介護に関わるすべての人を応援します

2018年度介護報酬改定を徹底解説 | 4つのポイント

最新情報
2018年度の介護報酬改定では、4つのポイントを中心に様々な分野での改定が行われています。今回の改定の目的は、「国民1人1人が状態に応じた適切なサービスを受けられるよう、質が高く効率的な介護の提供体制を構築すること」とされています。本記事では、これからも進む超高齢社会に対応できるよう考えられた、今回の改定を詳しく解説します。
公開日
更新日

↓本記事は2018年の介護報酬改定について説明するものです。2019年度(令和元年度)に適用される介護報酬改定については、こちらの記事をご参考ください。↓

2019(令和元)年の介護報酬改定について|変更点やポイントなど

(1)2018年度の介護報酬改定

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1119806

介護報酬とは、介護事業所が要介護者に対して行ったサービスの対価として支払われる報酬です。この介護報酬は、3年に1度を基本として見直し・改定がなされており、2018年度は介護報酬改定の年でした。

2018年度の介護報酬改定では、2025年に団塊の世代が75歳以上となり後期高齢者が急激に増加する、という予測を受け、国民1人1人が状態に応じた適切なサービスを受けられるよう、質が高く効率的な介護の提供体制を構築することを目的としています。

2018年度の介護報酬改定では、改定率は+0.54%の微増となりました。前回の2015年度の介護報酬改定では大幅な介護報酬の削減があり、介護の人手不足や介護職の処遇改善など様々な問題が取り上げられていましたが、今回の介護報酬の増加によって、介護事業所の安定した経営と介護職員の処遇改善、介護サービスの向上が期待できると考えられています。

2018年度の介護報酬の改定と同時に、介護保険制度の内容についても見直しがなされており、今回は、以下の4つのポイントの下に改正が行われました。

  • 地域包括ケアシステムの推進
  • 自立支援・重症化防止に資する質の高い介護サービスの実現
  • 多様な人材確保と生産性の向上
  • 介護サービスの適正化・重点化を通じた制度の安定性・持続可能性の確保

(2)2018年度介護報酬改定の内容① 地域包括ケアシステムの推進

2018年度の介護報酬改定は、中重度の要介護者も含め、どこに住んでいても適切な医療・介護サービスを切れ目なく受けることができる体制を整備するため、地域包括ケアシステムの推進に力を入れています。

具体的には、以下の3つを推進しています。

  • 在宅や施設におけるターミナルケアや看取りケアの強化
  • 認知症ケアの強化
  • 医療と介護の役割分担と連携を行うことで可能になる、医療から介護、介護から医療へのスムーズな移行

また、医療と介護の複合的なニーズに対応するために介護医療院が新たに新設され、より重度な医療ケアを必要とする要介護者への対応が行われています。

その他にも、居宅介護支援事業所の管理者要件を厳しくし、より複雑化する介護現場に対応できる人材育成を進めています。

(3)2018年度介護報酬改定の内容② 自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1896829

2018年度の介護報酬改定では、安心・安全で、自立支援・重度化防止に関わる質の高い介護サービスを実現することを目的としています。

その最たる例が、自立支援サービスの中核でもあるリハビリテーションにおける変化です。

具体的には、以下のような改定で要介護者の重度化予防とADLの維持を促しているのです。

  • 自立支援の中心でもあるリハビリテーションに関わる項目の改定
  • 介護の現場と、リハビリテーションの専門家とのよりよい連携
  • 介護予防でのアウトカム評価の導入

また、要介護者の自立した生活を支援するため、訪問介護では生活援助よりも身体介護に重点が置かれるようになりました。

要介護者のADL低下に影響する「褥瘡(じょくそう)」や排泄障害に対するケアにも重点が置かれ、身体拘束を適正に行うための指針整備なども義務化されており、より質の高い介護サービスが実現できるよう改定されています。

(4)2018年度介護報酬改定の内容③ 多様な人材の確保と生産性の向上

2018年度の介護報酬改定は、人材の有効活用・機能分化、ロボット技術等を用いた負担軽減、各種基準の緩和等を通じた効率化を推進しています。

訪問介護において重点が置かれるようになった身体介護を介護福祉士が担い、生活援助分野を新たな人材が担う、といったように、介護サービスの機能分化が行われ、限られた人材の有効活用が目指されています。

