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離婚時の年金分割制度とは|2つの種類、対象となる年金、手続き方法

公的制度
年金分割という制度をご存じですか?この制度は離婚後の女性の経済的不安を払拭することに役立つものですが、婚姻関係にあった世帯主が年金に加入していれば誰でも分割ができるというわけではありません。離婚の際には年金分割について、しっかりと理解し、自分が制度の対象者となるのか、また、どのような手続きを取ればいいのかを確認しておきましょう。
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(1)離婚の際は年金分割制度の確認を

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2161341

離婚後の生活に経済的な不安があるため離婚に踏み切れないという女性は少なくありません。そんな女性を支えるために、相手配偶者が加入している年金によっては、その一部を自身の積立と見なして年金を受け取れる制度があります。

それは「年金分割制度」です。これは2007年の厚生年金保険法改正により定められ、離婚時に夫の年金の一部を妻が受け取ることができるというものです。女性であれば自身が受け取る年金額を増やせる可能性が高いので、上手に活用すれば離婚後の生活の安定につなげることができます。

しかし、年金分割後にどれだけ受け取り額が増加するかは複雑な規則に従って決まるので、実際に申請してみたら思っていたよりも受給額が増えなかったケースもあります。 また、場合によっては申請自体が認められないこともあります。

年金分割制度の対象となる年金、年金分割の種類、手続き方法など、初めての人がスムーズに申請できるよう、分かりやすく説明していきます。

(2)年金分割の対象となる年金は?

年金分割の対象となるのは「厚生年金」と「旧共済年金」だけ

離婚時の年金分割が対象としている公的年金は、「厚生年金」と「旧共済年金」の2つになります。

そのため、婚姻中に相手配偶者が国民年金しか加入していない場合は年金分割をすることはできません。年金分割ができない代表的な例は、配偶者が自営業、非正規社員、家族経営の零細企業などで働いていたために国民年金以外の年金に加入する機会がなかった場合などです。

ここで注意が必要なのは、対象となる年金のなかでも対象になる項目とならないものがあるということです。

一般的に使われている公的年金の3階部分は、基本的に対象とはなりませんが、以下の2つは例外的に年金分割の対象となります。

  • 厚生年金の代行部分
  • 旧共済年金の職域部分

年金分割の対象とならない年金

年金分割の対象にならない年金は次の通りです。

  • 国民年金
  • 国民年金基金
  • 厚生年金基金の上乗せ部分
  • 確定給付企業年金
  • 確定拠出年金
  • 年金保険などの私的年金

上記6つは年金分割の対象にはなりません。 

対象の年金でも、分割制度を利用できない場合がある

また、分割できる年金があるにもかかわらず年金分割が受けられない場合があります。 それは年金分割の申請者に年金の受給資格が無いケースです。 年金を受給するには国民年金に最低でも10年の加入期間が必要になります。

この期間を満たしていない場合は年金の受給資格が無いため、年金分割を受けることはできません。 足りない加入期間の分を相手配偶者から譲ってもらうことも不可能です。

年金分割制度の利用を考えているのでしたら自身に国民年金の受給資格があるか確認しておきましょう。

(3)年金分割の種類① 合意分割制度 

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2201082

夫婦で話し合って厚生年金記録の分割割合を決められる年金分割制度です。 柔軟に分割割合を設定できるのが最大の特徴です。

夫婦2人だけの話し合いで決められますが、決まらなければ裁判所で調停することになります。 その場合は相手配偶者と顔をあわせることなく調停を進めることが可能です。 分割割合の相場は2分の1で、それ以下に設定されることは稀です。

(4)年金分割の種類② 3号分割制度

3号分割制度とは平成20年4月1日以降に婚姻または事実婚にあった相手配偶者の厚生年金記録の2分の1を、自身の積み立てと見なして年金を受給できる制度です。この分割割合は夫婦間で話し合って変えることはできません。

また、この制度が適用できるのは配偶者が3号被保険者であった期間のみになります。3号被保険者とは、第2号被保険者である相手配偶者の扶養に入っている20歳から60歳未満の配偶者のことです。

「配偶者が仕事などで130万円以上の所得を得た場合」や「相手配偶者が転職や退職で第2号被保険者から外れた場合」は配偶者は3号被保険者ではなくなり、その期間は3合分割の対象から外れることになりますので注意が必要です。

婚姻届提出前に事実婚の時期がある場合は、その期間も3号分割の対象になります。ただし、申請の際に事実婚を証明する書類が必要です。この証明書類には住民票がよく使用されます。平成20年3月31日以前の厚生年金または共済年金に入っていた期間に関しては3合分割の対象外なので、合意分割で対処します。

(5)年金分割をした場合、どのくらい年金はもらえるの?

