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【日本版】高齢化対策となるCCRCとは|3つの意義、問題点、事例

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日本版CCRCによって、高齢者の希望に基づいた住まいや生き方の選択肢が広がっています。また、地方創生などの政策の後押しもあり、CCRCに注目が集まっています。日本ではどのような取り組みが行われているか、そのメリットやデメリット、問題点などを解説していきます。
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(1)CCRCとは

出典:https://www.photo-ac.com/

CCRCとは、Continuing Care Retirement Communityの頭文字を取った言葉で、「継続的なケアを受けることができる、高齢者たちの共同体」や「生涯活躍のまち」といった意味になります。

つまり、CCRCは高齢者が健康な段階で移り住み、終身暮らしていくことができる生活共同体のことを指しています。

高齢者が元気なうちからCCRCへ移り住み、その地域で介護や医療が必要になれば必要に応じて受けることができます。もともとCCRCはアメリカで発祥した概念で、第二の人生を楽しむための地域の在り方として考えられてきました。

そんなアメリカでは近年、知的好奇心の充足や多世代交流を求める⾼齢者のニーズに応えるべく、⼤学連携型CCRCが増えてきています。

一方、ここ日本では、他の先進諸国と同じく急激に少子高齢化が進んでいることから、医療と介護が不足する大都市圏から地方への移住を推進するための施策として、上記のCCRCが注目されているのです。

(2)日本版CCRCとは

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2149105

日本版CCRCとは「東京圏をはじめとする高齢者が、自らの希望に応じて地方に移り住み、地域社会において健康でアクティブな生活を送るとともに、医療介護が必要な時には継続的なケアを受けることができるような地域づくり」を目指すものとされています。

国が推進している地方創生事業も後押しとなっており、今後の展開や可能性が期待されています。

介護が必要になってからサービスを利用する高齢者施設とは違い、CCRCでは、健康な時から移住する、社会参加を行う、多世代とともに働くなど、高齢者が「受け手」で終わらないような取り組みが期待されています。

参考:日本版 CCRC 構想(素案)日本版CCRC構想有識者会議

(3)日本版CCRC 3つの意義

日本版CCRC構想の意義には次の3つが挙げられます。

  • 東京圏の高齢化対策
  • 地方移住を希望する高齢者の希望実現
  • 地方への人の流れをつくること

CCRCは高齢者の地方移住の促進において、地方を高齢者の住む町としてより魅力的にすることを促す促進策の一つであり、地域づくりの新たな手法として考えられています。

また、CCRC事業では、自治体の強みを生かし、地域のブランドカを高める施策であると考えられ、いずれは高齢者に限らず、広く地方への人の流れをつくるきっかけになる可能性を秘めていることが指摘されています。

さらに、今後、東京圏では介護・医療の大幅な不足が見込まれており、CCRC構想では高齢者が元気なうちの地方への移住の推進が期待されています。

(4)日本版CCRCの事例①

日本版CCRCの先行事例となる「ゆいま~る中沢」はサービス付き高齢者向け住宅を基本に、地域の医療機関と連携しています。

また、ゆいま~る中沢は多摩市の医療福祉ゾーンに立地しており、敷地に隣接して病院もあります。そのため、医療・看護・介護の途切れないトータルケアの実現というメリットがあります。基本コンセプトとしては地域との交流を重視しています。

単に施設へ高齢者のみを集めるということではなく、施設内の食堂や図書室などの外部への開放により地域の中で交流できるように工夫されています。

このように「ゆいま~る中沢」はCCRCとして、地域資源の活用と連携・ネットワークの構築に力を入れています。

気になる方はぜひゆいま~る中沢のHPのほうをチェックしてみてください。

(5)日本版CCRCの事例②

千葉県千葉市にある「スマートコミュニティ稲毛」は、撤退した大規模商業施設のリノベーションを行ったり、あまり使用されていなかった健保グラウンドを再び整備したりなどもとからある土地のストックを活用して構成される「ストック活用型」のCCRCとなっています。

