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障害者総合支援法とは | サービス内容・対象者・利用メリット

介護制度
障害のある方を支援する事を目的として制定された障害者総合支援法。それまでの障害者自立支援法では援助する事が出来なかった方も対象となり、かつ個々のニーズにも柔軟に対応できるようになり、障害者の方の社会生活をより強固にサポートしてくれます。ここでは、障害者総合支援法の対象者やサービスの内容を紹介すると共に、利用する事のメリット等を紹介します。
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(1)障害者総合支援法とは

出典:https://www.photo-ac.com/

障害者総合支援法は、その前身である障害者自立支援法の問題点を考慮した形で新たに施行された法律で、障害のある方の支援を定めています。

正式には「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」という名称です。障害者総合支援法の施行にあたり、障害者基本法を踏まえて以下の基本理念を明確にしています。

障害者総合支援法の基本理念

  • 全ての国民が基本的人権を持つ個人として尊重されるように、障害の有無に係わらず共生社会を実現
  • 地域社会における日常生活、社会生活を営める様に、障害のある方に対する支援を受けれる様にすること
  • そのための妨げになる、あらゆるものの(物事、制度、観念など)除去するよう努力すること

そして、この障害者総合支援法の基本理念に基づいて、障害者総合支援法では80項目もの詳細な調査を行い、様々な福祉サービスを障害のある方のニーズに合うように利用できる形になっています。

また、障害者総合支援法が施行された後の問題点を改善するために3年毎に見直すようになっているので、制度が有名無実化されないような工夫もなされています。

(2)障害者総合支援法のサービスについて

障害者総合支援法で利用できるサービスは、自立支援給付と「地域生活支援事業に大別する事ができ、以下のようなサービスを利用する事が出来ます。

自立支援給付

自立支援給付とは、障害者の方が利用しているサービスの一部を個別に行政の判断によって給付するサービスとなっています。給付の対象となるものは、障害に関わる医療・福祉サービスの他、福祉用具(補装具)の費用となっており、その運用の基準に関しては厚生労働省が判断しています。

地域生活支援事業

地域生活支援事業は、自立支援給付とは異なり各自治体の判断で運用されるサービスです。障害者の置かれている実状によってニーズに応える事ができる事業、および相談対応など個別給付に該当しない事業をまとめたものとなっています。

(3)障害者総合支援法のサービス利用対象者

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1696305

障害者総合支援法のサービス利用対象者は、障害者総合支援法第4条に規定された「障害者」になっていますが、それぞれの障害者の定義は以下の法律等に基づいています。

身体障害者 身体障害者福祉法第4条に定義された障害者で、18歳以上の人。
知的障害者 知的障害者福祉法に定義された障害者で、18歳以上の人。
精神障害者 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第5条で定義された障害者で、18歳以上の人。ただし、発達障害のある方を含む。
難病(※) 治療方法が確立していない疾患、その他特殊の疾患で政令で定める障害の程度が厚生労働大臣が定める程度の障害者で、18歳以上の人。
障害児 身体障害、知的障害、発達障害を含んだ精神障害の児童、または難病等で一定の障害認められる児童。

※障害者総合支援法では、これまで支援を受けられないような難病のある人も対象になっており、条件を満たせば身体障害者手帳がなくて障害者総合支援法のサービスを受けられるようになっています。なお、2018年4月現在においては、障害者総合支援法の対象となる難病は359疾患が指定されています。

