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生活保護受給6つのデメリット | よくある誤解の例もご紹介

年金
生活保護の受給には所有物やお金の使い方を制限されるなどのデメリットがあります。生活保護受給を考えている方は、デメリットも把握したうえで申請しましょう。
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(1)生活保護を受給することで、デメリットも生じる?

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2328428

先日、生活保護の仕事を題材にしたテレビドラマがありました。この生活保護とは、ドラマのタイトルのとおり、「資産や能力等すべてを活用してもなお生活に困窮する方に対し、困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助長する制度(厚生労働省のホームページより引用)」で、日本国憲法で謳われている社会保障制度です。

日本の生活保護受給率(総世帯÷生活保護世帯)は、3.24%(平成27年度)で、10年前(平成18年度)の2.26%に比べ約1%も上昇しています。特に65歳以上が占める割合は年々増加し、高齢者人口の2割超が生活保護を受給しており、今後の社会保障費の増加が懸念されています。(数値は、厚生労働省「被保護者調査」より引用)

今回は、この生活保護を受けるデメリットについて説明します。

生活保護のメリット

デメリットの前に生活保護による受給を受けるメリットについて、支給される費用の種類別にご説明します。

  • 病気や勤務先の倒産などにより収入が絶たれても、生活保護により食費や家賃といった生活扶助や住宅扶助が支給されることで、生きていくための生活を維持できます。
  • 病気や高齢などにより医療や介護が必要であれば医療扶助や介護扶助が支給され、必要な治療や介護サービスが受けられます。
  • 低収入の家族であっても教育扶助が支給されることで、子どもに義務教育を受けさせることができます。
  • 低収入の家族であっても出産費用が支給されることで、子どもを産むことができます。
  • 無職であっても生業扶助が支給されることで、就労に必要な技術を身につけることができます。
  • 低収入であっても葬祭費用が支給されることで、生活保護を受給されている家族の火葬などが行えます。
  • 公的な自己負担が全額免除されます。例えば、市営住宅や都営住宅の家賃、住民税や介護保険料、NHKの受信料、市が行う事業(保育園、学童保育、福祉サービスなど)の自己負担金などがあります。
  • 生活保護を受給される世帯には、必ず市役所の職員が担当者として配置されるので、いろいろな相談や就労などの支援を受けることができます。

このように、生活を送るにあたり必要な、金銭面でのサポートを受けることができる点で、様々なメリットをもたらしてくれる生活保護という制度なのですが、デメリットもあります。

(2)生活保護を受給することで生じるデメリット① 所有物が制限される

1つ目のデメリットは、所有できるものが限られてしまうことです。

例えば、自動車や土地や建物、その他財産、資産となるものは所有できません。なぜ財産、資産となるものを所有できないのかといいますと、冒頭で挙げた「資産や能力等すべてを活用してもなお生活に困窮する方」が対象条件であるためです。

車や自分名義の家などを購入するお金があれば、生活保護を受けずにその分を生活費に充てるという考え方の制度です。

例えば「車のローンが苦しいから生活費がない。」という理由は、生活保護を受ける条件にはなりません。

(3)生活保護を受給することで生じるデメリット② 住む場所が制限される

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1564944

2つ目のデメリットは、住む場所が制限されることです。

例えば、「高級マンションに住んでいて、毎月の家賃が高いから生活費がない。」ということでは、生活保護を受ける条件にはなりません。

生活保護を受ける場合、まずは自身の収入に見合ったアパートなどへの移転を求められます。

また、生活保護の住宅扶助(家賃の支給)の金額には上限があるので、その金額内に収まる家賃のアパートや、家賃が免除される都営団地や市営団地に住むことになります。

(4)生活保護を受給することで生じるデメリット③ お金の使い方が制限される

3つ目のデメリットは、お金の使い方が制限されることです。生活保護で受給するお金は、最低限の生活費や家賃等に使うためであり、そのお金は税金が原資となっているので、生活保護費で旅行や高級品の購入、ギャンブル等に使わないよう指導されます。

また、自立した生計をたてられるようにするために、カードローンやクレジットといった借入もNGとなります。

(5)生活保護を受給することで生じるデメリット④ 人間関係

4つ目のデメリットは、生活保護を受けようとした段階で、親族に知られることです。

これは生活保護を受けようと相談した際に、不正(資産があるにもかかわらず生活保護を受けること)を防止するために、担当者はまず本人の資産状況(金融機関の預貯金)が調べられます。

次に、親族からの援助が受けられないかを調べるために、原則として3親等の親族に連絡を取ります。

3親等とは、親、祖父母、伯叔父母、兄弟、子、孫、曾孫、甥姪になります。この時に、生活保護を受けようとすることが知られてしまいます。

また、生活保護を受けると医療費全額が生活保護費から支給されるので、保険証が持てなくなります。このため、医療機関での受付や会計時を知人など見みられると、あなたが生活保護を受給していることが知られてしまう危険性があります。

