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認知症の相談窓口 | 家族介護の場合や「疑い」の段階でも

病気
認知症の相談窓口とは、患者本人だけではなく、介護する家族もその対応や介護についてさまざまな悩みをかかえたとき、利用できる窓口です。本記事では、利用できる相談窓口やその使い方について紹介していきます。
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(1)認知症の相談はどこでする?

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/433921

認知症は誰もがなりうる病気です。特に家族に高齢者がいると、そのリスクも高まるので注意が必要です。

とはいえ、いざ実際に家族が認知症になってみると、どう対応してよいか分からない、という人も多いのではないでしょうか。

本人のプライドが傷つく、他人に知られるのが恥ずかしい、などといった理由から周りに相談することもできず、結果的に症状を進行させてしまうケースも目立ちます。

認知症はできるだけ早く見つけ、対処していくことが大切です。ここでは、そのために利用できる相談窓口などについて紹介していきます。

(2)認知症の症状

認知症には、以下のような「中核症状」が見られます。

  • 記憶障害…最近あった出来事を一部ではなく、まるごと忘れてしまう。
  • 見当識障害…現在の時間や場所、人間関係が分からなくなる。
  • 遂行機能障害…計画を立てたり、複数の作業をこなしたりできない。
  • 判断力、理解力の低下…トラブルに対して何も対処できない。
  • 失語、失行、失認…身体に異常はないのに、言葉が分からない、簡単な動作ができない、情報が認識できない、などの異常がある。

個人差はありますが、このうちいずれかの症状がかならずあらわれます。中核症状には基本的に回復の手段はなく、あくまで進行を遅らせることしかできません。

一方、本人の性格や周囲の環境によって生じる「周辺症状」もあります。

たとえば、徘徊、過食、拒食、不安感、抑うつ、イライラ、暴言、暴力、幻覚、妄想、失禁、不潔行動などがそれにあたります。

これらは二次的な症状なので、適切な対応によって改善することもあります。

(3)家族が認知症かもと思ったら

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1340969

認知症のうたがいが見られたら、適切な治療を受けるために早めに病院で相談しましょう。診療科は、症状や治療によってさまざまです。

  • 精神科…問題行動や精神的症状をともなう場合
  • 神経内科…認知症のタイプや治療法などを精密に分析
  • 脳外科…脳血管障害などが原因で起こる認知症の治療

どこで受診するかは、本人の状態から判断しましょう。精神科に抵抗がある場合は、心療内科でも受け付けています。また、最近では専門の「もの忘れ外来」などを置く病院も増えてきました。迷ったときは、まずかかりつけの医師に相談してみてください。

また、いきなり病院には行きづらいという場合は、各自治体の地域包括支援センターでも相談を受け付けています。福祉の専門家が相談員をつとめ、アドバイスや医療機関への連絡、さらに離れて暮らす家族への訪問なども行ってくれます。

(4)認知症に関する電話相談窓口

認知症については、ほかにも以下のような電話相談窓口があります。

認知症の人と家族の会

認知症について、介護経験者が無料で相談に応じてくれます。愚痴だけでも聞いてくれるので、気軽に利用してみてください。

電話:0120-294-456(平日 10:00〜15:00)


上記以外にも、全国46ヶ所の支部で電話相談を受け付けています。

(公式サイトはこちらから、認知症の人と家族の会 

認知症110番

認知症について、広く相談を受け付けています。日時を予約して、大学の専門医に医学的な質問をすることもできます。

電話:0120-654-874

(月・木 10:00〜15:00、ただし祝日と年末年始はのぞく)

若年認知症サポートセンター

65歳未満の若年認知症について相談を受け付けています。

電話:03-5919-4186(月・水・金 10:00〜17:00)
FAX:03-6380-5100

(5)認知症患者の方を介護するための心得

出典:https://www.photo-ac.com/

認知症患者の方を介護するときは、以下のポイントに気をつけましょう。

相手の言葉を否定しない

認知症患者の方は、つねに自分自身に不安を持っています。そのような相手の言葉を否定すると、かえって怒りやいらだち、孤独感をまねき、症状を進行させてしまいます。もの忘れをいちいち指摘したり、しかったりするのもやめましょう。相手の言葉を受けとめ、共感を示すことで、より信頼感が生まれ、介護もしやすくなります。

