をし、認知度を高めることが大切

高齢になると、少しずつ心身が弱っていき、気がついたときには寝たきりや介護が必要な状態となっているケースがあります。

フレイルというのは、そのような状態を見過ごさないために生み出された新しい考え方といえるでしょう。

特に今後、超高齢化社会を迎える日本ではその重要性がますます高まっていくはずです。

フレイルとは何なのか。そして、どうすれば予防することができるのか。それを知っておくことが早期発見・支援また、介護のリスクを減らすことにつながります。

この記事が気に入ったら
いいねしよう!