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介護事故を防ぐには|死亡事例、種類、原因を徹底解説

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介護事故を防ぐには事故を無くすためのシステム作りが重要です。これを実現するには形だけのシステムにならないように看護職員全員で事故システムに積極的にかわかり、常に目的意識を持つことが大切です。 本記事では、「介護事故」に関して、介護事故の事例、種類、その原因などに関して、まとめて説明していきます。
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(1)介護事故とは

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1889668

介護事故とは、簡単にいうと「介護サービスの間に発生する人身事故のすべて」を指します。要介護者が事故に遭うことはもちろん、介護従事者が被害に遭うことも介護事故に含まれています。

報告が義務付けられている

介護の現場で事故が発生した場合は、事業所や施設はその詳細を市町村に報告する事が義務づけられています。

介護現場での事故やトラブルは、細心の注意を以て行動していても起こる時は起こってしまうものです。介護現場での事故は、利用者に危害が及んだり、介護職員の心的外傷となったり、最悪のケースでは裁判にまで発展することもあります。

介護現場で、事故が絶対に起こらないようにするにはほぼ不可能です。しかし、事故を防ぐための準備を万全にし、起こり得る事故について事前に把握していくことはとても重要だといえます。

(2)介護事故の事例

介護事故と一言で言っても、様々な事例があります。

被介護者を転倒させてしまった、窒息させてしまったなど色々な事故があります。以下で事例の一部を紹介します。

認知症対応型共同生活介護事故

入居中に朝食をのどに詰まらせて脳死状態になった方がおり、医師の診断によると詰まらせた後の窒息状態が長く、回復は難しいとの説明を親族は受けた。

管理者側はすぐに救急車を呼んだと言うが、医師との説明と話しが違うため、詳しく説明をしてほしいと言ったが、管理者は自分はそこにはいなかったのでわからないと言っていた。

短所入所生活介護事故

ショートステイ利用中、両肩を骨折した。その後病院に施設相談員が立ち合い、理事長も自宅にきたが謝罪はなく事故の説明もなかった。事故は午前7時頃に発生したが、連絡を受けたのは午後3時すぎで、対応の遅さに不満があった。

(3)介護事故の死亡事例

一歩間違えると、些細なことから死亡事故につながってしまうこともあります。以下で、死亡事故に繋がってしまった事例の一部を紹介します。

死亡例① 誤嚥による死亡事故

長野県の特別養護老人ホームの食堂で、おやつの際に女性入所者(当時85歳)に誤ってドーナツを配った。女性は、ドーナツをのどに詰まらせて心肺停止状態になり、1ヶ月後、低酸素脳症で亡くなった。亡くなった女性は、食べ物をまるごと飲み込む癖があり、事故が起きる1週間前に、おやつはゼリー状のものに変更されていた。

死亡例② 薬の服用による死亡事故

東京都足立区の特別養護老人ホームで薬のアレルギーのある男性入所者(当時80代)に対して前日の朝に別の入所者の薬を誤って服用させたことによって意識不明となり、病院搬送後に死亡した。

(4)介護事故は年々増加している

2000年に介護保険制度が施行されて17年になりました。介護保険の利用者は年々増え、それに伴い、介護事故も増加傾向にあります。

厚生労働省の発表によると、2019年1月末時点の要介護・要支援認定者は、656万人(男性206万人、女性450万人)で、2015年と比較すると35万人以上増加しています。

(参考:厚生労働省「介護保険事業状況報告の概要」

その結果、介護事故の件数も年々増えています。

(参考:厚生労働省

このように介護事故が増える理由の一つには、介護人材の不足が挙げられます。

いくつかの施設・老人ホームなどにおいては、人手が不足しているため、また介護経験の浅い人材や未経験の人材も介護業務にあたっているケースがあります。

その際、要介護者の身に危険が生じた際、経験不足から焦りや戸惑いなどからミスをしてしまい、事故につながってしまったりするケースが多くなっているのです。

(5)介護事故の種類

介護現場で事故が発生した場合、事業者や施設は市町村に報告をする事が義務づけられています、その中でも介護の事故の発生頻度の高い上位4種類の事故は、下記のとおりです。

  • 転倒
  • 転落
  • 誤嚥、誤飲
  • 介護ミス

転倒の事故で最も多いのは、歩行中の転落や座位を保てずに転落した事故です。転落事故は、車イスからの転落、ベッドからの転落などです。

誤嚥、誤飲事故で多いのは食べ物をのどに詰まらせたり、唾液の誤飲です。最悪の場合、誤嚥によって誤飲性肺炎を併発してしまう事もあります。

介護ミスの事故には、体位交換の時の介助中に骨折をさせてしまったり、利用中の皮膚を傷つけてしまったりする介護ミスが含まれます。

(6)介護事故の原因① 人的要因

介護中に事故が起こった時の介護事故の要因を分析してみると、まず人的要因が考えられます。人的要因には、利用者本人に潜んでいるリスクと支援する側(職員、家族、地域の人)に潜んでいるリスクがあります。

たとえば、要支援者が入浴中に浴室内で滑って転倒してしまった原因が支援者が床を確認することができなかった、あるいは滑った時に下半身が踏ん張りきれなかったなどの事故の場合、その事故は支援者側の人的要因が引き起こしたということになります。

