介護に関わるすべての人を応援します

コレクティブハウスとは | シェアハウスとの違いや事例を紹介

最新情報
コレクティブハウスは、個別の住戸とともにリビングや食堂などの共同スペースを設けることで、住民同士のコミュニケーションをはかる住宅形式です。少子高齢化社会におけるさまざまな課題を解決する方法としても注目されています。ここでは、その詳しい内容とともに、実際の入居方法などについても解説していきます。
公開日
更新日

(1)コレクティブハウスとは

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1685503

コレクティブハウスとは、複数の住人が共同生活を行う集合住宅のことをいいます。

ただし共同生活といっても、共有するのは、食堂や子供の遊び場、ゲストルームなどの一部のスペースだけです。それ以外のプライベートな、キッチンやバスルーム、トイレなどの施設は個別に置かれているのが特徴です。

世帯構成もさまざまで、子供のいる家庭から、共働き、高齢者の夫婦、さらに単身者など、血縁や年代にこだわらず、幅広い住人が交流できる場になることも目的としています。

もともとは、1970年代にスウェーデンやデンマークなど北欧ではじめられたもので、その後、女性の社会進出などにともない世界各地にも広がっていきました。日本では2003年以降に、NPO法人のコレクティブハウジング社によって、その建設が進められています。

(2)コレクティブハウスに住むメリット・デメリット

コレクティブハウスのメリット

コレクティブハウスでは、すべての住人が顔見知りとなるので、マンションなどと比べ、より広く深い人間関係を築くことができます。

特に、現代社会では高齢者や単身者などが孤立しがちなので、そのような人たちにとっては、より多くの人とふれ合う機会ができ、豊かな生活を得ることができるでしょう。

それ以外にも、生活上でさまざまな助け合いや支え合いをすることもできます。

たとえば、忙しい時に子供の面倒を見てもらう、重労働を若い世代に頼む、悩みごとを年配者に相談する。さらに、ケガや病気などのアクシデントへの対応、セキュリティ面など、人間関係を構築することができればそこから派生して生まれるメリットには枚挙にいとまがありません。

また、大規模な人数で食事会をもよおしたり、季節ごとのイベントを楽しめるのも、コレクティブハウスならではです。

それでいて、家庭ごとの生活空間はしっかり確保され、プライベートが守られているのも大きなポイントです。

いわば、コレクティブハウスというのは、現代社会の暮らしに古い地域社会のつながりを取り入れた住宅形式、といえるでしょう。

コレクティブハウスのデメリット

ただし、共有スペースや共同イベントがある以上、その管理や実行、またはミーティングなども、それぞれ役割分担しなければいけません。それをわずらわしい、面倒だ、とデメリットに感じる人もいるかもしれません。

また、もしも住人間でトラブルが発生してしまった場合には、最終的にどちらかが退居するまで収集がつかなくなってしまう、といったケースも考えられます。

(3)コレクティブハウスは空き家問題を解消に導く可能性がある

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/998674

コミュニティ構築がカギ?

現在、日本では空き家の増加が社会問題となっています。

空き家は放置することで老朽化が進み、景観や衛生、治安などにさまざまな悪影響をもたらす原因となります。また、このような土地や建物を遊ばせておくことは、持ち主にとってはもちろん、社会全体として見ても、大きな経済的損失といえます。

空き家問題について、より詳しい記事はこちら

→『【2019年】深刻化する空き家問題|背景と起こりうるトラブル3つ

このような空き家問題に対し、コレクティブハウスが解決のヒントになるのではないかと注目されています。

たとえば、京都にある「ハイツ白鷺」というマンションは、もともとは空室の多い中古アパートでした。これを地元の不動産会社が買い取り、一階部分を共用スペースに改修してあらためて入居者を募集したところ、あっというまにほかの空き室も埋まってしまったといいます。

自治体でもこの事例に注目して、コレクティブハウスのワークショップを開催。さらに、不動産会社向けのセミナーも予定するなど、その普及をうながしていく考えをしめしています。

また、集合住宅だけではなく、一戸建ての空き家を近隣住民の共同スペースとすることで、地域コミュニティーを広げる「タウンコレクティブ」という取り組みも各地で見られています。

今後、日本ではさらなる人口減少時代をむかえ、空き家問題がますます深刻化していくことは避けられません。それに対し、このような形でコレクティブハウスが活用されていくケースが、これからも増えていくかもしれません。

