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検食とは | 意味・食品衛生法などの法律・やり方など

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検食とは、給食や弁当など、不特定多数に提供する食事で、様々な面における安全性を担保するために行われる試食やサンプリングのことです。本記事では検食について、目的や手順をくわしく解説します。介護施設や給食センターで働いている方はぜひ参考にしてみてください。
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(1)検食とは

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/678942

介護施設や学校給食などで提供される食事は、一般的な飲食店に比べて一度に大量に生産されます。

そのうえで更に栄養管理や味の嗜好性も求められるように、量・質ともに高いレベルを維持できるものを作らなくはいけません。

そのため、施設や学校などの現場では必ず「検食」が行われています。

検食には、以下の2通りの意味があります。

1.給食責任者等による「試食」としての検食

介護施設や学校給食等、集団で給食する施設において、栄養士や施設の責任者が提供される食事の以下の4点を検査するために行われる「試食」としての検食です。

  • 内容
  • 栄養
  • 衛生
  • 嗜好性

2.衛生検査用に保存する「保存食」としての検食

衛生検査用に保存しておく為の「検食」で、「保存食」などとも呼ばれています。

介護施設や学校給食等、集団で給食する施設等の他に、弁当を販売する業者でも行われ、食中毒等が発生した場合には保健所に提出します。

(2)検食の目的

前段で説明した、「1.給食責任者等による「試食」としての検食」の目的は、提供された食事の内容が献立計画の通り履行されたかを確認すると共に、安全でかつ美味しく、栄養価が高い食事が提供されているかを確認する、というところにあります(内容、栄養、衛生、嗜好の検査)。

この検食は毎回行われ、その際に検食簿を付けて記録を行い、提供している食事の改善が図られます。

また、検食を行うのは、給食責任者や栄養士等が行いますが、学校給食においては提供されている学校の校長等が行うことがあります。

(3)検食のやり方

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/950236

検食のやり方は、概ね以下のフローに沿って行われます。

1.担当者の選定

検食をするにあたっては、栄養部門責任者が検食を行う担当者を以下の中から選定して依頼を行います。

  • 調理の担当者(外部委託している場合は委託業者)
  • 栄養部門担当者若しくは給食責任者
  • 医師
  • その他の責任者や役職者

また、検食担当者が決まったら「検食簿」を配布し、検食後に必要事項(衛生面、味付けや分量等)を記入します。

2.検食の実施

給食の準備が整えば、検食を実施していきます。提供される以前に検食され、検食担当者が検食の結果を検食簿に記載します。

なお、検食は常食を対象に行いますが、栄養部門責任者の指示があれば治療食などでも実施されます。

異常時の対応

検食を行って異常が確認された場合、検食担当者が直ちに栄養部門責任者に報告を行います。その後栄養部門責任者が確認を行い、「食事の回収」、「代替食の提供」、「提供者に対する説明」、等必要に応じた対応を行います。

なお、食中毒や異物混入があった場合は、給食施設にマニュアルが用意されているので、それに則って対応を行います。

3.検食簿の確認及びフィードバック

給食施設での作業が全て終了した後に、検食簿を回収して栄養部門責任者が確認し内容を了承します。

この時、必要に応じて調理担当者へのフィードバックを行い、献立や調理方法等を再度検討し、その結果に応じて是正処置を講じます。

(参考:検食実施手順

(4)検食採取の目的

検食採取は衛生検査を目的として行われる

(1)で紹介した、「2.衛生検査用に保存する「保存食」としての検食」これは検食採取とも言います。

給食責任者等による検食が「試食」として行われているのに対し、検食採取は衛生検査を目的として行われています。

検食採取については食事を提供する前に、食事における異物が入っていないか、異臭はないかなどの、衛生上の観点と味付けや彩、大きさ、固さ、盛り付けなど各施設における必要な項目をチェックする必要があります。

また、施設で取り上げられている問題(例えば匂いなど)があれば、項目に入れておくことで、改善の対策が取りやすくなります。

この時、検食者が対象者の気持ちになりチェックを行うのがポイントです。

食中毒が起こった場合

食中毒が起こった場合、提供された食品が食中毒原因物質に汚染されていたか否かを特定する事が求められます。検食採取された食品は食中毒などが発生した場合、保健所に提出する事が求められます。

ほかにも検食採取には様々な目的がある

当然、提供された食品が残っていなければ、原因を特定することが出来なくなってしまいますが、検食採取をしておけばそれを防げます。

そのため、給食施設、一定の量を提供する仕出し業・弁当業では、一定期間提供している食品を保存する様に求められているのです。

決して、検食者の食事ではないことを理解してもらう必要もあります。検食者が提供することを望ましくないと判断すれば、施設の責任者や施設の栄養士、給食の責任者などにて対応を検討します。

(5)検食採取のやり方

検食採取は、「食品ごとに50g以上保存」を行い、それを2週間以上保存することが基本となっています。

また、検食採取を行い、それを保存をする時には以下の様な点に注意して行う必要があります。

検食採取を行う際の注意点

  • 検食採取を行う際に使用する器具、保存容器を素手で扱わないようにし、二次汚染を防ぐようにする。
  • 食品ごとに検食採取を行い、漏れがないようにする。(使用した食材を全て含むようにする。)
  • 検査に必要な最低量50g以上を清潔な容器に採取する。
  • 採取後完全に密閉し、-20℃以下の専用冷蔵庫で2週間以上保存する。(2週間経過した日が休業日であれば、その翌日まで保存)
  • 検食採取した品目、採取年月日、破棄年月日を明記の上記録を行う。なお、中身を開ける必要がなく、触れずとも確認できる様に番号など明記するとよい。
  • 検食採取した食品を廃棄する際には、異常が無いか確認した上で破棄すること。

