介護に関わるすべての人を応援します

マイクロスリープとは | 仕事中の対策や病気の可能性など

悩み
瞬間的に睡眠状態になることをマイクロスリープといいます。睡眠不足によってあらわれやすい症状のひとつですが、これを意識的に活用することで作業中の眠気などを防ぐこともできます。ここでは、その方法や注意点などについて解説していきます。
公開日
更新日

(1)マイクロスリープとは

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1683137

ごくわずかな瞬間だけ眠りに落ちる状態で、危険だが体を守るのに大切ともいえる機能

マイクロスリープとは、「瞬眠」や「フラッシュスリープ」とも呼ばれ、ごくわずかな瞬間だけ眠りに落ちる状態をいいます。

その時間は長くて数十秒、短いと1秒にも満たないことがあります。

通常の睡眠であれば、

  1. 眠気を感じる
  2. 目をつむったり横になったり眠るための動作を起こす
  3. 眠る

のような過程を経て睡眠を行います。しかし、マイクロスリープではそれらの前段階を飛ばして、いきなり動きが止まったかのように眠ってしまいます。

中には、目を開いたまま軽い受け答えぐらいならできるケースもあり、周囲や本人でさえ気づかずにそのまま覚醒状態へ移行することもあります。

このマイクロスリープは、

  • 本人は寝ようと意図していないにも関わらず眠りに落ちてしまう
  • 大切な会議中や、最悪の場合例えば運転中など、集中していなければならないタイミングで起こりえる

のような点で、非常に危険な身体反応です。

一方、極限まで疲労している身体にリラックス効果をもたらすなどのメリットも認められているため、うまく付き合うことが大切だといえます。

(2)マイクロスリープの原因

マイクロスリープは生体リズムで眠気のピークがおとずれる午後2〜4時、あるいは体温の下がりやすい午前2〜4時の時間帯に起こりやすいとされています。

その原因には、おもに以下のようなものが考えられます。

睡眠不足

マイクロスリープのなかでもっとも多く、根本的な原因となっているのが睡眠不足です。睡眠不足になると脳の活動が低下して、集中力や判断力がおとろえます。この状態を回復しようと、脳が強制的に睡眠状態にスイッチすることで起こります。

疲労

精神的な疲労がたまると、脳には負担がかかります。その状態から回復するためにも、マイクロスリープが起こることがあります。特に、パソコンの入力や自動車の運転など、単調な作業が長く続くと起こりやすくなります。

生活習慣

生活習慣が一定でない、もしくは夜起床している時間が長く、朝も早いというリズムが生活習慣として身についてしまっているということも、このマイクロスリープが起こりやすくなる原因の一つとして考えられます。

普段から身体に必要な休息をとることができていない分、マイクロスリープによって身体の疲労度を下げようと体がしているとも捉えられるでしょう。

電車やバスなど一定のリズムがあって眠りやすい環境

脳は単調な刺激を繰り返し受け続けることで、それに慣れてしまう性質があります。そうなると刺激がまったくない状態と同じになり、とても眠りやすい環境となります。特に、電車やバスでは揺れに意識が集中して、マイクロスリープが起こりやすくなります。

(3)マイクロスリープのメリット

脳を一時的にクールダウンさせ、体への疲労蓄積の限界突破を防ぐ

睡眠不足などで脳に疲労がたまると、特に思考や言語、記憶などをつかさどる大脳皮質のはたらきが低下します。こうなると、日常生活でもさまざまな支障が生じるようになります。

マイクロスリープとは、もともとそのような状態の脳をクールダウンさせる一種の防衛機能でもあります。

このはたらきを利用して、まとまった睡眠を取らずにうまく脳の疲労を回復させることができます。

たとえば、仕事や育児などで忙しいときにはなかなか仮眠の時間さえ取ることができないケースがあります。そのようなときには、マイクロスリープによる回復がとても有効となります。

通常の睡眠と同じように、気分をなごやかにするセロトニンや快感をあたえるドーパミンなどの分泌もうながされるので、精神的に安定した状態になるのも大きなメリットです。

(4)マイクロスリープを意識的に行う実施方法

マイクロスリープを意識的に行うには、まず最初に目をつむる

人間の脳は、その8割ほどが視覚からの情報処理に用いられています。つまり、目をつむるだけでも大幅に刺激をカットして、マイクロスリープになりやすい環境を作ることができるわけです。

マイクロスリープをする際の注意点

安全な場所で行う

ただし、一瞬といってもマイクロスリープは睡眠状態であることに変わりはありません。無防備な状態でどのような危険があるか分からないので、必ず安全な場所に移動してから行うようにしましょう。

