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【2019年に改正予定】入管法とは|概要や問題点などを徹底解説!

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2018年12月にスピード可決された改正入管法について、「特定技能1号」「特定技能2号」を中心に、内容やその問題点について解説します。人手不足が特に叫ばれている介護業界にとっても外国人雇用は重要なテーマです。改正入管法への理解を深めて新規雇用に役立てましょう。
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(1)2018年12月に改正案が可決された入管法とは

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/424016

入管法は、2018年12月に改正案が可決されたことから耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。

入管法とは、1951年に施行された法律で、それ以来改正が行われてきました。正式な名称は「出入国管理及び難民認定法」です。通称では、「入国管理法」「入管法」「出入国管理法」「入管難民法」「出管法」と呼ばれることもあります。

入管法は、日本に出入国するすべての外国人に対して、公正な管理を行う法律です。外国人の在留手続きや難民の認定などについて、定めています。

1982年に一度改正された入管法ですが、さらに2018年12月8日に、第197回国会(臨時会)で、「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律」が成立しました。この改正案は、与党による強行採決で決まりました。

(2)改正案の主軸

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1872769

強行採決されてしまった入管法ですが、改正案の主軸は以下の3つです。それぞれ見ていきましょう。

  1. 一定技能が可能な業務に就く「特定技能1号」と、熟練技能が必要な業務に就く「特定技能2号」の在留資格を新設する

    改正後の入管法で新設された資格に対して野党からは「これまでの外国人技能実習制度の規制が大幅に緩和されてしまった」という厳しい追及があり、メディアでも話題となりました。
  2. 人材確保が困難な産業分野で外国人を受け入れる。人手不足が解消された場合、一時的に受け入れを停止する

    2025年までに外国人労働者人数は50万人程度増加すると言われています。これは、外国人の受入れは必要ですが、生産性向上や国内人材確保のための取組みを最優先として、それでも足りない場合に外国人で補うという意味です。

    しかし、問題とされているのは外国人が増えても、その人材は本当に不足している職業には影響しないのではないかという点です。例えば、建設や農業に関しては外国人のおかげで人手不足を補うことができるとされていますが、病院関係や介護などは人手不足の改善が見込めるとは思えないという意見も多いのです。
  3. 「出入国在留管理庁」を新設する。従来の審査用務に加え、共生に向けた受け入れ環境整備に取り組む

    3つめは、出入国在留管理庁を新設するという内容です。出入国在留管理庁とは、2019年4月に新設される予定です。出入国在留管理庁は、現在の入国管理局とは別で、基本的な任務を担当する補助機関の役割を持ちます。入国管理局は内局ですが、出入国在留管理庁は外局です。今後の外国人受け入れ数の急増を予想し、適格なサポートができるように親切されるのが出入国在留管理庁です。

(3)新設された在留資格「特定技能1号」とは

入管法で新設された在留資格である「特定技能1号」は、一定の知識や経験が必要な業務に就く人材に対して日本語試験・技能試験によって認められるという資格です。例えば、介護分野における特定技能「介護」であれば、介護福祉士の国家資格と日本語検定などが対象の技能試験となるのです。

在留資格「介護」と技能実習生などその他外国人介護士のための制度についての詳しい記事はこちら

メリットばかり?外国人介護士の雇用にデメリットやリスクはあるのか

特定技能ビザ1号の対象となる業種は、以下の14項目です。

  1. 建設業
  2. 造船・舶用工業
  3. 自動車整備業
  4. 航空業
  5. 宿泊業
  6. 介護
  7. ビルクリーニング
  8. 農業
  9. 漁業
  10. 飲食料品製造業
  11. 外食業
  12. 素形材産業
  13. 産業機械製造業
  14. 電気電子情報関連産業

これまで受け入れ可能だった業種から、一気に範囲が拡大することで多くの外国人が日本で就業することが可能になります。「特定技能1号」の在留資格は通算で5年間です。5年たったら帰国することが前提となっており家族の同伴は認められません。

(4)新設された在留資格「特定技能2号」とは

さらに、入管法で新設されたのが「特定技能2号」という資格です。

「特定技能2号」とは、熟練した技能が必要な業務に就く人材に対して、在留期間の更新が認められ、さらに家族の帯同も許可する資格です。

特定技能ビザ2号の対象となる業種は、2業種です。

  1. 建設業
  2. 造船・舶用工業

特定技能1号に対して2号は日本滞在期間に制限がありません。いつ国に帰ることができるかわからないため、家族(配偶者と子)を連れてくることも可能になります。

(5)既存の外国人技能実習生制度との違い

外国人が日本に来るための制度には「外国人技能実習生制度」があります。「外国人技能実習生制度」は、どのように違うのでしょうか。

新しい在留資格「特定技能」と今までの「技能実習」の違いは、今までは受け入れできなかった「単純労働者」の受け入れが可能になるという点です。

また、「技能実習」の場合、在留期間には上限があり、家族を連れてくることもできませんが新しい「特定技能」の場合、在留期間の制限がないこともあり得、家族を連れてこられる可能性もあります。

外国人技能実習生制度に関しては下記の記事で詳しく解説しているので、併せてごらんください。

外国人技能実習制度とは | 問題点・改正内容・介護固有要件など

(6)改正案は事実上の単純労働受け入れ?

