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2019(令和元)年の介護報酬改定について|変更点やポイントなど

ニュース
厚生労働省は、2019年に入り、複数回にわたり介護報酬改定に関する告知を行ってきました。この介護報酬改定は、2019年10月より適用されることになります。 今回の改定内容の中での主な2つの変更点は、各種サービスの基本単位数と介護職員処遇改善加算に関する変更です。 本記事では、業界に大きな影響を与える「介護報酬改定」というイベントに関し、介護業界における各種制度に詳しくない、という方でも理解が進むよう、当該ニュースについて丁寧に説明していきます。
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(1)2019年(令和元年)10月より、介護報酬改定が適用される

介護報酬改定2019年 メインポイント

厚生労働省は、2019年度開始より、複数回にわたり介護報酬改定に関する告知を行ってきました。この介護報酬改定は、2019年10月より適用されることになります。

今回の改定内容の中で、大きな柱となる改定は、2つあるといえます。一つは、各種サービスの基本単位数が引き上げられたことと、もう一つは、介護職員処遇改善加算の算定条件に、「特定処遇改善加算」というものが付け加えられたことです。

今回の改定の1つ目の柱である「基本単位数の引き上げ」により、簡単に言うと「介護サービスの費用」「事業所が政府に請求できる介護報酬」の2つが上がることとなります。

また、2つ目の柱である「特定処遇改善加算」の導入により、特定の条件を満たす介護職員の待遇改善が期待できる可能性が上がります。

これら2つの改定に適応させる形で、より細やかな改定がされています。

(2)従来の基本単位数の仕組み

そもそも基本単位数とは

そもそも、基本単位数や介護職員処遇改善加算とは何なのか、いまいちイメージできない方もいらっしゃるでしょう。そこで、まずはその2点について簡単に整理しておきましょう。

基本単位数とは、様々な介護サービスがどれだけの料金になるのか、というものを示すものです。

例えば

<現行>訪問介護:302単位⇒<改定後>訪問介護:296単位

とあった場合は、6単位分、訪問介護の料金が低くなったことを示し、

訪問介護:296単位

介護予防訪問看護:286単位

とある場合は、訪問介護に比べて介護予防訪問看護の料金のほうが安いことがわかります。

多くの場合、1単位は10円として計算します。なぜそんな面倒な計算方法をとるのかについては、「介護報酬の仕組み | 単位の意味や改定を読み解く4つのポイント」にて説明をしていますので、気になる方はチェックしてみてください。

基本単位数は、サービスごとに異なる

先述したように、この基本単位数というものを基準に、利用者の支払う介護サービスの費用や事業所に最終的に入る利益などが決まっていくのですが、当然ながら介護サービスはそれぞれかかる労力もコストも異なるため、この単位数も変わったものになっていくのです。

介護サービスの種類ごとの基本単位数は、(介護給付費等)単位数サービスコードなどと呼ばれている表に示されています。

今回の介護報酬改定により、多くの介護サービスの基本単位数が引き上げられました。ではどのサービスの基本単位数がどれくらい引き上げられたのかなどに関する詳細は、本記事の(5)にて説明していきます。

(3)従来の介護職員処遇改善加算の仕組みについて

そもそも処遇改善加算とは

介護職員処遇改善加算とは、介護サービス事業所が、介護職員のキャリアアップの仕組みを作ったり、職場の労働環境の改善を行ったりした場合に、その介護サービス事業所に対してお金が支払われる制度です。

支払われるお金は、介護職員の給与アップのために充てることが前提となっているのです。以下の図は、この介護職員処遇改善加算の仕組みを簡単に示したものです。

介護職員処遇改善加算とは

介護報酬の仕組みについて、より詳細な記事はこちら

『介護報酬の仕組み | 単位の意味や改定を読み解く4つのポイント』

今回の介護報酬改定にて、今まで存在していた種類のこの処遇改善加算とは別に、新たな加算要件として、『特定処遇改善加算』というものが追加されたのです。

新制度である特定処遇改善加算について、その条件と加算率(どれくらい加算されるのか)に関しては、本記事の(5)にて説明していきます。

(4)介護報酬改定2019のポイント① 基本単位数の引き上げ

本記事の(2)にて、「利用者の支払う介護サービスの料金」「介護サービス事業者が受け取る金額」など料金計算の基準となるのが、各種サービスごとの「基本単位数」であることを説明しました。

では、2019年の介護報酬改定により、基本単位数はどのように変化をしたのでしょうか。

単位数の変化があったサービスの項目

  • 訪問介護
  • 夜間対応型訪問介護
  • 定期巡回・随時対応サービス
  • 訪問入浴介護
  • 訪問看護
  • 通所介護
  • 地域密着型通所介護
  • 認知症対応型通所介護
  • 通所リハビリ
  • 訪問リハビリ
  • 居宅介護支援
  • 特定施設
  • 小規模多機能
  • 看護小規模多機能
  • グループホーム
  • 特養
  • ショートステイ
  • 老健

以上の項目で、基本単位数の引き上げ・引き下げが行われました。例として、下の図をご覧ください。

今回の介護報酬改定では、上の例のように、ほとんどのサービスの基本単位が若干ではありますが引き上げられているのです。平均すると、改定率は+0.54%の引き上げとなりました。

