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生活保護におけるケースワーカーの役割 | 訪問頻度・業務内容・おすすめの本

就職・転職
生活保護を管理するケースワーカーについて解説します。また、生活保護受給者とのトラブルの実態・対策や、新人ケースワーカーにおすすめの本もあわせて紹介します。
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(1)生活保護を管理するケースワーカーとは


出典:https://www.photo-ac.com/

「生活保護」という制度を巡っては、不正受給や金額の不平等さなど、何かと話題やニュースが尽きません。

生活保護を受給すると、指導役・監視役のような人がつくことになります。生活保護受給者の指導役を担うのが、ケースワーカーと呼ばれる人々です。

ケースワーカーは、主に生活保護受給者の管理・支援・相談などを請け負っています。

(ケースワーカーの仕事内容や必要資格について詳しく知りたい方はこちらの記事をお読みください。https://1682-kaigo.jp/article/000929

ケースワーカーが行う生活保護管理の仕事は、公務員の仕事の中でもあまり人気がありません。その理由は以下の通りです。

  • 激務である
  • 人材不足である
  • 精神疾患を患うこともある
  • 構造が確立されていない

ケースワーカーの仕事は激務です。本来であれば80人前後が基準の担当数であるところ、人手不足により、1人のケースワーカーにつき120人程度を担当しているという地域もあります。ベテランの方で一人で150人以上の担当をしているというケースもあります。

また、生活保護受給者の中には、精神疾患を患っている人も少なくありません。支援している内にケースワーカー自身が精神的に病んでしまい、うつ病を患ってしまうこともあります。

さらに、福祉事務所で働く人の多くが大学を出たばかりの職員で構成されている、という点も問題の一つとして挙げられます。

経験が少ないなか、がむしゃらに業務にあたっているうちに心身に余裕がなくなり、生活保護受給者と円滑にコミュニケーションができなくなってしまうことがあるのです。

(2)ケースワーカーになる経緯

ケースワーカーとは地方公務員の中で生活保護担当の部署に配属された人のことを指します。

福祉事務所のケースワーカーで、元からケースワーカーを志望していた人は少ないようです。

異動により望まずにケースワーカーになる人が多く、異動に関して、地方公務員は決定権がありません。

例えば、地方の役所に勤め、最初は違う部署にいたが、たまたま異動で福祉課に配属された場合、その異動により初めてケースワーカーとして勤務することになります。もちろん最初からケースワーカーになるために勉強をしていきた人もいますが、例外的といえます。

(3)生活保護受給者とケースワーカー間の絶えないトラブル

本来なら、生活状況や経済状況などを逐一報告することが求められる生活保護受給者にとって生活保護に関わる手続きをサポートしてくれるケースワーカーは頼れる存在であるはずです。

しかし残念ながら、2者の間には多くのトラブルが発生しています。具体的なトラブル件数は公表されていませんが、ニュースで報道されているものだけでもかなりの数になります。

実際にあった生活保護受給者とケースワーカー間のトラブルを紹介します。

事故の後遺症で就労できない女性を脅すトラブル

事故による後遺症に苦しみ、就労できないことから生活保護を受けていた女性がケースワーカーから働くように言われ、「就労しなければ生活保護を打ち切る」と脅しのような発言を受けたケースです。

転居の許可を下さず暴言を吐くトラブル

生活保護の規定よりも高い家賃のため、転居を促されていた生活保護受給者が転居先を探してきたのにもかかわらず許可を下さなかったというケースです。さらに、うつ病の患者に向かって「うつ病は治る」「甘えだ」などと暴言を吐いたと問題になっています。

(4)ドラマ『ケンカツ』と現実とのギャップ

ケースワーカーを描いたドラマとして有名なものに『健康で文化的な最低限度の生活』があります。

安定を求めて地方公務員に就職した主人公が、最初に「生活課」に配属され、ケースワーカーとして奮闘するドラマです。

原作は、柏木ハルコさんの「健康で文化的な最低限度の生活」です。

2018年9月18日に放送が終了したこのドラマに、ケースワーカーの仕事に魅力ややりがい、素晴らしさを見出した方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、ネットでは「現実よりも理想が、実情よりも夢物語が描かれている」という批判が、ケースワーカー経験者やその他生活保護事情に明るい人々を中心に持ち上がっていました。

