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障害者手帳の等級 | 持つメリットや受けられるサービス

ノウハウ
障害者手帳は3種類あります。障害者手帳を取得することで受けられる支援やサービスは多くありますが、手帳の種類や等級により大きな差があります。本記事では、3つの種類の障害者手帳とそれぞれの等級、受けられるサービスを詳しく解説していきます。
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(1)障害者手帳は3種類ある

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2101415

障害者手帳は身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳や療育手帳と、3つ種類があります。

それぞれの手帳には障害の重さにより等級が定められており、受けられる公的支援制度が異なります。

障害者手帳は、障害により生活上・社会上でなるべく不便を感じないような生活を送れるようになるよう、援助を受けるための証明書と言えます。

▼身体障害者手帳

▼精神障害者保健福祉手帳

▼療育手帳

以下、3種の違いについて解説していきます。

(2)身体障害者手帳と等級

身体障害者手帳が交付される障害

身体障害者手帳は、身体障害者福祉法で定められており、各都道府県(指定都市・中核市)で交付されます。

以下に挙げられる障害がある人が交付を受けることができます。

  • 視覚障害
  • 聴覚又は平衡感覚の障害
  • 音声機能、言語機能又は咀嚼機能の障害
  • 肢体不自由
  • 心臓、腎臓又は呼吸器の機能の障害
  • 膀胱又は直腸の機能の障害
  • 小腸の機能の障害
  • ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害
  • 肝臓の機能の障害

(いずれも一定以上で永続することが要件)

身体障害者手帳の等級

これらの障害をさらに細かく15種類に分類し、障害の重さに応じて、1級から6級(7級)までの等級が定められています。

1級が最も重度で、数字が大きくなるほど軽度になっています。7級は1つ当てはまるだけでは障害者手帳はもらえません。

7級の障害が2つ以上重複する方で、四肢や体幹に異常がないにも関わらず立ったり歩いたりする動作が困難な場合に取得が可能となります。

身体障害者手帳の等級
障害の種類 等級 備考
視覚障害 1~6級
聴覚障害 2~4、6級
平衡機能障害 3と5級のみ バランスをとって歩いたり、動いたときに物をぶれないように見たりすることに障害がある場合
音声機能、言語機能、咀嚼機能の障害 3級と4級のみ 先天性や病気・外傷によって言葉を発することや食べ物を噛んで飲み込む機能に障害がある場合
肢体不自由(上肢) 1~7級 上肢(肩関節、肘関節、手関節、手指)で欠損や機能の障害がある場合
肢体不自由(下肢) 1~7級 股関節や膝関節足関節、足指の機能障害や下肢の欠損や切断などにより立ったり歩いたり、座ることに障害がある場合
肢体不自由(体幹) 1,2,3,5級 頸、胸、腹部、腰などで麻痺や運動失調、変形などがあり座ったり歩行することに障害がある場合
乳幼児期以前の非進行性脳病変による運動機能障害 1~7級 脳性麻痺などで姿勢や運動に障害がある場合。上肢の機能障害と移動機能の障害に分けられています
心臓機能障害(内部障害) 1,3,4級 ペースメーカーの植え込みや心機能の異常により日常生活が制限される場合
腎臓機能障害(内部障害) 1,3,4級 血液透析や腎臓機能の障害、それに伴う症状により日常生活が制限される場合
呼吸機能障害(内部障害) 1,3,4級 呼吸機能障害による呼吸困難で日常生活が制限される場合
膀胱、直腸の機能障害(内部障害) 1,3,4級 腸管や尿管のストマ(人工肛門・人工膀胱)や高度の併設機能障害があり日常生活が制限される場合
小腸機能障害(内部障害) 1,3,4級 小腸の切除や疾患により永久的に小腸の機能に著しい低下があり、栄養維持が困難で中心静脈栄養や経腸栄養が必要な場合
ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害(内部障害) 1~4級 HIVウイルスに感染し一定の症状がある場合
肝機能障害(内部障害) 1~4級 肝臓の疾患や肝移植などにより一定の症状がある場合

