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後期高齢者医療制度とは|保険料、自己負担額、手続きなど徹底解説

公的制度
後期高齢者医療制度とは、75歳以上の方や65歳以上で一定の障害をもった人のための医療保険制度で、1割または3割の負担で医療サービスが受けられます。保険料は都道府県ごとに決まっている均等割と所得に応じた所得割の合算になります。
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(1)後期高齢者医療制度とは

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/912789

高齢者の医療費の負担を抑えるために

後期高齢者医療制度は75歳以上の方が加入する、独立した医療制度です。これは、少子高齢化を背景として引き起った老人保健制度の問題の解消、また安定した保険制度の構築を目指すために従来の老人保健制度に代わり平成20年4月から開始されました。

高齢になるとケガや病気を引き起こしやすいため、後期高齢者医療制度について理解することは非常に大切です。対象者や保険料、給付の種類など分かりやすく説明していきます。

(2)後期高齢者医療制度の対象者

後期高齢者医療制度の対象者は、次の2つになります。

  • 75歳以上
  • 65歳以上で一定の障害があると認定されている人

*一定の障害とは次に挙げた障害認定者です。

  • 国民年金法等障害年金1級及び2級
  • 身体障害者手帳1~3級全員と4級の一部の方
  • 精神障害者手帳1級及び2級
  • 療育手帳A

なお、①は自動加入となりますが、②は市区町村への申請が必要となります。

後期高齢者医療制度における住所地特例

また、後期高齢者保健制度は、住民票の登録がある市区町村で医療保険を受けることになりますが、介護保険制度と同じく、住民票地以外の“住所地特例対象施設”に入所した場合は、“住所地特例”が適用されるので、住所地特例対象施設に入所する前の住所地で医療保険を受けることになります。

なお、住所地特例対象施設は次の5種類です。

  • 病院又は診療所
  • 障害者支援施設
  • 独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園設置する施設
  • 養護老人ホーム、特別養護老人ホーム
  • 有料老人ホーム、介護保険施設等

(3)後期高齢者医療制度のしくみ

後期高齢者医療保険制度のしくみについて、後期高齢者と医療機関との関係、後期高齢者と市区町村との関係の2つの視点でご説明します。

後期高齢者医療保険制度における後期高齢者と医療機関の関係

後期高齢者は、病気やケガなどの際に医療機関で受診し、診療や治療、入院、手術など医療行為を受けます。医療行為を受けた後期高齢者は、医療機関に対して診療費用の1部(1割または3割)を支払います。

つまり、後期高齢者は、少ない負担で医療行為を受けることが出来ます。

後期高齢者医療保険制度における後期高齢者と市区町村の関係

後期高齢者は、住民票がある市区町村から後期高齢者医療制度の保険料の通知を受け、保険料を納めます。実際には年金から保険料を差引く特別徴収の場合が多くなっています。

市区町村は、広域連合を通じて、診療等を行った医療機関に診療費用のうち本人が負担した費用の差額(9割または7割)を支払います。

なお、後期高齢者医療制度の財源は、本人が医療で負担する1割と保険料が4割、公費(うち国が6分の4、都道府県が6分の1、市区町村が6分の1)で構成されています。

(4)制度を受けられるケース① けが・病気をしたとき

後期高齢者医療制度で受けられる医療サービス(現物支給)について、ご説明します。けがや病気をして医療機関で受診や治療といった医療サービスを受けたときに、医療費の一部(自己負担分)のみを支払います。残りの費用(差額分)については、医療機関が後期高齢者医療後期連合に請求をして受領します。なお、自己負担額は1割と3割があり、それぞれ本人や75歳以上の家族の所得によって決まります。

後期高齢者医療保険制度の医療費の自己負担額

自己負担額が1割の方

  • 本人の住民税課税所得が145万円未満
  • 住民税課税所得が145万円以上の被保険者が同一世帯にいない
  • 昭和20年1月2日以降に生まれで障害認定を受けている被保険者と、同一世帯の被保険者の基礎控除後の総所得金額の合計が210万円以下

自己負担額が3割の方

  • 本人の住民税課税所得が145万円以上
  • 住民税課税所得が145万円以上の被保険者が同一世帯にいる
  • 同一世帯に被保険者が1人の場合、年間収入額が383万円以上
  • 同一世帯に被保険者が1人で70~74歳の国民健康保険または会社の健康保険などの加入者がいる場合、合計収入額が520万円以上
  • 同一世帯に被保険者が2人以上の場合、合計収入額が520万円以上

