介護に関わるすべての人を応援します

【介護の基礎知識】償還払いとは | 適用条件 / 手続き方法など

介護テクニック
介護における「償還払い」はどのような場合に起きるのでしょうか。償還払いが適用される3つの場合、適用条件、償還払いを利用するメリット、手続き方法、必要書類など償還払いを今すぐにでも活用できる情報をお届けします。
公開日
更新日

(1)「償還払い」とは

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1896829

償還払いとは、介護保険サービスを利用したときにかかった費用全額を利用者が事業者に全額支払い、その後利用者が住んでいる市町村に償還払いの申請をすると、事業者に支払った金額のうち、本人負担分(1割~3割)を差引いた金額(7割~9割)が利用者に払い戻されるものです。

簡単に言えば、介護サービス利用時に支払った金額の一部が自治体からかえってくるということです。

償還払いは次の3つの時に発生します。

住宅改修、高額介護サービス費など

介護保険サービスのうち、頻繁に利用するヘルパーサービス(訪問介護)やデイサービス(通所介護)などの利用料は、はじめから本人負担分だけを事業者に支払いますが、住宅改修や高額介護サービス費は償還払いとなります。

住宅改修は、工事が完了した後に公的サービスの事業として適正な工事であることを確認してから手続きを行うため、事業者への支払いに時間がかかります。このため償還払いとなります。

また高額介護サービス費は、1年間の介護サービス費の支払いとその年の所得が確定した後に双方を勘案するので、1年後の償還払いとなります。

「ケアプラン」を作成していない場合

介護保険サービスを利用するには、原則として要介護認定を受け、その後認定された要介護度に応じたケアプランをケアマネジャーが作成します。そのケマプランに応じて介護保険サービスを利用することになります。

ただし、利用者がガン末期など急を要するときは、要介護度が出る前にケアマネジャーが“暫定プラン”を作成し、介護保険サービスを利用する場合があります。このようなケアプランがない場合は、いずれのサービスも償還払いとなります。

介護保険料の滞納

介護保険料の支払いが一定期間以上、滞ってしまうと“滞納処分”として、すべてのサービス利用料が償還払いとなります。もちろん、介護保険料の滞納が解消すれば、通常の介護保険サービスの利用料も償還払いではなくなります。

(2)現物給付との違い

介護保険サービスの利用料の支払う方法は、「償還払い」と「現物支給」の2つがあります。ここでは、2つの違いについて説明します。

利用者が用意する金額

「償還払い」は、はじめに利用料の全額を事業者に払い、その後、市区町村から本人負担分(1~3割)を除いた残りの金額(7~9割)が利用者に支払われるのに対し、「現物支給」は本人負担分(1~3割)だけを事業者に支払います。残りの金額(7~9割)は、市区町村から事業者へ支払われます。

最終的には、どちらも利用者が負担する金額は同じですが、はじめに用意しておく金額に違いがあります。

サービスによる違い

「償還払い」と「現物支給」の支払方法は、原則として利用するサービスに決まっています。

「償還払い」は、住宅改修や福祉用具の購入、高額介護サービス費などで、介護保険サービスのメニューの中では少数です。

「現物支給」は、ヘルパーサービス(訪問介護)や、デイサービス(通所介護)、デイケア(通所リハビリテーション)などで日常的なサービスのほとんどが該当します。

ただし、介護保険料を一定の基準以上滞納すると、日常的なサービスも「償還払い」となってしまいます。

(3)償還払いのメリット

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/802317

償還払いのメリットについて、利用者と事業者の双方の視点からお伝えします。

利用者

介護保険サービスの利用料全額をクレジット決済した場合、支払いが10割の利用料のため高額となり、クレジット決済に付与されるポイントも多くもらうことができます。

事業者

利用者がはじめに利用料の全額を支払ってくれるので、現物支給に比べて短い期間で10割分の収入が得られます。また住宅改修などは工事完了検査の結果、公費として認められない工事内容があった場合でも、本人が全額支払うことで工事代金の未回収がなくなります。

(4)介護保険に適用される場合について

介護保険サービスの償還払いで払い戻される金額は、人によって違うので注意が必要です。

申請できる条件“要介護認定”

介護保険サービスで償還払いを受けるためには、介護保険の要介護認定が必須条件となります。このため要介護認定を申請した結果、「要支援」や「要介護」であれば償還払いを受けられますが、「非該当」の認定結果の場合は、償還払いを受けることができません。

例えば介護保険の要介護認定と同時に住宅改修を申請した場合、要介護認定で「自立」の認定結果がでてしまうと、工事代金は全額本人負担となってしまいます。

キャッシュバックの金額を左右する“本人負担分”

介護保険サービスはサービス利用料で運営されています。このサービス利用料は次のような要素で構成されています。

サービス利用料=「本人負担分」+「市町村負担分」

本人負担分は、所得に応じて1割から3割までの3段階に分けられています。このため、1割負担の方は償還払いで9割が返金されます。2割負担の方は8割、3割負担の方は7割が返金されます。

