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混合介護の2018年規制緩和で介護はどう変わる? メリットや問題

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2018年に規制が緩和された「混合介護」を知っていますでしょうか?この「混合介護」に関して、どのようなものか理解の少ない方も多いと思います。今回はこの「混合介護」に関して、混合介護の説明や、利用者にとっての・事業者にとっての混合介護のメリット・デメリット等を説明していきたいと思います。
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(1)2018年に規制が緩和された「混合介護」とは

混合介護とは、保険サービスと保険外サービスの併用のこと

混合介護とは、異なる2種類のサービスを混合して利用する介護のことです。高齢者のニーズに適切に沿う形で、介護保険サービス(介護保険で一定の負担割合にて受けることができる介護保険内でのサービス)と介護保険外のサービスを組み合わせて利用することを指して、混合介護と呼びます。

介護保険サービスと介護保険外サービスとの違い

介護保険サービスは、その費用の一部だけを支払う(※自己負担割合のこと。通常1割~3割。)ことで受けることのできることが特徴である一方、状況によっては利用したくてもできないサービス。

逆に、介護保険外サービスでは要介護者の介助のみならず、お出かけの際の付き添いや、家族の食事や選択といった、介護保険サービスでは受けることのできないサービスも受けることができるのです。ただし、保険が適用されないため、介護保険サービスと比して費用はかなりかかります。

混合介護が認められた

このように、介護サービスに関しては上記のうち二者択一であった状況から、前述の「混合介護」が認められることで、「介護保険サービス」にてカバーしきれない部分を「介護保険外サービス」で補うことができるようになるなど、より高品質かつ個別具体的な介護を受けることが可能になります。

(2)混合介護のメリット

必要なサービスを必要な時に受けられるようになる

混合介護の1番のメリットは、要介護者がいる各家族がより高品質かつ個別具体的な介護サービスを受けられるようになることです。

例えば、介護保険サービスでは、利用者が使用しない場所、普段使わない部屋、ベランダ等の室外の掃除などを行うことは禁止されています。しかし、要介護者の人たちは自分自身でこれらの身体的障害があり行うこ。

このように介護サービスで行えないことを介護保険外サービスで補うことで、より有意義に利用者は生活することが可能になります。

混合介護のデメリットは?

もちろん、このようなメリットがある一方、「介護費用がかさむ」というデメリットもあります。介護保険外サービスの費用は全額負担であり、具体的な介護サービスを受けているうちに利用者負担が増えてしまうのです。

(3)混合介護の高いハードル

この混合介護というシステムを導入することで、恩恵を受けることになる人は多いように感じますが、実は、そのためには、越えなければならない様々な高いハードル、すなわち制約もあります。

介護保険制度では、超高齢者社会に備え高齢者の多様なニーズに対応できるよう、一定のルールの下で、「介護保険サービス」と「保険外サービス」を組み合わせて提供することを認めています。

サービスが明確に区分されており、それを利用者も理解している必要があると定められている

その具体的なルールとしては、

  1. 介護保険サービスと保険外サービスが明確に区分されていること
  2. 利用者等に対し、あらかじめサービス内容等を説明し、同意を得ていること

の2つが挙げられます。

これにより混合介護では保険内サービスと保険外サービスを混合して利用するも、この2つのサービスを明確に区分して利用しなければなりません。そのため同時・一体的での介入は難しく、少なくとも連続の利用が義務付けられています。

例えば、2人家族で生活する家にヘルパーとして介入するとしましょう。夫が要介護者で妻は要介護者でない場合、ヘルパーが訪問し、介護保険サービスとして夫の身の回りの手伝い(食事を作る・洗濯をするなど)をし、それと同時に介護保険外サービスとして妻の身の回りの手伝いはできません。

しかし、夫の身の回りの手伝いをした後に、連続して妻の家事支援をするのは可能になります。そのように同一化できないということは同じ身の回りの手伝いであっても並行して行うことができず、2度手間になってしまいます。

ルールと実情とのギャップ

このように、利用者のさまざまな要望に対して、そのサービスが同時であるか?連続になるのか?といったことを逐一介護サービス事業者が判断することが難しいため、利用者がサービスを利用することが難しい場合も多くあります。  

この介護保険サービスと保険外サービスが明確に区分という厚生労働省からの混合介護のルールはあるものの、明確に区分されているかどうかの判断は各市区町村に任されていることから、運用に曖昧さがあることが混合介護の高いハードルとなっています。