後期高齢者医療保険制度・基準収入額適用申請

自己負担額が3割の認定を受けた場合でも、次の条件を満たし、基準収入額適用申請し、受理されると翌月から1割負担になることができます。

  • 同一世帯の被保険者が1人の場合、年間の収入額が383万円未満
  • 同一世帯に被保険者が1人で70~74歳の国民健康保険または会社の健康保険などの加入者がいる場合、合計収入額が520万円未満
  • 同一世帯に被保険者が2人以上の場合、合計収入額が520万円未満

基準収入額適用を受ける場合の申請方法は、お住い(住民票がある市区町村)の役所の窓口に必要書類を添えて提出します。

提出書類

  • 基準週額適用申請書(役所の窓口にあります)
  • 収入が分かる書類(例:公的年金等源泉徴収票、給与源泉徴収票、確定申告の写し、公的年金及び給与収入額が確認できる所得証明の写し等)

なお、申請期間が決まっているので、まずは役所に確認しておきましょう。

(5)制度を受けられるケース② 入院した時


出典:https://www.photo-ac.com/

次に入院をした時に受けられる制度についてご説明します。入院時には、次の3つの現金給付が受けられます。

後期高齢者医療保険制度における入院時食事療養費

入院した時、病院で提供される食事の費用については、標準負担額(*)を除いた額を後期高齢者医療広域連合で負担するので、本人は病院で標準負担額だけ支払うことになります。*標準負担額・・・所得区分ごとに定められた自己負担額

所得区分 標準負担額
現役並み所得 460円
一般の被保険者 460円
住民税非課税等 区分Ⅱ(過去12か月の入院日数が90日以内) 210円/1食
住民税非課税等 区分Ⅱ 過去12か月の入院日数が90日超 160円/1食
住民税非課税等 区分Ⅰ 100円/1食

なお、自己負担が1割で、かつ、下の表の区分Ⅰまたは区分Ⅱに該当する場合は、お住いの役所の窓口に申請して「限度額・標準負担額減額認定証(通称「限度額認定」)」の交付を受けて、医療機関の窓口に提示すれば、食費が減額されます。

区分Ⅰ

  • 世帯全員が住民税非課税であって、かつ、世帯全員が年金収入80万円以下で、その他の所得がない方
  • 世帯全員が住民税非課税であって、かつ、老齢福祉年金を受給していない方(*ただし、老齢福祉年金は異なります)

区分Ⅱ

世帯全員が住民税非課税世帯である方のうち、区分Ⅰに該当しない方

後期高齢者医療保険制度における入院時生活療養費

被保険者が療養病床に入院したとき、病院での生活(療養)にかかる費用のうち標準負担額を除いた額を後期高齢者医療広域連合で負担するので、本人は病院で標準負担額だけ支払うことになります。

所得区分 標準負担額
現役並み所得 370円/1日
一般の被保険者 370円/1日
区分Ⅱ 370円/1日
区分Ⅰで老齢福祉年金受給者以外 370円/1日
区分Ⅰで老齢福祉年金受給者以外 0円/1日
指定難病患者 370円/1日

後期高齢者医療保険制度における保険外併用療養費

保険適用外の療養を受けると、保険が適用される部分があっても全額自己負担となります。ただし、厚生労働大臣が定める「評価療養」「患者申出療養」「選定療養」については、保険診療と併用が認められているので通常の治療と共有する部分の費用(診療、検査、入院料など)は、一般の保険診療として扱うことができます。

このため、一般診療の部分のみ一部負担金を支払うものの、残りの額は、保険外併用療養費」として後期高齢者医療広域連合から給付が適用されます。   

評価療養

現在では保険外の療養(先進医療や医薬品、医療機器の治験など)でも、今後、保険が適用されることが見込まれている療養

患者申出療養

先進医療や治験では実施しておらず、受けたい治療が受けられないなどの場合に、患者から申し出があった医療技術が、今後、保険適用に向けて計画が立てられている医療で、データや科学的根拠があり、安全性や有効性が確認されている療養

選定療養

保険外療養で、特別なサービス(特別な病室提供、予約診療、差額ベッド代)など被保険者が選ぶ療養

これらの他にも、訪問看護療養費やと特別療養費、移送費などの給付もありますが、内容は都道府県ごとに違う場合がありますので、市区町村の窓口にお尋ねください。

(6)制度を受けられるケース③ 医療費が高額になったとき

後期高齢者医療保険制度の対象ケース

後期高齢者医療制度には、医療費の負担が高額になってしまった人への“高額医療費”と給付があります。これは、同じ月のなかで支払った医療費の負担分を合算して、自己負担限度額(*注2)を超えてしまった部分を給付するものです。