(4)コレクティブハウスとシェアハウスの違い

プライベートスペースの差

シェアハウスは、複数の住人が共同生活を営むという点ではコレクティブハウスと共通した住宅形式です。

ただし、シェアハウスは個室こそ別々に用意されているものの、それ以外の施設は基本的にすべて共用となっています。たとえば、キッチンやリビング、トイレ、バスルームなども共用なので、どうしても生活上でかさなる部分が出てきます。

一方、コレクティブハウスではそれらも各戸に用意されているので、おたがいの生活は独立したまま保つことができます。そのうえで、あくまで必要な部分だけ交流する、といったより柔軟な暮らし方ができるようになるわけです。

このように、コミュニケーションとプライバシーのバランスを程よくコントロールできる点が、コレクティブハウスの最大の特長といえるでしょう。

(5)コレクティブハウスとコーポラティブハウスの違い

コーポラティブハウスとは、複数の住人が共同でマンションを建てる、新しい形の住宅のことをいいます。

まず、不動産会社がコーポラティブハウスの企画を提案し、それに希望者が応募します。購入者がそろったところで組合が結成され、そこからは自分たちが中心となって、土地の取得やマンションの設計、施工などの発注を行います。

設計に関わるか否か

コーポラティブハウスの最大のメリットは、何といってもマンションでありながら、注文住宅のような設計が自由にできるという点です。それでいて、開発業者や販売業者もかかわらないため、分譲マンションよりもコストを大幅にカットすることもできます。

他の住居者と入居前にコミュニケーションをとれるか否か

さらにコーポラティブハウスの場合、住人とは企画段階から何度も会合をかさねるので、暮らしはじめる前から全員が顔見知りとなり、コミュニケーションがスムーズになるという特長もあります。

このように、住民同士のかかわり方においては共通する点がありますが、コレクティブハウスでは企画や建設に住民はタッチしません。あくまで、既存の建物に入居者を募集する形で運営されるものです。

「購入」と「賃貸」という点で、この2つには大きな違いがあるわけです。

また、コーポラティブハウスではコレクティブハウスのように、かならずしも共用スペースや共同イベントがあるわけではありません。そのため、コミュニケーションの深さにも違いが出るといえるでしょう。

(6)コレクティブハウスの事例

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1782216

コレクティブハウスの発祥はスウェーデン

今の形のコレクティブハウスは、1970年代にスウェーデンで、家事や子育ての分担をもとめる女性労働者の声の高まりがきっかけとなってはじめられました。

現在、スウェーデンには50ヶ所ほどにコレクティブハウスがあり、公営住宅にも多く用いられています。その規模も、住人が100人を超えるケースもめずらしくありません。

コレクティブハウスはその後、女性の社会進出がさかんなデンマークやオランダ、さらに北米、ニュージーランドなどにも広がっていきました。

現在のコレクティブハウス

現在ではその形態もさまざまで、ファミリー向けや単身者向け、あるいはシニア世代に住人を限定したものや、エコロジーを目的としたものなどもあります。共用スペースも、保育士が常駐する保育スペースや、日曜大工に使えるDIYスペース、誰でも自由に本を読める図書スペースなど、住民の要望に沿ってバラエティー豊かなものが作られるようになっています。

日本では、2003年に特定非営利活動法人コレクティブハウジング社がはじめた、東京の「コレクティブハウスかんかん森」が最初の事例となります。その後も、コレクティブハウジング社により建設は推し進められ、2013年には群馬県に公営として初の「コレクティブハウス元総社コモンズ」もオープンしています。

(7)コレクティブハウスの入居条件

コレクティブハウスでは、年齢や所得、または家族構成といった入居条件は、基本的には設けられていません。

実際に住んでいる人を見ても、独身から夫婦、子供、さらに若者から高齢者までさまざまです。なかには、ひとつの住戸をシェアして暮らしているケースもあります。

基本的に、コレクティブハウスで快適に暮らすことができる人であれば、誰でも入居することができると考えてください。

ただし、そのためにはコレクティブハウスで行われる共用スペースの掃除やガーデニングの管理、あるいは定期的な食事会のコモンミール、ミーティングなどに、できる範囲で参加をする必要があります。

なお、このような共同作業は、世帯ごとに代表者が行うのではなく、あくまで個人を尊重して、コレクティブハウスに住む一人ひとりが参加する形で行われます。

(8)コレクティブハウスに住むには

コレクティブハウスに住むには、まず現在すでにあるもののなかから選んで、入居する方法があります。

それ以外にも、コレクティブハウジング社によって現在進行中のプロジェクトがあります。特に、立ち上げから積極的にかかわっていきたいという人は、以下のいずれかに参加してみるとよいでしょう。