近年発達している介護ロボット技術も積極的に導入することで、特別養護老人ホームの夜勤職員の要件を緩和すること、といったことも可能となっています。

その他にも、ICTを利用した会議や地域密着型サービスの運営会議要件の緩和など、介護・医療に関わる職員の負担軽減が図られるようになりました。

(5)2018年度介護報酬改定の内容④ 介護サービスの適正化・重点化を通じた制度の安定性・持続可能性の確保

2018年度の介護報酬改定では、介護サービスの適正化・重点化を図ることにより、現在の介護システムを、より安定した状態で維持することを目的としています。

例えば、複雑化する介護サービス費用を適正化するため、福祉用具貸与においては商品ごとに上限額が設けられることになっています。

また、訪問介護・訪問看護などで同一の集合住宅内で一定人数以上のサービスを提供する場合は介護報酬が減算される条件が厳しくなりました。

介護予防や重症化防止に重点を置くための介護報酬改定も行われました。それにより、訪問看護の介護報酬は下がり、それに代わり訪問リハビリテーションの介護報酬が増加しています。

他にも通所介護や通所リハビリテーションの時間区分が見直され、介護サービス費用のコスト削減が進められるなどの変化ももたらされました。

(6)サービスごとの改定事項① 訪問介護

2018年度の介護報酬改定により、訪問介護の分野では、以下の9つの事項が改定されています。

①生活機能向上連携加算の見直し

要介護者の自立支援・重度化防止を目標とした介護サービスを充実させるため、リハビリテーションに対する評価が見直されています。

具体的には、医療機関のリハビリテーション専門家や医師との連携やICTを利用した状態把握をすることで、単位の加算が認められるようになりました。

②「自立支援のための見守り的援助」の明確化

要介護者の自立支援を訪問介護においても進めていく観点から、身体介護としての「自立支援のための見守り援助」の促進が明示されました。

生活援助の項目のうち、訪問介護士が代行するのではなく、要介護者の安全を確保しながら見守りや手助けを行う場合は身体介護として取り扱われるように、通知の内容がより具体化されました。

③身体介護と生活援助の報酬

要介護者の自立支援・重度化防止の観点から、身体介護に重点を置き、生活援助との報酬にメリハリをつけることを目的として、身体介護中心型の訪問介護は単位数が上がり、生活援助中心型の訪問介護では単位数が下がることになりました。

④生活援助中心型の担い手の拡大

訪問介護において、身体介護中心型に重点を置くため、介護福祉士等は身体介護を中心に担うことになりました。生活援助分野においては、一定の研修を受けた他の人材へ移行していくことになります。

⑤同一建物居住者にサービスを提供する場合の報酬

今まで、同一建物居住者へのサービス提供によって減算の対象となる集合住宅は、養護老人ホーム・軽費老人ホーム・有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅に限られていました。

しかし、今回の改正により全ての建物が対象になりました。

事業所と同一敷地内または隣接する敷地内の集合住宅において一定数以上の人へ介護サービスを提供する場合は、介護報酬が減算されることになったのです。

⑥訪問回数の多い利用者への対応

要介護者の自立支援や重度化予防の観点から、通常より多くの回数の訪問介護(生活援助中心型)のサービスを利用している場合には市町村が確認し必要に応じ是正していくことになります。

また、地域ケア会議においてケアプランの検証も行い、サービス内容の是正を促すことが可能になりました。

⑦サービス提供責任者の役割や任用要件等の明確化

介護費用のコスト削減のため、訪問介護における実際のサービス提供時間の記録やそれに応じたケアプランの見直し(ケアマネージャー)が求められるようになりました。

また、質の高い介護サービスを約束するため、訪問介護で気づいた利用者の細かな健康状態(例:口腔や服薬状況など)をケアマネージャーへ報告することが責務となりました。

また、生活援助分野における人員の裾野を広げていく目的で、介護初任者研修課程修了者(ホームヘルパー2級)を任用要件から廃止しました。

⑧共生型訪問介護

介護保険の担い手の確保のため、今まで障害者福祉制度における居宅介護や訪問介護の指定を受けていた施設でも、一定の基準により共生型訪問介護の指定を受けられるようになり、訪問介護の担い手の増加が期待されています。

