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人手不足の介護現場 | 介護現場の課題やストレスの原因、対策など

就職・転職
介護現場における人手不足は、離職率高さや労働環境の変化、労働環境の未整備、外国人労働者の受け入れの未整備などの課題が要因となっています。さらに人手不足は介護スタッフのストレスにも影響しています。
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(1)介護現場の現状

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1782216

介護現場において、人手不足という現状があります。

人手不足が生じている理由を以下解説します。

人手不足の原因

人手不足の原因は2点挙げられます。

生産年齢人口の減少

高齢者は年々増えており、2000年12月に2,210万人だった高齢者は2019年12月には3,593万人と19年間で1,383万人も増加しています。

しかし、介護する側にあたる15歳から64歳の“生産年齢人口”は、2000年12月に8,650万人だったのが、2019年12月には7,504万人と19年間で1,146万人も減ってしまっているのです。

(出典:総務省統計局「e-Stat 人口推計」)

生産年齢人口の減少は介護現場に限らずあらゆる産業で人手不足となっていて、新人求人倍率は2019年11月の段階で、全国平均で2.67、東京都では3.72となっており、いわゆる“売り手市場”となっています。

(出典:総務省統計局「e-Stat 都道府県別有効求人倍率」)

生産年齢人口の層にいる人は毎年、高い割合で高齢者の層へ移行していきますが、少子化の影響で生産年齢人口に移行してくる人が少ないため、生産年齢人口はどんどん減少してしまいます。このことが絶対的な労働者不足を生み出しています。

介護職のイメージ問題

介護職は、福祉系の資格がなくてもできる仕事もあり、年齢や性別、経験をそれほど問わないため比較的ハードルが低い職種のひとつです。

しかし、介護職に就こうという人が少なく、各事業所が求人広告やチラシ、事業所合同での相談会、インターネットなどでの募集をしているものの、人が集まらないというのが現状です。

これは、介護職のイメージが「仕事が大変」、「賃金が安い」、「身体介護など重労働」というマイナスなイメージが強いことが影響しています。

また、親族に介護を受けている人がいないと福祉の仕事の具体的なイメージすらないという人も決して少なくありません。

介護職の「マイナスのイメージ」、もしくは「イメージがない」ということが、なかなか人手が集まらない原因になっています。

介護現場が抱える問題の影響

介護現場で人手不足が起きると、いろいろな問題が引き起こされてきます。

介護現場が抱える問題とは、

  • 高い離職率
  • 労働環境の変化
  • 労働環境の未整備
  • 外国人労働者の受け入れ

などがあります。

これらが介護現場で連鎖的に発生することで介護職員のストレスが増える負のスパイラルとなり人手不足がさらに悪化していきます。

(2)介護現場が抱える課題① 高い離職率・人材不足

介護職の離職率は平成28年が16.7%、平成29年が16.2%、平成30年が15.4%と減少傾向となっています。そして10人に1~2人が辞めてしまうという現状があります。

介護スタッフが離職することで欠員が生じますが、利用者をその分減らすということがないので、1人にかかる業務負担が増えてしまい「人手不足」が生じてしまいます。

「人手不足」は、介護スタッフが抱えている悩みの1位(54.2%)となっており、人材不足のために今いるスタッフの人材を育成する余裕がない、新しいスタッフを募集しても集まらないという状況で、なかなか欠員を埋めることが出来ません。

(出典:公益財団法人介護労働安定センター「平成30年度介護労働実態調査の結果」)

離職の原因

なぜ介護職を辞めてしまう主な理由は以下の通りです。

1位「職場の人間関係の問題」(20%)

2位「結婚や出産、育児など」(18.3%)

3位「事業所の運営に対する不満」(17.8%)

となっており、事業所側のマネジメントに関するものになっています。

これに、人手不足により業務過多といった状況から「仕事のわりに賃金が低い」、「休暇が取りにくい」、「身体的負担が大きい」、「精神的負担が大きい」といった悩みも加わり離職してしまうのです。

