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介護現場の人手不足は解消できるのか|問題の原因や現状、対策など

社会問題
介護業界は慢性的な人手不足に陥っています。この人手不足はなぜ生じるのでしょうか。どのような原因があるのでしょうか。ここでは介護業界の人手不足の問題を検討しながら、なぜ人手不足になるのかを考えます。そして、人手不足に対する施策を紹介します。
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(1)介護業界における大きな課題の一つである「人手不足問題」

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/3927

介護業界での一番の問題であり、大きな課題のひとつが「人手不足問題」です。また、少子高齢化のため介護が必要な老人が増え、介護をする若者がいないのも現状です。

介護業界は、「3K」と言われ、「危険」「キツイ」「汚い」の3つのKが問題視されています。そのため仕事をする人が少なく、介護職は少ない人員で仕事をしていますので、ストレスから利用者に対して虐待をしたりする傾向になってきています。

そのような事から介護業界の人手不足は緊急性の高い問題となっています。人手不足の原因は多いので対応していくことは難しいですが、介護業界の改善のため、考えていかなければならない問題と言えます。

(2)日本の高齢化の現状

平成30年度の内閣府の発表によると、65歳以上人口は3,515万で、総人口に占める割合と27.7%となっています。

65歳以上人口は今後もさらに上昇が予想されています。「団塊の世代」が75歳以上となる2025年には3,677万人に達すると見込まれています。2036年には、65歳以上人口が全人口に占める割合が33.3%となり、3人に1人が高齢者になると予測されています。

一方で、総人口は減少が加速するとされており、日本全体で労働人口の大幅な不足が懸念されています。

(参照:内閣府「平成30年版高齢社会白書」

介護業界の人員不足の現状

公益財団法人 介護労働安定センターが平成29年度に行った「介護労働実態調査」では介護業界の人員不足の実態がはっきりと表れています。

介護職員を対象に、従業員の過不足状況を「大いに不足」「不足」「やや不足」「適当」「過剰」の五段階で調査した結果、従業員の不足感(「大いに不足」「不足」「やや不足」)は66.6%に達していました。(全体回答者数:6,673名)

不足感を感じている理由として、「採用が困難」だと回答した人が88.5%であり、その背景には同業者間の人材獲得競争が激しい、ほかの職業と比べて採用条件が悪いなどが考えられます。

また社会福祉法人よりも会社組織の事業所の人員不足が多いですが、配置基準でスタッフ1人に対して利用者3人となっていることも負担になっています。また2025年には38万人の人材不足が発生すると言われ、もはや日本人は介護の仕事をしたがらないと言われています。

(出典:公益財団法人 介護労働安心センター「平成29年度 介護労働実態調査の結果」

(3)人手不足からどのような問題が生じるか

介護の人手不足の影響を一番に受けるのは、「利用者」です。人員が十分に足りていれば介護も適切に提供されますが、人員が足りないために雑に扱われたり、虐待されたりする懸念があるからです。

介護職も人員が足りていないと仕事量も増えて余裕がなくなりますし、ストレスも多く発生してきます。これらの原因から介護職の離職も発生してきますし、事業所は人手不足から受け入れができなくなってくることにつながってきます。

人手不足からの問題は介護業界に大きな影響をもたらします。介護福祉士の専門学校への入学者も減少してくる傾向になりますし、何よりも介護の仕事が敬遠されてくることになり、人員不足の問題は避けて通れないと言えます。

(4)人手不足の背景・原因① 採用の難しさ

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/349260

人手不足の原因の一つが、介護業界への採用の難しさがあります。職員を採用する場合にはそれなりの給与を出さなければなりませんし、何よりも入職する人材として確保しなければなりません。

しかし現状では介護業界に入職する人材は少なく、敬遠されている傾向になっていますので、人手不足は解消されているとは言えません。

調査によると、人手不足の原因として採用が困難だと回答した人が88.5%もいました。その背景として同業者間の人材獲得競争が激しい、ほかの職業と比べて採用条件が悪いなどが考えられます。