内部障害とは、外見からは分からないが、身体の内部に障害がある場合を言います。

身体障害者手帳では、1・2級を重度として扱いますが、内部障害の場合は3級も重度として扱われる場合があります。

(3)精神障害者保健福祉手帳と等級

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/660384

精神障害者保健福祉手帳が交付される疾患

精神障害者保健福祉手帳は、何らかの精神疾患により長期間にわたり日常生活や社会生活への制約がある人が様々な支援を受け自立して生活し、社会参加できるように精神保健福祉法で定められています。

精神保健福祉手帳の対象となるのは全ての精神疾患で、代表的なのは以下の疾患です。

精神疾患代表例

  • 統合失調症
  • うつ病、躁うつ病などの気分障害
  • てんかん
  • 薬物やアルコールによる急性中毒や依存症
  • 高次脳機能障害
  • 発達障害(自閉症、学習障害、注意欠陥多動性障害など)
  • ストレス関連障害など

知的障害と精神疾患の両方がある場合は両方の手帳を受け取ることができます。

手帳の交付を受けるためには精神疾患による初診から6か月以上経過していることが必要です。

精神保健福祉手帳の等級

精神保健福祉手帳では、疾患に関わらず、どの程度日常生活に制限があるかで等級が決められています。

等級は1~3級の3つに分けられており、1級が最も重度となります。

  • 1級:精神障害によって他者の援助なしでは身の回りの事や外出ができず、常に一人で日常生活を送ることができない状態。
  • 2級:精神障害によって日常生活を送るために援助は必要であるが、常には必要とせず、一人で外出したり簡単な作業なら行える程度の状態。
  • 3級:日常精神障害者保健福

    生活は概ね援助なしで送れるが、状況や複雑な物事で援助が必要となる状態。

精神保健福祉手帳では、2年ごとに更新があり、その時の病状により等級が変更される場合があります。

(4)療育手帳と等級

療育手帳が交付される人

療育手帳は、知的障害のある人が一貫した指導や相談などの支援を受けられるよう交付されています。

療育手帳は他の障害者手帳と違い法制度はなく各都道府県や指定都市が独自に行っています。厚生労働省が「療育手帳要綱」を策定し統一を図っています。

手帳の名称も各都道府県によって異なり、東京都では「愛の手帳」、名古屋市では「愛護手帳」としています。

療育手帳の等級

療育手帳の等級は各都道府県・指定都市で異なりますが、判定には原則として知能指数(IQ)が使われます。IQと日常生活の能力などを総合的に判断して決められています。

IQの基準値は各自治体で異なりますが、イメージがつきやすいよう、以下に具体例を挙げていきます。

東京都の場合

療育手帳(愛の手帳)は1~4の4段階の等級に分類されています。

等級 IQ
1度(最重度) 19以下
2度(重度) 20~34
3度(中度)

35~49

4度(軽度) 50~75

大阪市の場合

療育手帳はA、B1、B2の3等級に分けられています。

等級 基準
A(重度) 知的障害において日常生活において常時介護を必要とする状態。
B1(中度)

社会生活を営む能力の障害が中度~重度の人。IQが概ね36以上50以下で行動・医療保健面ではあまり介助を要しない場合。

またはIQが概ね51以上75以下で行動・医療保健面で介助を要する場合。

B2(軽度)

IQが概ね51以上75以下で社会生活を営む能力の障害が軽度~中度であり、行動・医療保健面ではあまり介助を要しない場合。

またはIQが概ね36以上50以下で社会生活を営む能力の障害が軽度で、行動・医療保健面で介助を要しない場合。

自治体により基準は異なりますが、どこの自治体も概ねIQ75以下の人が療育手帳の対象となっています。

(5)身体障害者手帳の等級認定基準の変更点

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1504436

平成30年である今年は、身体障害者手帳の認定基準の視覚障害と腎臓機能障害について一部が変更されています。

視覚障害の認定基準の変更点は以下のとおりです。

  • 視力の評価基準を「両目の視力の和」から「良い方の眼の視力」に変更
  • 視野の評価方法を「ゴールドマン視野計のみ」から「自動視野計」による基準を追加

いずれも評価方法を見直し、日常生活で利用する実際の視力に近い基準に変更されています。

腎臓機能障害の認定基準では、「内因性クレアチニンクリアランス値」と「eGFR」といった腎機能を評価する値で指標を変更し、認定を必要とする人がこぼれ落ちないような適当な評価指標に変更しています。