その他、全種のサービス基本単位数の変遷は、厚生労働省の公式資料(引用:厚生労働省『平成30年度介護報酬改定における 各サービス毎の改定事項について』)からご確認いただけます。この表には、各施設形態ごとに単位の変化が詳細に記載されています。pdfファイルですので、新基本単位数の知りたいサービス名でファイル内検索をすることで、便利に調べることができます。

(5)介護報酬改定2019のポイント② 特定処遇改善加算制度の導入

特定処遇改善加算とは

特定処遇改善加算は、従前の介護職員処遇改善加算のうち、

  • 介護職員処遇改善加算Ⅰ
  • 介護職員処遇改善加算Ⅱ
  • 介護職員処遇改善加算Ⅲ

のいずれかをすでに取得している介護サービス事業所が、追加で複数の要件を満たした際に、さらに加算した金額を市区町村に申請をすることができるという制度になります。

この「特定処遇改善加算」という制度で加算できるお金の金額分は、おもに「勤続10年以上の介護福祉士」の処遇改善に充てることを示されています。

この新システムを、厚生労働省の公式資料(引用:厚生労働省『2019年度介護報酬改定について』)にて簡単に図式化されたものが以下のようになります。

特定処遇加算のシステム(厚生労働省からの引用)

受給要件について、以下で簡単に説明します。

特定処改善加算の受給要件

特定処遇加算の受給要件3つ

  1. 現⾏の介護職員処遇改善加算I-IIIの取得(加算IV・Vの取得等では不可)
  2. 介護職員処遇改善加算の職場環境等要件における「資質の向上」「労働環境・処遇の改善」「その他」のそれぞれで1項目以上の実施
  3. 介護職員処遇改善加算に基づく取り組みの見える化(ホームページへの掲載など)

が条件になります。

以下でそれぞれ簡単に説明していきます。

1.現⾏の介護職員処遇改善加算I-IIIの取得 とは

介護職員処遇改善加算の種類

(引用:厚生労働省『「介護職員処遇改善加算」のご案内』より)

まずは、上の表をご覧ください。1番左の加算から、左から3番目の加算までの加算をいずれかを取得していることが、まずはと特定処遇改善加算の条件の一つなのです。

これらの加算の具体的な要件(例:キャリアパス要件など)については、以下の記事をご確認ください。

現⾏の介護職員処遇改善加算について、より詳しい記事はこちら

『介護職員処遇改善加算とは | 対象者/受給条件/メリットなど』

2.介護職員処遇改善加算の職場環境等要件における「資質の向上」「労働環境・処遇の改善」「その他」のそれぞれで1項目以上の実施 とは

こちらに関しては、それぞれ具体的な内容を列挙した資料(厚生労働省『介護職員処遇改善加算に関する基本的考え方並びに 事務処理手順及び様式例の提示について』)を厚生労働省が公開しているので、詳しい内容については、資料の13ページをぜひ参考にしてください。

3.介護職員処遇改善加算に基づく取り組みの見える化(ホームページへの掲載など) とは

これに関しては、ホームページなどの情報媒体を通じ、上記の取り組みをした際にそういった活動を可視化することを意味します。

(6)介護報酬改定の背景・目的|なぜ改定されたか

今回の介護報酬改定の背景に関しては、主に

  1. 消費税の引き上げの影響
  2. 介護職員の待遇改善

の2つのポイントが指摘されています。

消費税の引き上げの影響

2019年現在、近い将来10%に引き上げられるとされている消費税。消費税が上がると、当然ですが各事業者にとっては、サービスを提供し続けるために必要なコスト(例:介護施設でいえば、施設の維持費や介護用品費など)が上がることとなります。

そこで、今回の改定により基本単位数で全体的に介護サービスの費用を引き上げることにより、各事業者が大きな損をしないよう、調整したのだと指摘されています。

介護職員の待遇改善

介護職の待遇が他業界に比べて低いということは、ここ10年で大きな論点であり続けています。もちろん待遇の差というのは時と場合により程度が大きく異なります。

しかし、介護という、少子高齢化の進む日本において規模拡大の一途をたどる業界において、人材の確保・定着というのがどんどん重要になっていく中で、待遇改善が強く求められてきました。

今回、介護人材の確保・定着を目指し、「職場環境等要件」の広範な実施を求める内容の「特定処遇改善加算」は、そのための動きの一環であるといえるでしょう。

(7)令和元年10月からの介護報酬改定に備えよう

本記事では、来る令和時代の中でも重要な分野である介護業界における大きな改定「介護報酬改定」について説明してきました。

今回説明した2つの大きな改定以外にも様々な改定が行われました。

例えば、今回の改定でサービス利用者側が今まで利用していたサービスが使えない、というようにならないよう、支給限度額の引き上げなどの変更もありました。

このように、介護業界の中で「介護報酬」というのは、事業者側の売り上げはもちろん、利用者の負担や介護職員の待遇など、介護を取り巻く様々な人の「お金」に対して大きな影響を与えるものなのです。

各種ニュースメディアや政府からの発表など、介護報酬改定についてより詳しく説明している資料もありますので、ぜひそちらを参考にしながら、2019年10月(令和元年10月)から適用される介護報酬改定に備えていきましょう。

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