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高齢化×引きこもり「8050年問題」とは|原因や対策など

社会問題
超高齢者社会における老老介護や認認介護のような問題が取り上げられる中で、40~50代の引きこもり問題である8050問題が現在問題になりつつあります。本記事では、そんな8050問題に関して、問題の定義や原因、解決策の例などをまとめて解説していきます。
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(1)現在の日本を貫く「8050問題」とは

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2134610

当初は20歳台だった「引きこもり」から、現在は「50歳台の引きこもり」へ

近年になってしばしばニュースで取り上げられるようになったことから、本記事が扱う「8050問題」という言葉を聞いた方も少なくないのではないのでしょうか。

8050問題というのは、いわば今までも長い間問題視され続けていた「高齢化問題」と「引きこもり問題」という2つの社会問題が、近年になり複雑に絡まって出現した問題の一つです。

皆さんも知っての通り現在の日本は超高齢者社会であり、65歳以上の人口の割合が全人口の21%を占めています。

これは団塊の世代(だんかいのせだい)と呼ばれる日本において、第一次ベビーブームが起きた時期に生まれた世代が高齢者になり、高齢者の人口が急激に増加したことで起こった現象です。

その団塊の世代の子供にあたる、いわゆる「団塊ジュニア」と呼ばれる層は、その世代の人口の大きさから、大学受験戦争やバブルの崩壊など、厳しい競争に続けてさらされていたこともあり、自信をもって社会で活躍できなかった、という人が非常に多くいた、と指摘されることもあるように、「ひきこもり」という言葉を生んだともいわれる世代でした。

当時20代であった、そんな団塊ジュニア世代は、現在50代を迎えることになります。また、その両親は、80~90歳台を迎えることになります。

この8050問題とは、端的に言ってしまえば「80歳台の高齢者が引きこもってしまっている50歳台の子供を面倒を見ている」という状況から生まれる各種問題を総称する言葉なのです。

(2)8050問題に起因して様々な事件も起きている

両親や、無関係な人を巻き込んでしまうケースも

では、この8050問題は、具体的にどのような問題が起こっているのでしょう。

まず一番の問題は両親が死去した後、一人で暮らす中で今まで引きこもり生活を送っていた人々は、頼るところも相談できる目上の人もおらず、その結果「孤独死」を迎えてしまう、というケースの増加が考えられる点です。

また、その他にも引きこもることで精神的に不安定になり、両親と揉めた末に殺人を犯してしまうというケースも後を絶ちません。

具体名には触れませんが、2019年現在においても、「80歳台の両親を頼りにして生活する50歳台」というパターンに当てはまる人が、何らかの犯罪行為に走ってしまったり、両親の介護や死後の手続きなどをすることができずに途方に暮れていたり、というケースが少なからず発生しているようです。

中には、「両親が動かなくなったが、どこの誰に連絡をすればいいのかわからず、放置していた」という、目も当てられないケースも存在するのです。

(3)8050問題の現状

61万人も存在する、中高年の引きこもり

ではこの8050問題の引きこもりの方は、どのくらいの人数がいるのでしょう。

平成30年度の内閣調べ(参考:内閣府『生活状況に関する調査 (平成30年度)』)によると、全国の40~64歳のうち、およそ61万3千人がひきこもり状態とされています。

このことから日本の総人口は約1.3億人であるので、約240人に1人が、本記事で紹介している「8050問題」のケースに当てはまる引きこもりである、ということがわかります。

ではそれだけの人数が引きこもってしまう理由はいったい何なのでしょう。

前の章でも少しだけお話ししましたが、今の40~64歳は団塊の世代ジュニアと呼ばれ大学受験戦争やバブル崩壊の影響を受け、気を病んでしまった、といった人が多い世代です。

その団塊の世代ジュニアの両親にあたる団塊の世代は、高度経済成長期に働いて沢山年金を得ており生活に余裕のある人たちが多くいました。その結果、金銭面を両親に頼ることで生活ができることから自立を目指さない大人が増えてしまい、何十年において引きこもる大人を生み出した原因と考えられます。

(4)8050問題を生み出していると考えられる原因① 「引きこもり」

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/393199

今までは、引きこもりの問題は若年層の問題として取り上げられていました。

しかし、単純に若い引きこもりの方が歳をとったり、中高年で初めて実家に出戻りし、引きこもりになる、といったケースが相次いだことから、もはや引きこもり問題は、若年層に限らず、すべての年齢層に点在する問題なのです。

ちなみに、その出戻りの理由として最も多いのが、人間関係の問題や病気などを抑え、「仕事が見つからないこと」だそうです。40~50代の退職者が増えている原因として、この世代の拝金主義・個人主義の強さ指摘されるなど、悩みを人に打ち明けられずストレスを抱えやすいことも影響しているのかもしれません。

