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お泊りデイサービスとは|ショートステイとの違いやサービス内容など

在宅介護サービス
お泊りデイサービスとは、デイサービス(通所介護事業)を行っている施設に宿泊できるサービスのことで、レスパイトなどに使われます。ただし、介護保険サービス外のサービスなので利用料は全額自己負担となります。
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(1)デイサービスの一種、「お泊りデイサービス」とは

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1731555

「お泊りデイサービス」というサービスをご存知でしょうか?介護者である家族の負担を減らす、最近、利用が高まっているサービスです。

お泊りデイサービスとは?

お泊りデイサービスとは、デイサービス(通所介護事業)を行っている施設に宿泊できるサービスのことです。

そもそもデイサービスは、日中のみ介護保険事業としてサービスを提供し、昼過ぎや夕方に送迎車で自宅へ帰るものですが、お泊りデイサービスを利用する場合は、帰宅せず引き続きデイサービスの施設で夕食をとり、そのまま宿泊するものです。

デイサービスについて詳しく知りたいという方はこちら

→『デイサービス(通所介護)とは|サービス内容やデイケアとの違いなど

お泊りデイサービスの利用料金

お泊りデイサービスの利用料金は、介護保険サービスの適用がないため各デイサービスの事業者が決めた料金となっているので全国一律ではありません。

また、自己負担額は介護保険サービスではないため、介護保険サービスのような利用料金の1~3割負担ではなく、全額自己負担となります。

(2)ショートステイとお泊りデイサービスの違い

一時的な宿泊を伴う介護施設というと「ショートステイ(短期入所生活介護)」があります。「ショートステイ」は、お泊りデイサービスと同じく、介護者の負担軽減(レスパイト)などの目的で使用でき、食事や宿泊のサービスが受けられます。ただ、「ショートステイ」がお泊りデイサービスと違う点はいくつかあります。

利用者の違い

「ショートステイ」は利用者が介護保険の要介護認定で要介護1~5までの方のみとなりますが、お泊りデイサービスは要支援でも利用できます。

利用施設の違い

「ショートステイ」の寝る場所は個室となりプライバシーが守られていますが、お泊りデイサービスは間仕切り版もない場所に数名で寝ることがあり、プライバシーが守られていません。

というのも、「ショートステイ」は、特別養護老人ホーム、介護療養型医療施設、老人保健施設などの大型施設、またショートステイ専門の施設を利用します。そのため多くは個室タイプで、プライバシーが保たれます。それに対して、お泊りデイサービスは、そのまま通所介護施設を利用します。大型施設のように個室が割り当てられていないのです。

その他の違い

予約については、「ショートステイ」は施設数が少ないため急な予約が取りづらいのですが、お泊りデイサービスは事業所が多いので、ショートステイに比べえると予約が取りやすい状況になります。

また、「ショートステイ」は他の利用者や介護スタッフとの関係性が薄いため、人によってはストレスになる恐れがあることがありますが、お泊りデイサービスは普段、日中のサービスの中で利用者や介護スタッフに慣れ親しんでいるので、すんなり利用できることです。

(3)お泊りデイサービスが増加した背景

お泊りデイサービスは、ここ数年で利用者がとても増えていますが、利用者が増加している理由について、利用者側からの視点1点と、事業者側の視点3点についてご説明します。

介護者のケア

介護が必要な高齢者の家族がいると、介護者である家族が仕事で遠方に出張するときや泊りの旅行などに出かけることが難しくなります。また、所用がなくても家族が介護から解放されて休みたい(レスパイト)ときもあります。

そんなときに、夜に高齢者を預かってくれる介護施設は、ショートステイや小規模多機能型通所事業所があります。しかし、双方とも定期的な利用者が多いため、1ケ月前くらいから利用の予約をしないと予約がとりづらいのが現状です。

このため、急に利用を迫られても空いている施設がなかなか見つからず、家族の介護負担がどんどん重くのしかかってしまいます。

このようなニーズを受け、デイサービスの事業者が宿泊の対応を可能にしたことで、介護者負担の軽減などにより人気が高まっています。

事業者の収益確保

デイサービスの事業者に限らず、介護保険サービスを提供している事業者は、国が定めた介護報酬に基づき収入を得ています。介護報酬は定期的に見直され改定しているものの報酬の設定が低いため、他業種で働く人の一般的な収入に比べて介護事業所で働く人の収入は低くなっています。

