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床ずれ・褥瘡とは | 症状やなりやすい部位、防止用具など

悩み
床ずれとは、褥瘡(じょくそう)ともいいますが、体重で圧迫されている体の一部分の血流が悪くなったり滞ることで傷になったりただれたりするものです。悪化して傷が深くなると命に関わることもあり油断できません。また、床ずれは予防よりも治療のほうが困難なため、予防を心がけ、症状が現れても初期のうちに対処することが重要です。
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(1)床ずれ・褥瘡(じょくそう)とは

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2289881

床ずれとは、褥瘡(じょくそう)ともいい、寝たきりになってしまうことなどによって、体重で圧迫されている体の一部分の血流が悪くなったり滞ってしまうことで起きます。症状としては、皮膚が赤くなったり、傷ができたり肌などがただれてしまうことなどが挙げられます。

人は通常、眠っている間に寝返りを打ったり、長時間椅子に座っている時でも体を浮かせるなどして、無意識のうちに身体の同一の部位が長時間圧迫されないようにしています。

これを「体位変換」というのですが、病気や怪我などによって寝たきりになるほど身体が思い通りに動かせなくなると、この体位変換が困難になるのです。体位変換が困難な人は、寝ている時、自分で無意識に身体の圧迫部位を変えることにより、一部分に圧力が集中するのを避ける、ということができなくなります。

結果、ある一部位に長時間集中した圧力が、皮膚内の細胞に必要な酸素や栄養の動きを邪魔して、それが皮膚の赤みや傷につながるのです。また、床ずれは悪化すると皮膚の表面だけでなく、骨に近い部分まで傷つけてしまうこともあります。

(2)床ずれの恐ろしさについて

床ずれそのものだけでなく、感染症も引き起こす

床ずれは、そのまま放置しておくと、皮膚をはじめとした周辺の組織を徐々に壊死させてしまいます。さらに悪化すると、傷が骨に到達して骨が露出し、完治も難しくなる大変厄介なものです。

通常皮膚は体内への細菌の進入を遮断するという重要な役割を果たしていますが、床ずれが進行してしまうと細菌を防御することができなくなり、感染症のリスクが高まります。

また、床ずれを患う人の多くが寝たきりや病気を患っている高齢者であることにも注意が必要です。高齢者の場合、免疫力が低下しているため、床ずれから感染症を患うリスクが高いからです。皮膚疾患の段階としては皮膚の炎症から膿瘍になり、傷が深くなるにしたがって骨髄炎から敗血症に発展することもあり、最悪の場合死に至ります。

このように床ずれは「たかが床ずれ」と油断できないものなのです。

(3)床ずれの具体的な症状

床ずれは、皮膚が汗などでふやけていたり、むくんでいて弱っていたりすると圧迫だけでなく摩擦によってもほんの数時間で発生してしまうこともあります。

初期のうちは、皮膚に赤みが現れるほか、かゆみや痛みも伴うことがあります。そして症状が進行するに従って徐々に水疱ができたり、皮膚の下が出血した場合に現れる紫色の斑紋(はんもん)である紫斑(しはん)になったりします。

さらに症状が進むと、表皮の内側にある真皮(しんぴ)や皮下組織にも炎症が起こりはじめ、炎症は筋肉や骨組織にまで至り、やがて骨や関節の破壊が起こりはじめます。このとき、皮膚の深い部分が壊死すると、次第に黒色に変色して潰瘍となります。

また、体力や免疫力が衰えている場合には、床ずれによる外傷から感染症を引き起こし、最悪の場合命にかかわる事態になるケースもあります。

(4)床ずれになりやすい部位

床ずれになりやすい部位は、体位によっても異なりますが、圧力がかかりやすく、骨が筋肉を圧迫しやすい場所です。

加齢や栄養不足などによって、長時間寝たきりで筋肉が減少すると、解剖学でいう骨突出部位の軟部組織が減少し、病的骨突出が起こります。これがもっとも床ずれが起こりやすい部位で、仰臥位(仰向けのこと)であればおよそ4割の体重がかかるとされる仙骨部、つまりお尻の位置にあたります。

