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年を重ねるごとに大事な「転倒予防」とは|運動やグッズなどの紹介も

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転倒は誰にでも起こり得ることですが、高齢になると骨折など思わぬ事態を引き起こしてしまうこともあります。場合によっては要介護状態になってしまう恐れがある転倒を、引き起こさないようにするにはどうすれば良いか詳しく説明していきます。
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(1)年齢を重ねるにつれ、その重要性が増す「転倒予防」


出典:https://www.photo-ac.com/

子供の頃は頭と体のバランスが悪く転びやすいと言われていますが、転倒は子供だけでなく高齢者にも多くみられます。高齢者の場合、転倒により重傷を負ったり死亡事故に繋がったりすることがあり、また骨折などから介護が必要になってしまう場合や寝たきりになる場合もあり注意が必要です。

東京消防庁が発表している、平成29年に起きた交通事故以外の日常生活における事故の内容を見ると、発生件数の半分以上は高齢者となっており、その内の8割が転倒によるものです。加齢に伴う身体的な機能の変化が事故に繋がっているため、転倒を引き起こす要因を知り、転倒予防対策を行うことがすすめられています。

高齢者の転倒の要因には、内的なものと外的なものがあり、それらが重なった時に起こりやすくなります。内的要因と外的要因について、それぞれ説明していきます。

(2)転倒を引き起こす要因① 内的要因

高齢者が転倒を引き起こしやすい内的要因とは、身体に関係するものです。何もしなければ、年を重ねるごとに身体機能は低下してしまいます。そこに精神的な要因が加わると注意力がなくなり、転倒に繋がってしまいます。

身体的な要因

筋力低下・歩行障害・バランス障害・視力や視野障害・感覚鈍麻など

精神的な要因

注意力の低下・不安や焦り・緊張・興奮など

疾病・服薬によるもの

転倒を起こす危険がある疾病
  • 貧血
  • パーキンソン病
  • 癲癇
  • 低血圧症
  • うつ病
  • 脱水
  • 白内障
  • 認知症など
転倒を起こす危険がある薬
  • 抗不安剤
  • 抗うつ剤
  • 降圧剤
  • 利尿剤
  • 強心剤など

(3)転倒を引き起こす要因② 外的要因

高齢者の転倒を引き起こす外的要因は、衣服や住環境によるものです。高齢者の転倒は、屋外だけではなく屋内でも多くみられます。転倒場所として多いのが、居間やリビングとなっており、次いで玄関となります。自宅内で転倒の外的要因となるものを具体的に挙げると、次のようなものになります。

履物や服装によるもの

脱げやすい、また滑りやすいスリッパや靴・丈のあっていないズボンなど

床の状態によるもの

室内外の段差・滑りやすい床の素材・電気コードや厚地のカーペットなどの床の障害物

部屋全体の状態によるもの

薄暗い部屋・家具などの配置の悪さなど

(4)転倒予防のための方法① 内的要因の対策をする

身体的な要因では、自分で低下を防ぐことが難しいものもありますが、筋力低下などは対策を行うことで防ぐことができ、転倒予防に繋げられます。また内服薬によるふらつきや眠気が転倒の要因になることがあるため、効能とともに副作用も確認しておきましょう。

軽いストレッチやウォーキングなどのトレーニングを行うことで、筋力の低下やバランスの悪さを改善することができます。ただし、頑張り過ぎて無理な運動をしてしまうと、逆に転倒を起こしてしまう場合もあるため注意が必要です。

転倒予防のための筋力トレーニング

ウォーキングを行う
  • ウォーキングを行う時は、踵から地面に着くよう意識して歩いてみる
柔軟性をつける
  • 手で足を持ち、足の指を曲げたり反り返したりする
  • 肩を出来るだけ高く上げたり、前後にグルグル回したりしてみる
筋力アップを図る
  • 椅子に座って足を開き10秒ほどそのままにしてから足を閉じる。10回程度行う
  • つま先を上げたり下げたりする運動を10~20回程度行う
  • 壁や手すりを持ちながら、踵を上下に10~20回程度動かす
  • 椅子からの立ち上がりを10~20回程度行う
  • 壁や手すりを持って片足を上げる運動を10~20回程度行う。反対の足も同じように。

リズム体操や太極拳などは高齢者でもできる、バランスを良くする運動です。近くで行っているスクールや講座があれば、参加してみましょう。

家でもできる簡単筋トレの例はこちら

【動画で解説】今すぐできる!腰痛解消のための5つの筋トレ方法

肩こりに効くストレッチ│首や肩甲骨などの周辺部位からもアプローチ

(5)転倒予防のための方法② 外的要因の対策をする

若い世代なら気にならないほんの少しの段差や布団でも、高齢者の場合は転倒に繋がることがあります。転倒予防のため高齢者の目線で転倒を引き起こす要因がないか、もう一度確認してみましょう。