(出典:公益財団法人介護労働安定センター「平成30年度介護労働実態調査の結果」)

(3)介護現場が抱える課題② 労働環境・働き方の変化

労働環境の変化

平成12年に始まった介護保険制度は、平成18年の介護保険法改正で、それまでの「要介護1」が「要介護1」と軽度な状態の「要支援2」に細部化されました。

このため、それまで要介護1の認定だった高齢者が「要介護1」と「要支援2」に分かれることで要介護の認定者数が減りました。

さらに、平成27年の介護保険法の改正では、平成28年度から平成30年度の3か年で予防に重点を置いた「介護予防・日常生活支援総合事業(通称「新しい総合事業」)」が始まったことで、ますます要支援の人数が増えました。

要支援のサービスは、要介護のサービスに比べてケアの時間が少なく、報酬単価も下がります。追い打ちをかけるように3年に1度行われる報酬単価の見直しでもデイサービスの要介護の報酬単価が下がったために、さらに要介護者のための労働環境が変化してきました。

要支援が増えたことで、労働時間が減り、報酬単価も低いことから、当然スタッフの賃金にも影響してきます。

働き方の変化

労働環境の変化に伴い、働き方も変化しています。介護職はどこも人手不足なので、他の介護事業所に移ったり、介護職よりも労働時間が長い職種や賃金の高い職種に転職する人たちが増えてきました。

これは、求人倍率が2倍を超える状況で、よりよい労働条件の仕事がすぐにでも見つかる状況が影響していています。

でも、介護職を辞めた理由の16.3%が「他に良い仕事が見つかった」となっています。

(出典:公益財団法人介護労働安定センター「平成30年度介護労働実態調査の結果」)

介護スタッフが十分に確保できないために、受け入れる定員を減らしたり、事業の縮小を余儀なくされたために、介護が必要なのに介護を受けられない「介護難民」が増えており、社会問題にもなっています。

(4)介護現場が抱える課題③ 労働環境の未整備

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/349260

介護の現場で正規として働き、給与や雇用条件の面で良くするのであれば、国家資格や民間資格が必要になってきます。

しかし、資格を取得するのは学校に行く場合は学費、通信講座であっても費用や教材費がかかります。

また、資格を取得しても資格の更新にかかる費用や、資格の形態改正によって、新しい資格ができたりと、常に資格の維持にも費用がかかってきます。

事業所側も事業所運営のための人員基準を満たすために資格の取得を奨励したり、待遇面面での優遇措置などを掲げているものの、資格取得や維持のために費用面などの支援を行っている事業所はまだまだ少数派です。

労働に必要な資格取得のための支援といった労働環境の未整備も大きな課題です。

(5)介護現場が抱える課題④ 外国人労働者受け入れ

国では介護現場での人手不足を補うために入国管理法を改正し、外国人労働者が介護現場で働きやすい環境整備を行いました。

この結果、以前よりも外国人の介護スタッフが増えてきました。特に特別養護老人ホームや有料老人ホームなどの夜間勤務帯で多く働いています。

しかし、外国人スタッフを受け入れることで様々な課題も浮き彫りになっています。

言葉の問題

当然、言語が違うので、高齢者との会話やケアに必要な意思疎通が難しいという問題、日本人スタッフとの仕事の引継ぎや休息時間のコミュニケーションの問題があります。

文化の壁

言葉だけでなく、文化にも違いがあります。食事などで食べてはいけない物がある場合や信仰、生活スタイル、常識などあらゆる面で違いがあります。

資格の壁

外国人が日本の介護に関する資格を取得しようとしても、特殊な扱いを受けることがあります。例えば、介護福祉士は、外国人の場合は「準介護福祉士」という扱いになってしまいます。

