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意識障害の一つ ”意識混濁"とは|種類/判別法2つ/対策等まとめ

悩み
ウトウトと居眠りするの誰にでもあることですが、高齢者の場合、それは何らかの病気のサインかも知れません。意識混濁と言うと重度の意識障害のように感じますが、軽度のものだと本人及び周囲でも気づかないこともあるのです。本記事では、そんな意識混濁の種類・原因・予防法・対策等に関して説明していきます。
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(1)意識混濁とは

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/286787

意識混濁は「意識障害」の一つ

「意識混濁」は意識障害の一種であり、意識の鮮鋭度が低下している状態を指しています。その症状を簡単に表現すると、「ぼーっ」として思考することが出来ない状態です。

そして、多くの場合、そのまま眠り込んで(傾眠)しまいます。傍から見ると、単なる生理現象としての居眠りの様に感じるかも知れませんが、「意識混濁」は病的に引き起こされた症状なので、何らかの対策が必要です。

また、「意識混濁」の程度によっては、注意力の著しい低下、ぼんやりする等の軽度のものから、痛みに対して全く反応しない重度の症状など段階によって様々な状態があります。

(2)そもそも意識とは

人は見たり、聞いたり、触ったり、外部からの刺激があるとそれらを認知し、それを受けて自らの状態を何らかの方法で表現を行います(表出機能)。

一般的にはこれら一連の行為を「意識」と呼んでいますが、一方で医療の現場では「意識がはっきりしない」や「意識レベル」等と言ったように、意識障害の有無を確認する際にも用いられます。

いずれにしても、人が認知する意識は、

  • 「清明度」
  • 「広がり」
  • 「質的なもの」

の3要素によって認識されており、それらのいずれか、ないしはすべてが妨げられると意識障害に陥ってしまいます。

このうち、「清明度」が妨げられている状態を「意識混濁」、「質的なもの」が妨げられている状態を「意識変容」、「広がり」が妨げられている状態を「意識狭窄」と呼んでおり、それらの程度によって様々な意識障害を引き起こすのです。

(3)意識混濁の種類

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1064432

意識障害の一種である「意識混濁」は、意識の鮮明度の低下によって外的な刺激に対し反応が低下し、その低下の程度によって、「傾眠」、「昏迷」、「昏睡」と分類されます。

傾眠

刺激を与えれば意識が覚醒し反応する意識混濁状態。呼び掛ければ反応し、指示をすれば従いますが、外的刺激がなくなると眠ってしまう。また、傾眠状態と併せて錯覚や妄想等の症状が表れる事がある。

昏迷

自発運動があり、簡単な指示(手を握る等)程度には時折反応する意識混濁状態。また、痛み等と言った刺激に対しては、振り払う等の反応がみられる。

昏睡

四肢が弛緩し、自発運動が全く行われない意識混濁状態。また、痛みなどの刺激にも反応を示さない。

なお、傾眠→昏迷→昏睡の順で、症状の重症度が上がっていきます。

(4)意識混濁の判別方法① JCS

意識混濁状態になった時の評価方法は、様々なものがありますが、代表的なものとしてジャパン・コーマ・スケール(JCS)とグラスゴー・コーマ・スケール(GCS)とが挙げられます。

この内、JCSは短時間で簡易に行える方法になっており、脳への侵襲の目安として判定が行いやすくなっているので緊急時によく用いられている方法です。

今回はJCSの方法について解説していきます。これは外的刺激の反応(目を開く等)によって計ることが可能です。

意識レベル(意識障害の深刻度)は、以下の様に覚醒度を3段階に分類しており、それぞれの段階で更に3段階に分けられているので、3-3-9度方式とも呼ばれています。

数値が大きくなるほど意識障害が重いことになります。

参考 脳卒中治療ガイドライン2009 付録

(5)意識混濁の判別方法② GCS

先ほど言及したグラスゴー・コーマ・スケールは、意識レベルを「開眼」、「最良言語反応」、「最良運動反応」の3つの側面から判定する方法です。

世界的に用いられている方法ですが、判定方法がやや複雑である事、3つの項の内1つでも判定ができない場合意識レベルを評価出来ない等の問題点があります。

GCSはこういった問題点を補う判別方法であり、アメリカで一般的に使われています。

評価方法は、以下の項目で評価されます。それぞれ項目で、「E○点+V○点+M○点=合計○点」と示され、正常であれば15点満点、深昏睡では3点となり、点数の合計が少ないほど重症となっています。

E:開眼機能(Eye opening)

4点:自発的に、またはふつうの呼びかけで開眼

3点:強く呼びかけると開眼

2点:痛み刺激で開眼

1点:痛み刺激でも開眼しない

V:言語機能(Verbal response)

5点:見当識が保たれている

4点:会話は成立するが見当識が混乱

3点:発語はみられるが会話は成立しない

2点:意味のない発声

1点:発語みられず

なお、挿管などで発声が出来ない場合は「T」と表記する。 扱いは1点と同等である。

M:運動機能(Motor response)

6点:命令に従って四肢を動かす

5点:痛み刺激に対して手で払いのける

4点:指への痛み刺激に対して四肢を引っ込める

3点:痛み刺激に対して緩徐な屈曲運動(除皮質姿勢)

2点:痛み刺激に対して緩徐な伸展運動(除脳姿勢)

