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医療費控除とは|利用条件/対象となるもの/手続き方法など

公的制度
医療費が高額になった場合その医療費に応じた額の税金が還付されるという「医療費控除」の仕組みをご存知でしょうか。 この医療費控除はだれでも受けられるわけではなく定められた条件を満たした人のみ利用できます。 医療費控除の利用条件また、控除の対象となるもの・ならないもの、申請方法、申請に必要なものなどを解説します。
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(1)医療費控除とは

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2289828

医療費が多額になった場合に、お金を還付してもらえる制度

大きな事故や重い病気などによって長い期間入院を余儀なくされると、治療が長引くことで医療費が高額になることがあります。

そのような人に配慮して、納めた所得税から支払った医療費に応じた額の税金を還付するという仕組みがあります。それが「医療費控除」です。

医療費控除について知っておくことで、経済的な負担を軽減することができます。

本記事では、そんな医療費控除に関して、利用条件や算定対象サービス、申請方法などについて説明していきます。

(2)医療費控除が受けられる条件

医療費控除を受けられる条件は、1年間(1月1日から12月31日)にかかった医療費において、「自費で支払った金額」が所定の金額以上になっていることです。

自費で支払った金額とは?

ここでいう自費で支払った金額とは、支払った総医療費のうち、保険金でカバーされない分や医療費控除対象外の費用などの「自分で実際に支払った額」から10万円を差し引いた額を指します。

医療費控除の基準は?

医療費控除が受けられる所定の金額の上限は、200万円となります。すなわち、上で説明した「自費で支払った金額」が200万円に達した場合、それ以上の負担を還付してもらえる、ということです。

ただし、総所得が200万円以下の方の場合は、10万円のかわりに総所得の5%を引いた額となります。

医療費の自費分は生計を共にしていれば配偶者や子、祖父母の分も併せることができます。また別居の場合でも生活費や学費などを送金しているなどしていれば「生計を共にしている」ということができ、医療費を併せることができます。

(3)医療費控除額の算出方法

医療費控除が適用される基準は先述したとおり自費で支払った医療費から10万円を差引いた金額になります。また、医療費控除の上限額は200万円となります。

つまり、「1年間に支払った医療費」-「保険から給付された金額」-「10万円」の式から算出された金額が医療費控除額になります。逆に、10万円以上を支払っていないと、医療費控除がありません。

入院時期によっては退院が年度をまたぐことがあります。確定申告は当該年度に行わなければならないため、保険からの給付金を受け取っていない場合は、給付見込額を算出しその金額に基づいて控除対象額を割り出します。

確定申告後、実際の給付額が計算した額と違っていた場合は、医療費控除額の訂正を申請します。

(4)医療費控除の還付金とは

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1641624

医療費控除の還付金は課税所得額から医療費控除額を差引いた金額に税率を掛けて算出されます。

例えば、課税所得250万円の人の所得税率は10%のため、所得税額は25万円になります(復興特別所得税は考慮していません)。

その人が医療費として45万円を支払い保険から15万円の給付金を受け取った場合、医療費控除額は20万円(45万円-15万円-10万円)です。従って、所得税額は(250万円-20万円)×10%=23万円になります。

そこで、確定申告をすると、25万円-23万円=2万円が還付されます。実は、もっと簡単に計算することができ、医療費控除額に所得税率を掛けることでも還付金を算出できます。

つまり、控除額20万円×所得税率10%=2万円が還付金となります。

(5)医療費控除の対象となるもの

医療費控除の対象となるものは「治療を目的とした医療行為に支払った費用」が該当します。

  • 医療費控除の対象となる医療行為は以下の通りです。
  • 病院での診療費・治療費・入院費
  • 医師の処方箋をもとにし、購入した医薬品の費用
  • 治療に必要な医療器具の購入費用
  • 通院に必要な交通費
  • 歯の治療費(保険適用外の費用を含む)
  • 子供の歯列矯正費用
  • 治療のためのリハビリやマッサージ費用
  • 介護保険の対象となる介護費用

このように、どの医療行為が対象となるか明確に提示されていますが、その中でも医療費控除の対象の可否で誤解されやすい費用もあります。それは次のようなものになります。

付添を親戚に依頼した場合の謝礼

例えば、入院した子供の付添を親戚に頼んだとしても医療上の世話の対価にはならないため、医療費控除の対象にはなりません。

ビタミン剤・マッサージの費用

ビタミン剤はあくまでも、病気の予防、健康増進のためのものであり、医療とは認められません。また、あん摩・マーサージ・指圧は治療のための施術であれば医療費控除を受けられますが、癒しや体調保持のためであれば、対象外です。

交通費

基本的に治療を受けるための通院費(バス・電車)は控除の対象になります。なお、タクシーに関しては基本的には不可ですが、妥当性があれば認められます。

入院雑費

たとえば、アメニティ用品の料金入院した場合にパジャマや洗面具などを新調することがありますが、これらはすべて認められません。また、専門付添人の費用は療養上の世話の対価なので、控除の対象になります。

差額ベッド代は医師の判断ではなく、本人や家族の都合で個室に移った場合の差額ベッド代(室料差額)は控除の対象にはなりません。

(6)医療費控除の対象とならないもの

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2197688

医療費控除の対象になる費用はあくまでも、治療・療養にかかる費用、またはそれに付随する役務への対価(医師などに対する謝礼は対象外)、及び治療を受けるために必要となる費用です。