(4)2018年から行われた、混合介護に関する規制緩和について

これらのハードルを下げるために政府も混合介護の緩和に踏み切りました。

具体的には、混合介護の実態調査を実施した公正取引委員会が「介護保険サービスと保険外サービスを同時・一体的に提供することを可能にすること」「介護サービス事業者が質の高いサービスを提供するために価格を自由化し、多様なサービスの提供を可能にすること」を提言しました。

これにより、「同時・一体的に提供することを可能にすること」「介護サービス事業者が質の高いサービスを提供するために価格を自由化し、多様なサービスの提供を可能にすること」 が可能になりました。

(5)規制緩和を受けて実施された、豊島区におけるモデル事業

混合介護の先駆けである豊島区

政府により、介護業界における規制緩和を受け、国家戦略特区制度を活用した東京都豊島区において、混合介護のモデル事業が2018年4月から実施されました。

それにより、介護保険サービスと介護保険外サービスを同時一体的に提供することが可能になりました。

また利用者宅を訪問する介護職員(訪問介護員)に「指名料」を導入されるなど、付加価値をつけた部分に料金を上乗せ設定をすることが可能になりました。その上、時間の付加価値をつけサービスの多い時間の料金を上げたり、利用の少ない時間帯の料金を上げたりと時間帯に応じてサービスの価格を柔軟に設定することも可能になります。

(6)規制緩和された形の混合介護が、サービス利用者にもたらすメリット

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2343518

この規制の緩和により、より高品質な介護を提供することが可能になり、同時・一体的に提供することを可能になることで家族の負担の減少も見込まれます。その上介護サービスでは保険制度での収益であるため一定額の収益しか見込まれませんが、付加価値をつけることが可能になることで、介護事業所の収益の増加が考えられます。

(7)規制緩和された形の混合介護が、サービス利用者にもたらすかもしれないデメリット

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2328428

介護保険を介しないため、悪質なサービスが増加する可能性が高まる

利用者視点でとらえた際、混合介護が導入されることで損をする可能性がある点も指摘されなければなりません。それは、悪質な手法・費用で介護保険外サービスを提供されるという恐れです。

先述した通り、混合介護が解禁されることで起こる変化として、介護サービスの多様化が挙げられます。しかし、多様化が進むにつれ、不正な手段で判断能力が低下した老人や認知症患者を狙った不当に高額なサービスが生まれるかもしれないのです。

訪問介護が密室で行われる、という点も、そういった不正、不法サービスが読み取りづらいことも、危険の一つと言えます。

そのため、混合介護が解禁され、介護保険外サービスを利用するつもりであるならば、要介護者だけでなくその家族も含めた利用者全員が、より注意を払っていく必要があります。

(8)混合介護の規制緩和の問題点① 介護保険サービスに格差が生まれてしまう

みずほ情報総研の調査(参考:みずほ情報総研『単身世帯の増加と貧困リスク』)によると、単身世帯が増加しており貧困世帯の増加が懸念されています。この貧富の差により、自己負担である介護外サービスの利用に格差が生まれることが考えられます。

このように貧富の差により介護サービスの利用料が左右されることは、政府としては容認できないところがあり混合介護の問題点となっています。

また介護事業所は付加価値をつけることができることで、料金の高騰化が考えられ今後の問題点の一つです。

(9)混合介護の規制緩和の問題点② 介護サービスの充実が要介護者の自立を妨げてしまう可能性がある

また介護保険外サービスの利用により、お金さえあれば利用者が自由に介護サービスを選択できるようになります。これは介護サービスは充実するも、充実することで「自分で行う」機会が減少し要介護者の自立を妨げ、またサービス利用への依存を引き起こす可能性があります。

これは元々介護保険の利用が「利用者の自立を目指す」ことが目的であることと反しており、本末転倒となってしまいます。

(10)混合介護の導入による、今後の介護の動向を注視していこう

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1504414

2018年にモデル事業が開始された「混合介護」ですが、本記事で説明したとおり、メリットばかりではなく、デメリットやリスクも複数存在します。そのため、介護サービスを必要とするすべての人がより高品質な介護を受けるためにはまだまだ問題点が多くあるのです。

少子高齢化が進行するにつれ、介護に関する政府のルール変更や方針転換も考えられるため、事業者も利用者も動向を注視していく必要があります。

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