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今後必要となるジェロントロジーとは|研究内容、ビジネスへの応用等

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やがてやってくる超高齢化未来に向け、ジェロントロジーという学問が注目をあびています。これからの長寿社会に必要な学問を学ぶことが、人生100年時代を生き抜くヒントになります。 ジェロントロジーの歴史、研究内容、ジェロントロジーが解決しようとしている問題、ビジネスへの応用など解説していきます。
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(1)新しい学問領域である「ジェロントロジー」とは

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1504436

ジェロントロジーのgerontはギリシャ語で老人と意味し、ologyは学問を意味しています。日本では老年学や老人学、加齢学と呼ばれています。

ジェロントロジーは、超高齢化社会になった日本の老人が健康で安心して長生きできるように、健康の面にだけ特化するのではなく、行政や企業など社会全体で高齢者の福祉や社会参加、メンタルケア、年金問題などの社会環境を整える研究をしています。

(2)ジェロントロジーの歴史

ジェロントロジーとは、1903年にロシアのイリヤ、メチニコフによって初めて唱えられました。ジェロントロジーは、まだ100年ほどの歴史の新しい学問で、米国では1930年代以降に急速に発展し、第2次世界大戦後からジェロントロジーの研究を行っていました。日本のジェロントロジーの研究は遅く1959年に学ぶ姿勢が高まりました。

ジェロントロジーは当初、寿命をどこまで伸ばすことができるかなどの生理的な老化の現象の老年医学の研究でしたが、現代のジェロントロジーは長寿時代の社会を学際的に研究する形に発展してきました。

(3)ジェロントロジーの普及状況

日本では今までジェロントロジーは広く知られる事もなく、日本でのジェロントロジーの研究は、桜美林大学大学院に専攻科があるだけで、欧米と比べると本格的な研究がまだ行われていないのが現状で、東京大学だけが詳しい研究を進めている程度です。

しかし、急激に高齢化社会が進んでいく日本は、否定なくジェロントロジーを学ぶ必要が高まってきます。働き方革命により60代以上の定年後の再雇用、再就職によりますますジェロントロジーの知識がマネンジメントの必須科目となり得ます。

(4)ジェロントロジーを学ぶ必要性

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/424016

日本は長寿化、高齢化が急速に進み近い将来高齢化が人口の3人に1人となると予想されています。ジェロントロジーの新しい領域の一つに産業高齢者学あり、ビジネスの視点からシニア層の人材をどう戦力化するかに注目をあてています。

雇用延長や定年後の再雇用、再就職が新しくでき、60歳以上の高齢者の人材が増えていくので、ジェロントロジーで人間の老化現象や加齢による身体的、心理的知識を学ぶことで、健康面などを配慮し、労働管理を適切に行うことで、シニア人材を戦力として人材不足の解消に繋がっていきます。

(5)ジェロントロジーの研究内容

高齢化が進むことにより各地域で高齢者を取り巻く様々な社会問題が多く発生しています。このような社会の問題をどう解決していけばよいのかを研究しているのがジェロントロジーの研究です。

高齢化を取り巻く社会の問題には、年齢制限により、高齢者の豊かな経験や技術は無視し、高齢者と決めつけた偏見で働く機会を失うことが多くあります。

高齢であっても生き生きと働き続けることができる元気な高齢者が社会の担い手になり活躍できるようにするためにはどうしたらよいか研究が進められています。

(6)加齢に伴う問題点

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/403286

ジェロントロジーの加齢に伴う問題には3つの面があります。3つの面は、

  • 生理的な面
  • 心理的な面
  • 社会的な面

があります。

加齢に伴う生理的な面

老化によって生理的機能の低下が起こり、年を重ねるにつれて筋力の低下や体力の減退を感じ、今までできていた事ができなくなり、身体的な事から老いを感じてきます。

体の器官を構成していた細胞も老化を起こし、細胞数の減少や細胞の働きが低下することにより、身体の中にある水分も少なくなります。

加齢に伴う心理的な面

年を重ねていくと、体力の低下による心と体のギャップを感じ、心と体のバランスが取れなくなり、今までと違った感情が現れてくるようになり悲観的になりやすくなります。

これらが長く続くと高齢者のうつ病になることもあります。

加齢に伴う社会的な面

高齢者の社会的孤立が社会問題となり、孤独死や消えた高齢者の深刻な問題がみられるようになりました。超高齢社会となり、ジェロントロジーは、社会全体でこれらの問題をどう考えていくかを学んでいきます。