介護職は24時間365日の仕事のため、ある程度家庭が犠牲になります。そのため介護職は家庭を持っている人に敬遠されてきて、職業として選ばれることも少ないので、慢性的に人員が不足することになります。

(出典:公益財団法人介護労働安定センター「介護労働実態調査」

(5)人手不足の背景・原因➁ 給与が低い

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1882839

介護職の給与は、一般的に低いと言われています。

全産業の平均賃金は、月給30万円を超えています。それに対し、介護職では平均23万円程度となり、他産業と比べて低い数字です。介護職の中でも、介護支援専門員が高賃金と言われていますが、それでも全産業の平均程度に推移しています。

給与に関しては、小規模事業者よりも大規模事業者の方が平均賃金が高い傾向にあります。賃金が低い以外にも、人手不足で休むことをためらう、休みが少なそうなど労働条件について悪イメージがついていること人手不足の原因の一つだと考られます。

(参照:厚生労働省「平成29年賃金構造基本統計調査」

(6)人手不足の背景・原因③ 急激に増加する介護サービスへの需要

高齢化により、介護サービスに対する需要は高まっています。医療の進歩や食生活の見直しなどで高齢者は長生きになりますし、また核家族化で高齢者世帯の増加により、介護サービスは高いニーズが求められています。

数10年前までは介護は家庭中心でした。しかし生活パターンの変化で施設介護へシフトしています。高齢者は一人暮らしが難しくなると施設へ入ることを考えます。しかし施設は空いていないために在宅に留まり、ある日転倒などをして在宅での生活が困難になります。

そして介護サービスを利用するようになりますが、介護度も高くなってきて、より細かいサービスが必要となってきます。そのため介護サービスも質の高いものを要求されてきますので、介護業界も負担が増加する傾向になります。

(7)人手不足の背景・原因④ 高い離職率

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/336904

介護業界は世間から働く内容に対して賃金が低いと言われていますが、それだけではなく人を扱う業種のため精神的なストレスがあり、仕事に対しての負担が生まれる背景もあります。

そのため精神的ストレスが蓄積した結果、離職する人が多くなり、慢性的な人手不足につながってしまいます。これが負のサイクルとなり、介護業界がマイナスイメージになっているのです。

また若者が介護業界に入職しないために、介護職も高齢化していき、50、60代の介護職が増えていることも離職につながる理由のひとつになります。そのため事業所によっては利用者に対応できなくなる場合も発生しています。

(8)介護業界における人手不足に対する長期的施策① テクノロジーの活用

介護業界の人手不足問題の原因の一つに、仕事量の多さや待遇などを含む職場環境が挙げられます。

職場環境の改善のための方法として長らく指摘されているのが、「テクノロジーの活用」です。

テクノロジーの活用例① 介護ロボット

しばしばその例として浸透しているのが、介護ロボットです。

従来であればすべて人が行っていた介助業務の一部を機械が行うことにより、一人一人の業務量が減り、その時間をほかの施設利用者ケアに充てることができることができるのが魅力です。

介護ロボットには、直接介助業務を担ってくれるものもあればコミュニケーションを促進してくれるものもあるなど、様々な種類が存在します。介護ロボットに関して、詳細はぜひこちらの記事もご参考ください!

テクノロジーの活用例② IoT

介護×テクノロジーというと、介護ロボットがメインとして挙げられることが多くありますが、介護ロボット以外にも活用事例のあるテクノロジーはたくさんあります。

IoTとは、Internet of Thingsの略称であり、インターネットを通じて機械やモノと情報のやり取りを行うシステムのことを指します。

例えば、介護用ベッドを通じて「要介護者のバイタルに異常がないか」を確実に確認出来るとしたら、例えば夜勤中の見回りにそこまで時間と人員を割かなくてもよくなる可能性が考えられます。

