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「2025年問題」で変わる医療・介護業界|個人がとるべき対策など

社会問題
2025年に団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となることで、社会保障費・医療費の増加など医療業界に影響を与えうる「2025年問題」。2025年問題はもう目の前に迫っている問題といえます。そもそも2025年問題とは何なのか、またそれが医療業界にもたらす影響、医療業界の方がとるべき対策は何なのか解説していきます。
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(1)そもそも2025年問題とは

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1504436

2025年頃には、1947年から1949年生まれの団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)になり、後期高齢者の人口は日本の人口の約20パーセントになると考えられています。

後期高齢者の激増に伴って考えられる産業構造の変化、そして医療、介護、社会保障費の急増などのたくさんの問題があります。これらの諸問題はまとめて「2025年問題」と言われています。

2025年までそう遠くはありません。医療業界でどのようなことが起きるのか把握し、この業界の方また、目指している方は早めに対策を立てておく必要があります。

2025年問題により医療業界にどのような変化がもたらされるのか、またどのような対策が必要か解説していきます。

(2)医療に対する問題① 医療業界の人手不足

ニュースで病院のたらいまわしや医師の過労などが報じられることがあります。この理由の1つとして、医師不足があげられます。

その一方で、2025年問題である超高齢化社会の進行にともない、医療を必要としている人の人数が一段と増えていくことが考えられます。このような状況に対し、国は在宅医療を推進しています。

厚生労働省の推計によると「在宅医療等の新たなサービス必要量は、2025年に向けて、約30万人程度となる」とされています。

2025年問題では、医療・介護業界の人出不足が深刻な問題となっており、その解決に向けて近年では外国人労働者の受け入れが進められています。

(参考:厚生労働省在宅医療等の新たなサービス必要量に関する考え方の整理(その2)

(3)医療に対する問題② 認知症患者の急増


出典:https://www.photo-ac.com/

近年、認知症を原因とする行方不明や交通事故などのニュースが報じられることが多くなっています。2012年の統計では、認知症の患者数が462万人であり、65歳以上の高齢者の7人に1人が認知症患者といわれています。

認知症患者の急増

また、九州大学大学院の二宮教授達の将来推計によると、認知症患者数は2025年に約650~700万人となることが予測されています。つまり、2025年には5人に1人が認知症患者になる可能性が高いと考えられます。

このように、2025年問題では認知症患者の急増が問題となっています。

認知症については患者を孤立させないことが社会にできる対策の一つとして考えられており、認知症患者の社会参加を通して、社会の理解と共存を進めていくことも必要になっています。

そして、医療機関においては一層認知症への理解を深めることが必要になっています。

(4)社会保障制度・年金の問題も医療業界に影響してくる

セーフティネットであるはずの社会保障や老後の年金などの制度ですが、2025年問題の影響を受ける可能性が指摘されています。その中でも、医療や介護の需要増大による医療費の増加は、2025年問題の大きな課題の一つです。

社会保障費の中でも医療給付金の抑制が想定され、医療機関の経営が圧迫されることも考えられています。

そして医療費の増加が原因となる社会保障費の負担増加の一方で、労働人口の減少が予測されています。また、年金については、支給開始年齢の引き上げや年金支給額の減少など、これまでとは異なる状況を迎えつつあります。

医療機関も経営の中で、役割の明確化・時代のニーズに沿った医療・医療機関の連携など、2025年問題の解決に向けた新たな対応が必要とされてきています。

(5)2025年問題に向けた医療業界の対策① 地域包括ケアシステムの導入

今後、1人暮らしや夫婦だけの高齢者世帯が多くなることが予測されています。

そのため、地域で暮らす高齢者が住み慣れた地域で過ごしていけるようにするための「地域包括ケアシステム」が各市町村で推進されています。

この地域包括ケアシステムにより、高齢者への介護予防や在宅医療がサポートされることになります。

以前は、医療・介護・保険とそれぞれによるサービスを提供していましたが、2025年問題への対策として医療や介護、保険など各分野の専門家たちが相互に連携をとる体制が構築され始めています。

