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【介護の基礎】モニタリングとは | サービスごとの特徴を解説

施設サービス
介護におけるモニタリングとは、ケアマネジャーが利用者の状況を本人からの聞き取りや事業者からの報告書などで確認し、またケアマネジャー自身がサービス利用の状況を見て把握し、記録に残し、その後のケアプランに反映することです。
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(1)介護におけるモニタリングとは

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2338002

介護のサービスというと、ヘルパーサービスやデイサービス、リハビリ、福祉用具など、利用料の一部を払い事業者から直接受けるサービスを思い浮かべる方が多いと思います。しかしそのサービスの内容や効果をマネジメントしているのは、ケアマネジャーが行っている“モニタリング”なのです。

モニタリングは利用料を払うこともなく、利用者は間接的にサービスを受けているので分かりづらいサービスかもしれませんが、サービスを続けていくには重要な要素の一つです。

(2)モニタリングの目的

ケアマネジャーが行っている“モニタリング”は、大きく分けて2つのモニタリングがあります。

①日々のモニタリング

利用者がサービスを受けるにあたり、ケガやアクシデント、体調不良がなく順調にすすんでいるかどうかを確認するものです。例えば、「風邪を引いた」「落ち込んで元気がない」「リハビリが順調にすすんでいる」「サービスの利用中に転倒してケガをした」など日々の状況を記録するものです。

②定期的なモニタリング

一定の期間ごとに効果を把握し、課題の分析は適切だったか、目標設定は適切だったか、本人の身体機能などとサービス内容があっているか、サービスを受けて効果があったか、利用者は満足しているか、などの確認をします。

例えば「リハビリの効果があがってきたので、週2回のリハビリから週1回に減らす」「思ったよりも身体機能が落ちてきたので、要介護認定の区分変更をしたほうがいい」「認知症が悪化してきたので、ヘルパーサービスの他に見守りサービスが必要」など、今と同じサービスを続けていくのか、サービス内容を変更する必要があるのかを判断します。

(3)適切なモニタリング頻度と期間

先ほど挙げた2つのモニタリングのうち“定期的なモニタリング”について、頻度と期間についてご説明します。利用者にサービスを提供しているサービス事業所が月に1回、利用者のモニタリングを行います。

このモニタリングの報告書に基づき、ケアマネジャーがモニタリングを行います。利用者の認定区分が要介護1から5の場合は月1回以上利用者の自宅に訪問し、モニタリングを行うことになっています。

また、認定区分が要支援1か2の場合は3ケ月に1回以上利用者の自宅に訪問し、モニタリングを行うこととなっています。

(4)モニタリングのコツ

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/7512

利用者の状況を把握し、今後のケアプランに反映させるために定期的に行うモニタリングのコツ3点をお伝えします。

①サービス利用者とその家族の声を中心に聴く

サービスを続けていくには“自発的”に受けることが大事な要素になります。介護保険法の第4条で「自ら要介護状態となることを予防するために~(中略)~健康の保持増進に努める」と謳われているように、介護保険サービスを利用して自発的に介護予防に取り組む姿勢が大原則となります。

利用者がサービスに満足して“自発的”にサービスを受けているのか、それともサービスに不満があり“受動的”に受けているのかによって効果にも差が出てきます。

まずは、利用者自身の満足度やその家族から見た利用者の状況を中心に当事者の声を聴く必要があります。

②サービス担当者からの情報を活用

利用者の状況を客観的に見た情報を活用することも大事な要素です。利用者の中にはサービスに不満があっても、「ケアマネさんに悪いから」と遠慮して言えない場合があります。

また「最近、元気がない」「物忘れがひどくなってきている」という新たな課題が発生していることもあります。利用者に頻繁に接しているサービス提供事業者の担当者の声をしっかり活用しましょう。

③サービス提供の現場に足を運ぶ

サービスを受けている本人の声、サービスを提供している事業者の声、そして最後にその両方を実際にケアマネジャー自身で見てみることが重要です。サービスを提供している事業者も、日々多くの利用者がいるので、利用者のちょっとした変化を見落としてしまうことがあります。