楽な体勢で行う

また、マイクロスリープのさまたげとならないように、ネクタイやベルトなど体を締め付けるものは外し、なるべく楽な体勢を取るようにしてください。ただし、もたれたり横になったりすると通常の睡眠に入りやすいので気をつけてください。

眠くなってからではなく、眠くならないように行う

意識的にマイクロスリープ状態にするのは、あくまで眠気が持続するのを防ぐための方法です。眠くなってから行っても通常の睡眠に入りやすいので、予防的に行うようにしましょう。

(5)マイクロスリープの危険性

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1337264

集中すべきタイミングでのマイクロスリープ

マイクロスリープでは、眠気を感じる前にいきなり睡眠状態におちいってしまいます。そのため、乗り物や機械の操作を行っているときなど、「集中していなければ身に危険が及ぶタイミング」でのマイクロスリープにはとても大きな危険をともなうことになります。

たとえば、自動車を時速60kmで運転していると考えてください。このとき、わずか1秒間でもマイクロスリープになれば、それだけで約16.7mも居眠り運転の状態になってしまうのです。

実際に、2012年4月に7人の死亡者を出した関越自動車道の高速バスの事故では、このマイクロスリープが原因のひとつとして挙げられています。その後も、高速バスによる事故が相次いだことで、業界全体でドライバーの過労や睡眠不足が問題となりました。

また、近年では2017年3月に9人の死亡者を出した長野県の消防防災ヘリコプターの墜落事故も、マイクロスリープの可能性が疑われています。残された映像や音声を見るかぎり、機長には眠気のような兆候は確認できません。

にもかかわらず、墜落間際に回避しようとする操縦がいっさい行われなかったのです。機長は事故の前月に海外旅行をしていてそれによる生活リズムの変化なども報告書では指摘されています。

(6)睡眠の質を自己診断してみよう

マイクロスリープは自分自身でも症状に気づかないケースがよくあります。まずは、普段の睡眠の質についてよく把握しておくようにしましょう。

「アテネ不眠尺度」によるセルフチェック

世界保健機関(WHO)が中心となった「睡眠と健康に関する世界プロジェクト」考案による「アテネ不眠尺度」では、8つの項目で簡単にセルフチェックすることができます。

  1. 眠りにつくまでに時間がかかる
  2. 夜中に目がさめる
  3. 予定より早く目がさめる
  4. 全体的に睡眠時間が足りない
  5. 全体的に睡眠の質がよくない
  6. 日中に気分が悪いことがある
  7. 日中の身体の調子がよくない
  8. 日中に眠気をもよおす

過去一ヶ月間に週3回以上あったかを目安にして、それぞれの項目に以下の点数をつけてください。

  • 「まったくない」(0点)
  • 「少しある」  (1点)
  • 「かなりある」 (2点)
  • 「頻繁にある」 (3点)

合計4点以上となった人は、すでに不眠症の疑いがあると考えられます。6点以上ある場合は、すぐにでも病院で受診するようにしましょう。

(7)マイクロスリープの対策方法

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2332583

睡眠リズムを整える

マイクロスリープの対策として、まず毎日同じ時間に起きて、睡眠リズムを整えるようにしましょう。寝る時間はある程度変化してもかまいません。寝不足だと感じる日には、休憩時間などに20〜30分程度の仮眠を取るようにしましょう。

また、作業前にカフェインを摂ることで、マイクロスリープを防ぐこともできます。ただし、こちらも一時しのぎの方法なので、あまり依存しないようにしましょう。

マイクロスリープによる回復は、あくまで一時的なものにすぎない

マイクロスリープによる回復は、けっして睡眠不足自体が解消されるわけではないので、根本的な対策として日常的な睡眠の質を高めていくことが重要です。

睡眠不足を防ぐための対策

  • 日中に日の光をよく浴びる
  • 午後はカフェインとニコチンの摂取を控える
  • 午後3時以降は昼寝をしない
  • 夜の飲食は控えめにする
  • 寝る前に熱めのお風呂に入る
  • 寝る前にアルコールを摂取しない
  • 寝る前にスマホやテレビを見ない
  • 寝る前は激しい運動を避けてリラックスする
  • 寝るときは室内を暗くして室温を低めにする