(6)身体障害者手帳を持つメリットと等級による違い

身体障害者手帳を取得することで、様々なサービスや支援を受けることができます。

医療費の助成

自立支援医療のひとつである更生医療という制度を利用することができます。更生医療は、18歳以上の身体障害者の医療費の負担を軽減するための、国による公費負担制度です。障害の軽減や進行予防に関する治療を受ける場合、医療費の自己負担が原則1割となります。(18歳未満は育成医療の対象となります)

さらに自治体による助成制度が追加で受けられ、自己負担額が軽減される場合もあります。

補助具の助成

障害のある人が日常生活を送るために必要な車椅子や視覚障害者用の眼鏡、盲人杖、補聴器などの購入や修理にかかる費用の助成を受けられます。

基本的に9割の助成がおり、1割の負担額で購入や修理が可能です。

リフォーム費用の助成

障害のある人が生活しやすくするために自宅の手すりの設置や段差をなくすリフォームを行う場合は、リフォーム費用の一部が助成されます。

助成の上限額は障害の種類や等級により異なります。

様々な手当

障害のある人本人や、障害のある子どもを養育している人に対し様々な手当があります。

国の制度では「特別児童扶養手当」や「特別障害者手当」、「障害児福祉手当」などがあり、その他にも都道府県や市区町村ごとに手当が支給されます。

障害基礎年金

国民年金に加入中に交通事故や病気で日常生活に著しい支障のある障害の状態になった場合に年金が支給されます。

税金の軽減

納税者本人か配偶者(控除対象者)、扶養親族などが障害者手帳を持っていると障害者控除などの所得控除を受けることができ、それにより所得税や住民税が減額されます。

障害者手帳を持つ本人が車を所有する場合は自動車税などを減免できる場合もあります。

減額の内容や対象となる等級は自治体により異なります。

公共サービスの割引

公共交通機関では、鉄道やバスなどで運賃の割引を受けられます。タクシーや飛行機、船、高速道路でも割引の制度があります。

NHKの受信料も半額や全額の割引を受けることができます。

大手の携帯電話会社でも基本料金の割引制度が設けられています。

その他にも博物館や美術館、動物園などの施設で入場料が割引になることが多くあります。

駐車禁止等除外の標章の交付

障害のある人が駐車禁止規制が行われている道路に駐車する場合、ステッカーを提示することで駐車禁止規制の除外対象となります。

障害者枠での就職が可能

障害者雇用促進法により、民間企業では障害者を従業員全体の2.2%以上雇用しなければならないと定めています。つまり常勤職員44.5人以上の企業は一人以上障害者を雇わなくてはいけないということです。この基準は2018年4月に引き上げられたものです。

障害者手帳を持っていることで、一般枠はもちろん、障害者枠でも応募することができます。

その他にも自治体によりきめ細やかな支援制度があります。

しかし、これらの制度は身体障害者手帳を持つすべての人が受けられるわけではありません。

等級による違いを以下にまとめます。

身体障害者手帳により受けることのできるサービスなどの、等級による違い

医療費の助成 更生医療は身体障害者手帳を持つ人全員が対象ですが、市区町村による助成は全員が対象とならない場合もあります。多くの自治体では身体障害者手帳1・2級(内部障害は1~3級)の人が対象です。(自治体により異なります)
手当 国による手当では身体障害者手帳1~3級を所持している人を対象にしています。各都道府県や市区町村での手当はそれぞれことなりますが、障害の重い1~2級の人を対象にしているものが多いです。
障害基礎年金 障害基礎年金制度にも1級・2級の等級がありますが、身体障害者手帳の等級とは異なります。身体障害者手帳の等級に関わらず、障害基礎年金制度の等級基準に当てはまれば障害基礎年金が支給されます。

▼身体障害者手帳の優遇について、より詳しい記事はこちら

(7)精神障害者福祉手帳を持つメリットと等級による違い

精神障害者保健福祉手帳を取得することで以下のサービスや支援を受けることができます。

自立支援に関する医療費の公費負担を受けることができる

自立支援医療の精神通院医療費の公費負担を受けることができます。世帯年収により自己負担額の上限は異なります。その他に各市区町村からの医療費の助成を受けることもできます。

同一世帯の場合、各種控除を受けることができる

精神障害者福祉手帳を取得している方と同一世帯の場合、配偶者控除や扶養控除の加算を受けることができます。障害のある本人が車を所有する場合は自動車税の減免を受けることができます。

