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成年後見人制度利用にかかる費用 | 申し立て方法・メリットなど

在宅介護サービス
成年後見人制度を利用するためには、鑑定費用や登記費用、収入印紙や切手代金などお金を使う場面が発生します。 具体的にどれくらいの費用がかかるのか、そもそもどのような費用が発生するかなど成年後見人制度利用時の費用について解説していきます。また成年後見人制度の申し立て方法も一緒に説明します。
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(1)成年後見人制度とは

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/680506

成年後見人制度とは、精神上の障害 (知的障害、精神障害、認知症など)により判断能力が十分でない方に不利益が出ないように 家庭裁判所に申立てを行なって、その方を援助してくれる人を付けてもらう制度です。

また、成年後見人制度は精神上の障害により判断能力が十分でない方の保護を図りながら、自己決定権の尊重、残存能力の活用、 ノーマライゼーションの理念をその趣旨としています。

成年後見人制度は、一人暮らしの老人が悪質な訪問販売員に騙されて高額な商品を買わされてしまうなどの被害を、制度を上手に利用することによって未然に防ぐことができます。

(2)成年後見人制度を利用する際に必要なもの

成年後見人制度を利用する際には、様々なものを用意する必要があります。

まずは、各種書類。

成年後見人制度の利用には、

  • 申立書
  • 診断書
  • 申立書附票
  • 戸籍謄本
  • 登記事項証明書
  • 住民票

などの書類が必要になります。書類を揃える費用は実費となります。

次に、大事なのが費用です。

申立手数料の1件800円の収入印紙や登記嘱託費用の2,000円の登記印紙、通信費では各家庭裁判所で異なりますが約2,600円の切手が必要です。それに加えて司法書士や行政書士などに、申立手続きを依頼する場合は別途手数料の費用がかかります。

成年後見制度を利用する場合は、明らかにその必要がないと認められる場合を除き、医師の鑑定が必要です。鑑定費用の額は病状によっては違いますが、およそ50,000~150,000円程度ですが、補助人制度を利用する場合には鑑定は必要なく診断書でもよいです。診断書は3,000円程度で医師が発行してくれます。

このように、成年後見人制度の利用をする際には、様々な面で費用が掛かるのです。

本記事では、そんな成年後見人制度の利用の際の注意点を、費用面を中心に説明していきます。

(3)成年後見人制度利用時の費用の内訳

成年後見人制度利用時の費用の内訳は次のとおりです。

収入印紙

申し立て内容により、800円~2,400円の収入印紙が必要です。

切手

各裁判所によって異なりますが、およそ3,000~5,000円程度です。

登記費用

成年後見制度では、その結果を登記する必要があり、そのための費用として収入印紙2,600円分が必要となります。

鑑定費用

成年後見制度を利用する場合は、明らかにその必要がないと認められる場合を除いて、 本人の精神の状況について医師などに鑑定をしてもらう必要があり、鑑定費用の額は事案にもよりますがおよそ50,000~100,000円程度です。