3月15日から3月29日まで入院して、医療費が高額になった・・・1ケ月分

3月15日から4月20日まで入院して、各月医療費が高額になった・・・2ケ月分

77歳の夫と75歳の妻の1ケ月の医療費の合計が高額になった・・・1ケ月分

後期高齢者医療保険制度の申請方法

事前申請の流れ

治療や入院の前に、あらかじめ医療費が自己負担限度額を超過することが分かっている場合は、高額医療費の事前申請をすることができます。

  1. お住いの役所の窓口で「限度額適用認定申請書」に必要事項を記載して申請します。
  2. 1週間程度で「限度額適用認定証」が発行されます。
  3. 病院で医療費を払うときに、「限度額適用認定証」を提示すれば、1ケ月の医療費に支払いが自己負担限度額までになり、負担が少なくなります。

事後申請の流れ

治療後や退院後に申請する場合です。

  1. 医療機関で医療費(全額)を支払います。
  2. 医療費の自己負担額を算出します。
  3. お住いの役所の窓口で「限度額適用認定申請書」に必要事項を記載して申請します。
  4. 役所による審査後、約3ケ月後に医療費が還付されます。

ただし、入院したときの窓口での負担は、世帯単位の限度額までです。また、入院したときの食事代や保険診療の対象外となるベッド代などは、高額医療費の対象外となってしまうのでご注意ください。

後期高齢者医療制度の自己負担限度額

所得区分 自己負担限度額

現役並所得者3(課税所得690万円以上)

252,600円+(総医療費-842,000円)×1%

現役並所得者2(課税所得380万円以上)

167,400円+(総医療費-558,000円)×1%

現役並所得者1(課税所得145万円以上)

80,100円+(総医療費-267,000円)×1%
一般 57,600円
低所得者2非課税者 24,600円
低所得者1非課税者 15,000円

後期高齢者医療保険制度の高額医療・高額介護合算制度

後期高齢者医療制度と介護保険サービスの両方に自己負担がある世帯で、8月から7月末までに1年間の自己負担額の合計が次の自己負担限度額を超える場合は、お住いの役所の窓口に「高額医療・高額介護合算制度」の申請を行うことで、限度額を超えた金額が還付されます。ただし、自己負担限度額を超えた金額が500円以下の場合は還付されません。

所得区分 自己負担額
現役並所得 67万円
一般 56万円
低所得2 31万円
低所得1 19万円

 *低所得者1で、介護保険サービスの利用者が複数いる世帯の場合の介護支給分について、低所得2の自己負担限度額31万円が適用されます。

(7)あとから給付を受けるケースもある

後期高齢者医療制度における事後給付

医療費のうち、次に挙げる医療費は、いったん本人が全額を支払ってあと、お住いの役所の窓口に申請をして認められれば、一部負担金以外の費用が還付されます。

補装具

医師が治療のために必要と認めた治療用装具(ギプス、コルセットなど)を購入したとき

一般療養費

旅行中に急病などで保険証を所持していたいために医療機関で提示できない場合や、保険診療を扱っていない医療機関で診療を受けたとき

海外療養費

旅行や仕事中などに海外で診療を受けたとき。ただし、海外での療養目的で海外に渡航して診療を受けた場合は対象にならないのでご注意ください。

はり・灸・マッサージ

入院中以外で医師が治療のために必要と認めた、はり・灸・マッサージを受けたときなお、医療保険で認められている疾患は次のとおりです。

  • はり、灸:神経痛、リウマチ、頚腕症候群、五十肩、腰痛症、頚椎捻挫後遺症
  • マッサージ:筋麻痺、関節拘縮

また、マッサージなどの施術する診療所などにも施術するスタッフの資格要件など条件がありますので、マッサージを受ける場合は事前にお住いの役所の窓口に確認してください。

生血代

医師が輸血の必要性を認め、生血を購入したとき

訪問看護療養費

医師の指示で訪問看護ステーションなどを利用したとき

移送費

移動が困難な重病な人を緊急に転院などで移送が必要と医師が判断し、移送したとき

その他

この他にも、お住いの市区町村によって独自の支給を行っているケースがありますので、役所の窓口で確認してみてください。

(8)後期高齢者医療制度の保険料はいくら?