介護事業所で働くスタッフの給料を上げようにも、日中に行っているデイサービスの収入は、国から利用料が定められているため利用料の値上げなどができず、収入もスタッフの給料も増やすことは厳しい状況です。

しかし、お泊りデイサービスは介護保険サービス外の独自サービスになるので、利用料は事業所が決めることができます。このため、事業所としてはこれまでになかった収益を確保できるというメリットがあり、お泊りデイサービスをはじめる事業所が増えてきています。

お泊りデイサービスを始める事業所が増えたことで、利用者も増えてきています。

事業所の差別化

デイサービス事業所は、わざわざ施設を建てなくても、自分の家や空き家、ビルのテナントを使って、国が定めた施設の設置基準やスタッフの資格基準などを満たし、都道府県の認可が下りれば事業を行うことができます。

ここ数年、高齢者の増加によるニーズの高まりなどによりデイサービスの事業所を始める個人や企業が増加しています。しかし、地域によってはデイサービスが増えすぎてしまい、利用者が定員に満たず利用率が低下している事業所もあります。なかには利用者である高齢者の奪い合いのため遠方まで送迎者を走らせる事業所も珍しくない状況です。

そこで、ニーズがあるお泊りデイサービスを始めることで、事業者は日中の利用率も伸ばせるというメリットもあります。

(4)お泊りデイサービスにて受けることができる具体的なサービス内容

お泊りデイサービスを利用した時に受けられる一般的なサービスについてご説明します。

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1693294

食事

施設内で、宿泊日の夕食と翌日の朝食を食べることができます。ただし、食費はデイサービスの利用料とは別に必要となりますので、ご注意ください。

レクリエーション

食前や食後などに事業所のスタッフと利用者同士での交流としてレクリエーション活動を行う事業所もあります。

送迎

日中からデイサービスを利用する場合は、当日の朝と宿泊した翌日の朝、車での送迎があります。

また、夜だけの利用の場合でも、当日の夕方と翌日の車での送迎があります。ただし、通常のデイサービスを利用者向けの送迎のタイミングでお迎えなどをするので、夜中や早朝に帰りたいという個々の要望には対応はできないのが現状です。

体調の急変

夜、体調が急変した場合は、デイサービスのスタッフが救急車を要請し、救急病院に搬送してくれます。その後、家族に状況や搬送先などの連絡を伝えてくれます。

入浴

ふだん自宅では、寝る前に入浴するという習慣の人のために、夜に入浴サービスを受けられるデイサービスもあります。ただし、入浴はデイサービスのスタッフ体制にもよりますので、夜間の入浴を希望する場合は、予めケアマネシャーを通じて確認しておきましょう。

その他

お泊りデイサービスを行っているデイサービスのなかには、変わったサービスを行っているところもあります。アルコール類を提供する、麻雀大会を行うなど趣向を凝らしたサービスを展開しているところもあります。以前は、カジノバーのような楽しみ方を提供していた事業所もありました。

(5)お泊りデイサービスを利用する際の費用

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/314702

お泊りデイサービスを利用する際の費用は、介護保険サービスの適用外のため、事業所によって違います。

1泊数百円の事業所もあれば、数千円の事業所もあります。目安としては、介護保険サービスにおけるデイサービスの利用料(10割分)を基準にしている事業所が多いです。

その他に夕食と朝食の食費がかかります。

費用については、事前にケアマジャーに聞いて確認しておきましょう。

(6)お泊りデイサービスを利用するメリット

お泊りデイサービスを利用するメリット4つをご紹介します。

プチ旅行気分

要介護状態となると、食事やトイレの不安があり、なかなか宿泊を伴う旅行が難しくなりますが、デイサービスであれば食事もトイレも体調の急変時も対応が可能なので、外泊することでちょっとした旅行気分が味わえます。

介護者のケア(レスパイト)

通常のデイサービスは朝から夕方までの日中のみの対応でしたが、夕方や夜も引き続きデイサービスにいられることで、介護をしている家族は自分の時間が持てるので、ゆっくりしたり、所要を済ましたり、旅行に行くなど一息つくことができます。