賃金の壁

言葉の壁や文化の壁、資格の面で日本人と差があることなどから、「外国人労働者」=「日本人の補助」というような扱いになりがちなので、賃金が低く抑えられることがあります。

また、外国人労働者を受け入れるにあたって寮や生活面・仕事面での指導などのコストがかかることから、外国人労働者は低賃金労働者という間違った認識を持つ事業所も少なくありません。

外国人介護士について詳しくはこちら

→『メリットばかり?外国人介護士の雇用にデメリットやリスクはあるのか

(6)介護現場に生じるストレス

介護職を辞めてしまう理由にストレスがあります。以下では、介護職員がストレスを感じてしまう4つの原因についてご説明します。

事業所へのストレス

介護職を辞めてしまう理由に「事業所の運営に対する不満」があります。

不満の内容は、

  • 「休暇が取りにくい」
  • 「資格取得のための支援が受けられない」
  • 「人手不足で満足な指導が受けられない」

などで、どれも事業所のマネジメントに課題が介護スタッフのストレスになってしまいます。

(出典:公益財団法人介護労働安定センター「平成30年度介護労働実態調査の結果」)

同僚へのストレス

介護職を辞めてしまう理由に「職場の人間関係」が挙げられます。

職場の声の一例として、

  • 「長い職歴の人が幅を利かせている」
  • 「グループ化しやすい」
  • 「ベテランのスタッフに相談しづらい雰囲気」

といった状況があります。

また、小さい事業所の場合、同世代の同性など気軽に相談できる人がいないということもあります。

このため、せっかく働いても職場の人間関係が原因で孤立してしまい、同僚へのストレスとなり、辞めてしまうことがあります。

利用者へのストレス

利用者は高齢者といっても、様々な方がいらっしゃいます。

中には気難しい方もいらっしゃいますので、コミュニケーションに慣れない間は、一生懸命頑張っていても、高齢者やその家族への対応がストレスになってしまいます。

燃え尽き症候群

「高齢者のために」と一生懸命に働くことは素晴らしいことですが、頑張りすぎてしまうと思うようにいかないときにストレスになってしまいます。

あまりにも頑張りすぎてしまい、結果が伴わないと”燃え尽き症候群“になってしまうこともあります。

(7)介護現場のストレス対策・解消法

出典:photo-ac.com/main/detail/1683279

介護はチームによる対人援助の仕事なので、事業所に対して、同僚に対して、高齢者やその家族に対してストレスは起きてしまいます。

そこでストレス対策やストレス解消法をご紹介します。

身近な人に相談する

介護の仕事に限らず、はじめから仕事を完璧にこなすことは不可能です。さらに介護の仕事は同僚や関係者とのチームケアであり、対人援助であるので、いろいろなタイプに人と接することになります。いろいろな人に接すればストレスや悩みがあって当然です。悩みはため込まずに、先輩などの同僚や上司(責任者)などに相談しましょう。

働く目的をハッキリさせる

あなたが介護現場で働くことの目的は人ぞれぞれです。

「お金を稼ぐため」や高齢者を元気にさせたいという「やりがい」など挙げられます。

この働く目的がハッキリさせることもストレス対策に有効なのです。

「お金を稼ぐ」ためなら、給与面で条件のいい事業所や働く時間帯を選び、「やりがい」であればキャリアアップが図れる事業所を選ぶなど、「この事業所が自分に合っている選択」という納得感を得ることが大切です。

比較しない

介護現場には、ケアマネジャーや理学療法士(PT)、看護師などの専門職がいますし、サービス責任者などの経験を積んだスタッフもいます。

介護の仕事は経験値も必要な仕事です。

他のスタッフや専門職と比較せずに、自分の仕事をしっかりやることもストレス対策に必要なことです。

相談サービスを利用する

職場の方に相談できないことなどは、地域包括支援センターや都道府県の労働相談の窓口などを利用することをお勧めします。専門的な視点から個々にあったアドバイスを受けることができます。