包括ケアシステムについて詳しく知りたい方はこちら

(6)2025年問題に向けた医療業界の対策② 医療・介護制度の見直し  

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/232833

急速に進む高齢化では医療や介護の需要が大きくなることから、国では「予防・健康管理」および「自立支援」に軸足をおいた医療・介護制度の稼働を打ち出しています。

2017年の介護保険法改正においても、2025年問題が見据えられており、高齢者の介護保険からの自立推進や重度化防止が盛り込まれました。

介護予防サービスの提供

例えば要支援1と要支援2の人たちにはリハビリにより、介護に頼らずに済むようにするための介護予防サービスの提供などがあります。介護保険にできるだけ頼らずに健康で自立した生活を高齢者に過ごしてもらうことにより、医療や介護にかかる費用を抑える効果が期待されています。

医療費は毎年1兆円という規模で増大を続けており、2025年には54兆円になるという予想があります。2025年問題の解決に向けた医療や介護制度の見直しは、身近なところからも始まっています。

介護予防について詳しく知りたい方はこちら

(7)2025年問題に向けた医療業界の対策③ 人手不足解消

介護を続けていくには体力的に厳しいという理由による、介護の離職率の高さに関するニュースを耳にすることがあります。そこで2025年問題で予測されている介護の人手不足を解消すべく、介護関連分野でのロボットの活用が進んでいます。

3種類のロボットがある

現在のところでは、介護支援型、自立支援型、コミュニケーション・セキュリティー型の3種類の介護ロボットがあります。

具体的には、介護支援型ロボットであれば、移乗支援・排泄支援、自立支援型ロボットであれば移動支援、コミュニケーション・セキュリティー型ロボットであれば認知症の方の見守りが挙げられます。

介護業界でのロボットの実用化は少しずつ進められており、ロボット導入による介護従事者の負担の軽減や業務の効率化を図っています。2025年問題への対策の一つとして、介護ロボットに大きな役割が期待されています。

介護ロボットについて詳しく知りたい方はこちら

(8)2025年問題に向けた医療業界の対策④ 医療業界間でのネットワーク構築

これからの医療は病院だけではなく、地域で支える体制に移行していくことになります。2025年問題に向けた対策として在宅医療が推進されています。

地域での在宅医療の実現については、医師・訪問看護師・介護士等の多職種間での情報共有が必要となっています。そこで、患者や利用者の在宅医療や介護等サービスに関する情報共有については、ICTの活用が考えられています。

初期情報とサービス状況の共有

なお、ここでの共有する情報とは「在宅移行時の初期情報」と「在宅医療・介護サービス中の状況・状態情報」が挙げられます。

「在宅医療・介護サービス中の状況・状態情報」には、生活状況・診療・治療記録などが含まれており、多職種間の情報共有における利便性向上が期待されています。2025年問題の対策として、ICTやAIなどの活用により、効率的な業務を進めていくことも必要になっています。

(9)2025年問題に向けた医療業界の対策⑤ 患者・地域に寄り添った医療

年齢を重ねるにつれ、生活習慣病などの慢性的な疾患が多くなります。

2025年問題では後期高齢者の急増が予測されているため、更なる在宅診療の患者数の増加が予想されています。特に国内の各地域では、病状が落ち着いてはいるものの治癒には至っていない人や回復し始めている段階の人を担当する医師が必要になってきています。

また、病院には患者の年代などの地域の状況に合わせ、2025年問題を乗り越えるためのニーズを満たしたサービスを提供することが求められています。

(10)医療に関する2025年問題にむけて早めに対策をとることが重要

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/403286

2025年問題への対策は多岐にわたって展開されています。

そのうちでも柱となる地域包括ケアシステムを実現させていくためには、医療や介護、予防だけではなく、福祉サービスや生活支援サービスも含めて相互に連携をとることが欠かせません。

介護ロボットの導入や各自治体での地域包括ケアシステムの拡充が進められており、2025年問題の解決への期待が寄せられています。

しかし、医療業界の人手不足や認知症患者の急増など、医療を巡る2025年問題の解決には高い壁が存在しています。そこで、ICTやAIなど情報通信分野との連携によるサービスの効率化を取り入れることが有効な対策として考えられています。

また、2025年問題を意識し、個人個人が日々の生活の中で予防介護に取り組むことも大切です。出来る限り医療や介護を受ける状態にならないよう、生涯現役のための取り組みを早いうちから心がけてみてはいかがでしょうか。

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