慣れた場所で不安を一掃

ショートステイと違って、行きなれているデイサービスで、普段から慣れ親しんでいる高齢者やスタッフと夜を過ごすので、不安も解消されます。

予約の取りやすさ

予約については、「ショートステイ」と比べると、お泊りデイサービスは事業所が多いので、比較的予約が取りやすい状況になります。急用ができた際など、予約が取りやすい状況であるのは、お泊りデイサービスの強みです。

(7)お泊りデイサービスを利用する際の流れ

お泊りデイサービスを利用するには、介護保険サービスの要介護認定を受けていることが前提となります。

利用したい日が決まったら、担当のケアマネジャーに相談しましょう。希望する日に空きがあるかどうかをデイサービスに確認してもらい、空きがあれば利用予約をおこなってくれます。

もし、普段利用しているデイサービスが希望日の空きがない場合は、他のデイサービスを調べてもらい、空き状況を教えてくれます。

どこのデイサービスも受け入れ人数が決まっているので、利用日が決まったら早めに相談しましょう。

(8)お泊りデイサービスを利用する際の注意点

高齢者を介護する家族にとって利用しやすいお泊りデイサービスですが、介護保険サービスではありません。ですので、職員の配置基準やプライバシーに関する設備、利用上限などの基準となるガイドラインの存在や都道府県への届け出は必要なものの、介護保険外サービスということで監視・指導の面で行き届かず、まだまだ好ましくない環境でサービスを提供している事業所もあります。

もし、お泊りデイサービスの利用を考えている場合は次の2点について注意してください。

利用できる日数の上限

ガイドラインでは連続利用は30日までという基準がありますが、事業所によってはもっと少ない上限を設けている場合もあります。利用に際しての上限について、ケアマネジャーを通じて確認をしておきましょう。

設備や人員、定員の基準

寝る場所のプライバシーが確保されてなかったり、スタッフがいっぱいいっぱい、万が一の設備が不備だったりします。

もしも、お泊りで利用しているデイサービスの状況が、狭い部屋に間仕切り版もなく多くの利用者が寝る状況であったり、介護スタッフが1人だけで、多くの利用者の対応にしきれていないなどの状況であれば、トラブルが起きる前に他の事業所に替える方がいいかもしれません。

(9)2015年、厚生労働省によりお泊りデイサービスに関するガイドラインが制定された

お泊りデイサービスの利用が増えるのと同時に、不適切な環境でサービス提供を行う事業所も増えてきたことから、厚生労働省は2015(平成27)年に、お泊りデイサービスを行うにあたっての人員配置や設備、運営に関するガイドライン(厚生労働省「指定通所介護事業所等の設備を利用し夜間及び深夜に指定通所介護等以外のサービスを提供する場合の事業の定員、設備及び運営に関する指針について」)を制定されました。

参考:厚生労働省『指定通所介護事業所等の設備を利用し夜間及び深夜に指定通所介護等以外のサービスを提供する場合の事業の定員、設備及び運営に関する指針について』)

主な内容は、介護スタッフの人員配置や、利用定員、宿泊室の定員要件・面積要件、運営面での記録・食事・緊急対応などになっています。

このガイドラインにより、利用者が安心して利用しやすい状況となることが期待されていますが、資格要件が「所有が望ましい」となっていたり、食事に要する介助人員が「必要な人員」など具体性に欠ける基準もあり、まだまだ事業所任せで統一性に欠ける事項もあります。

(10)様々なメリットのあるお泊りデイサービスだが利用の際は注意しよう

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/403286

お泊りデイサービスは、日中に利用しているデイサービスで宿泊できるサービスで、介護者の負担を軽減するレスパイトなどにより利用が高まっています。

ショートステイと違って、予約がとりやすく、利用者や介護スタッフも慣れ親しんでいるので、利用しやすいのが特徴的なメリットです。

しかし、介護保険サービス外の独自サービスのため、利用料は事業所により異なり、支払いも全額自己負担となります。

また、これまで人員配置や設備、運営面での基準がなく、不適切な環境でサービスを提供している事業所も増えてきました。これについては、厚生労働省はお泊りデイサービスに関するガイドラインを制定し、安全に利用できる環境整備を行っています。

お泊りデイサービスの利用にあたっては、サービス内容や施設や人員配置、利用料金を確認して、介護される人も、介護する人も笑顔になるように上手に活用しましょう。

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