(4)「自立支援給付」で受けられるサービス① 障害福祉サービスの給付

自立支援給付の一つである障害福祉サービスの給付は、介護を行うためのサービスとなっており、介護給付と訓練等給付に大別されます。

介護給付

障害によって必要となる、介護及び介助サービスに関わる費用の一部を給付するものとなっており、以下のようなものが対象になります。

  • 居宅介護(ホームヘルプサービス)…介護が必要な障害者へ出張して身体介護や家事援助等のサービスを行う。
  • 重度訪問介護…身体の自由がきかない障害者の方の居宅や入院先で、身体介護や家事援助等のサービスを行う。
  • 同行援護…移動をするのに困難の伴う視覚障害方に、外出時の動向、代筆、代読等のサービスを行う。
  • 行動援護…何らかの行動をする際に介護が必要な知的障害、精神障害の方に提供されるサービスで、行動時の危険回避などを行う。
  • 療養援護…入院している障害者の方に提供されるサービスで、医療機関に出向き医療的ケアや日常生活の介護といったサービスを行う。
  • 生活介護…日常的に介護が必要な障害者の方が対象で、支援施設へ通所して日常生活上の支援、創作的活動、生産活動といったサービスを行う。
  • 短期入所(ショートステイ)…介護が必要な障害のある方が一時的に介護が受けられない様になった時に、施設に短期入所(一時的)して介護や支援が提供される。
  • 重度障害者等包括支援…重度の障害があり、それによって多くの支援が必要な方が対象で、包括的なサービスを受ける事ができる。
  • 施設入所支援…施設に入所している障害者に対して、夜間の支援(入浴、排せつ、食事など)を行う。

訓練等給付

障害者の方が日常生活や社会生活を送るのに必要な訓練を提供するサービスで、就労に向けた訓練、福祉的な就労、安定した就労などを提供します。

また、場合によってはグループホームを利用した際の費用の一部の給付することもあります。具体的なサービスは以下のようなものです。

  • 自立訓練…障害者の方が住んでいる地域で生活するのに必要な身体機能、生活能力の維持向上を目的としており、身体障害にはリハビリなどの機能訓練、知的障害や精神障害には食事や家事などの生活訓練が提供される。
  • 就労移行支援…障害者の方が一般企業で働けるように、就労に必要な知識や能力を身につける職業訓練、就職活動のサポートが提供される。また、就労後長期的に働けるように支援なども行う。
  • 就労継続支援…一般企業で働くことは難しいが、支援があれば就労できる人のために職業訓練を提供するサービス。雇用契約を結ぶA型(雇用型)、雇用契約を結ばないB型(非雇用型)に分かれる。
  • 自立生活援助…障害のある方が、支援施設や医療機関から出て一人暮らしをする際のサポート(定期訪問)を行うサービス。
  • 共同生活援助…グループホームに入所している障害者に対して支援を行うサービス。
  • 就労定着支援…就労移行支援を受け就労した障害者に対し、その後の生活上の困りごとを支援するサービス。

(5)「自立支援給付」で受けられるサービス② 自立支援医療の給付

障害のある方が、その障害を軽減するために医療を利用した際の医療費(自己負担額)を軽減できるサービスです。対象となる方は以下の3種類に分かれます。

  • 更生医療…身体障害者手帳の交付を受けており、その障害を手術等の治療によって確実に除去・軽減が期待できる18歳以上の方。
  • 育成医療…身体障害がある児童(18歳未満)で、その障害を手術等の治療によって確実に除去・軽減が期待できる方。
  • 精神通院医療…統合失調症などの精神疾患があり、継続的な通院によって精神医療が必要な方。

(6)「自立支援給付」で受けられるサービス③ 補装具費の給付

補装具費の給付とは、身体に何らかの障害がある方が、装着する事によって身体機能を補完する補装具を購入する際にの費用や修理費の自己負担分を軽減するサービスです。

なお、対象となる補装具には、以下のようなものがあります。

肢体不自由

  • 義手…肩義手、上腕義手、肘義手、前腕義手、手義手、手部義手、手指義手
  • 義足…股義足、大腿義足、膝義足、下腿義足、果義足、足根中足義足、足指義足
  • 上肢装具…肩装具、肘装具、手背屈装具、長対立装具、短対立装具、把持装具、MP(屈曲及び伸展)装具、指装具、BFO(PSBを含む)
  • 下肢装具…長下肢装具、短下肢装具、足底装具、股装具、膝装具、ツイスター
  • 体幹装具…頚椎装具、胸椎装具、腰椎装具、仙腸装具、側弯矯正装具
  • 靴型装具…長靴、半長靴、チャッカ靴、短靴
  • 座位保持装置 
  • 車椅子…普通型、リクライニング式普通型、ティルト式普通型、リクライニング・ティルト式普通型、手動リフト式普通型、前方大車輪型、リクライニング式前方大車輪型、レバー駆動型、リクライニング式片手駆動型、片手駆動型、手押し型、リクライニング式手押し型、ティルト式手押し型、リクライニング・ティルト式手押し型
  • 電動車椅子…普通型(4.5km/h、6km/h)、リクライニング式普通型、電動リクライニング式普通型、電動リフト式普通型、電動ティルト式普通型、電動リクライニング・ティルト式普通型、簡易型
  • 座位保持椅子(ただし児童のみ)
  • 起立保持具(ただし児童のみ)
  • 歩行器…六輪型、四輪型(腰掛つき、腰掛なし)、三輪型、二輪型、固定型、交互型
  • 歩行補助つえ…松葉づえ、カナディアン・クラッチ、ロフストランド・クラッチ、多点杖、プラットホーム杖
  • 重度障害者用意思伝達装置…文字等走査入力方式、生体現象方式
  • 排便補助具(ただし児童のみ)
  • 頭部保持具(ただし児童のみ)