また、担当者から上がってくる「足が少し良くなった」の“少し”はどの程度なのか文面だけでは伝わらないこともあります。「百聞は一見に如かず」の諺のとおり、時にはサービスを受けている利用者の表情や様子を実際に見ることも必要です。

(5)訪問介護サービスにおけるモニタリング

これよりサービスの種類別における“モニタリング”についてご説明します。まずは、訪問介護サービス(ヘルパーサービス)のモニタリングです。

2つのモニタリング

ヘルパーは、サービスを提供した日ごとに、サービスの提供内容の記録に併せて、利用者の様子をモニタリングし、記録します。

サービス提供責任者は、月に1回、利用者宅に伺い、サービスの内容やヘルパーとの関係性などをモニタリングします。

モニタリングの項目

訪問介護サービスにおけるモニタリングのチェック項目3点についてご説明します。

利用者本人の様子をチェックします。「立ち上がりの動作に時間がかかるようになった」、「右足をかばった歩き方をしている」、「『来週は孫が遊びに来る』と嬉しそうにしている」など前回に比べて変わっている点を記録していきます。

家族が居る場合は家族の変化もチェックします。「妻が風邪で寝込んでいる」、「夫の物忘れがひどくなっている」、「息子が転勤で家から出ていった」など、家族の変化は利用者の介護負担や家事の負担、気持ちの変化に繋がるので重要な要素です。

サービス内容の評価やヘルパーに対する満足度についてチェックします。「サービスを利用することで買い物の課題がクリアした」、「ヘルパーさんの掃除の仕方に満足している」など、サービス内容が適正かどうかの評価や、ヘルパーへの満足度などをしっかりモニタリングをします。

もし、サービス内容が利用者の状況に合っていない場合や、ヘルパーとの相性(性別、年齢、性格など)に問題がある場合は、サービス内容の見直しやヘルパーを交代することを検討します。

(6)通所介護サービスにおけるモニタリング

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/656664

次に通所介護(デイサービス)におけるモニタリングについてご説明します。

通所介護計画書

通所介護サービスにおいても、サービス提供日ごとのモニタリングと月に1回のモニタリングがありますが、いずれも利用者が通所介護サービスを受けるあたり、個々のサービスメニューとなる“通所介護計画書”に基づいたモニタリングとなります。

個別機能訓練計画書

通所介護サービスの場合、利用者がサービスを受けたことで国が定める基準をクリアすると、事業所は利用料とは別に“個別機能訓練加算”という名目で報酬が得られます。

事業所がこの加算を受けるためには「個別機能訓練計画書」を作成し、個別機能訓練計画書に基づいたモニタリングも必要となります。

モニタリングの項目

通所介護サービスにおけるモニタリングのチェック項目5点についてご説明します。

  1. サービスの内容が通所介護計画書に沿っているか
  2. サービス内容は利用者の状況は合ったものか
  3. 通所介護計画書の短期の利用目標が達成されているか、長期の利用目標に向かって順調にすすんでいるか
  4. 利用者や家族はサービス内容に満足しているか
  5. リハビリのレベルを上げるといった新しい要望や課題はないか

個別機能訓練加算を算定している場合は、機能訓練指導員が3ケ月に1度、個別機能訓練計画書に沿ったプログラムが行われているか、利用者の機能は目標値を達成しているか、または順調にすすんでいるか
などをチェックしながらモニタリングします。

集団サービスでの注意点

通所介護サービスは訪問介護サービスのような1対1の個別の関係ではなく、複数対複数の集団の関係なので、誰がモニタリングするのか、誰をモニタリングするのかがあいまいにならないように注意が必要です。

(7)在宅介護サービスにおけるモニタリング

厚生労働省では「住み慣れた自宅でできる限り生活を続けていく」という在宅介護を推奨しています。

このため在宅介護を続けていくためのモニタリングは重要になってきます。ここでは在宅介護サービスにおけるモニタリングについてご説明します。

本人の生活スタイル

一口に高齢者といっても、性別や年齢、出身地、性格、体の調子などで生活スタイルは十人十色です。「高齢だから」「食事の基本は、、、」といきなり理想を押し付けずに、その人の生活スタイルをしっかりと把握する必要があります。