(6)生活保護を受給することで生じるデメリット⑤ 手間がかかる

5つ目のデメリットは、生活保護を受ける際に多くの手間がかかることです。

先ほどご説明したとおり、本人の資産や親族からの援助の有無を確認するのに時間がかかります。

また、生活保護の給付金額を算出するために、職場や収入、家族構成、家賃、病気・介護の状況など詳細に聞かれ、それらの状況が分かる資料を提出することもあります。このため、生活保護は申請から決定までに多くの手間と時間を要します。

(7)生活保護を受給することで生じるデメリット⑥ 担当者による定期的な家庭訪問

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2142844

最後のデメリットは、担当者による定期的な家庭訪問があることです。これは、担当者が生活保護を受けている人の状況を把握や困りごとの支援をするためです。

例えば、無職でれば就労に向けた支援やアドバイスを、介護や医療サービスを受けている場合は身体の状況を、生活保護のお金を不正に使っていないか等を確認するためです。

残念ながら、担当者に黙って働いて給料を貯めていた人、お酒やギャンブル、骨董品などに使いこんでしまう人も決して少なくないのです。

もちろん、本来この定期訪問というのはデメリットではなく、むしろ自立した生活を送るにあたり、大きなメリットとなりうるような制度なのですが、「馬が合わない」「面倒くさい」といった考えを受給者側が持ってしまい、様々なトラブルへとつながってしまうケースも多く存在するのです。

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(8)生活保護のデメリットを軽減する方法 

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1504436

生活保護を受けると、多くのデメリットがあります。いずれも自立に向けた支援、不正防止といった観点からはやむを得ない事項ばかりですが、デメリットを軽減する方法もあります。ここでは生活保護のデメリットを軽減できる内容3つをご紹介します。

所有物

基本的に、不動産や自動車、高級品などは所有できませんが、自動車については、働くにあたって住まいの付近の公共交通手段がないなど、理由があれば所有できる場合があります。まずは、生活保護の担当者に相談してみましょう。

住まい

住まいについては、家賃が生活保護の費用に収まる物件という視点で物件を選定しますが、DVや虐待、親族との不仲などで正当な理由があれば、ある程度は物件選びに考慮してくれることもあります。特にDVの場合は、遠方へ転居する場合もあります。こちらについても、生活保護の担当者に相談してみましょう。

人間関係におけるデメリット

生活保護の申請時に、生活保護の担当者が3親等までの親族に支援の可否を問う連絡をしますが、こちらについても、DVや長年の不仲など正当な理由があれば、考慮してくれることもあります。特にDVの場合、連絡は厳禁です。いずれにしても生活保護の担当者に相談してみましょう。

(9)生活保護のデメリットに関する誤解

ここでは、インターネット上で多い生活保護にまつわる誤解を解いていきます。

車を所有してはいけない?

原則として車は車両代や維持費(保険、ガソリン、車検など)がかかるので、所有はNGとなりますが、働くにあたって住まいの付近に公共交通手段がないといった正当な理由があれば、車を所有することもあります。ただし、必要最低限の車になります。

嗜好品やギャンブルはNG?

お金の使い方には制限や指導が入りますが、生活保護の生活費を上手にやりくりしてためたお金で、たばこやお酒、パチンコなどを楽しむこともできます。

ただし、酒代がかさんで生活ができない、昼間から酔っぱらって外でフラフラしている、など度を過ぎてしまうと、市民からの苦情がはいり、当然指導がはいります。

また、預金についても最低生活費の6ケ月分までなら可能です。

生活保護受給が近所に知れ渡る?

生活保護を受けていることが近所に知れ渡ってしまうと心配されている方がいるようですが、生活保護の担当者は公務員なので個人情報を漏らすようなことはありません。また、病院や学校の関係においても、事前に担当者に配慮を求めることもできます。

担当者は男性のみ?

生活保護の担当者は男性職員しかいないというイメージを持っている方も多いのではないのでしょうか。

最近では女性で生活保護を受ける方に対して、女性相談員を配置している市町村もあります。必ずしも希望通りにはいきませんが、女性特有の悩み事であれば、女性相談員に相談できる場合もあります。

(10)生活保護受給の際はデメリットも考慮しよう

生活保護を受けるにはいくつかのメリットがありますが、同時にいくつかのデメリットもあります。生活保護を受けてみたものの、自立できそうであったり生活保護を受けたくなくなったら、生活保護の受給を止めることもできます。

生活保護受給は生きるための権利です。必要な時には権利を行使することができます。ただし、権利を行使するには必ず義務も生じます。権利を行使するかどうか迷った場合は、お住いの役所の生活保護担当の窓口で相談してみましょう。

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