引きこもりという問題だけでなく、資本主義社会の厳しさや社会復帰の難しさ、といった部分も大いに問題を生んでいる、といういい例ともとらえられるのです。

(5)8050問題を生み出していると考えられる原因② 「高齢社会化」

次に問題点として挙げられるのが、高齢社会問題です。

この高齢者社会により介護の必要な高齢者が増え、その子供が介護のため退職しそのまま引きこもってしまうパターンがあります。

今の現代社会では、仕事を続けながら介護をすることが難しいため、退職という選択をする40~50代の介護者の方が多くいます。

その上元々の40~50代(団塊の世代ジュニア)の、ある意味拝金主義的・個人主義的な考えも、介護の問題を誰にも打ち明けられず精神的にも肉体的にも追い込まれ8050問題の促進を促しているのではないでしょうか。

(6)8050問題を生み出していると考えられる原因③ 「社会評価」

引きこもりの章でもお話ししましたが、40~50代の退職者が多い現状があり、一度退職し社会から離脱したら復帰できない状態に至るケースが多くあります。

会社の雇用習慣や一度退職まで追い込まれてしまった40~50代の精神面はなかなか回復せず、そのまま引きこもりと化してしまいます。

(7)8050問題に対する各種対策の一例① 相談所・相談センターなどの設置・改善

8050問題に対する各種対策の一例として、相談所・相談センターなどの設置が挙げられます。

これはひきこもり対策推進事業の一環で、各都道府県の精神保健福祉センターなどが運営しており、引きこもりの専門家である社会福祉士や精神保健福祉士らを相談員と設置しています。

このように医療関係者に相談する環境を作り、自宅への家庭訪問を行うことでメンタルケアを進め、段階を追って支援を行うことができます。

このように引きこもり問題(8050問題)への相談事業があります。

厚生労働省では、平成21年度に「ひきこもり対策推進事業」を創設し、その上平成30年度からは、生活困窮者自立支援制度との連携を強化し、訪問支援等の取組をふくめた手厚い支援を充実させるとともに、ひきこもり地域支援センターのバックアップ機能等の強化を図っています。(参考:厚生労働省『ひきこもり対策推進事業』)

(8)8050問題に対する各種対策の一例② リモートワークの認知度を高める

出典:https://d1f5hsy4d47upe.cloudfront.net/f3/f38ed990e715a6850d1819431af68dda_t.jpeg

次に8050問題に対する各種対策の一例として、リモートワークの認知度を高めることが挙げられます。

「リモートワーク」とは、パソコンスキルやクリエイティブスキルなどを活用し、会社のオフィスなどの「場所」にこだわらない働き方を適用することで、人間関係に悩んだり業務に追われる等のストレスを減らし、精神的な健康を損なうことなく、自立した生活を送るための資本を得ることをすることを意味します。

「働き方改革」が叫ばれて久しい現代日本においては、このリモートワークの導入を促進するためのツールが数多開発されており、在宅時でもインターネット環境を整えることで、必要最低限のコミュニケーションを取りながら仕事をこなすことができます。

このリモートワークの認知度を高めることは、「お金も、スキルや対人能力への自信も、家から外出する気力もあまりない」という、「8050問題における引きこもり群」が自立した生活を送ることができるようになるまでの大きなきっかけにつながる、という意見も非常に多く見られます。

(9)8050問題以外にも、高齢化や介護に関係する社会問題は山積

今回は2030年問題についてお話ししましたが、現在の日本では沢山の社会問題が多くあります。

例えば、超高齢者社会により100歳時代の今、高齢者が高齢者を老々介護があります。この老老介護では介護者の負担が大きく、体調を崩す方が多くいます。

老老介護・認人介護に関して、詳しい記事はこちら

→『増えている老老介護 | 認認介護に発展する危険性も・原因や対策

そのような方々は、休んではいけない!自分が頑張らないと、と思っていることが多くあります。しかし、介護者も人間であり休息は必要です。

そのため介護保険サービスを利用し休息の時間を確保することで少しでも負担を減らす必要があります。

そのほかにも認知症を発症した方が、同じ認知症を患っている方を介護すること認認介護がありこの問題も同じように介護サービスを利用し、認知症のサポートを行う必要があります。

(10)8050問題などの問題を他人事としてとらえず、自分だったらどう解決するか、考えてみることが大切

水滴の図 出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/221170

このように、8050問題は決して他人事ではなく、いつ自分の身に起こってもおかしくない問題なのです。

そのため普段から自分の家族内で起きたらどう対応するか、家族や知人同士で話し合い、どのような対応策があるのかリサーチしておく必要があると言えるでしょう。

また、仮に8050問題が自身の家庭で起きてしまった際の選択肢として、「生活困窮者自立支援制度」の利用があります。まだまだ認知度が低い制度ですが、知人に相談できない、ということであれば、こういった公的な相談窓口の利用も一つの選択肢に入れてみてはいかがでしょうか?

生活困窮者自立支援制度に関して、より詳しい記事はこちら

→『ひきこもり等の「生活困窮者自立支援制度」とは|対象者や問題点など

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