現実とのギャップとして指摘されたのは、主に以下の内容です。

  • 現実のケースワーカーはもっと激務である
  • 現実では女性のケースワーカーは極端に少ない
  • 現実ではここまで受給者一人一人に関わる余裕はない

ドラマの中では、ケースワーカーが親身になり度々相談を聞いている姿があります。しかし、現実のケースワーカーは多くの生活保護受給者を担当しているため、一人ひとりに割ける時間は限られています。

主人公をはじめとする、本作で登場したケースワーカーたちの「親身すぎる」様子に違和感を抱いた方もいたようです。

さらに、『ケンカツ』の主人公は女性ですが、ケースワーカーのほとんどは男性という現状があります。

その他にもドラマ内のケースワーカーの描かれ方と現実のケースワーカーのギャップについてのさまざまな指摘がありました。

ドラマでは回を追うごとに主人公がケースワーカーとしての経験を積み、「受給者」と「ケースワーカー」の相互理解が進むようになります。

そして、2者の相互理解は生活保護受給者の生活状況の改善につながっていました。

『ケンカツ』はフィクションなので、現実に沿わない部分もあります。しかし、生活保護受給者とケースワーカーの相互理解が生活保護受給をめぐるトラブル解決に不可欠であることは間違いありません。

(5)生活保護受給者とケースワーカー間のトラブルをなくすために

『ケンカツ』の内容やネット上の批判、ニュース報道を踏まえ、生活保護受給者とケースワーカー間のトラブルをなくすためにできることを解説します。

相互理解を促進する

生活保護受給者、ケースワーカー共にお互いを理解することが大事です。

お互いが自立や生活を支援してくれる人、相手も人間であるということを意識していくことが課題になってきます。

さらに、行政側も、積極的にケースワーカーへの理解や相互のコミュニケーションを活発にする場を提供する必要があります。

ケースワーカーが働きやすい環境を作る

業務にタブレット端末を導入する、人員を増やすなど、ケースワーカーが働きやすい環境を作ることも大事になってきます。

人員を増やすことはもちろん、仕事が円滑にできるように機械化を進めるなどの対策も必要です。

利用者側の不満を伝えやすいシステムを作る

利用者が不満を感じたときに、すぐに伝えることができれば、どこにトラブルの火種があるのかがわかるため、問題が大きくなる前にその火種を消すことができます。

ケースワーカーと受給者の間のコミュニケーションにおける不満が、当事者以外にも伝わるようにしなければなりません。

(6)ケースワーカーの役割

トラブルを未然に防ぐために、ケースワーカーの役割を確認しましょう。

ケースワーカーの役割は、大きく分けると「生活保護申請者の相談」と「生活保護者の自立サポート」の2つです。

生活保護申請の相談

「生活保護申請の相談」というのは、主に受給希望者との面談のことを指します。

各希望者との面談や調査を通して生活状況や経済状況、求職意志などを総合的に評価し、給付の対象になるかどうかの要否提案をします。

相談とはいいつつも、実情として「その希望者が生活保護の対象となるか」という部分の判断が中心になっています。

生活保護者の自立サポート

「生活保護者の自立サポート」というのは、すでに生活保護を受給している人が自立していけるよう、指導やサポートなどをしていくことです。

仕事探しから生活向上のアドバイス、病院探し、安否確認など、生活全般のことをサポートしていきます。

(7)生活保護受給者に対し行う家庭訪問の目的


出典:https://www.photo-ac.com/

生活保護を受けるようになると、ケースワーカーが家庭訪問を行うようになります。この家庭訪問には以下のような目的があります。

  • 生活状態を把握するため
  • 保護者となる人や家族の生活確認
  • 収入や資産状況の確認
  • 障害や病気などの安全確認
  • 不正受給がないかどうかの確認
  • 相談事などがないかの確認

ケースワーカーの仕事は、生活保護の受給で完結するわけではありません。生活保護受給者の自立を支援するために、その後の生活に変わりがないかどうか、自立するためのアドバイスも行っています。

