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ポータブルトイレとは|種類、使い方、選ぶときのポイントなど

介護用品
ポータブルトイレは、トイレまで移動することが難しくなった人が、寝室などに設置して排泄を行うための福祉用具です。その種類には、プラスチック製や木製、金属製などさまざまなものがあります。ここでは、それぞれの特徴やメリット、選ぶさいのチェックポイントについて解説します。
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(1)ポータブルトイレとは

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/178912

どこでも用を足せる、という福祉用具

ポータブルトイレとは、トイレまでうまく移動できない人が用を足す際に便利に使用できる福祉用具の一つです。

ポータブルとあるように、トイレであるにも関わらず自由に持ち運びできるので、寝室や隣室など、スペースさえあればどこにでも設置することができます。バケツ汲み取り式や水洗式などがあり、排泄物はそのままトイレに流して処理することができます。

被介護者にとっては、楽に移動できるとともに、用を足したいタイミングですぐ行えるという大きなメリットがあります。また、おむつや尿器の使用にくらべて、より自尊心を保つこともできます。

一方、被介護者にとっても、トイレまでの移動介助やおむつ交換にともなう労力を省くことができます。排泄介助もトイレより広いスペースで行えるので、余裕をもって行うことができます。

(2)ポータブルトイレはどんな人に向いてるか?

ポータブルトイレは、トイレまでの移動は難しくても、自力で排泄することができる人に向いています。以下の条件に当てはまるか見てみましょう。

  • 自分で排泄するタイミングが分かる
  • 自力で立ち上がることができる
  • 座った姿勢を保つことができる
  • 短い距離なら移動できる

そのうえで、たとえば住宅の構造上、

  • トイレまでの距離が長い
  • 階段や段差などがある

といった条件がある人は、よりメリットが大きくなります。

また、普段は自力で移動できる人でも、トイレの回数が多い場合はポータブルトイレの設置がおすすめです。特に、夜中に尿意や便意で目が覚めると、視界が悪く転倒などの危険性も高くなるので、寝室にあれば安心できます。

(3)ポータブルトイレの種類

ポータブルトイレには、さまざまな種類があります。それぞれ、特徴やメリット、デメリットが異なるので、使用目的に合ったものを選びましょう。

プラスチック製標準型

もっとも一般的なタイプのポータブルトイレです。安価で軽量、移動や掃除がしやすいといった特徴があります。

ただし、軽量ゆえに不安定な面もあります。また、基本的に一体成型なので、高さ調節などの機能はなく、立ち上がるときにかかとを引く蹴込みスペースもありません。場合によっては、手すりなどの設置も必要になるでしょう。

木製いす型

プラスチック製とくらべると重量があり、安定性が高いのが特徴です。高さ調節機能や蹴込みスペースがあるものも多いので、立ち座りも楽になります。ポータブルトイレでありながらインテリア性も高く、実際に椅子としても使用できるタイプもあります。

一方、重量があるため移動には向いていません。基本的に常時設置することになるので、そのためのスペースも考えておく必要があります。また、プラスチック製より高価で、掃除がしにくく、傷つくと汚れや臭いが取れにくいというデメリットもあります。

金属製コモード型

安定感があり、移動や掃除もしやすい、プラスチック製と木製の両方の長所を併せ持ったポータブルトイレです。高さ調節があり、肘掛けが可動式のものも多く、移乗しやすいのも特徴です。キャスター付きで、シャワー椅子として浴室で使用できるタイプもあります。

ただし、金属製なのであまり室内にはなじみません。より使いやすさを重視したい人に向いているタイプです。

スチール製ベッドサイド設置型

ベッドサイドに置いて使用するポータブルトイレです。ベッドと座面の高さを合わせておけば、直接移乗することができます。歩けなくてもベッドで起き上がれる人であれば、十分に使用することができます。重量があるため移動には向いていませんが、キャスター付きのタイプもあります。

一方、スチール製なので室内にはなじみにくいのが欠点です。

(4)ポータブルトイレの機能

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2152556

ポータブルトイレには、より快適に使用するために、さまざまな機能が付いたものもあります。

暖房便座

冬場や夜間でも、ポータブルトイレを快適に使用することができます。特に、高齢者は急激に冷えると血圧や動機が高くなるヒートショックを起こしやすいので、そのリスクを避けるうえでも役に立ちます。ただし、下半身麻痺があると低温やけどの危険性もあるので、気をつけてください。