独立した人格として接する

認知症になったからといって、何もできなくなってしまうわけではありません。相手のプライドを尊重して、自分でできることは自分でしてもらうように頼みましょう。それが自信を持たせ、安心感を得ることにもつながります。特に調子のよさそうな日は、少し離れて見守ってあげるようにしましょう。

相手に合わせてコミュニケーションを取る

会話の際には、目線を合わせ、ゆっくり話し、ジェスチャーを交えるなど、伝わりやすい工夫をしましょう。こちらがイライラしたり、不満げな態度を見せるのは厳禁です。相手の仕草や表情から、感情や気持ちを読み取ってあげることも大切です。進行をふせぐためにも、会話や外出など、積極的に人とのかかわりを持てるようにしてあげましょう。

介護をひとりでかかえこまない

認知症は、介護をする側にとっても大きな負担となります。分担できる部分があれば、ほかの家族や親戚などにも積極的に頼みましょう。介護サービスなどを利用して、しっかり自分にも息抜きや休日を作ることも大切です。悩みごとがあるときは、気軽に相談窓口にたずねてみてください。

(6)認知症患者の方が利用できるサービス

認知症患者の方は、65歳以上で要支援・要介護の認定を受けていれば、介護保険による介護サービスを受けることができます。

自己負担の割合は収入に応じて1〜3割、また利用限度額も要支援度・要介護度によって変わるので、あらかじめ確認しておいてください。

介護サービスの種類

認知症患者の方がおもに利用するのは、自宅での「訪問介護」、事業所に通う「デイサービス」、短期間だけ施設に入居する「ショートステイ」などです。

ただし、徘徊や妄想などは一般的なスタッフでは対応しきれないケースがあります。そのため、介護事業所によっては認知症患者の方の受け入れはお断りしていることがあります。

そのような場合は、専門のスタッフをそろえた「認知症デイサービス」や「グループホーム」などを利用しましょう。

グループホームは地域密着型サービスのひとつで、4人から10人未満の少人数で、スタッフとともに共同生活を行います。できることは自分で行い、コミュニケーションの機会も増えるため、症状の進行を遅らせる効果もあるとされています。

重い症状や家庭の事情などで在宅介護が難しい場合には、認知症対応の有料老人ホームなど、施設サービスの利用も考えましょう。

介護サービス選びのポイント

認知症になると、コミュニケーション能力が低下します。本人の負担にならないように、できるだけ人数が少ない介護事業所を選ぶとよいでしょう。スタッフの対応の穏やかさや、明るく楽しい雰囲気などもポイントとなります。

また、認知症になると環境の変化にも対応しにくくなります。あまり介護事業所を変えずに、ひとつの場所で顔なじみになることも大切です。

認知症患者の方は、そもそも介護サービスを受けること自体に抵抗感を示すこともよくあります。その場合は、偶然通りかかったふりをして見学をうながしたり、患者の方自身がボランティアで介護する側として参加するなど、少しずつ慣れてもらう工夫も必要です。

介護サービスについて、より詳しい記事はこちら

→『介護サービスの種類【一覧表】利用の流れや費用も徹底解説

(7)認知症の悪化を予防する認知症カフェとは

認知症カフェは、認知症について気軽に話し合ったり、相談したり、患者や家族同士で交流を楽しむことのできる場所です。

オランダの「アルツハイマーカフェ」をモデルケースに、日本でも認知症対策の「新オレンジプラン」にのっとり、地域包括支援の一環としてその開設が進められています。そのことから、「オレンジカフェ」などと呼ばれることもあります。

サービス内容

認知症カフェは、認知症患者の方やその家族、知人、さらに地域の人々や医療、介護スタッフなど、誰でも幅広く参加できます。

お茶や軽食を通して交流をはかり、ほかにも趣味やエクササイズの教室、レクリエーション、さらに健康チェックや診察なども行われます。家族向けには、認知症の勉強会やカウンセリングなども開催されます。

開催は月に1〜数回程度で、オープン時間は数時間からさらに長時間にわたる場合もあります。そのほとんどが、無料から数百円程度と安価な参加費になっています。

デイサービスなどがお休みとなる日曜日に開かれることも多いので、うまく利用してみましょう。

運営内容

認知症カフェの運営母体は、自治体や社会福祉法人、NPO団体、医療機関、介護事業所、家族会、個人など、地域によってさまざまです。

施設も、空き店舗や一軒家を利用したり、病院や介護施設、コミュニティーセンターを使用したりと、大きく異なります。スタッフは、医療職や介護職、行政職員、ボランティアなどがつとめ、なかには認知症患者の方自身が手伝うこともあります。

