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要介護認定調査を受けるには | 申請方法や当日心がけるポイントまで解説

ノウハウ
要介護認定の申請後に行われるのが、要介護認定調査です。要介護認定調査は全国共通の要介護度認定調査票に基づいて行われ、本人、あるいは家族から聞き取りや動作確認によって行われます。調査項目としては、身体機能や起居動作、生活機能、認知機能、精神や行動障害、社会生活への適応などがあります。ここでは、要介護認定の申請の方法から、要介護認定調査後の結果が出た後にすべき行動まで説明していきます。
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(1)要介護認定調査とは

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1586674

要介護度を判定するために行われるのが要介護認定調査です。調査は市区町村に要介護認定を申請した場合に、原則として1~2週間以内に訪問調査員(認定調査員)が自宅などの居住地を訪問し、要介護者の認定を希望する人の心身の状態についての聞き取る方法などで行われます。

様々な介護サービスを受けることができる

介護保険制度において、常に介護を必要とする「要介護」の状態や日常生活支援が必要な「要支援」の状態になった場合にはさまざまな介護サービスを受けることができます。

ただし、介護保険の場合、介護が必要な状態であることを認定する「要介護認定」を受けることが条件となっていることから、公的医療保険のように、保険証を持っているだけではサービスを受けることはできません。

(2)要介護認定調査はなぜ必要なのか

介護保険制度は、急速に高齢化社会が進行する日本の社会において、国全体の問題として取り組む目的でスタートした社会保険制度です。その中で、介護サービスは要介護状態の軽減や悪化を防止する観点から、心身の状態や生活環境に応じて提供されます。

したがって、介護サービスがどれくらい必要なのかは「介護の大変さ」といったような主観的な判断によって決定されてはなりません。そのため、要介護認定調査は公平・公正、かつ客観的に行われるよう、全国一律の基準を設けたうえで行われています。

(3)要介護度とは

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2239437

要介護度とは、介護を必要とする人の身体状況を7段階に区分けしたものです。要介護状態の区分は要介護は1~5、要支援は1~2となっており、認定された要介護度によって、介護保険の支給限度が異なります。介護度における要介護者の状態は以下の通りとなっています。

要支援1

身の回りの世話に、介助(見守りを含む)を必要とする状態です。生活機能の一部に若干の低下が見られるものの、介護予防サービスの提供によって改善が見込まれます。食事や排せつは、自分一人でできる状態です。

要支援2

立ち上がったり、歩いたりするのに介助や支えを必要とする状態です。生活機能の一部に低下が見られますが、介護予防サービスの提供によって改善が見込まれます。食事や排せつは、自分一人でできる状態です。

要介護1

身の回りの世話や見守りや手助けが必要で、立ち上がりや歩行においても支えが必要な状態です。

要介護2

身の回りの世話の全般で見守りや手助けが必要で、立ち上がりや歩行においても支えが必要なほか、排泄や食事においても見守りや手助けが必要な状態です。

要介護3

身の回りの世話や立ち上がりがひとりではできず、排泄等をはじめとして全般的に介助が必要状態です。

要介護4

日常生活に必要な機能がかなり低下していて、介助も全面的に必要な場合が多く、問題行動や理解の低下も起こっている状態です。

要介護5

日常生活に必要機能が著しく低下していて、介助も全面的に必要な場合が多いばかりでなく、問題行動や理解の低下も起こっている状態です。

(4)要介護認定調査の手順

要介護認定を受けるためには、まず介護認定を希望している人が住んでいる市町村への申請が必要です。申請は、以下のような手順で進めることになります。

要介護認定調査

要介護認定の申請後に行われるのが、要介護認定調査です。要介護認定調査では、市区町村の職員や市区町村が委託したケアマネジャーが調査員として自宅や入院先などを訪問して、心身の状況などを調査します。全国共通の要介護度認定調査票に基づいて行われ、本人、あるいは家族から聞き取りや動作確認によって行われます。