従って、人間ドックや美容整形などは医療ではないため、医療費控除が受けられません。

このように医療費控除の対象とならないものは「病気の予防を目的とした医療費」になります。

なお、同じ施術でも控除を受けられるケースと受けられないケースがあります。例えば、子供の歯の成長を阻害させないための歯科矯正は医療ですが、大人が行う見た目を良くするための歯科矯正は美容であり、対象外です。

(7)医療費10万以下でも受けれる場合がある

課税所得が200万円未満の場合が該当する

医療費として10万円を支払っていなくても、医療費控除を受けられる場合があります。それは、医療費控除の適用基準として10万円を差引く他に、「所得金額の5%」という規定があり、どちらか低い方の額を差引くことになっています。

しかしこれは課税所得が200万円未満の人だけに該当します(200万円×5%=10万円)。該当うるものは医療費の支払いが10万円以下であっても医療費控除を受けられます。

サラリーマンの場合は給与所得控除があるため、給与収入が年収310万円だと課税所得が200万円以下になることから(310万円-(310万円×30%+18万円)=199万円)、年収が310万円以下のサラリーマンは医療費が10万円以下であっても、医療費控除が受けられます。

例えば、課税所得が140万円の人の場合、140万円×5%=7万円を超えていれば、控除対象医療費が10万円未満であっても医療費控除を受けることができます。

仮に、支払った医療費が9万円だとすると、9万円-7万円=2万円が還付額になります。この枠は、所得の少ない人に対する医療費の負担を減らすためといった目的で設けられました。

(8)医療費控除を受けるための手続き方法と申請期間

手続き方法

医療費控除を受ける場合は、サラリーマンであっても年末調整ではなく、確定申告をする必要があります。

医療費控除の確定申告の流れを簡単に示すと以下のようになります。

  1. 病院、薬局などの領収書を集め、小計をだす
  2. 医療費の明細書を作成
  3. 源泉徴収をもとに確定申告書A式様を作成
  4. 税務署に提出
  5. 還付金を受け取る

1.病院、薬局などの領収書を集め、小計をだす

病院、薬局名ごとに小計をすると明細書に転記する際ラクになります。

2.医療費の明細書を作成

小計を医療費控除の明細書に転記します。

(※この「明細書」についてですが、本記事の(9)にて入手方法など説明していますので、そちらをご参考ください。ここではとりあえず、「何らかの書類に転記する必要があるのだな」、という理解で構いません。)

3.源泉徴収をもとに確定申告書A式様を作成

確定申告書A式様には自分の年収や所得控除などを記入します。これらの情報は勤務先から配られる源泉徴収票に書いてあるので見ながら記入することをおすすめします。

(※この「確定申告書A式様」についても、本記事の(9)にて入手方法など説明しています。)

4.税務署に提出

税務署のほかに郵送、e-Taxという国が運営しているオンラインサービスからも提出できます。税務署に行く時間がない人はこういった提出方法を活用するとよいでしょう。

5.還付金を受け取る

申告の書類を提出して約1か月から1か月半ほどで還付金を受け取ることができます。

医療費の明細転記が楽になる「医療費集計フォーム」とは

医療費の明細を転記するといっても、年齢や健康状態によっては、その情報量もかなり多くなり、管理が非常に困難である、というケースも考えられます。

そんな際に非常に有用なのが、国税庁のホームページにて公開されている「医療費集計フォーム」というものです。

料金さえ打ち込めばあとは自動で計算などを行ってくれるため、非常に便利です。

医療費控除を受けるための申請期間

医療費控除を受けるためには、申告期限以内に税務署へ申請手続きを行なう必要があります。

通常の確定申告期間は、毎年2月16日から3月15日の1カ月なのに対し、医療費控除の場合は確定申告期間以後でも5年以内であれば申請が可能となっています。

ただし、この5年以内という「還付申告」の申請期間を過ぎると還付申告が無効になってしまうので、注意が必要になります。

(9)医療費控除の申請に必要なもの

医療費控除の申請には以下のものや書類が必要です。

  • 源泉徴収票
  • 医療費・交通費の領収書
  • 医療費控除の明細書
  • 確定申告書A式様
  • マイナンバーの本人確認書類

各種書類の入手方法

厳選徴収票

源泉徴収票は、基本的には自分の勤務先から受け取ることができます。

退職をした後にも、退職日から1か月以内には発行されることになっているため、安心してください。

医療費控除の明細書・確定申告書A式様

次に、(8)でも少し触れた、医療費控除の明細書・確定申告書A式様を入手する方法について説明します。

以下の3パターンがあります。

税務署に行く

税務署から郵送で取り寄せる

国税庁のWEBサイトからダウンロードまたは確定申告作成コーナーで作成する(参考:国税庁 『確定申告作成コーナー』)

提出する場合と同じように、その時々の状況に併せて、手間のかからないパターンを選びましょう。

(10)医療費控除を上手に利用しよう

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1242993

医療費控除の還付金は確定申告をすれば確実に戻ってくるお金なので、申告すれば自分にとってプラスとなります。また、医療費控除の申告をすることで住民税も安くなるため、活用して損をすることはないといえるでしょう。

なお、2018年から医療費控除の確定申告のやり方が簡易になったので対象となる場合は活用することをおすすめします。

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