視覚障害

  • 盲人安全つえ…普通用、携帯用、身体支持併用
  • 義眼…普通義眼、特殊義眼、コンタクト義眼
  • 眼鏡…矯正眼鏡、コンタクトレンズ、遮光眼鏡、弱視眼鏡(掛けめがね式、焦点調節式)

聴覚障害

  • 補聴器…高度難聴用ポケット型、高度難聴用耳かけ型、重度難聴用ポケット型、重度難聴用耳かけ型、耳あな型(レディメイド)、耳あな型(オーダーメイド)、骨導式ポケット型、骨導式眼鏡型

(7)地域生活支援事業の「市区町村事業」と「都道府県事業」それぞれの取り組み

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/767654

障害者総合支援法は、障害のある方が自立して日常生活・社会生活を営む事を目的としており、それを実現できるように身近な市町村を中心とした取り組みも行われています。

それを地域生活支援事業と言っていますが、市町村や都道府県において障害者の個々のニーズに応えられるように、個々の自治体で市区町村事業と都道府県事業が提供され、効率的・効果的なサービスを展開しています。具体的な取り組みとしては、以下のようなものがあります。

市町村事業

  • 相談支援事業…障害者本人、及びその保護者、介護者の相談にのることによって、情報提供、虐待の防止、権利擁護等の必要な援助を行う。また、障害者のネットワーク構築の為に、自立支援協議会、相談支援体制などを整え、その相談支援の中核として市町村に基幹相談支援センターを設置し、体制の強化を図る。
  • 成年後見制度…利用支援事業補助を経ないと成年後見制度を利用出来ない人に対し、その費用の補助を行う。
  • コミュニケーション支援事業…障害(聴覚、言語機能、音声機能、視覚など)によって意思疎通のに困難がある人に対して、手話通訳、要約筆記、点訳といった意思疎通の為の仲介者を派遣する。
  • 日常生活用具給付等事…重度の障害がある人を対象に、自立生活支援用具、日常生活用具の給付もしくはレンタルを行う。
  • 移動支援事業…外出時の移動が困難な障害者に対して支援を行う。
  • 地域活動支援センター…障害者が通所によって創作的活動や生産活動を行い、地域社会への参加、交流促進を行う。
  • その他の事業…各自治体の判断によって、障害者が自立した日常生活、社会生活を送れるよう福祉ホーム事業、訪問入浴サービス事業、日中一時支援事業、社会参加促進事業などを行う。

都道府県事業

  • 専門性の高い相談支援事業…専門性の高い障害(高次脳機能障害など)を持っている方に対して、相談、情報提供を行う。
  • 広域的な支援事業…市町村を超える広域的な支援がが行えるように、都道府県相談支援体制整備事業などを行う。
  • その他の事業…各都道府県の判断によって、障害者が自立した日常生活、社会生活を送れるよう福祉ホーム事業、情報支援等事業、障害者IT総合推進事業、社会参加促進事業などを行う。

(8)サービスを利用するメリット

出典:https://www.photo-ac.com/

障害者総合支援法で提供されるサービスを利用するメリットは、その障害によって必要になる医療費、介護費といった金銭的な負担軽減だけでなく、その障害者の個々に合ったオーダーメイドのような支援を受けられる点にあると言えます。

例えば、障害者総合支援法では、障害支援区分を創設しする事によって在宅、通所、入所サービスを組み合わせた支援を行っているので、障害者個人個人の実際の生活のしづらさを解消を図っています。加えて、障害者総合支援法では細かなサービスの規定・提供だけでなく、障害者が自立した生活を送れるように、都道府県や市区町村と言った自治体に責務を与え、その実現の為に必要な計画を随時作成することも求められています。