(参考:検食のポイント

(6)検食を義務付ける法律

食中毒や異物混入など、提供される「食品」に異常があればそれら以上の原因を特定し検査することが法的に義務づけられています。

これが所謂「検食(保存食)」なのですが、それにまつわる根拠法令(ガイドライン含む)には以下の様なものがあります。

検食にまつわる根拠法令

食品衛生法施行条例

「食品衛生法」第50条第2項の規定に基づいた「公衆衛生上講ずべき措置の基準及び同法第51条の規定に基づく営業施設の基準等」で定められた条例で、食品に衛生上の「異常」の発生・拡大を未然に防ぐ措置を強化した基準です。

弁当業、仕出し業、給食施設、団体宿泊旅館等に適用され、それに基づいて検食を行います。

(参考:食品衛生法施行条例

弁当及びそうざいの衛生規範

弁当や惣菜などで食中毒が多く発生している事を鑑み、食品の原料受入から製品販売まで、全ての過程における指針を示し、食品の衛生の確保と向上を目的とて策定されたものです。

弁当業や仕出し業等の弁当及び惣菜販売を行っている業者に適用されます。

(参考:弁当及びそうざいの衛生規範について

大量調理施設衛生管理マニュアル

同一の給食を「1回につき300食以上」、若しくは「1日750食以上」提供する施設で適用されるガイドラインです。

大規模な介護施設で主に適用されますが、厚労省では中小規模の福祉施設等にも推奨しています。

(参考:「大量調理施設衛生管理マニュアル」の改正について

なお、上記の根拠法令にはガイドラインが含まれていますが、検食自体は「管理運営基準」で義務付けられており、適用する食品の規模によって適用されるガイドライン等が異なります。

学校給食法

学校給食では、学校給食法に定められた学校給食衛生管理基準に基づいて検食・保存食の基準が定められています。

学校給食調理場及び共同調理場の受配校において、あらかじめ責任者を定めて検食を行うこととされています。

検食の際には,異物混入・異味・異臭がないか、加熱・冷却処理が適切か、一食分の量が適切か、味付け・香・色彩・形態が適切かなどを確認し、検食簿へ記録します。 

(7)介護現場の検食に関するトラブル① 検食が提供後に行われている

『給食責任者等による「試食」としての検食』は、必ず給食の提供前に行われなければなりません。しかし、介護現場等に検食では、稀に提供後に行われているケースがあります。

こういった検食のやり方では、給食の異常を未然に発見することが出来ず、義務違反(検食は法的に義務づけられています。)となってしまいます。

必ず提供前に行うようにし、検食担当者が不在などの時に備えて複数専任するなど対策を講じておくと良いでしょう。

(8)介護現場の検食に関するトラブル② 検食をしたくない場合がある

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/366906

介護現場では、給食を提供前に検食(試食)しなければなりません。

しかし、介護現場で提供されている給食などは、高齢者向けに作られることもあって、「味が薄い」、「歯ごたえが無い」など、一般に「美味しい」とされる食事で無いことがあります。

また、場合によっては、提供時と同じ条件で食べなけばならないこともあるので、検食する給食が冷たいときなどもあります。

検食を行わない事は論外ですが、温めて食べることも禁止されているので、検食を行う現場では「検食をしたくない」等がままあります。

こういったトラブルを未然に防ぐためにも、検食担当者は複数任命し、ローテンションで行うようにすると良いでしょう。

加えて、検食はあくまでも業務の一つなので、しっかりと行うことが重要であることを現場にきっちり浸透させておきましょう。

(9)介護現場の検食に関するトラブル③ 提供されたごはんが、好みに合わない

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/749055

介護現場で提供されている給食は、管理栄養士等の監修の元、栄養管理などを踏まえて調理されています。そのため、場合によっては提供された給食が「美味しくない」「好みに合わない」といった事があります。

厳しい制限の元での調理なので仕方ない面もあるかもしれません。

ですが、介護現場の検食においては、こういった「味」に関するチェック項目も設けられているので、「美味しくない」と感じた場合は、検食簿に具体的に記載し提供元にフィードバックする様にしましょう。

そうすれば、厳しい制限の元での調理であっても、工夫次第で美味しくすることができ、サービスの質の向上が図れ、提供先の満足度も向上します。

(10)検食をして安心安全な食事を提供しよう

味や量、彩りなど、提供された食事の満足度にに欠かせない要素はいくつもあります。

しかし、それらの前提になっているのが、安心安全を担保するための「信頼」です。介護現場で提供されている給食等は、そういった「信頼」を検食という具体的な方法で担保しているのです。

食の異常を未然に防ぎ、安全かつ美味しく提供することも目的となっているので、定められた検食をしっかりと実施し、検食を通して利用者の満足度を向上するように努めることが重要であるといえるでしょう。

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