(9)介護業界における人手不足対策に対する長期的施策② 外国人人材の受け入れ

介護業界の人手不足を補うために、外国人労働者を介護業界で働くように経済連携協定によって政府が認めました。これにより3500人以上の外国人労働者が日本で働いています。2018年には日本での在留資格として、「介護」が新しく追加され、介護業界における外国人の受け入れが進行しています。

また、EPA経済連携協定によって、質の高い外国人介護士を登用できるようになりました。

しかし介護業界は人員さえ揃えば良いのではなく、言葉や接し方などで高いハードルがあります。元々生活形態が違うので、日本人が否と思うことも、外国人労働者は可と考えてしまうことは否めないです。

そのため色々なトラブルが発生していることも事実ですので、この施策は多くの課題があり、まだまだ解決していかなくてはならない問題が山積みと言えます。そのため介護業界の人手不足解消まではまだ時間がかかると言えます。

(10)介護業界における人手不足対策に対する長期的施策③ 国の施策

介護業界の人手不足に対して、国も対策をうっています。介護の人手不足解消のために国が行っている「再就職準備金貸付制度」「修学資金貸付制度」についてそれぞれ説明していきたいと思います。

再就職準備金貸付制度

もともと介護職として一定期間以上働いていた人を介護業界に呼び戻すことを目的としており、講習の受講など再就職に必要なこと・ものの準備金を貸し付けてくれる制度です。無利子で、上限20万円(一部の地域では40万円)を借りることができます。

この制度を利用するには申請が必要なのでお住まいの地域の社会福祉協議会などに問合せてください。この制度を利用して2年以上その地域で働けば、全額返還しなくてよいとされています。

修学資金貸付制度

これは介護福祉士の資格取得を目指している方に修学資金を貸与する制度になります。貸与の条件として厚生労働大臣の指定する養成施設または実務者研修養成施設に在学している方が対象です。

この制度は資格を取得して人材を増やすことを目的としています。

介護福祉士の資格を取得するために、養成研修や養成施設に通い勉強するための費用を無利子で借りることができます。養成施設に通っている期間は、毎月5万円の修学資金が貸してもらえるほかに、入学準備金20万円や、就職準備金20万円を貸してもらうことができます。

さらに、国家試験受験対策費用4万円を借りることもできます。

養成施設を卒業し、尚且つ1年以内に貸付制度を利用した地域で介護福祉士として継続して5年以上働けば、全額返還しなくてよいとされています。5年間、継続して働く必要があるので生活環境なども考慮して制度を利用するか検討しましょう。

この他にも処遇改善加算などの施策も行われており、介護職の平均賃金は年々少しずつ上昇しています。

(11)介護業界の人手不足への対策② 労働環境の整備

介護職の労働環境整備を推進するため、介護職員処遇改善加算というものがあります。

処遇改善加算は、労働環境をどれだけ整備し環境をよくするための取り組みをおこなっているかで、加算割合が変化します。つまり多くの取り組みをおこなう事業所には多くの金額が支払われるようになっています。この加算で得た金額は全額を介護職の給与や、一時金などで支払うことになっています。

このように賃金の改善をはかり労働環境の改善を目的とした加算項目となっています。

また、労働環境の改善を促進する介護ロボットやITの導入に対し補助金がでる制度があります。介護ロボットは、開発にも補助金がでるなど拡大に力を入れています。

(12)人手不足は、施設や介護業界だけの問題ではない

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2149105

人手不足は介護業界だけではなく、日本全体の業種に起こっていることです。人手不足でも資金などが足りないために、人員が確保できない業種もあり、日本の大きな問題となっています。

介護業界は他業種のように機械化できないので、どうしてもマンパワーに頼らなければなりません。そのため人手不足が慢性的になってしまいます。機械化できればある程度の解決できる他業種と比べ、人手不足の意味が違ってきます。

人手不足の日本の中で、介護業界は岐路に立たされていると言っても過言ではありません。人員確保が出来なければ規模縮小などしなければならない状態になっている施設もありますので、今後の日本の課題と言えるでしょう。

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