また、仙骨部以外では

  • 後頭部
  • 肩甲骨部
  • 下腿

などが挙げられます。

このほか、体位によって、側臥位では大転子部や肩外側、骨盤の腸骨部、膝、足関節外果、耳介部などに起こりやすく、腹臥位でも前額部や前胸部、膝、足、足趾などに床ずれが起こりやすくなります。

床ずれになりやすい部位まとめ

仰臥位(仰向け)の場合

  • 仙骨部
  • 後頭部
  • 肩甲骨部
  • 下腿

側臥位(横を向きながら)の場合

  • 大転子部
  • 肩外側
  • 骨盤の腸骨部
  • 足関節外果
  • 耳介部

腹臥位(うつ伏せ)の場合

  • 前額部
  • 前胸部
  • 足趾

(5)床ずれが起きてしまう原因

床ずれが起きる直接的な原因は、体に加わった外圧が持続的に皮膚や軟部組織を圧迫することです。圧力や応力によって循環障害が起こり、阻血状態が一定時間以上続くことで皮膚の組織が壊疽し、床ずれが生じるのです。

ただし、床ずれにはこれ以外の間接的な要因が広く関わっています。その間接的な要因には、大きく分けて、「局所的要因」と「全身的要因」と「社会的要因」が考えられるといわれています。

局所的要因

  • (加齢による)皮膚の性質の変化
  • (加齢による)皮膚疾患
  • (失禁などによる)皮膚の湿潤
  • (失禁などによる)皮膚の汚染

全身的要因

  • 骨粗しょう症や糖尿病といった基礎疾患による日常活動性の低下
  • 急な体重低下による骨の部分突出
  • 服用している薬剤の副作用により、外傷の自然治癒力の低下

社会的要因

  • 経済力が不足するなどの要因で介護をプロに任せることができず、体位変換などによる適切な除圧ができないこと
  • 福祉制度やサービスなどに関する情報が不足していること

(6)治療のためにすべきこと・避けるべきこと

床ずれの治療は、赤みが出ている程度の初期状態で適切に行う必要があります。

特別な検査はありませんが、傷口に感染症が疑われる場合には医師に相談の上、感染の有無や状態について検査を行います。

このとき、初期の症状であれば傷口を清潔にして保護し、再び圧迫が起こらないように心がけることで、床ずれは回復に向かいます。

しかしながら、症状が進んでしまっている場合には塗り薬を用いたり、ドレッシング材と呼ばれる被覆材を用いるほか、壊死した部分を取り除くために手術や洗浄が必要になってきます。

また、床ずれができてしまった場合、初期の状態でもさすったりマッサージすることは避けましょう。これも圧迫や摩擦といった余分な負荷を肌に与えることになり、気遣いがかえって裏目に出てしまいます。

さらに症状が進んでいる場合は、傷口を布などで拭くことも炎症を悪化させてしまうことがあります。

(7)床ずれになってしまったときに利用できるサービスについて

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/417780

在宅療養の場合、寝たきりになってしまっている高齢者などの生活援助は家族が中心となる場合が多いでしょう。

しかし、要介護者の家族が、複雑な知識・技術を要するものを含んだ全ての介助を自分たちで行うことは、結果として寝たきりをはじめとした合併症を引き起こしてしまう要因になりうるのです。

このため、年齢や状態に応じてさまざまな公的制度が準備されています。

主なものは介護保険や健康保険で、寝たきりなどで床ずれが懸念される場合に利用する機会が多いのは介護保険サービスとなります。介護保険では1割~3割の自己負担で介護サービスを受けることができます。