家の状況

利用者が住んでいる家は、戸建てか集合住宅なのか、集合住宅の場合住んでいる階数は、エレベータはあるのかなど建物の作りによって生活状況や課題が変わってきます。

また家の中はいつも整理されているのか物であふれているのか、浴室やトイレは使いやすいか、など今後在宅で介護をしていくうえでの多くの情報が得られるので、家の状況もしっかりモニタリングしましょう。

家族

利用者は独居なのか、高齢の夫婦世帯なのか、子どもが同居しているのか、など利用者の家族構成を把握することは、家の介護力がどの程度あるのか、逆にどのようなサービスが必要なのかが分かります。家族間の仲が悪い場合もあり家族構成を聞きにくい場合もありますが、万が一の際の対応もあるので、しっかり家族構成についてもモニタリングしましょう。

(8)福祉用具レンタルにおけるモニタリング

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/187127

在宅介護を行う上で忘れてならないのが、車いすやベッド、歩行器、入浴用の椅子などの福祉用具です。福祉用具は貸してしまえばそこで終わりというものではありません。やはりモニタリングが必要になります。

用具選び

福祉用具の種類が豊富になったことにより、その人に合った用具選びが必要です。福祉用具の事業者には、“福祉用具相談専門員”という専門職がいるので、本人の体の状況や意向に従って利用者の合った用具選びのためのモニタリングを行います。

使い方

福祉用具は自宅で自立した生活を送るために欠かせないものです。

しかし、しっかりとした使い方を知らないと事故につながることがあります。平成22年度からの5年間で福祉用具の事故は147件あり、そのうち100件が死亡または重症となっています。(独立行政法人製品評価技術基盤機構製品安全センター発表)

福祉用具は日々使うものなので、安全な使い方が理解できているかどうか、しっかりモニタリングする必要があります。

メンテナンス

福祉用具をしっかり使えているか、サイズが合っているか、用具に不具合や故障はないかなども定期的の訪問し、モニタリングする必要があります。

もし、利用者に合っていないようであれば用具を変更する必要があります。また、不具合や故障しているのであれば調整や修理をしないと重大事故につながる危険性があります。3ケ月に1度、しっかりモニタリングしましょう。

(9)モニタリングシートの作成

ケアマネジャーがモニタリングを行ううえで「モニタリングシート」を定期的に作成していきます。

モニタリングシートの役割

モニタリングシートは、サービス内容や、利用者の体の状況(ADLの改善)の度合い、利用者の要望や意見などを記録していくので、サービスの振り返りや見直しなどの判断基準の役割となります。

モニタリングシートの活用方法

モニタリングシートはできるだけ詳細に、具体的に、数値を使った記録を残していくことで、サービスを利用した効果や目標値への進捗状況などが分かり、また、本人や家族の課題、生活スペースや生活習慣の課題も記録されているので、ケアをする関係者間でしっかりと情報共有ができます。その他にも福祉用具の点検や補修などの情報も共有できるので、事故防止にも繋がります。

(10)モニタリングでサービスの質を高めよう

介護は、ケアマネジャーやヘルパー、デイサービスのスタッフ、福祉用具など多くのスタッフによるチームケアです。また、介護保険サービスは利用することが目的ではなく、利用者の課題を改善するための手段です。このことを忘れないためにも、モニタリングは重要な役割を担っています。

モニタリングは、利用者に直接的にサービスを提供するものではなく、利用者に知られていないものです。

しかし、モニタリングは在宅介護の方向性を決めていく基礎的な資料となり、このモニタリングがしっかりできていないと事故につながる危険性もありますます。モニタリングは縁の下の力持ちといえます。

高齢者の身体機能や気持ちは、変化しています。その変化に気づかないとサービスの内容と本人の状況にズレが生じてしまい、サービスの変更が後手後手となりサービスの質が低下してしまいます。モニタリングでわずかな変化のサインを見逃さず、先手先手の質の高いサービスを提供していきましょう。

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