また、病気や障害、高齢である場合は身体状況についても確認を行っていきます。

ケースワーカーの家庭訪問は生活保護受給者のサポートのために不可欠なのです。

(8)ケースワーカーによる家庭への訪問頻度

ケースワーカーは定期的に家庭訪問を行いますが、その頻度は以下のとおりです。

月に1回+抜き打ち

基本的には、家庭訪問は月に1回ほどです。この訪問で現在の状況を聞くなどをし、現状を把握していきます。

さらに、月に1回の訪問以外に、抜き打ちでの家庭訪問もあります。何か困ったことがないか、倒れていないかといったことを確認するためです。

(9)【生活保護受給者向け】ケースワーカーの態度が悪いと感じたら

受給者側から様々な相談を受けながら激務をこなすケースワーカーの中には、生活保護受給者に対し指導が雑になったり、態度が悪くなったりする人もいるようです。

ケースワーカーの態度があまりにも目につく場合、受給者側が取れるのは以下のような対策です。

  • 納得がいかない指導があれば根拠を聞くようにする
  • ケースワーカーの上司にあたる人物に相談する
  • 支援団体などの専門家に相談する
  • 不服申し立てを行う

まず、指導内容または指導方法に不満がある場合、内容の根拠を聞くようにしましょう。先述したように、ケースワーカーは「公務員」なので、指導内容は法律や条例、上司の指示などに従って行われます。

指導内容や指導方法が理不尽だと思ったら、ケースワーカーの言動の根拠を文書あるいは口頭で質問・確認しておくようにしましょう。

きちんとした根拠に基づいている言動でないと確認できなければ、問題となるケースワーカーの上司に相談することで対応が改められる可能性があります。

上司に相談しても改善がないのであれば、手間はかかってしまいますが支援団体や弁護士に相談するという手もあります。

最終的には、不服申し立てを行い裁判を行うこともできますから、状況によって判断していきましょう。

(10)【ケースワーカー向け】仕事内容の理解に役立つおすすめの本

新人ケースワーカーの方が仕事内容を理解するために、おすすめの本を紹介します。

ケースワーカーになったばかりの方だけでなく、仕事に慣れてきたという方も、本を読むことでモチベーションを上げたり、スキルアップできたりする可能性があります。ぜひ読んでみてください。

プロケースワーカー100の心得

ケースワーカーが、どのように仕事に向き合い、専門性を磨き、窓口対応などの実務のスキルを高めていくかを解説した指南書です。

さらに、生活保護利用者の権利を護るためのポイントもおさえられます。ケースワーカーだけでなく、心理職や対人援助にかかわる仕事にかかわる人にもおすすめです。

 新人ケースワーカーになったあなたへ&「生活保護手帳」活用術

新人ケースワーカーが仕事を理解するための第一歩としておすすめの本です。1,000円以下と手に取りやすい値段で、「生活保護手帳」活用術まで解説している充実の内容です。

Q&A 生活保護ケースワーク 支援の基本

全国公的扶助研究会が半世紀以上かけて培ったノウハウを活かしてまとめた、生活保護現場における支援・実践の基本ガイドシリーズです。ケースワークの使い方を、実践例に基づく50のQ&Aによって解説しています。

(11)生活保護受給者とケースワーカー間のトラブルをなくそう

生活保護とケースワーカーの実態を見ていくと、両者とも厳しい立場に置かれていることがわかります。

生活保護受給者とケースワーカー間のトラブルはさまざまな要因が絡んでおり、当事者だけで解決することが難しいといえます。

トラブル解決のためには、政府や地方自治体による積極的な人手不足解消や経済的に困窮する家庭への支援体制の整備が求められています。

しかし、当事者間でできることが全くないわけではありません。生活保護受給者とケースワーカーの相互理解により、夢物語だと一部で批判された『ケンカツ』のように状況を改善できるかもしれません。

また、生活保護やケースワーカーの給料が税金によって賄われていることをふまえると、国民全員がこうしたトラブルの関係者といえます。多くの人が問題意識を持ち、行政に訴えることで生活保護をめぐるトラブルをなくすことができます。

地域の住民が協力し合い、必要な人が必要な支援を受けられる体制の構築を目指しましょう。

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