介護保険の自己負担について、より詳しい記事はこちら

→『介護保険負担割合の判断基準 | 3割なのはどんな人?1割と2割の違い

床ずれになってしまった際に利用できる具体的な介護保険サービスとしては、

  • 各種介護施設の訪問介護サービスを利用して体位変換をしてもらう
  • 通所サービスによって、本人が自分で体位変換を行えるようになるためのリハビリを行ってもらう
  • 体位変換器などのレンタルサービスを利用する

といったことなどが挙げられます。

これらの詳細なサービス内容や具体的な費用について知りたい場合は、本サイトの他の記事や、お近くの各介護施設のホームページなどをご覧になるのがよいでしょう。

(8)床ずれになる前、予防のためにできること

床ずれは予防よりも治療のほうがはるかに困難なものです。このため、発症させないことが大変重要になってきます。

まず、床ずれを根本的に予防するには十分な栄養補給が欠かせません。中でも大豆や魚介類に含まれるアルギニン、かきや牛肉含まれる亜鉛、果物や野菜含まれるビタミン、牛乳をはじめとした乳製品に含まれるカルシウム、レバーや卵などに含まれる鉄分などを積極的に摂ることによって、予防だけでなく、万が一床ずれになってしまっても回復を早めることができます。

また、同じ部位の圧迫を避けるためには、定期的な体位変換は欠かせません。圧迫やずれができるだけ起こらないようにし、組織がダメージを受けないよう、血流をよくすることが大切です。

自ら体位変換をするのが困難で、介助者が体位変換を行う場合には、ベッドからの転落などを防ぐためできるだけ2人で行い、体位変換の時間間隔が2時間を越えないことが望ましいです。

(9)予防・治療の際に便利なアイテム

床ずれを予防する際には体圧を分散させるために体位変換が欠かせないため、体の形にフィットする体圧分散マットレス(※注1)やエアマットレスなど、体圧分散用具を用いるのが有効な手段です。関節が固まってしまっていたり、腰が曲がってしまっている場合には体の適切な箇所に差し込んで体圧を分散させるポジショニングクッションも併用します。

また、体位変換を行うために体の下に手を入れるときには、滑りやすいマルチグローブが有効です。これによって摩擦を予防でき、なおかつ簡単に手を入れることができます。このとき、マルチグローブのようなものがなければ、凹凸の少ないビニール袋で代用することも可能です。

そして、床ずれの予防には肌を清潔にすることが大切なため、全身状態に問題がなければ、入浴が効果的です。入浴の際には弱酸性の石けんやボディシャンプーを、肌にやさしいスポンジやタオルでよく泡立て、やさしく体を洗うとよいでしょう。また入浴後は皮膚が乾燥するので保湿剤などで乾燥を防ぎます。

(※注1)ただし、いくら体圧分散性マットレスなどを使用していても、その上に敷いたシーツに皺が寄っているとたとえ小さな凹凸とはいえ皮膚を圧迫して床ずれの原因となるため、シーツに関しても、床ずれ防止用の、皺になりにくい素材のものを選ぶとよいでしょう。

(10)身の周りのことに注意して、床ずれの発症・進行を防ごう

高齢者をはじめとする要介護者が生活をしていくのは、本人も介護する側も多くの困難を伴うものです。そして、長期の寝たきりの生活には、原因となっている病はもちろんのこと、重症化すると痛みが伴うばかりではなく、命にも関わる床ずれという大きな問題を抱えることもあります。

このような床ずれは、何よりも予防と早期発見が重要で、家族などの介護者が(特に就寝前・就寝中・起床後に)留意するのはもちろんのこと、可能であればホームヘルパーや看護師などにも定期的なチェックを行ってもらうことが大切になってきます。

その上で、もし床ずれの症状が見られるようであれば、感染症や合併症などの深刻な事態に発展するのを防ぐため、早めにかかりつけの医師などに相談するようにしましょう。床ずれに限ったことではありませんが、早めの対処を行うことでより治療が容易になるものです。

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