また、施設のみならず、フィットネス、音楽スタジオ等を用いた健康増進のための多様なプログラムも提供されています。

そのため、居住者がお互いに交流するための場づくり機能も備えたCCRCになっています。

そして、近隣医療機関と連携、居宅介護支援事業所の併設がされているため、地域の中で安心して生活を続けることができるメリットもあります。

具体的なプログラム内容や設備などはスマートコミュニティ稲毛の公式HPで紹介されています。

(6)日本版CCRCの問題点・リスクとは

後期高齢者の急増による2025年問題が予想されており、日本版CCRCに対する期待が高まっています。しかし、現在の段階では日本版CCRCについて事例が確立されているわけではありません。

まず、受け入れる施設があったとしても深刻な介護従事者不足の問題が残されています。また、介護を受ける高齢者にとっては、移住を希望するかどうかの問題があります。

内閣府による「東京都在住者を対象とした移住に関する意向調査」では、東京都から移住する予定又は移住を検討したいと思っている人は約4割となっています。

また、CCRCの移住を検討する世代である60代について見てみると、男性が33.1%女性17.6%と各年代の中で一番低い割合になっています。これは、住み慣れた土地以外での生活への不安が移住を検討できないことが要因の一つであると考えられています。

参考:東京在住者の今後の移住に関する意向調査

また、CCRC構想を支えるためには介護従事者の存在も欠かせません。

各種メディア報道では、CCRCのある地域での介護関係の雇用が生まれる可能性が指摘されています。むしろ、十分な数の介護従事者の人材が確保できるかどうかという問題が指摘されるほどです。

また、CCRCの実現については、その性質上、ビジネスに直結しにくいということもリスクの一つです。なぜなら、収入が入らなければ、持続的な活動を期待できないからです。

(7)【入居希望者向け】CCRCに移住するメリット

居住者は健康な状態でCCRCへ移住するので、仕事などを通して無理なく地域社会への参加ができるようになります。

また、コミュニティに参加しつつ地域に馴染む機会があるので、地域での人間関係構築をする機会にも恵まれます。

さらに、東京などの大都市圏と比較すると物価が安く、新鮮な野菜や魚などを手に入れやすくなります。そのため、年金暮らしであっても比較的暮らしやすい生活を送りやすいというメリットがあります。

(8)【入居希望者向け】CCRCに移住するデメリット

CCRCでは、地方で医療を受けることだけではなく、地域社会において健康でアクティブな生活を送ることが求められます。移住した地域に馴染み、健康な人たちで街づくりをしていくことにより、移住した人も移住した地域も幸せにしていくことがCCRCの目的でもあります。

しかし、こればかりはすでにいる住民との相性の問題も当然考えられます。移住した先で馴染めないなどという場合には、移住がデメリットとなってしまいます。

そのため、移住する前に移住を検討している先のCCRCが自分の生活スタイルと合っているのかもよく確認しておく必要があります。

(9)【入居希望者向け】CCRCの費用

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/802317

日本版CCRCについては、高齢者夫婦の厚生年金の標準的な年金月額が水準として想定されています。そのため、有料老人ホームと比較して、低い価格で入居できる場合があります。

例えば、石川県金沢市のCCRCについて費用を見てみましょう。

石川県金沢市の賃貸型・サービス付き高齢者向け住宅は入居時に敷金として家賃の2ヶ月分が必要になります。

入居後は一月あたり家賃が85,000円、共益費が一月あたり20,000円、状況把握・生活相談サービス費が一月あたり15,000円かかります。

(10)少子高齢化・地方創生の対策でもあるCCRC構想の今後に注目しよう

出典:https://www.photo-ac.com/

現在、日本日本版CCRCによって、高齢者の希望に基づいた住まいや生き方の選択肢が広がっています。このCCRC構想での高齢者とは介護を必要とするだけの存在ではありません。

まず、入居するときには元気な高齢者が地域へ入ることになります。CCRC構想においては、どちらかというと「ケア」してもらうことよりも、移住先の地域で自ら「何かをする」高齢者の参加が想定されています。

現在は高齢者が自ら望む高齢期の生き方や住まいのあり方がCCRCによって広がりつつある段階です。リスクや今後の動向を踏まえ、リタイア後の活躍の場としてCCRCの活用を考えてみてはいかがでしょうか。

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