本人負担分の算出基準は、次のとおりです。

▼3割負担

前年の年間所得が220万円以上で、前年の年金収入との合計が単身の場合で340万円以上、65歳以上の夫婦世帯であれば463万円以上の方

▼2割負担

前年の年間所得が220万円以上で、前年の年金収入との合計が単身の場合で280万円以上340万円未満、65歳以上の夫婦世帯であれば346万円以上463万円未満の方

▼1割負担

上記以外の方

(5)介護保険サービス費の「償還払い」手続き

介護保険サービス費の償還払いを受けるための手続きについてご説明します。

まず、介護保険サービスの利用料を事業者に支払います。

事業者から「領収書」と「サービス提供証明書」を発行してもらいます。

お住いの市町村の介護保険部署の窓口に書類を提出します。

申請を受けた市町村は、申請書類や添付書類を確認し、申請が適正と判断されれば、市町村から利用者が指定した銀行口座に、利用料から本人負担分を差し引いた金額が振り込まれます。

(6)介護サービス費の「償還払い」手続きの際必要な書類

介護保険サービスの「償還払い」を受けるための手続きに必要な書類は次のとおりです。

申請書

償還払いを請求する申請書が必要になります。申請書は市町村によって違いますので、お住いの市町村の窓口でもらうか、市のホームページからダウンロードします。

領収書

事業者に支払った際に事業者から受け取った“領収書”の原本を申請書に添付しますので、大事に保管しておいてください。

サービス提供証明書

サービスを提供した事業者から受け取った“サービス提供証明書”を申請書に添付しますので、大事に保管しておいてください。事業者によっては予め”サービス提供証明書“が必要であることを伝えておかないと貰えないことがあるので、事前に確認しておきましょう。

(7)医療費に適用される場合について

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1983176

医療費の償還払い

介護保険サービスの償還払いについてご説明してきましたが、医療費にも償還払いの制度があります。これは、障害福祉サービスのひとつで、国が指定した難病の患者であることの認定を受けた方が対象となります。

償還払いが適用されるのは、難病に係る医療費の支給認定された日から、受給者証が届くまでの間に病院へ支払った医療費のうち、本人負担分を除いた金額を払い戻すものです。

療養費

この他に、医療費は原則としてはじめから本人負担分を支払う現物支給ですが、やむを得ず全額を支払わなければならない場合は、「療養費」という名目で払い戻しが受けられます。やむを得ない理由には次のような場合が含まれます。

  • 保険が使えない病院で診療を受けたとき
  • 保険の手続き中で保険証が手元になく提示できないとき
  • 旅行や仕事などの目的で出国し、海外の病院で診療を受けたとき
  • 柔道整復師がいる整骨院や接骨院で施術を受けたとき
  • 医師の同意を得て、針・灸・マッサージの治療を受けたとき
  • 生血液の輸血を受けたとき

受け取れる金額

払い戻される金額は、支払った医療費全額ではなく、医療機関を利用した方(被保険者)や、その方を扶養している方(被扶養者)が、保険が使える医療機関で保険診療を受けるときの費用が基準となります。ただし、実際に支払った費用が基準よりも低ければ実際に支払った金額が基準となります。

この基準となる金額から所得に応じて決められる本人負担分を差し引いた金額を受け取ることができます。

なお、健康保険で認められていない費用(差額ベッド代、二重瞼や脂肪吸引などの美容整形、セラミックの差し歯など)は基準となる金額から除外されますのでご注意ください。

本人負担分は、69歳までが3割、70歳から74歳までが2割、75歳以上が1割となっています。ただし、70歳以上でも一定の所得がある場合は3割負担になる場合もあります。

(8)医療費の「償還払い」手続き

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2074952

医療費の償還払いの手続きは、まず、お住いの市町村の医療保険部署の窓口に申請に必要な書類を提出します。

申請を受けた市町村は、申請書類や添付書類を確認し、申請が適正と判断されれば、市町村から利用者が指定した銀行口座に、利用料から本人負担分を差し引いた金額が振り込まれます。

(9)医療費の「償還払い」手続きの際必要な書類

医療費の「償還払い」の手続きを行う際に必要な書類は次の3点です。

  • 領収書(支払った方のお名前、受診日、支払った金額、領収日、医療機関名、保険点数が書かれたもの)
  • 保険証
  • 申請書(市役所の窓口に設置、または市のホームページで公開しているもの)

なお、申請する際にはこの他に、印鑑や振込先口座がわかるもの(通帳やキャッシュカード)も必要になります。

(10)償還払いの理解を深めて上手に活用しよう

償還払いの制度、手続き、必要書類のことは、ご理解いただけたでしょうか。

公的な制度は基本的に本人の申請に基づいて利用できるものです。介護にかかる費用も医療にかかる費用も継続していくものが多いので、負担を少なく出来る方法をしっかり知っておきましょう。

なお、償還払いには時効があります。時効の期間は費用によって異なるので、忘れることが無いように注意しましょう。

償還払いも制度や手続きを知ってしまえば、それほど難しいものではありませんので上手に活用しましょう。もし、制度のことや手続き方法、必要書類のことで分からないことがあれば、お住いの市役所や近くの地域包括支援センターに聞いてみましょう。

この記事が気に入ったら
いいねしよう!