自分の地域にどのような認知症カフェがあるかは、各自治体の窓口や地域包括センターに問い合わせてみましょう。それぞれの公式サイトなどでも確認することができます。

認知症カフェについて、より詳しい記事はこちら

→『認知症カフェとは | 課題や誕生の背景にある新オレンジプランの内容

(8)家族も安心の見守りサービスとは

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1597360

現代社会では、ひとり暮らしや夫婦のみの高齢者世帯がますます増えています。遠く離れて暮らす家族にとっては、認知症をはじめとしたさまざまな健康問題はつねに心配の種となるでしょう。

そこでぜひ活用したいのが、高齢者の見守りサービスです。人や機器を通してさまざまな形でその生活を見守り、いざというときのリスクにもそなえることができます。

民間サービスなので介護保険は適用されませんが、月に数千円程度から利用できるものもあります。さまざまなタイプのなかから、生活スタイルに合ったものを選んでみましょう。

訪問型

定期的にスタッフがおとずれて、暮らしぶりを確認してくれます。おもに、郵便局や電気・水道会社など、公共サービスを提供する機関が行っています。通常の業務と兼任しているため、スタッフが顔なじみなのも安心です。安否以外にも、健康状態や食事の様子も聞き取り、さらに買い物や悩み相談など、日々の生活をサポートしてくれるサービスもあります。

宅配型

宅配便や食事の配達とともに、スタッフが安否を確認してくれるタイプです。おもに宅配会社などが行っています。食事の配達では、毎日の栄養バランスにも配慮してくれるので、健康管理の面でも役立ちます。特に、過疎地域などに住む高齢者に便利です。

センサー型

浴室やトイレ、ガスや電気の検出器などにセンサーを設置して、データの変動から暮らしぶりを見守ります。おもに、セキュリティ会社や家電メーカーによって行われています。24時間つねに生活を見守ることができ、緊急時にはスタッフも駆けつけてくれます。

カメラ型

カメラを設置して、映像を通して家族が直接見守るタイプのサービスです。おもに、セキュリティー会社によって提供されています。カメラを通して呼びかけもできるので、高齢者にとっては家族との交流にもなります。

オート電話・メール型

決まった時間に電話やメールが配信され、それに本人が応答するタイプです。家族にも、定期的にその結果が伝えられます。対人形式で相談に乗ってくれたり、緊急時に駆けつけてくれたりするサービスもあります。

見守りサービスについて、より詳しい記事はこちら

→『高齢者見守りサービスとは |5つのタイプとそれぞれの特徴を解説

(9)認知症は早期発見・早期治療が大切

疑いが見られたらすぐに相談しよう

認知症では、本格的な症状が出る前に、以下のような初期症状が見られるといわれています。

  • 既にあるものを何度も買ってきてしまう
  • 何度も同じことを言ったり、同じことを聞いたりする
  • 以前よりもだらしなくなる
  • 作り慣れている料理がうまく作れなくなる
  • 天気や状況に応じた洋服の選び方ができなくなる
  • 日付がわからなくなる

(出典:民生委員ならびに福祉委員を対象とした認知症初期症状に対する受診促進 意向と認知症に対する受容態度との関連)

ほかにも、少しでもおかしいと感じられる変化があったら、地域包括センターや病院で相談するようにしましょう。特に、認知症は初期症状の診断がむずかしいので、専門外来での受診がおすすめです。

(10)認知症で悩んでいたら相談してみよう

認知症は、本人が自覚して治療することがむずかしい病気です。だからこそ、いかに家族や周りの人たちが早く気づき、適切な対応を取ってあげるかが重要となってきます。

特に、初期症状のうちなら治療で進行を大きく遅らせることもできるので、早めの相談や受診を心がけましょう。

また、すでに認知症患者の介護を行っている人のなかには、誰にも相談できず悩んでいるケースも多くあります。そのような場合は、介護疲れによるトラブルも深刻な問題となるので気をつけましょう。

相談窓口では、そのようなストレスや愚痴にもしっかり耳をかたむけてくれます。利用可能なサービスは、公共や民間を問わず数多くあるので、ぜひ気軽に相談してみてください。

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