今までは外国人技能実習生制度を利用して、日本に外国人が来ていました。技能実習制度の目的は「我が国で開発され培われた技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う人づくりに協力することを目的とする制度」とされています。

母国に帰ってから役立てることができる知識や技術を習得することが目的であり、外国人を安い賃金で単純労働に従事させるための制度ではありませんでした。

しかし、技能実習制度で日本に来た外国人の仕事内容や労働環境が昨今問題視されるようになり、そうした動きの中で新しい入管法で外国人労働者の枠組みを拡大したことで、事実上の単純労働の受け入れではないかという批判が出ています。

政府は、これを否定していますが、今後どのように入管法が適用されていくのか不安とする声もあります。

(7)外国人労働者の労働環境はどうなる?

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1504359

技能実習生として日本にわたってきた外国人労働者の中には劣悪な環境での労働を強いられている人もいます。

外国人労働者の問題として、契約書がないか口頭で伝えられて終わりになるケースが多いと言われています。契約書があったとしても日本人労働者に対する契約書とは異なり、内容が守られていないケースも少なくありません。

また、仕事を見つけたとしても長時間労働を強いられ、身体を壊す外国人もいます。他にも、賃金の未払い、各種手当の未払い、 有給休暇がない、いじめられる、パワハラがある…など、外国人労働者は日本人労働者以上にひどい扱いを受けているケースがあります。

外国人労働者は、そうした劣悪な環境から失踪してしまう人もいます。政府による調査では、失踪の動機に対して、「待遇が最低賃金以下であるから」と言う回答を0.6%と説明していました。

しかし、実際には67%が最低賃金以下の状態で働いていたことが分かりました。山下貴司法相は分析結果を重く受け止めることを前提に「聴取票は外国人実習生からの申し出を機械的にとりまとめたもので、ただちに最低賃金以下とは認定できない」と主張していました。

こうした政府の外国人労働者へのヒアリングの甘さを示唆するような事件も相まって、改正入管法は多くの批判を受けています。

(8)入管法によって不足する人材を補えるか

入管法がこれほどまでにスピード可決されたのは、日本の人材不足が進んでいることが原因です。確かに、現在は日本国内のさまざまな業界で、人材がたりない状態です。

今回、人手不足により入管法で外国人労働者を希望する業種は、14業種もある状態です。

人手不足が叫ばれている現代では、彼等人手が不足している業種にとっては、入管法は人材不足へアプローチする切り札となる可能性が高いのです。

人が足りないなら、日本人で補えばいいという意見もありますが、日本は超高齢化社会です。年々働ける人の数は、減っていき本格的に働き手の現象が始まっているのです。

状況だけ見ると、外国人労働者は日本に必要な人材と言わざるを得ません。外国人労働者のための適切な労働環境の整備が進めば、日本は不足する人材を補え、外国人労働者は技術を身に着けながらお金を稼げるというお互いにとって良好な状況を作り出すことが可能なはずです。

(9)課題は多く残されたまま

改正入管法をスピード可決することは必要なのでしょうか。十分な議論がされていない状況で、外国人を多く受け入れることは危険もあるのではないでしょうか。

自民党・平沢勝栄衆議院議員の発言「この問題は議論したらきりがない。いくらでも問題点が出てくる」は、まさに今の状態を現しています。「問題があるけど議論しても終わりがない、結果が見えないから、強行採決した」ことを意味している発言と言えるでしょう。

今回の入管法改正案は、具体例が出ていないこともわかりにくさに拍車をかけています。入管法改定案について人手が不足している業種は期待しています。しかし、外国人労働者を雇用している企業での問題やトラブルも多く、課題は多く残されたままと言えます。

今後、国民に受け入れてもらうためにも、成功事例を多く出す必要がありそうです。

(10)入管法の今後に注目

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2255841

介護や建築などの業種では、慢性的に人手が足りていないと言われています。求人はあっても、その求人に応募する人材が不足しているのです。そのような事態を解決するための手段として、改正入管法は有効かもしれません。

しかし、外国人労働者が本当に安全な存在なのか、差別は起きないのか、などの多くの課題と疑問が残されています。

そうした入管法に今後も注目していく必要があるでしょう。

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