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介護うつになる前に | 症状や対策を知って心身のケアをしよう

悩み
高齢化社会が進行するに伴い「介護うつ」に陥る介護者の数は増加傾向にあります。介護うつにならないよう、介護保険サービスや地域の相談窓口を活用し、介護者自身が一息つく時間をつくるようにしましょう。この記事では、介護うつの症状や対策を解説します。
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(1)介護うつとは

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/387303

日本は高齢化社会のまっただ中にあり、介護うつに悩まされる人も増えています。

介護うつとは、介護の身体的な疲れだけではなく精神的な疲れが蓄積されて行き、意識するゆとりもないままにうつ病になってしまうことです。

介護を継続して行なっていると、知らぬ間に介護うつになってしまっていることも、今の高齢化社会では珍しいことではありません。

(2)介護うつの現状

在宅で介護をしている人の場合、4人に1人の割合で介護うつになっているのではないかともいわれています。

高齢化社会により介護が必要な方が増えているにもかかわらず、高額な費用を払わなければ介護者への負担を減らすことが難しいという現状が、介護うつにかかる方の増加に拍車をかけていると考えられます。

介護といえば、女性が行うものというイメージを抱きがちですが、実はそうではありません。現在では、女性だけではなく男性でも介護をしている人口が増えてきています。したがって、男性の介護うつも増加しています。

介護うつは、当事者になってみないと分からない深刻な悩みが多数あります。

寝たきりだけではなく、認知症を併発している方を介護する人も少なくありません。出口の見えない介護は、心身へのダメージが少なくありません。

中には、高齢者による高齢者の介護も行なわれています。実の親、義理の親を介護する側もまた高齢者という構図です。兄弟や夫婦、孫と複数人で手分けして介護ができる理想的な環境には程遠いといえます。

(3)介護うつが引き起こすさまざまな問題 

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1689463

介護うつが原因となり、さまざまな問題に発展するケースも見られます。

介護を一人で抱え込んでしまうことで、一人ではカバーしきれない部分に対して、自責の念に駆られてしまったり、毎日忙しく過ごしていくうちに自分の心身のケアが後回しになってしまい、気付いたときには無気力になっていたりすることがあります。

そうしたストレスの蓄積が、被介護者に対する暴力や虐待という形であらわれてしまうこともあるのです。

厚生労働省の調査では、介護者による虐待と判断された件数は、平成28年で16,384件という驚きの数字が出ています。

介護者が介護の原則や心得を理解していても、認知症による想像もつかない行動や言動でイライラしてしまい、やり場のない気持ちが暴力や虐待に発展してしまう可能性があるのです。

また、介護は配偶者や子どもが担うケースが多く、離職せざるを得ない状況に追い詰められ経済的な負担が重くのしかかってくるのも大きな問題です。

総務省の「平成29年就業構造基本調査」では、平成27年の1年間の介護離職者数は99,000人とのデータが出ています。

介護は短期間で終わるものではないため、生活に困窮した状態から抜け出せない現実と介護の板挟みになってしまう人も少なくありません。

(4)介護うつになりやすい人の特徴

介護うつになりやすい人には特徴が見られます。

責任感が強い

まず、責任感が強いと自分が投げ出してはいけない、自分がやり遂げなくてはという気持ちになりがちです。

確かに、介護をするとなると、強い意志は必要です。嫁の立場であったり、娘の立場であったりすることで、やり遂げようという気持ちはより一層強まるかもしれません。自分の心身の不調を我慢しても、他人に任せることが悪いことだと思い込んでしまいます。

真面目

次に、真面目な性格の持ち主も同じように、几帳面さもあるのできっちりとやり遂げようという気持ちが働きます。

それだけ、手抜きをすることもできず、1から10まできちんとこなすのが当たり前だと考えてしまい、そのストレスは常にかかり続けてしまうわけです。何でも完璧にこなそうと、ストイックになってしまい、精神的に自分を追いつめてしまいます。

真面目な性格の方は、融通を利かせることが苦手という一面も持ち合わせています。

完璧主義を貫くことで、自分の不調に気づいても目をつぶってしまうことで、介護うつに陥りやすくなるのです。

(5)介護うつの原因

介護うつになってしまう原因は、一つではありません。いくつもの原因が重なって起こるのは、一般的なうつ状態と同じです。

どうして、精神的ストレスがかかるのかといえば、毎日、介護を行っていてもスムーズに行えるわけではないからです。

介護者は食事から排せつの世話、体位交換など、休む間もなく働くことになりがちです。

しかも、認知症であればこうした介護に対して、感謝の気持ちを示すことが難しいので、人間ですから時に閉塞した気持ちに陥ってもやむを得ません。

時には、反抗したり罵声を浴びせられたりすることもあるのが介護です。尽くしても尽くしても、ホッとする瞬間がなかなかないのが介護の大変さでもあります。

また、経済的な問題を抱えている場合には、介護うつを引き起こしやすくなります。

先の見えない介護が目の前にありながら、介護のために離職したり収入が減ったりすると、経済的な先行きが見えなくなり、生活の不安を常に感じながら介護を続けるという事態になってしまいます。

さらに、肉体的な負担も重くのしかかるわけですので、健康な人であっても疲労困憊になる日もあるでしょう。

自身も病気を抱えながら介護をされている人であれば、持病の悪化にも直結してしまいます。体調不良になれば、介護の負担も大きく肉体的な負担が増して行きながらも、何とかやらなければならないという気持ちに苛まれるため、うつ状態に陥りやすくなります。