(7)ジェロントロジーで考えるシニア人材マネジメント

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2254483

少子高齢者が進み、深刻な人材不足が心配されている日本で最も注目されているのがシニア人材です。高齢者雇用安定法の改正により高齢者が希望すれば65歳まで働けるようになり、将来現役社会の実現に向けた取り組みが行われています。

現在各企業でシニア人材を活用することで人手不足を解消して成功している企業もでてきています。ジェロントロジーで考えるシニア人材マネンジメントは、人間の老化現象を学び、健康面などを配慮する労働管理を適切に行うことでシニア人材を重要な働き手として活かす事ができるという考えです。

ジェロントロジーを活用し、人間の老化の変化をマイナスとして考えるのではなく、シニア人材の経験で培った対応力や説得力、忍耐力などシニア人材にしかない優れた力を活かす事で組織の活性化にもつながります。

(8)金融研究と組み合わせた「フィナンシャル・ジェロントロジー」とは

フィナンシャル・ジェロントロジーとは、老年学と金融を組み合わせた学問の領域の事で、アメリカでは早くから存在していました。多面的に研究している学問のことで、日本では2017年11月に金融庁が発表した金融行政方針です。

長寿、加齢によって発生する高齢者の経済活動、資産選択などの長寿や加齢がもたらす経済、社会問題の経済学を中心に分析して研究している新しい研究領域です。

日本で2017年に発表された平均寿命は、

  • 女性は87.26歳
  • 男性は81.09歳

と過去最高記録となりました。これからも長寿は続くと予想され、ファイナンシャル・ジェロントロジーが今とても注目を集めています。

長寿化の進展により、2025年には認知症患者が700万人にまで増加すると予想されています。2035年には65歳以上の認知症患者が3人に1人になると予想され、2035年は有価証券保有のうち全体の50%が70歳以上になり、そのうちの15%は認知症患者が保することになる現状になると言われています。

認知能力、判断能力の低下など加齢による衰えが資産運用にどのような影響を与えるか、高齢社会に向けた金融や資産管理のフィナンシャル・ジェロントロジーの領域がとても大事になってきます。

(9)ジェロントロジーはあらゆる研究領域を横断している

長寿社会の課題は、個人や社会、企業にまで大きく広がっています。

長寿社会の問題は、下記のようなありとあらゆる領域で起こります。

  • 生活行動
  • 衣食住
  • 心理状態
  • 身体状態
  • 人間関係
  • 家計
  • 労働
  • 介護
  • 政治
  • 経済

このたくさんの領域の問題解決にジェロントロジーはあらゆる領域を横断しています。

(10)ジェロントロジーは今後、重要な学問領域となる

ジェロントロジーは老齢学と言われ、加齢による問題を医学、社会学、心理学、経済学者などの学問を研究し、アメリカではジェロントロジーを学んだ人がシニアの健康ビジネス分野で活躍しています。

これからやってくる異次元と言われる高齢者社会突入に向けて今生きている一人一人が、100歳まで生きぬくにはどうしたら良いか、将来に備えてジェロントロジーは、高齢化社会の必須科目として必要な教育になってきます。

日本の社会は今、まさに長寿、高齢社会へと向かっています。老いる事を前向きにとらえることが人生を変えていきます。近年注目されているジェロントロジーは今後ますます重要な学問領域になり、日本の未来を元気にしてくれる期待されるものになってきます。

超高齢化社会とは、そもそもどのようなものなのか。その定義について下記の記事で解説しています。併せてご覧ください。

超高齢社会の定義 | 日本で浮上する問題・今後の展望・対策

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