1点:運動みられず

参考 脳卒中治療ガイドライン2009 付録

なお、JCS・GCSは経時的変化の確認やスタッフ間の共通理解の為には有効ですが、数値のみでは症状の評価に限界があるので、文章と併記して評価することが求められます。

(6)傾眠の原因と対処法

原因の特定が改善につながる

意識混濁の中でも比較的軽度な「傾眠」ですが、深刻な病気の兆候として表れる事があります。

「傾眠」の原因として考えられるものは、

  • 認知症
  • 慢性硬膜下血腫
  • 過眠症
  • 内科的疾患(肝臓や腎臓等代謝に関わる疾患)
  • 脱水
  • 薬の副作用(抗てんかん薬、抗ヒスタミン薬等)

等が考えられますが、正しい対策を講じれば改善する場合があります。まずは、以下の様に日中の過ごし方を見直してみて、改善が見れらない場合は、医師の判断を仰ぐようにすると良いでしょう。

「傾眠」の対処法

散歩、話しかける

直ぐにでも出来る対処法としては、散歩や話しかける等の方法があります。比較的軽度であれば、話しかけるなどの弱い刺激でも反応するので、そういった場合、積極的に話しかけて眠る機会を与えない様にすると効果的です。また、散歩などの軽度な運動は、身体機能の維持・向上に寄与するばかりでなく、日中に動くことで夜にグッスリと眠れる様になります。

短時間の昼寝

ひどい眠気が有る時には、短時間昼寝させることも一つの手段です。しかし、夜の睡眠に影響を与えない、30分程度の昼寝に留めておく必要があります。

薬の量を減らす

認知症の場合、服用している薬によっては傾眠傾向になる場合があります。特に、自宅介護している場合は、薬の副作用を確認すると共に、本人の状態を注意深く観察しておく必要があるでしょう。医師に相談することによって薬の量を調節することも出来るので、具体的な相談が出来るようにしておくと良いでしょう。

医師の判断を仰ぐ

何らかの対策を講じても改善が見られない場合は、別の病気の可能性もあるので、医師の判断を仰ぐ必要があります。場合によっては、手術を受ける必要もあるので、早めの対応をするようにしましょう。また、傾眠傾向が続くと、脱水症状や栄養不足となって、別の病気の原因となる場合があので、気になる場合は直ぐに医師に相談した方が良いでしょう。

(7)昏迷の原因と対処法

昏迷の原因

「昏迷」状態とは、体を何度も揺らしたり、大声で呼びかけないと反応を示さず、反応があったとしても短時間だけ目を覚ましその後また眠ったり無反応になる意識混濁状態のことを指します。原因として考えられるものは、意識の影響を及ぼす脳の領域の病気、薬、怪我等が考えられます。

いずれにしても、個人でとれる対処法は基本的にはないので、直ぐにでも医師の判断を仰ぐようにしましょう。

昏迷の対処法

症状の診断時に、身体診察、血液検査、脳の画像検査などと併せて家族への問診も行われます。これは昏睡の原因を特定する上で重要なポイントとなるので、本人の普段の状態など正しい情報をもっておく必要があります。

家族は普段から本人の状態(持病有無等)をしっかりと観察し、記録に残しておくようにしましょう。

(8)昏睡の原因と対処法

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2650128

昏睡状とは、外部からの刺激に全く無反応で、四肢が弛緩し尿や糞便の失禁が起こる意識混濁状態です。

原因としては、大脳半球の障害、脳幹の障害、代謝異常(一酸化炭素中毒や低血糖等)の3つが考えられます。いずれの原因であったとしても、昏睡状態に陥った際の状況や持病の有無などが原因究明には欠かせないので、普段から本人の状態を気にかけておく必要があります。

対処法としては、昏迷と同様個人で出来るものはないので、直ぐに医師の判断を仰ぐようにしましょう。

(9)意識混濁との正しい付き合い方

意識混濁は、高齢者ほどリスクが高い傾向があり、以下の様な高齢者特有の特徴があります。

  1. 感染症、脱水症状、代謝異常等脳以外の疾患による意識混濁
  2. 「1」による治療が原因となるもの
  3. 脳卒中や脳梗塞等、比較的代謝に関わる脳の疾患が多い
  4. 服用する薬の多さによる意識混濁(高血圧等)
  5. 複数の臓器の疾患がある
  6. 認知症や精神疾患との併発による発見の遅れ
  7. 意識混濁に加え、せん妄(幻覚や錯覚等の症状)
  8. 意識混濁によって感染症、脱水、心不全等の併発
  9. 広範な脳梗塞等が原因だと、回復が遅くなる

いずれにしても、軽度な意識混濁であれば、改善の見込みがあります。また、症状の発見が遅れることがしばしばあるので、普段から本人の経過をしっかりと確認しておく事が重要です。

(10)意識混濁についてしっかり理解しよう

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/92485

意識混濁は、本人が自分で気づくことが殆どないので、周りの人による早期発見が非常に重要です。特に、「傾眠」等の状態は、大したことがない様に感じますが、それらを発端として、重病化の可能性も否定できません。

いずれにしても、症状の重い状態の対処方法は医師見て貰う必要がありますが、軽度であれば日中の過ごし方を改善すれば、改善することが可能なので、周囲のサポートが欠かせないものであると言えます。また、意識のレベル(鮮明度)のみならず、意識の変容等も病気のサインとなるので、注意深く観察を行い、異常の早期発見に努めるようにしましょう。

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