(6)介護うつの症状

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1504437

今現在、介護をされている人の中で自分が介護うつではないかと気がかりになる方もいらっしゃるでしょう。

介護うつには、どんな症状があるのかを見ていきましょう。介護うつの代表的な症状として、以下の症状があげられます。

  • 楽しいと思っていたことを楽しめなくなった
  • 笑顔が少なくなった
  • 無気力になった
  • 疲れやすくなった

介護者は、被介護者のために生活のほとんどの時間を当てているため、自分の生活に充実感を持つのが難しくなってしまいます。

これまで楽しいと思っていたことを楽しめなくなるのは、介護うつのサインの一つです。

また、楽しいことや面白いことがあっても、素直に笑えないこともあります。

自分が好んでいたことや趣味にも、楽しみを感じることがなくなってしまい、やる気が無くなってしまうこともあります。

心身にゆとりのない状態で介護を続けてしまうと、疲れやすさが残り、リフレッシュできることがだんだんとなくなってしまい、介護うつの状態に陥ってしまいます。

(7)介護うつ対策① 介護に関する情報収集

大変な役割を日々こなしている介護者は、介護うつにならないための予防法を知っておく必要があります。

そもそも介護の負担が大きくなっているために起こってしまうのが、介護うつです。介護に関する情報収集を積極的に行いましょう。

地域には、地域包括支援センターがあるのをご存じですか?

介護に関することで悩んだら、すぐに相談をしてみてください。専門スタッフが在籍しているので、介護に関するさまざまな問題を解決する方法を提案してくれます。

まず、介護保険の申請が真っ先に提案されるようになります。何かと厄介に感じる介護保険ですが、専門スタッフであれば流れも詳しく説明してくれます。

介護でなかなか出向く時間が無いというケースでも、自宅まで訪問してくれるので遠慮なく相談できます。

介護保険認定によって、利用できるサービスの時間や費用も異なってきます。ケアプランを提案してもらい、必要なサービスを取りいれることで、介護の負担を少しでも軽減することができます。

(8)介護うつ対策② 介護サービスの利用

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/417780

介護うつを予防するには、まず、介護サービスを利用することから始めて行きましょう。

介護保険での利用も可能ですが、それだけでは足りない場合やサービスの利用開始が間に合わない場合には、介護保険外サービスの利用も検討しましょう。

たとえば、訪問ヘルパーの利用があります。

ヘルパーによる介護を行ってもらうことで、介護の負担を少しでも減らすことができるようになります。

ただ、被介護者にとっては、他人による介護になるので始めは戸惑いがあるかもしれませんが、訪問ヘルパーは介護に精通しているので、コミュニケーションをとるうちに上手く被介護者の気持ちを汲んで介護を行ってくれるようになるでしょう。

介護うつを予防するには、デイサービスショートステイの利用も役立ちます。

24時間いっしょに暮して介護を続けていることで、どうしてもストレスがかかり続けてしまうので、介護者が休むために、こうした外部サービスを活用してみましょう。

介護者ばかりにメリットがあるわけではありません。被介護者にとっても、デイサービスやショートステイの利用はいい刺激になる可能性があります。

デイサービスなどに出かけるのを嫌がる高齢者も少なくないのですが、出かけてみると同じ状況にある高齢者の方に出会うので、気持ちが明るくなったり元気になったりすることがあります。

ショートステイを活用して、介護者が旅行や趣味の時間に当てることもできます。それによって、一定期間の休息ができれば大きな充実感を得られるので、介護うつの予防に役立ちます。

(9)介護うつにならないためには

どうしても抱え込んでしまう介護ですが、介護うつの対策として大切なのが、生活習慣を見直すことです。

被介護者への食事介助で時間がかかってしまい、自分の食事がおろそかになったり、栄養バランスが乱れたりしている介護者もいらっしゃるのではないでしょうか。

食事は、落ち着いてしっかりと食べるようにしましょう。介護サービスを利用すれば、外に食べに行きリフレッシュする時間もつくれます。

それから、大事なのが充分な睡眠がとれているかどうかです。眠れていても浅い睡眠では、翌日への疲れがたまりたまってしまうものですので、睡眠不足に陥らない工夫も重要です。

家族が他にいれば、睡眠不足で不調の日は介護を交代してもらうのもおすすめです。

頼る家族が居ない場合には、介護サービスを積極的に活用してみましょう。

介護うつを予防するには、介護者の考え方を変えることと、どんな対策ができるかを自ら知っておくことが重要です。


介護サービスについてくわしくは下記の記事で解説しています。あわせてお読みください。

介護サービスの種類【一覧表】利用の流れや費用も徹底解説

(10)介護うつへの理解を深めてしっかりと予防しよう

介護は、とても大切な役割をになっているだけに、うつ状態になりやすい現状があります。

介護うつについて理解を深めることで対策や予防を行う方法も把握できるようになります。

「自分は大丈夫」という思い込みだけで介護を行っていると、心に思いがけない負担をかけてしまうことにもなります。

大切な人の介護を行なっていくためにも、自分が介護うつにならない手立てを積極的に行っていくことが不可欠なのです。

また、人に相談するのが苦手な方は、実際に介護うつを経験した方が書いた本や、介護のハウツー本を読んでみるのもおすすめです。忙しい時間の中でも自分に合った息抜き方法を見つけて、介護うつを予防しましょう。

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