調査項目としては、

  • 身体機能
  • 起居動作
  • 生活機能
  • 認知機能
  • 精神や行動障害
  • 社会生活への適応

などがあります。

このとき、調査員が重要と判断したり調査項目にない事柄については、特記事項として記入されます。

主治医による意見書の提出

要介護認定調査では、調査と並行して市町村が介護認定を希望している人の主治医へ意見書の提出を求めます。これを受け主治医は介護認定を希望している人の、心身の状況や介護の原因となる疾患などに関して主治医意見書の作成を行います。

一次判定

一次判定は要介護認定調査の内容と主治医意見書を踏まえ、コンピュータによって行われます。

二次判定

一次判定が終了すると、この結果と、要介護度認定調査票及び特記事項、主治医意見書の内容を踏まえ、保健や医療、福祉分野などの、およそ5人からなる学識経験者によって介護認定審査会で二次判定が行われます。

認定結果の通知

二次判定に基づき、市区町村は要介護度を認定します。そして、申請日から概ね30日以内に要介護認定調査が介護認定を希望している人の元に通知されます。認定区分は、要支援と要介護の7つの分類うちのいずれかか、場合によっては非該当(自立)となります。

また、認定結果の通知によって、要支援あるいは要介護に認定された場合に関して、要支援であれば地域包括支援センターに相談し「介護予防サービス計画書」を作成します。そして、要介護であれば介護支援専門員(ケアマネジャー)が在籍している県知事の指定を受けた居宅介護支援事業者(ケアプラン作成事業者)に依頼して「介護サービス計画書」を作成します。

その上で、要支援・要介護認定に基づいたさまざまなサービスを利用できるようになります。

(5)申請方法および、申請に必要な書類

申請方法

要介護認定調査の申請は、通常介護保険を担当している窓口や地域包括支援センターなどに介護認定を希望している人かその家族が申請することで行います。要介護認定にかかわる費用負担は発生しません。

また、受付窓口の名称は市区町村によって異なる場合があるので、Webサイトで確認するか、事前に問い合わせておくとよいでしょう。さまざまな事情で窓口に出向くのが困難な場合には、地域包括支援センターや居宅介護支援事業者に申請を代行してもらうことも可能です。

必要な書類

申請に必要なものは以下の通りです。

  • 介護保険要介護(要支援)認定申請書
  • 介護保険被保険者証
  • 主治医の意見書
  • 印鑑

介護保険要介護(要支援)認定申請書は、市区町村の窓口やWebサイトから入手が可能となっています。

介護保険被保険者証は、介護認定を希望している人が40歳~64歳の場合には、健康保険被保険者証を用意することになります。

また、前述した主治医の意見書も必要で、主治医がいない場合には市区町村が指定する医師の診察を受けたうえで、申請書に医師の氏名、病院名、連絡先などを記入して提出することになります。

要介護認定についてさらにくわしく知りたい方はこちら

(6)要介護認定調査で聞かれること

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1726324

要介護認定調査では、

  • 身体機能・起居動作
  • 生活機能
  • 認知機能
  • 精神・行動障害
  • 社会生活への適応

という5つの項目でチェックや聞き取りが行われます。その具体的な内容は以下の通りです。

身体機能・起居動作

介護認定を希望する人が生活上必要な基本動作をどの程度できるかを確認します。聞き取り調査を中心に「麻痺」、「拘縮(こうしゅく)」、「寝返り」、「視力」、「聴力」など、13項目をチェックします。場合によっては、実際に体を動かしたり、家族に話を聞くこともあります。

生活機能

食事摂取や排尿、上衣の着脱、外出といったの行動が日常生活で行えるのかの確認が行われます。

認知機能

生年月日や年齢、自分の名前、どこにいるのかなどを答えられるかや、意思の伝達や短期記憶が可能かどうかを確認します。

精神・行動障害

過去1カ月で社会生活を送る上で不適当な行動の有無や、その程度や頻度について確認をします。たとえば、「大声を出すことがあったか」や「泣いたり、笑ったりするなど感情が不安定になることがあったか」といった内容です。