この様に、障害者総合支援法は、地域社会が一体となった取り組みが行われているので、障害者本人だけでなく、保護者や介護者の負担も軽減してくれるサービスと言えるでしょう。

(9)サービス利用の際、困ったときは市区町村事業の中の「相談支援事業」を利用する

障害者総合支援法では、様々なサービスを提供し、それらを組み合わせて細かな支援プランを作成することが可能になっています。

しかしながら、そのサービスのきめ細かさから、利用者からするとどれをりようするのが最適なのか分からない部分があるでしょう。

また、対象となる障害の区分も多いので、利用の有無が分からないことも考えられます。そのため、障害者総合支援法では、こういった人をサポートするために、基幹相談支援センターや特定相談支援事業所で相談支援を受けることが出来ます。

なお、相談支援は基本相談支援、計画相談支援、地域相談支援、障害児相談支援に分かれていますが、どこに相談して良いのか分からない場合は、まず市区町村のHP、もしくは市区町村の障害福祉担当窓口、発達障害者支援センターに問い合わせると良いでしょう。

基本相談支援

障害者の福祉における様々な問題について、本人及び保護者の相談にのり、情報提供や相談支援をを行います。

また、成年後見人制度といった障害者の権利擁護にていての相談も可能です。相談窓口に関しては、基幹相談支援センター、特定相談支援事業所となっています。

計画相談支援

サービス利用支援

サービスの申請時に、障害者本人及び保護者との面談を行って、困り事や将来について相談を行いつつサービス等利用計画を作成します。サービスの利用開始にあたっては、サービスを提供する事業者と連絡を取りながら調節を行い、効果的にサービスが提供されるように図ることも行います。

相談窓口に関しては、基幹相談支援センター、特定相談支援事業所となっています。

継続サービス利用支援

提供されたサービスの利用状況、及び生活上で効果的に用いられているかモニタリングを行い、サービス事業者と連絡調節をしながら適切に運用される様にサービス等利用計画を見直します。相談窓口に関しては、基幹相談支援センター、特定相談支援事業所となっています。

地域相談支援

地域移行支援

支援施設や医療機関(※精神科病院に入院している精神障害)に入所している障害者に対して、いずれ地域社会に移行する為の支援計画を作成します。外出時の同行支援、住居確保、関係機関との調整のほか、環境が変わることの障害者本人の不安解消の為の相談支援なども行います。相談窓口に関しては、一般相談支援事業者となっています。

地域定着支援

一人暮らしを行っている障害者などに対して、その地域で安定して生活が送れるように支援を行います。障害者と支援者とのホットラインを確保し、緊急時の支援なども提供しています。相談窓口に関しては、一般相談支援事業者となっています。

障害児相談支援

児童福祉法に基づき障害者総合支援法で提供されているサービスで、以下の2つがあります。

障害児支援利用援助

障害児通所支援を利用する際の申請時に、適切なサービスが提供されるように障害児支援利用計画の作成を行うと共に、サービス利用開始にあたって事業者などと連絡調整をも行います。相談窓口に関しては、市区町村の障害福祉課、障害児相談支援事業者となっています。

継続障害児支援利用援助

提供されたサービスの利用状況、及び生活上で効果的に用いられているかモニタリングを行い、サービス事業者と連絡調節をしながら適切に運用される様に障害児支援利用計画を見直します。相談窓口に関しては、市区町村の障害福祉課、障害児相談支援事業者となっています。

(10)障害者総合支援法のサービスを上手に活用しよう

障害のある方が地域社会における日常生活、社会生活を営める様にするのが障害者総合支援法であり、個々のニーズに応じたサービスを提供できるように、それぞれのサービスを組み合わせられる柔軟さも備えています。

また、3年毎に見直されるようになっているので、制度が有名無実化しないような仕組みも持ち合わせているので、今後ますます利用しやすくなることも予測されます。

ただし、仕組みがやや複雑な面も持ち合わせており、利用する人にとっては扱いにく感じるサービスとも言えるでしょう。ですから、障害者総合支援法で提供されるサービスを利用するにあたっては、まずは市区町村の障害福祉窓口、基本相談支援に問い合わせるなどし、自分に合ったサービスが利用できるようにすると良いでしょう。

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