年金分割をしてどれだけ年金の受給額が増えるのか実際の経験無しにイメージするのは難しいです。そこで簡単なモデルを使って年金分割でどれだけ年金の受給額が増えるか試算しましょう。

用いるモデルの内容を次に示します。

  • 平均月給40万円の夫と専業主婦の妻
  • 年金分割の対象期間は40年間
  • 分割割合2分の1で合意分割を行う
  • 単純化のため経過的加算と加給年金は考慮しない

まず夫の老齢厚生年金の年間受給額を計算します。

40万円 x 0.066 x 40 = 105万6千円 (0.066は簡易的な厚生年金の計算で用いられる乗率) 分割割合が2分の1なので、この半分の52万8千円が妻の年金の増額分になります。

月額換算だと4万4千円です。

夫は同額分だけ老齢厚生年金の受給額が減ることになります。

(6)年金分割手続きの時効

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1720960

年金分割が申請できるのは離婚の手続きが完了した時点から2年以内です。 年金分割を考えている場合は、その期間内に申請を済ませるよう離婚前から計画を立て準備を進めるのが望ましいでしょう。

特に相手配偶者との交渉がこじれて裁判所で調停や裁判となると時間がかかります。 最悪の自体も想定しながら、早めに行動しましょう。

(7)年金分割の手続きをする役所

現在、年金分割の請求を受け付けている役所は複数あります。 平成27年に被用者年金が一元化された後は厚生年金を扱う役所であればどこでも年金分割の手続きが可能にりました。

その役所の一覧は次のとおりです。

  • 年金事務所
  • 街角の年金相談センター
  • 各国家公務員共済組合
  • 国家公務員共済組合連合会年金部
  • 各地方公務員共済組合
  • 全国市町村職員共済組合連合会
  • 地方公務員共済組合連合会
  • 日本私立学校振興
  • 共済事業団共済事業本部 

多くの方たちは最寄りの年金事務所で離婚後に年金分割の手続きをされています。

(8)年金分割の手続き方法① 合意分割制度の場合

手続きは年金事務所で済ませることができます。 その手順を説明します。

1.年金事務所で「年金分割のための情報通知書」を請求

申請者が50歳以上で合意分割する場合には、この通知書に分割後の年金の見込額が掲載されています。 この書類を参考に年金分割の手続きを進めるか判断してください。

2.分割する割合を決める

先の通知書を参考に分割割合をいくらにするか相手配偶者と交渉します。

交渉すると9割以上のケースで分割割合は50%となるので、その割合を主張しましょう。

3.合意書の作成

分割割合が合意ができたら、それを証明する証書を作成します。証書の作り方は4つほどありますが、ここでは代表2つを紹介します。

  • 相手配偶者と2人で公証人役場へ行って作成する方法
  • 年金事務所に置いてある書類を使って合意書を作る方法

4.年金事務所で年金分割の申請を行う

合意が完了したら、標準報酬改定請求書と必要な書類を年金事務所に持っていって提出すれば申請手続きは完了です。 この標準報酬改定請求書は日本年金機構のホームページからダウンロードできます。

申請の結果は、その後に送られてくる「標準報酬改定通知書」に明記されています。

(9)年金分割の手続き方法② 3号分割制度の場合

3号分割制度の場合 3合分割は合意分割に比べて手続き内容が非常にシンプルで、全ての作業を配偶者1人で済ませることができます。

離婚が確定した後に、年金事務所に行き「年金分割の標準報酬改定請求」の手続きをするだけです。 分割割合も決まっているので相手配偶者との合意は不要です。

必要書類は以下の2つです。

  • 国民年金手帳、年金手帳、又は基礎年金番号通知書(いずれも申請者のもの)
  • 戸籍謄本、戸籍抄本等(婚姻期間を証明できるもの)

結果は合意分割の場合と同様に送られてくる通知で確認できます。

(10)離婚時の年金分割制度の仕組みについて理解しよう

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1635021

年金分割は相手配偶者の全ての年金を分割するものではありません。 分割できるのは厚生年金および共済年金だけと決められており、国民年金を収めていても自営業者などは対象にはなりません。

また、分割割合を高めるには合意分割で相手と交渉を重ねる必要があるため、場合によっては女性の精神的負担が大きくなる可能性もあります。

それに対して3号分割は負担の少ない分割方法ですが、男性並みに働く女性には利用しづらいです。

年金分割を成功させる秘訣は自分に適した分割制度を見定めることにあります。

この記事を参考に年金分割制度について知識を深めて、万全の準備をしてください。

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