別の年金を受給することができる

国民年金に加入中に日常生活に著しい支障のある精神障害を持った場合に、障害基礎年金が支給されます。

各種割引を受給することができる

電車やバス、飛行機などの交通機関の割引やNHK受信料の割引、携帯電話会社の割引の他様々な施設で割引を受けられることがあります。

仕事の選択肢の幅が広がる

精神障害者福祉手帳でも企業の障害者枠へ応募できるため、仕事の選択肢の幅が広がります。

精神障害者手帳により受けることのできるサービスなどの、等級による違い
医療費の助成

医療費の助成は各市区町村により異なりますが、精神障害者福祉手帳の場合は重度の1級のみを対象としている場合が多いです。

各種控除 所得税、住民税の控除は精神障害者手帳を持っている人全員が受けられる場合が多いですが、控除額は障害の重い1級の人が高く設定されています。自動車税は車を所持する人が精神障害者福祉手帳1級の場合は減免が受けられます。(市区町村により異なります)
障害基礎年金制度 障害基礎年金制度にも1級・2級の等級がありますが、精神障害者保健福祉手帳の等級とは異なります。手帳の等級に関わらず、障害基礎年金制度の等級基準に当てはまれば障害基礎年金が支給されます。
NHKの受信料

NHKの受信料割引は、一般家庭の場合は精神障害者手帳1級の人が世帯主である場合のみ対象となります。

▼精神障害者手帳の優遇について、より詳しい記事はこちら

(8)療育手帳を持つメリットと等級による違い

療育手帳を取得することで以下のサービスや支援を受けることができます。

市町村により、医療費の助成金を受給できることがある

療育手帳では、他の障害者手帳のように医療費の公的負担制度はありませんが、各市区町村による助成金が受けられることがあります。

同一世帯の場合、各種控除を受けることができる

療育を取得している方と同一世帯の場合、配偶者控除や扶養控除の加算を受けることができます。障害のある本人が車を所有する場合は自動車税の減免を受けることができます。

別の年金を受給することができる

日常生活に著しい支障のある知的障害の場合、20歳から障害基礎年金が支給されます。

各種割引を受けることができる

電車やバス、飛行機などの交通機関の割引やNHK受信料の割引、携帯電話会社の割引の他様々な施設で割引を受けられることがあります。

仕事の選択肢の幅が広がる

企業の障害者枠へ応募することができ、仕事の選択肢の幅が広がります。

等級による違いは以下の点です。

身体障害者手帳により受けることのできるサービスなどの、等級による違い
医療費の助成 医療費の助成は各市区町村により異なりますが、療育手帳の場合は重度~中度(1度~2度、A~B1)のみを対象としている場合が多いです。
各種控除 所得税、住民税の控除は療育手帳を持っている人全員が受けられる場合が多いですが、控除額は障害の重い人が高く設定されています。自動車税は車を所持する人が重度~中度の知的障害がある場合は減免が受けられます。(市区町村により異なります)
障害基礎年金制度 障害基礎年金制度にも1級・2級の等級がありますが、療育手帳の等級とは異なります。手帳の等級に関わらず、障害基礎年金制度の等級基準に当てはまれば障害基礎年金が支給されます。
NHKの受信料 NHKの受信料割引は、一般家庭の場合は重度の知的障害のある人が世帯主である場合のみ対象となります。

▼精神障害者手帳の優遇について、より詳しい記事はこちら

(9)障害者手帳により受けられるサービス

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2760634

各種障害者手帳を持っている人に対するサービスや支援は各市区町村で異なります。上記にあげた手当だけではなく、交通費の補助やタクシーチケット、生活訓練や介護サービス、相談機能など利用できるサービスはまだまだあります。

詳しくはお住まいの各市区町村のホームページや障害者福祉担当の窓口で尋ねるとスムーズです。

(10)障害者手帳により受けられるサービスは等級により差がある

3つの種類の障害者手帳について、それぞれの等級による違いについてご理解いただけたでしょうか。

受けられるサービスは多くありますが、障害の種類や等級、住む市区町村によってもサービスは大きく異なります。

しかし、等級が低くてもサービスを知り、うまく利用すればより充実した生活を送ることができるでしょう。

これを機に、自分に当てはまる等級とサービスを一度確認してみるとよいでしょう。

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