転倒事故が最も多い

人的な要因の中で最も多いものとしては、ベッドと車イスを移動する際に発生する転倒事故です。

介護する側の体調が悪かったりすると集中力がなくなって怪我を負わせたり、利用者側も日々の健康状態も変わるので健康管理が悪いと自分でケガをしてしまう事もあります。

介護は人と人とのつながりで成り立っています。介護する側が体調が悪いと集中力が低下して事故を起こしてしまう事もあります。利用者側も日々の体調管理に気をつけつけておくことも事故を防ぐには大切です。

(7)介護事故の原因② 物的要因

介護事故の物的要因の多くは、福祉用具を使用していた時にモノで起こった事故が一番多いです。

福祉機器が介在している事故は、移動・移乗時、歩行中、車イスに多く、転倒・転落など人に起因したものが多くあります。

製品に起因しない場合も多い

福祉機器の中で特に死亡事故が多いのは、介護ベッドと電動車イスです。

しかし、製品に起因する事故に比べ、製品に起因しない事故は発生件数も多く、重症な被害を発生させていることがわかっています。

つまり、介護事故の大多数は福祉機器が原因ではなく人為的なミスが原因ということになります。

(8)介護事故の原因③ 環境要因

環境にリスクのある介護事故は、ベッドや物の場所、部屋の間取りなど日常生活を送る環境で起こる事故のことをいいます。たとえば段差につまづいて倒れた、福祉用具が利用者の体に合わなくて事故を起こしたなどです。

このような事故を防止するには老化した段差やベッドの高さ、照明や車イスの品質を介護する側が様々な事に目を向けるようにし、細心のチェックをしていく必要があります。

設備の老朽化などは、改善しても日々変動していくリスクです。支援者側は、環境の変化にすぐに気付くようにし、環境整備は常に手を加える事が大事になってきます。

(9)「介護事故の防止のために」ではなく、「利用者の生活のために」

介護の現場の事故報告を見ると、大きな事故にはならなかったがその危険性が高かったパターンに関する報告が複数あがっているのがわかります。

介護事故をなくし、防止していくためには、事故防止策や再発防止策が必要になってきます。

ただし、ただでさえ人手が不足している介護施設において、「Aというリスクがあることが分かったから、Bというシステムを導入しよう!」といった具合に全体の仕事をいっぺんに変更することは、かなり難しいことであるといえます。

そこで、ここでは介護事故の防止のために、介護従事者個人個人がすぐに意識してできることを挙げ、まとめていきます。

要介護者が介護サービスを受ける初めての日は特に注意をする

サービス利用者に関する情報がまだ乏しいうちである介護初日は特に利用者から目を離さないようにし、利用者の身体機能や認知機能、健康状態、服薬状況を必ず確認するようにします。

そういった情報を得る際はただ覚えるのではなく、それらの事項から考えられる各種リスクについても考えを巡らせることが重要です。

サービス利用者の生活の変化に注意して観察する

忙しい中でも担当するサービス利用者の生活を毎日できるだけしっかり観察し、その生活における日々の変化に注目しましょう。

なぜなら、サービス利用者の生活が変わるとその生活に潜む介護事故から考えられる介護リスクの種類も度合いも大きく変わっていくからです。

「生活における利用者の変化」といっても、微々たる変化まですべて気付けるほどの余裕はないかもしれません。

そこで、少しでも体調や身体機能の変化が疑われることがあったなら、サービス利用者本人やその家族に直接聞いてみるのも一つの手でしょう。さらに、観察して何か気付いたことがあった際に、そのことを他のスタッフと共有することも忘れずに行うようにしましょう。

このように、介護施設における介護事故を防ぐ際に重要なことの一つは、「サービス利用者の『生活』を注意してみる」ということだといえます。

介護事故を防ぐ方法をについて詳しくはこちら

(10)介護事故が起こってしまったら

介護事故を起こして重大な事故になった場合、損害賠償請求の問題や事業者の経営に悪影響を及ぼすこともあります。万が一事故を起こした時には、迅速な対応が大切です。対応の流れは下記のとおりです。

  1. 事故発生直後の対応は、利用者の生命の確認をし、安全を確認します。
  2. 落ち着いて状況を把握し、次に応急処置をします。
  3. 介護保険の保険者に電話連絡をし、事故報告を提出します。

事故はきちんと報告する

介護施設は必ず行政への対応が必須で、重大な介護事故は市町村に事故報告書を提出するように介護保険法により決められています。利用者、家族に対して介護事故を起こしてしまったことを誠意をもって謝罪します。

介護事故の後にスピーディに対応するには、日頃から事故対応マニュアルを作成し、しっかりと事前の準備をしておくことが大切です。

厚生労働省も「社会福祉施設の安全管理マニュアル」を作成しています。参考にしてみてください。

(11)介護事故は事前に対策を立てて予防しよう

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1079572

介護事故を防ぐには、想定される事故を見つけ出し、どのような場面で事故が多いのか把握し、事故対策をスタッフで共有していくリスクマネジメントの取り組みがとても重要になります。

事故やヒヤリハットが発生した時に、危険性を分析し対処の緊急性によって分類し、事故防止のための報告書を作成し事故防止のための専門委員会からアドバイスを受け、事前に対策をたてて介護事故を予防するようにします。

介護事故の後にスピーディに対応するには日頃から事故対応マニュアルを作成し、しっかりと事前の準備をしておくことが大切です。

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