温水洗浄

温水シャワーによって、排泄後のお尻をやさしくきれいに洗浄します。汚れが残っていると、炎症や肌トラブルを起こす原因ともなってしまいます。特に、ポータブルトイレでは自力で拭き取ることもできない使用者も多いので、便利な機能となります。

脱臭

ポータブルトイレの最大の問題点が、排泄時に部屋に残ってしまう臭いです。脱臭機能は、それを解消して快適な生活空間を保ってくれます。介助される人の気分をやわらげるだけではなく、介助する側にとっても掃除が楽になるなどのメリットがあります。

高さ調節

座りやすい座面の高さは、使用する人の体格や体調によってさまざまに変わります。また、ベッドから移乗するさいには高さがそろっている必要もあります。高さ調節機能では、それをちょうどよい位置に合わせることができます。ほかにも、座面の角度を変えられるタイプのものもあります。

肘掛け

肘掛けは、ポータブルトイレに座るさいに姿勢を支えてくれます。その一方で、移乗するさいには邪魔になって転倒の危険性などもあります。立ち上がりに不安のある人には、取り外し式や、昇降式、跳ね上げ式の機能で肘掛けの位置を変えられるものが便利です。

ソフト便座

お尻の脂肪や筋肉が少ない、あるいは排泄に時間がかかるという人は、座面に骨が当たって痛くなるケースがあります。樹脂で作られたソフト便座は、そのダメージをやわらげてくれます。

(5)ポータブルトイレの使い方

ポータブルトイレの使い方は、自力で排泄できる場合と介助が必要な場合で、それぞれ以下のような流れとなります。

自力で排泄できる場合の使い方

  1. 介助者がポータブルトイレの座面、およびバケツの蓋を取ります。
  2. 手すりや肘掛けにつかまり、ベッドからポータブルトイレへ移動します。
  3. 手すりや肘掛けにつかりながら脱衣して、便座に腰を下ろします。このとき、転倒しないように十分気をつけてください。
  4. 排泄を行い、終わったらお尻を拭き取ります。あまり強くこすらないようにしつつ、しわなどに残らないように気をつけます。
  5. 着衣して、手すりや肘掛けにつかまりベッドに戻ります。
  6. 介助者が便座とバケツに蓋をします。汚物はなるべくこまめにトイレで処理しましょう。

介助が必要な場合の使い方

  1. 介助者がポータブルトイレの座面、およびバケツの蓋を取ります。
  2. ベッドで体を起こしてもらい、介助者はそのとなりに座ります。体を支えて立たせ、ポータブルトイレまで移動します。
  3. 手すりや肘掛けにつかまり、ポータブルトイレと向き合う形で立ってもらいます。介助者は、その状態で脱衣させます。脱いだらこちらを向いてもらい、手すりなどにつかまらせてポータブルトイレに座らせます。
  4. 排泄を行い、終わったら介助者がお尻を拭き取ります。
  5. 介助者の首につかまって立ってもらい、着衣させます。着たら、介助者が体を支えながらベッドまで戻ります。
  6. 介助者は便座とバケツに蓋をして、必要であれば汚物をトイレに流します。

(6)使用の際の注意点

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2197688

ポータブルトイレは、介護される側にとってもする側にとっても、とても便利な福祉用具です。

しかしながら、寝室などのトイレ以外の場所で排泄を行うことに、どうしても抵抗感があるという人も少なくありません。そのような場合は、仕切りやカーテンを利用して、できるだけプライベートな空間を保てるように配慮してあげましょう。

また、バケツ汲み取り式の場合、排泄時の臭いが生活空間に残ってしまうのも抵抗感の原因のひとつとなっています。脱臭機能がない場合は、専用の消臭剤も販売されているので、そちらも活用してみましょう。

ポータブルトイレは床に固定されていないため、安定性についても十分な配慮が必要です。特に、ポータブルトイレは明け方や深夜に利用するケースが多く、寝起きではっきり目が覚めていないと、うまく姿勢を保つことができないので注意しましょう。

対策としては、足下がすべらないようにマットや手すりを置き、部屋はかならず明るくする、という方法が挙げられます。

(7)ポータブルトイレを購入する場合

介護保険が適用される

ポータブルトイレを購入する際には、介護保険の「特定福祉用具購入費」が適用されます

これにより、購入費用の9割が給付されます。つまり、1割の自己負担でポータブルトイレを購入することができるようになるわけです。給付の上限額は年間10万円までですが、毎月の介護保険の利用限度額とは別に計算することができます。