転倒予防のための住環境整備

  • 玄関や廊下・階段・トイレ・ベッドの横など必要な箇所に手すりをつける
  • 廊下や階段・居室には不必要な物は置かない
  • 滑りやすい場所に滑り止めマットを敷く
  • 電気コードは見えるところに出ないよう配置する
  • 部屋の敷居の段差を解消するミニスロープなどを設置する
  • 廊下や階段などの証明を明るくし、夜間でも真っ暗にならないよう足元灯などをつける
  • 毛足の長いカーペットにしない
  • 布団ではなくベッドに変える

転倒予防のための衣服の工夫

  • 滑り止めが付き脱げにくく着脱がしやすい靴下や靴を履く
  • ズボンがズレても裾を踏まないよう足首の方にゴムが入ったものを履く

介護において解消すべき「外的要因」についての詳しい記事はこちら

外的要因の意味 | 内的要因との違い・分析方法・病気別の具体例

(6)転倒予防のために転倒予防アイテムを使用してみる


出典:https://www.photo-ac.com/

転倒予防を行うために、利用がすすめられている転倒予防アイテムがあります。ふらつきによる転倒が多いことから、ふらつきを少なくするよう考えられたものや、転倒しても骨折しないように考えられたものなどが販売されています。

内的要因や外的要因を改善しても、転倒に繋がりそうな場合は、転倒予防グッズも利用して転倒予防しましょう。転倒予防グッズは普段から身に付けるもの・転倒のリスクを減らすもの・筋力アップなど体を鍛えるものがあり、主に日本転倒予防学会などで良いとすすめられている製品を紹介していきます。

(7)転倒予防に役に立つアイテム① 普段から身に着けるもの


出典:https://www.photo-ac.com/

大人用紙パンツ

商品例:

足の動きを邪魔しないよう作られており、また着脱が簡単になっているものを選びます。簡単に着脱できるものは、座って交換もできふらつきによる転倒が予防できます。

下着

着脱がしやすく、また衝撃吸収クッションが内蔵されており、転倒時の大腿骨への衝撃を抑えることができる下着があります。男性用・女性用があります。

靴下

商品例:

滑り止めがついており、履くと自然につま先がアップし、つまづきにくいよう作られた転倒予防用靴下があります。片手で履けるタイプもあります。

商品例:

軽く、着脱が簡単にでき、尚且つかかとがあることで脱げにくい作りになっている靴や、ウォーキングを行う時に、体重移動をコントロールし歩行をサポートする靴などがあります。

ジーンズ

高齢者でもオシャレができ、転倒予防もできるジーンズがあります。ウエストはゴムで着脱がしやすく、ストレッチ生地で動きやすく、転倒時の衝撃を吸収するパッドを装着できるようになっており、骨折のリスクを軽減します。

帽子

商品例:

衝撃吸収材を内蔵していても見た目は普通の帽子に見えるものがあり、転倒時には頭部を保護します。

(8)転倒予防に役に立つアイテム② 環境を整えるもの

転倒予防用マットレス

商品例:

ベッドや車椅子からの立ち上がりがしやすいように作られたマットレスがあります。

転倒予防用フロア素材

表面に滑りにくい加工がしてあり、転倒してもケガをしないよう衝撃を吸収する素材が使われているものがあります。

手すり

玄関の上がりかまちや廊下・階段・トイレ・風呂場・居室に設置することで、ふらついた時にも手すりを掴め転倒予防ができます。

段差解消アイテム

商品例:

上がりかまちが高すぎる場合は、手すりだけでなくステップも置くとより転倒予防になります。部屋の敷居の段差は、屋内用のミニスロープを設置し段差を解消します。

人感センサーつきLEDライト

商品例:

夜間トイレなどに行く時に、センサーで灯りが付くタイプがあります。廊下や階段につけることで、転倒予防になります。

(9)転倒予防に役に立つアイテム③ 体を鍛えるためのもの

Q'z TAG walk

専用のセンサーを着けて1分間歩くだけで、歩き方の癖などを分析データ化し、改善に向けたプログラムを組んでくれるアイテムです。

ひざトレーナー

商品例:

着けて歩くだけで、電気刺激で負荷がかかり歩く以上に筋力アップに繋がるアイテムです。 ロコモマット ウレタンフォームで不安定な状態を敢えて作り、バランス感覚を鍛え筋力をアップすることができます。

転倒危険度評価システム「Step+」

測定用のマットの上に立ち、画面の指示に従って前後左右に移動することで、転倒危険度の測定をして評価を行ったり、トレーニングを行ったりし転倒予防するアイテムです。

(10)転倒は要介護状態になる原因でもあることを理解し、転倒予防につなげよう


出典:https://www.photo-ac.com/

転倒によってそれまで元気で介護の必要がなかった方が要介護状態となったり、要介護状態の方が転倒し、寝たきりになってしまったりすることは、他人事ではなく自分や親に起こることかもしれません。高齢者の場合、転倒によって取り返しのつかない事態になることが理解できれば、転倒予防の重要性もわかるはずです。

転倒は内因的要因だけ、外因的要因だけでも起こりますが、要因が重なった時に起こりやすくなります。身体的レベルダウンをできるだけなくし、住環境を見直しや転倒予防アイテムを利用しながら、転倒予防を行っていきましょう。

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