出典:https://www.photo-ac.com/

後期高齢者医療保険制度の保険料の算定方法

後期高齢者医療制度の保険料は、全員が負担する均等割と所得に応じて負担する所得割の合算になります。また、保険料は2年に1回改訂を行っています。

均等割

均等割の金額は、各都道府県が定めるため、都道府県によって金額が違います。

例(令和2年2月2日現在)

  • 北海道 50,205円
  • 東京都 43,300円
  • 大阪府 51,491円
  • 福岡県 56,085円

※各後期高齢者医療広域連合のホームページより

所得割

  • 給与所得の場合

(給与所得(給与収入-給与所得控除)-基礎控除額33万円)×所得割率

  • 年金所得の場合

(年金所得(年金収入-公的年金控除)-基礎控除額33万円)×所得割率

なお、所得割率は、都道府県ごとに定まっています。

例(令和2年2月2日現在)

北海道 10.59%

東京都  8.80%

大阪府  9.90%

福岡県 10.83%

※各後期高齢者医療広域連合のホームページより

算出例(東京都 単身77歳 公的年金収入250万円の場合)

(均等割額 43,300円)+(所得割額 (公的年金収入2,500,000円-公的年金控除1、200,000円-基礎控除330,000円)×所得割率8.80%=85,360円*100円未満切り捨て → 85,300円)=128,600円

後期高齢者医療保険制度保険料の納め方

特別徴収

年金の額が年18万円以上ある方は、年金から天引きする“特別徴収”になります。ただし、介護保険料の額と後期高齢者医療制度の保険料の合計が、年金額の半分よりも多い場合は、普通徴収となります。

普通徴収

年金の額が年18万円未満の方や、介護保険料の額と後期高齢者医療制度の保険料の合計が、年金額の半分よりも多い場合は、普通徴収となり、お住いの役所から送られてくる納付書を役所の窓口や銀行で支払う“普通徴収”になります。

(9)後期高齢者医療制度の保険料の軽減制度について

「医療は必要だけど年金だけでは保険料が払えない」という場合は、所得に関する一定の条件を満たせば保険料の軽減制度が受けられます。ここでは2つの軽減制度についてご紹介します。

後期高齢者医療保険制度における所得の低い方のための軽減制度(全国共通)

保険料は、保険加入者全員が均等に負担する「均等割」と所得に応じて負担する「所得割」の2つで構成しています。このうち「均等割」については、次の基準により軽減制度を受けることができます。

①世帯の世帯主とその家族のうち後期高齢者医療制度の被保険者の年間の総所得が33万円以下で、かつ、被保険者全員の年金収入の合計が80万円以下

  • 令和元年度  均等割額の8割を軽減
  • 令和2年度  均等割額の7割を軽減
  • 令和3年度  均等割額の7割を軽減

②世帯の世帯主とその家族のうち後期高齢者医療制度の被保険者の年間の総所得が33万円以下で、かつ、被保険者全員の年金収入の合計が80万円以上

  • 令和元年度  均等割額の8.5割を軽減
  • 令和2年度  均等割額の7.7割を軽減
  • 令和3年度  均等割額の7割を軽減

③世帯の世帯主とその家族のうち後期高齢者医療制度の被保険者の年間の総所得が33万円+(被保険者人数×28万円)以下   

  • 均等割額の5割を軽減

④世帯の世帯主とその家族のうち後期高齢者医療制度の被保険者の年間の総所得が33万円+(被保険者人数×51万円)以下 

  • 均等割額の2割を軽減 

なお、均等割額は、お住いの都道府県によって違います。詳しくは、お住いの都道府県のホームページをご覧いただくか、市区町村の窓口にお問い合わせください。

後期高齢者医療保険制度における所得の低い方のための軽減制度(東京都)

東京都の市区町村(東京都後期高齢者医療広域連合の区市町村)では、独自の保険料軽減制度があります。

保険料の算定の基になる所得金額が年間で20万円以下

  • 所得割額の25%を軽減

保険料の算定の基になる所得金額が年間で15万円以下

  • 所得割額の50%を軽減

なお、保険料の算定の基になる所得金額は、前年の総所得金額および山林所得金額、分離課税として申告した株式の譲渡所得や配当所得、土地などの譲渡所得の合計額から基礎控除額の33万円を除いた額のことです。

後期高齢者医療制度加入直前に被用者保険の被扶養者だった方の保険料の軽減

後期高齢者医療制度の対象となった日の前日まで、会社の健康保険(ただし、国民健康保険や国民健康保険組合は除く)などの被扶養者であった方

  • 均等割額の5割を軽減(ただし、後期高齢者医療制度加入から2年経過する月まで)
  • 所得割額の負担なし
  • 所得の低い人のための均等割額の軽減に該当する場合は、軽減割合が高い方を優先します。

(10)75歳を迎える前にしっかり後期高齢者医療制度を理解しておこう


出典:https://www.photo-ac.com/

後期高齢者医療制度をしっかり使いこなそう!

後期高齢者医療制度では、いろいろな軽減制度があります。この軽減制度を使えば経済的な負担がぐっと抑えることが出来ます。ただし、各種制度は、原則として申請主義なので、「知らなかった!」ということがないように、お住いの役所などで、しっかり確認をしておきましょう。

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