(4)成年後見人を専門家に頼む場合の費用の目安

成年後見人制度利用時に専門家に頼んだ場合の費用は次のとおりです。あくまで目安ですので、実際に利用する場合は問い合わせてみましょう。

司法書士に依頼した場合の費用

  1. 相談料:5,000円/時間
  2. 基本費用:30,000円
  3. 個別の依頼内容(補佐・補助・後見):150,000円〜200,000円前後

弁護士に依頼した場合の費用

弁護士に頼んだ場合、後見申立代理手数料は210,000円前後です。弁護士事務所によって報酬は違いますので、依頼する弁護士事務所に問い合わせると確実です。

(5)成年後見人制度を利用するメリット

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/970138

成年後見人制度には次のようなメリットがあります。

1.自分の意志によって信頼できる人を後見人にできる

家庭裁判所に申し立てをして、後見人を誰にするのかは基本的には自分で決めることができます。

2.判断能力が落ちても財産が管理できる

判断能力がなくなると財産の管理ができなくなり、自分の生活まで支障をきたすことがありますが、成年後見人制度を利用すればサポートしてくれます。

3.トラブルが防げる

不利益な契約が迫ったときなどは、判断能力が低い人にとっては不利ですが、制度がさまざまなトラブルから自分を守ってくれます。

(6)成年後見人制度を利用するデメリット

成年後見人制度には次のようなデメリットがあります。

会社の取締役など責任ある立場につけなくなる

裁判所から「成年後見人が必要」と判断された場合は、「正常な判断力が失われてしまっている」と判断されているということです。

相続税対策はできなくなる

本人が十分な介護を受けることができ、少しでも快適な生活ができるように、当人の財産を有効活用するための財産管理が後見人には求められます。

親族も財産に手を出せなくなる

「当人の財産が当人を保護するためにきちんと用いられるように」、という趣旨のもとで制定されています。また費用も本人の口座から出せなくなります。

(7)成年後見人制度の申し立て方法① 法定後見制度の場合

成年後見人制度は、市役所などに行って、介護や福祉担当者に相談してみたり、相談するところを教えてもらったりするのも良いです。また、「社会福祉協議会」も相談にのってくます。その後の流れは次のとおりです。

成年後見制度(法定後見)の利用内容の検討

支援を行う人(成年後見人・保佐人・補助人)をいったい誰にするのか、そしてどのような内容のサポートや財産管理を行っていくのかを検討する。

本人との司法書士による面接(司法書士に依頼する場合)

面接を行ない、成年後見人にするのか、保佐・補助人にするのかや支援内容、財産管理方法などを司法書士と相談して決定します。

成年後見に関する申立書の作成

家庭裁判所へ提出する成年後見制度(法定後見)利用の申立書やその他必要書類を作成します。司法書士に依頼している場合には、司法書士が作成します。ここで書類作成などで費用が発生します。

(8)成年後見人制度の申し立て方法② 任意後見制度の場合

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/815

任意後見制度は、万が一判断能力が不十分になってしまったら、支援してくれる人が必要。そんなとき、支援してくれる人と将来の約束をし、支援内容を決め、 あらかじめ私(本人)と支援者の間で任意に契約を行う制度です。

今から支援を受けたい場合

今の判断能力に不安がある場合は、任意後見契約と同時に任意後見監督人選任申立を家庭裁判所におこなう。今の判断能力に不安はない場合は、任意後見契約と任意代理契約を結ぶ。

将来支援を受けたい場合

任意後見契約だけを結ぶ。

(9)成年後見人制度を申し立てる際の注意点

成年後見申立時の6つの注意点は次のとおりです。

  1. 申立人が希望した候補者が後見人に選任されるとは限らない
  2. 原則、「本人が死亡するまで」は後見人の職務は継続される
  3. 後見人が本人の財産を適切に管理しない場合、損害賠償請求などの民事責任や業務上横領などの刑事責任を問われることがある。
  4. 本人の財産を後見人自身のために使ったり、家族に贈与・貸与することは原則としてできない。また費用も本人の口座から出せなくなる。
  5. 後見人は、家庭裁判所、監督人の監督のもとで業務を行う。
  6. 一度申立てを行なったら、家庭裁判所の許可を得なければ申立を取下げることはできない。

格別注意することではなく当たり前のことですが、裁判所も注意を促したつもりでも、伝わらないことも大いにあり得ますので、確認が必要です。

(10)判断能力が衰えたと感じたら、成年後見人制度を利用しよう

人間はいつ何時、判断能力が衰えるのかわかりません。また家族間でのトラブルで財産を勝手に売買されたりすることもありえます。特に認知症になると、著しく判断能力が衰えますので、本人だけですべての管理をすることが不可能になります。

このような状態の時にはとにかくトラブルが発生することが多いです。このような状態になる前に、「成年後見人制度」を活用する方がよいでしょう。

成年後見人制度への理解を深めよう

もちろん、この制度は裁判所の指示があったり、費用が高いというように、利用のハードルが高いのは否めません。

しかし一方で、判断力が落ちても自分らしい生活が維持できるということと、財産のトラブルが回避できるというメリットもあります。

本記事では、「成年後見人制度」という、判断力が衰えたあとも自分を守るための制度の利用に際してのポイントをまとめてきました。将来起こるかもしれないトラブルに不安を覚え、利用を考えている場合は、ぜひ本記事だけでなく関連書籍なども読み、理解を深めておくことをお勧めします。

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