(8)頻繁なマイクロスリープは病気の可能性も

マイクロスリープのおもな原因は睡眠不足です。そのため、基本的には睡眠リズムさえととのえれば、マイクロスリープも自然に解消することができます。

しかし、あまりに頻繁にマイクロスリープが起こるような場合は、まったく別の病気が隠れている可能性もあります。以下のような症状が見られたときは、すぐに病院で診断を受けるようにしましょう。

抑鬱

抑鬱になると、気分が落ち込み、意欲や集中力も低下します。ほかにも、不安、焦り、死にたくなるといった精神症状や、食欲の低下、倦怠感、めまい、頭痛などの身体症状もあらわれます。そのひとつに睡眠リズムの異常があり、それがマイクロスリープを引き起こします。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠中に、気道や中枢の不調が原因で呼吸が何度も止まってしまう症状です。そのため、脳や体の疲労をうまく取ることができず、日中にマイクロスリープを引き起こしやすくなります。自分では気づきにくく、ほかにも、いびきや夜間の頻尿、起床時の倦怠感なども病気のサインとなります。

低酸素症

体の組織に酸素が行き渡らない症状です。肺機能や血液の酸素運搬能力などの障害によって起こり、睡眠時無呼吸症候群も原因となります。睡眠時にうまく脳や体を休めることができないので、やはりマイクロスリープを引き起こしやすくなります。

ナルコレプシー

覚醒物質のオレキシンが欠乏することで、日中でもいきなり強い眠気に襲われて居眠りを繰り返してしまいます。ほかにも、激しい感情の変化によって体の力が抜ける「情動脱力発作」や、寝起きなどに体が動かなくなる「睡眠麻痺」なども症状としてあらわれます。マイクロスリープも、そのひとつとして挙げられます。

過眠

睡眠時間を十分に取っているにもかかわらず、日中に強い眠気をもよおしてしまう症状です。睡眠時無呼吸症候群やナルコレプシーにも見られる症状で、ほかにも睡眠時に脚に不快感をおぼえる「むずむず脚症候群」、脚がぴくぴく痙攣する「周期性四肢運動障害」、体内時計が狂ってしまう「概日リズム睡眠障害など」もその一種として挙げられます。

(9)マイクロスリープの治療法

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/424016

マイクロスリープの症状が見られたら、睡眠外来で治療を受けるようにしましょう。精神的ストレスが原因として考えられる場合は精神内科、身体にも影響が出ているようであれば心療内科を選んでもかまいません。

睡眠習慣の改善

睡眠障害の治療は、まず睡眠習慣を改善することから始まります。

そのために、寝る前にカフェインやアルコールを摂らない、テレビやスマホなどを使用しない、就寝3時間前にぬるま湯で入浴する、アロマやストレッチなどでリラックスする、などといった方法があります。

認知行動療法

睡眠習慣の改善には、認知行動療法も有効です。

たとえば、不眠症の人の多くは寝ることを強く意識しすぎる傾向があります。それを変えるために、眠いとき以外は寝室を使用しない、眠る時間にはあまりこだわらない、といった意識づけをしてプレッシャーを感じないようにします。

薬物療法

睡眠障害には、原因や症状に合わせて薬物療法が用いられることもあります。

不眠症の場合は、睡眠薬や抗うつ薬、抗不安薬、抗精神病薬などを服用します。睡眠薬は自分の判断で増やしたり減らしたりするとかえって悪化することがあるので、かならず医師の指示にしたがうようにしましょう。

過眠症には中枢神経刺激薬、むずむず脚症候群や周期性四肢運動障害には抗てんかん薬や抗パーキンソン病薬などが用いられます。

その他

睡眠時無呼吸症候群では気道を確保するために、肥満の解消や、CPAPやマウスピースなどの機器、あるいは外科手術などが治療として行われます。

概日リズム睡眠障害では体内時計のリズムをととのえるために、ビタミンB12の投与や、高照度光療法による治療が行われます。

(10)マイクロスリープとうまく付き合おう

マイクロスリープには、瞬間的に脳や体の疲労を回復させる効果があります。作業中などどうしても仮眠を取ることができないような場合には、うまく活用することで眠気や居眠りを防ぐことができます。

ただし、マイクロスリープは睡眠不足の症状のひとつです。疲労の回復も、あくまで一時的なものにすぎません。自覚症状がある場合は、かならず睡眠習慣の改善にも取り組むようにしましょう。

また、気づかないうちにマイクロスリープが頻発しているときには、ほかに病気が隠れている可能性もあります。睡眠習慣の改善だけでは解消できないケースもあるので、かならず病院で診断を受けるようにしましょう。

この記事が気に入ったら
いいねしよう!