社会生活への適応

薬の服用や金銭の管理、買い物、簡単な調理など、社会生活を行う能力をはじめ、集団に適応することができるかどうかなどを確認します。

(7)要介護認定調査の当日、注意すべき点

要介護認定調査の際に注意する点は、主に以下の2点です。

家族がしっかり立ち会い、実情がしっかり伝わるようにする

要介護認定調査では、当日に本人がどのような受け答えをするかによって認定結果が変わってくることがあります。そのため、介護認定を希望する人だけに任せることなく、必ず家族が立ち会うことが大切です。これは、実際には本人が実施にはできないことも、プライドや思い込みから「できる」と答えてしまうようなケースがあるからです。

要介護認定調査当日は家族の立会いの下、実情を正しく伝え、担当のケアマネジャーなどにも相談するようにしましょう。

困っていることに関しては、ありのままを具体的に伝える

また、要介護度認定調査票の特記事項に、介護認定を希望する人の日頃の様子や行動などについて具体的な記載があれば、介護認定審査委員会で参考にしてもらえる場合があります。そのため、要介護認定調査の際には調査員から質問されることだけではなく、気づいたことや日常生活の困りごとなども積極的に伝えるようにすることが大切です。困りごとはできるだけ具体的に伝えるようにしましょう。

調査員からの質問には、できるだけ正確で正直に、ありのままを伝えるようにします。控えめに伝えると適切な要介護認定を受けられないことにつながり、逆に話を大げさに伝えすぎると主治医の意見書との相違などから再調査の対象となることなどもあるためです。

(8)認定された要介護度による支給限度額

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/680506

介護保険によって介護サービスを受ける際には、要介護認定の区分による給付の限度額が設けられています。仮に限度額を超えると、超過分は自己負担なります。1ヶ月あたりの限度額は平成26年以降、以下のようになっています。原則1単位は10円で計算されますが、地域や利用するサービスによって変わる場合があるため確認が必要です。(※例えば、以下の記事にも記載されているように、東京23区は標準単価の1.2倍、北海道札幌市では1.03倍といった具合に、細かく設定されています。)

地域別の介護保険サービスの単価は、以下の記事をご参考ください。

給付の限度額も2019年に改正され、引き上げられました。また、介護保険では自己負担額は費用の1割となっていますが、2015年8月より、65歳以上の被保険者で一定以上の所得がある場合は2割、また2018年8月より、現役並みの所得がある方は3割の負担割合となっています。

【要介護度別】介護保険による給付の限度額
要支援1

50,320円

要支援2

10,5310円

要介護1

107,650円

要介護2

197,050円

要介護3

270,480円

要介護4

309,380円

要介護5

362,170円

(参考:厚生労働省「2019年度介護報酬改定について」

(9)認定に不服だった場合どうすればよいか

要介護度が新規に認定された場合、有効期間は通常6か月、また、認定の更新の場合は12か月となっています。しかし、市区町村が必要と判断すればいずれも3カ月から12カ月の間で月単位で定めることができます。

申し立てや申請ができる

要介護認定の区分が決定したものの結果に納得できない場合には、介護保険審査会に不服の申し立てるか、区分変更申請をすることができます。このうち不服の申し立ては、要介護認定の通知を受け取った翌日から60日以内に行う必要があります。そのうえで改めて要介護認定調査が行われ、結果が出るまでには数か月を要する場合もあります。

そして、区分変更申請の目的は本来、要介護の区分が変わったと判断される場合に行うものですが、要介護認定の結果に納得できない場合も多く利用されています。

区分変更申請は、要介護認定と同じ方法で、いつでも申請が可能です。結果は30日以内に通知されますが、必ずしも希望の区分に認定されるわけではないことを理解しておかなくてはなりません。

(10)要介護度認定の結果によって、経済的負担は大きく変わる

要介護者の介護をしていくには、要介護度認定によって、介護サービスを利用できるかでその経済的負担は大きく変わってきます。

そのため、要介護認定調査は介護において重要な意味を持ちますが、何を聞かれるか分からないまま要介護認定調査を迎えてしまうと、現在の状況を正しく伝えられないこともあります。要介護認定調査の際には、質問される内容をあらかじめ把握しておくなど、事前の準備をきちんとしておくことも大切です。

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