なお、介護保険の対象となるには、各都道府県の指定を受けた事業者から購入する必要があります。設置費用についても給付対象外なので、気をつけてください。

給付の方法は、まず全額を自費で支払い、あとから各市町村に申請して払い戻しを受ける「償還払い」となります。ただし、自治体によっては方法が異なることもあるので、それぞれの窓口や地域包括支援センター、ケアマネージャーなどに確認しておきましょう。

ポータブルトイレの価格

ポータブルトイレの価格は、1〜3万円程度が相場です。つまり、1割の自己負担で考えると、1,000円〜4,000円程度の費用が目安となります。シャワー式のポータブルトイレなどでは10万円を超えるものもありますが、給付の上限額を超えるのでよく考えて購入してください。

以下、ポータブルトイレの商品例を紹介していきます。

左から2つのポータブルトイレは、大体平均的なお値段のポータブルトイレといえるでしょう。使い心地・サイズなどを鑑みながら選ぶのがよいでしょう。一番右の商品は、ポータブルトイレ用のレストアームです。このように、ほかのアイテムと組み合わせることで、より使いやすく、より楽に用を足すことができるようになるでしょう。

なお、ポータブルトイレは他人の使用したものを使い回すのが難しいため、介護ベッドや車椅子のように介護保険を利用してレンタルすることはできません。

(8)ポータブルトイレ選びの前にすること

ポータブルトイレ選びを行う前に、あらかじめ以下のような点を確認しておきましょう。

設置スペース

ポータブルトイレは基本的に、介護を受ける人の寝室やベッドのそばに設置します。そのとき、どこにどの向きで置けばより移乗しやすいのか、あるいは介助しやすいのか、よく考えておきましょう。それに合わせて、サイズなども選ぶことになります。

便座のサイズや高さ

ポータブルトイレの便座の座り心地がよくないと、姿勢が不安定になり、排泄自体もうまく行えないケースが出てきます。本人が座る姿勢、衣服の着脱の仕方などについてよく確認しておきましょう。ポイントとしては、膝が直角に曲がって足がしっかり床につくこと、肘掛けの幅は座ったときのおしりの幅がちょうどよいこと、などが挙げられます。

背もたれ

介護を受けている人は、排泄に長い時間がかかるケースがあります。その点をよく確認して、背もたれの有無についてもよく考えておきましょう。背もたれに調節機能などがあると、より楽に姿勢を保ちやすくなります。

蹴込みスペース

足腰が弱ると、足を後ろに引かないとうまく立ち上がれないケースがあります。また、排泄しやすいように前傾姿勢を取るときにも、後ろに足を引く必要があります。便器の下に蹴込みスペースがないとこのような動作が難しいので、その点も確認しておきましょう。

(9)ポータブルトイレを選ぶ時のチェックポイント

実際にポータブルトイレを選ぶ際には、以下のチェックポイントを参考にしてください。

パーツの取り外しや調節機能

ひじ掛けは座るときに姿勢が安定する一方、移乗するさいには邪魔になることがあります。このようなパーツが取り外しできると、より使いやすくなります。また、高齢者は体が変化しやすいので、それに合わせて高さや角度が調節できるものも便利です。

安定感

プラスチック製のポータブルトイレは、軽量で持ち運びにすぐれています。その反面、座るときの安定性には欠ける面があります。より落ち着いてゆっくり排泄したい、あるいは転倒のリスクを少しでも避けたい場合には、重量のあるタイプを選ぶほうがよいでしょう。

機能

ポータブルトイレには、暖房や洗浄、脱臭、ソフト便座など、さまざまな機能が付いているものがあります。いずれも、介護を受ける人がより快適に、清潔に排泄が行えるように配慮されたものです。できるだけ良い環境をととのえるには、その点も考えて選びましょう。

(10)ポータブルトイレの利用は自立支援につながる

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/670865

トイレまで移動することが難しくなると、どうしてもおむつの使用などを考えてしまうケースも増えてきます。しかし、自力で排泄が行えるうちは、できるだけポータブルトイレを利用することがおすすめです。

安易なおむつの使用は、本人の自尊心を傷つけるだけではなく、足腰を弱らせて自立支援のさまたげにもなってしまいます。ポータブルトイレはそれをふせぎ、介護を受ける側と介護を行う側のどちらにとっても、大きな負担を減らしてくれます。

しかし、一方で室内での排泄には抵抗感がつきまとうのも事実です。その場合は、消臭機能や仕切りなどを用意して、できるだけ快適さやプライベートを守ることにも配慮してあげましょう。

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