  • コミュニティ賃貸「町田プロジェクト」
  • コレクティブハウス横浜

また、一軒の空き家をコモンハウスとして近隣住民の共用スペースにする、タウンコレクティブの試みもあります。

  • タウンコレクティブ南小岩
  • タウンコレクティブ「エコダハウス」
  • ミニコレクティブハウス「菊名」

入居希望者は、それぞれオリエンテーションが開催されているので、まずはぜひそちらに応募してみてください。そこで説明とともに、自分たちがどのようなコレクティブハウスを作っていきたいか、という意見も述べることができます。

さらに、実際に今あるコレクティブハウスの様子を見るハウス訪問や、コモンミール、定例会などへの参加も行われます。

応募したらかならず住まなければいけないというわけではないので、コレクティブハウスに少しでも興味のある人は、ぜひ参加してみてください。

オリエンテーションの開催日程や申込みなどは、こちらから確認できます。

(9)コレクティブハウスの実例

日本でのコレクティブハウスは、浸透し始めたばかりであることからまだ数はそこまで多くありません。しかし、コレクティブハウス運営に特化した会社や法人もあることから、今後も数が増加していく可能性があります。

以下の具体例を参考に、実際のコレクティブハウスがどのようなものかを見てみてはいかがでしょうか。

かんかん森(東京都荒川区東日暮里3丁目)

2003年6月に、日本初のコレクティブハウスとして入居を開始。
12階建てのビル「日暮里コミュニティ」の、2・3階部分に28戸が入っています。建物は多世代共生型複合ハウスとして、ほかにも保育園やクリニック、老人ホームもあります。
リビングやイニングなどの共用スペースを置き、定期的にコモンミールが行われるなど、その基本スタイルは以降のコレクティブハウスにも受け継がれています。

コレクティブハウスかんかん森(株式会社コレクティブハウス)

URL:http://www.collectivehouse.co.jp/(外部リンク)

スガモフラット(東京都豊島区巣鴨5丁目)

2007年2月に、児童館を改修してオープンしました。
11戸の小規模なコレクティブハウスですが、家族向けから単身向け、シェア向けと、さまざまなタイプの住戸が用意されています。

スガモフラット(NPOコレクティブハウジング社)

URL:https://chc.or.jp/chcproject/sugamo.html(外部リンク)

コレクティブハウス聖蹟(東京都多摩市関戸)

はじめからコレクティブハウスとしてオープンした、初の建物です。
更地の段階から入居希望者が話し合い、2009年4月にオープンしました。
全20戸で、コモンスペースが豊富にあるのが特徴です。

コレクティブハウス聖蹟(NPOコレクティブハウジング社)

URL:https://chc.or.jp/chcproject/seiseki.html(外部リンク)

コレクティブハウス大泉学園(東京都練馬区大泉学園町)

福祉のまちづくりの一貫として練馬区のファンドなどを受け、2010年7月にスタートしました。
もとは建設会社の社員寮で、全13戸の家賃も4〜7万円と安価です。

コレクティブハウス大泉学園(NPOコレクティブハウジング社)

URL:https://chc.or.jp/chcproject/oizumi.html(外部リンク)

コレクティブハウス元総社コモンズ

2013年6月に、初の公営のコレクティブハウスとしてスタートしました。
多機能公社賃貸住宅として、保育園、高齢者デイサービスセンター、サービス付き高齢者向け住宅とともに、12の住戸があります。

コレクティブハウス元総社コモンズ(NPOコレクティブハウジング社)

URL:https://chc.or.jp/chcproject/motosoja.html

(10)コレクティブハウスに今後も注目

現代の日本では、長寿化や女性の社会進出にともない、ますますライフスタイルが多様化してきています。

一方で、住宅はまだこれまでの一般的な世帯をモデルケースとしたものが多く、特に高齢者や障害者などの暮らしには十分に対応できていない現状があります。また、地域社会のコミュニティがうしなわれたことで、家事や子育てなどの負担が家庭内に集中していることも問題のひとつとなっています。

コレクティブハウスは生活の一部を共有することで、これらの問題をうまく助け合い、さらに精神的にもつながりを強める可能性を持った新しい住宅形式です。

少子高齢化が進んでいく日本では、今後このようなライフスタイルがさらに増えていくことが予想されます。みなさんも、ぜひ興味をもって注目してみてください。

この記事が気に入ったら
いいねしよう!