(8)介護現場での資格取得

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/407782

以下、介護職の資格について説明いたします。

資格取得のメリット

介護に関する資格を取得することで、事業所内格差の解消の他にも、仕事に必要な知識や技術が習得できる、今の事業所での待遇面が向上する、さらに、他の事業所へ転職するときにも資格を持っていることで優遇されることがあります。

介護に関する資格

介護に関する資格だけでも多くの種類があります。ここでは介護職でポピュラーな資格をご紹介します。

・介護職員初任者研修

介護の基礎知識やスキルがあることを証明する入門資格です。給与面で優遇されることがあります。

・介護福祉士実務者研修

介護職員初任者研修の上位にあたる資格で、この研修を修了していると、サービス提供責任者として働くことが出来ます。また、介護福祉士の資格を取得するには介護福祉士実務者研修の修了が必須条件になるので、ぜひ受講をしておきたい研修です。

・ケアマネジャー(介護支援専門員)

通称「ケアマネ」と呼ばれる職種で働くために必要な資格です。ケアマネは、介護サービスを組み合わせてケアプランを作成したり、高齢者のモニタリングを行ったりします。

・介護事務

介護事業所での介護保険の報酬管理や請求など介護事務に関する知識を習得できる資格で、事業所でのデスクワークになります。

・介護福祉士

介護職で唯一の国家資格です。介護福祉士は、実務経験3年以上といった経験値も条件になり、資格取得の難易度が高い資格です。介護福祉士を取得していれば、介護事業所だけでなく、地域包括支援センターや社会福祉協議会、市町村などの公的機関での勤務先もあります。

・その他

この他にも、デイサービスなどで重宝される「レクリエーション介護士」、「介護予防運動指導員」などもあります。

介護職の資格について、詳しくはこちら

→『【保存版】福祉の資格一覧 | 種類・難易度・大学卒業は必要?

(9)介護現場の転職

いま働いている介護事業所にてどうしても解決できない問題があるなら、思い切って転職するという方法もあります。

転職は、①他の介護事業所へ転職するという選択肢と、②介護業界以外の職種へ転職する選択肢があります。

介護業界の転職

介護の仕事は好きというのであれば介護業界内での転職をお勧めします。

人手不足である事業所は大変多いため、資格次第では今よりも好条件での採用が期待できます。

新しい事業所へ転職することで、次のメリットがあります。

  • 人間関係をリセットできる。
  • 同じ介護でも、以前とは違う介護方法や考え方が学べて、仕事の幅が広がる。
  • 大きい事業所であれば、以前の事業所よりも福利厚生面で良くなることもある。

しかし、デメリットもあります。

  • 仕事の仕方や事業所のルールを、はじめから覚える必要がある。
  • 一から人間関係を築く必要がある。
  • 外部関係との会議(ケア会議や事業所連絡会)などで、以前の事業所の人と顔を合わせることがある。

介護業界以外への転職

介護そのものが自分に合っていないというのであれば介護業界以外へ転職することをお勧めします。

介護業界以外であっても、あらゆる産業で人手不足の状況なので、賃金面や勤務時間など自分に合った条件を選びやすくなっています。

また、介護職を通じて身につけたコミュニケーション力や体力を活かせる仕事に就くこともおすすめします。

介護現場の転職について、詳しくはこちら

→『介護職を辞めたい? | 辞めたい理由やストレス原因、退職・転職等

(10)変化する介護現場、今後も最新情報をチェックしよう


出典:https://www.photo-ac.com/

介護制度は定期的に変わっています。

ぜひ、介護制度の変更は厚生労働省のホームページや市町村の介護に関するホームページ、介護の専門誌などでチェックをしておくことをお勧めします。

また、資格の変更に関することや、他の介護事業所の採用状況や雇用面での条件なども転職の際に役立つ情報があります。

ぜひ、アンテナを張って、最新の情報をチェックしておきましょう。

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