⑨介護職員処遇改善加算の見直し

介護職員の処遇改善に関する要件を満たしていない事業者に対して減算した単位数での加算を認めていた加算Ⅳと加算Ⅴについては廃止され、今後は加算の取得に向けて相談員の派遣や助言・指導が行われることになっています。

(7)サービスごとの改定事項② 認知症対応型通所介護

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2400363

2018年度の介護報酬改定により、認知症対応型通所介護の分野では、以下の8つの事項が改定されています。

①生活機能向上連携加算の創設

要介護者の自立支援・重度化予防の推進のため、認知症対応型通所介護または介護予防認知症対応型通所介護の職員と外部のリハビリテーションの専門家が連携し、機能訓練のマネジメントを行うことが評価されるようになりました。

②機能訓練指導員の確保の促進

介護予防認知症対応型通所介護・認知症対応型通所介護において利用者の心身機能の維持の促進のため、機能訓練指導員(今までは理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護職員・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師)に一定の実務訓練を有するはり師、きゅう師を追加しました。

③栄養改善の取組の推進

介護予防認知症対応型通所介護・認知症対応型通所介護においての栄養改善加算が見直され、外部の栄養士でも可能となりました。

また、栄養スクリーニングを行いケアマネージャーへとの情報共有で加算が認められるようになっています。

④基本報酬のサービス提供時間区分の見直し

今までは2時間ごとの基本報酬の設定となっていましたが、サービス提供実態とコスト削減の推進のためサービス提供時間の区分が1時間ごとに見直されました。

⑤共用型認知症対応型通所介護の利用定員の見直し

共用型認知症対応型通所介護の普及促進のため、利用定員が緩和されました。

⑥運営推進会議の開催方法の緩和

運営推進会議の効率化や事業所間のネットワーク形成の促進のために合同開催などが認められるようになりました。

⑦設備に係る共用の明確化

認知症対応型通所介護と訪問介護などが併設されている場合に事務所や廊下・玄関などの設備が共有できる旨が明確化されました。

⑧介護職員処遇改善加算の見直し

※訪問介護の項と同様

(8)サービスごとの改定事項③ 居宅介護支援

2018年度の介護報酬改定により、居宅介護支援の分野では以下の6項目が改定されています。

ケアマネージャーの人材育成・質の向上、より複雑化する業務内容のため、取り扱い件数ごとの介護報酬は引き上げられています。

①医療と介護の連携の強化

医療と介護の連携促進のため、利用者が医療機関に入院した場合に3日以内もしくは7日以内に情報提供を行った場合に加算が認められるように変更されました。また、訪問などの情報提供の方法は問わないようになっています。

退院時にも退院時カンファレンスの参加や医療機関職員との調整で加算が認められている退院・退所加算が引き上げられました。

ケアマネージャーと主治医・薬剤師との連携も評価されるようになっています。

②末期の悪性腫瘍の利用者に対するケアマネジメント

著しい状態の変化を伴うがんの末期の利用者について、サービス担当者会議の招集を不要とし、ケアマネジメントプロセスを簡素化しています。

また、ターミナル期の利用者への頻回訪問や主治医やサービス事業者への情報提供が評価されるようになりました。

③質の高いケアマネジメントの推進

ケアマネジメントの人材育成のため、居宅介護支援事業所の管理者は主任ケアマネージャーであることを要件としました。3年間の経過措置期間が設けられています。

また、人材育成への取組も評価されることになっています。

④公正中立なケアマネジメントの確保

公正のため、契約時には利用者へ他の事業所も利用できる旨の説明が義務化されました。

特定の事業所集中減算については、事業所の要件が緩和されています。

⑤訪問回数の多い利用者への対応

利用者の自立支援・重度化防止の観点から、通常よりも訪問介護(生活援助型)が多い場合は市町村が確認し是正を促していくことになりました。

また、地域ケア会議でもケアプランの検証を行い、必要に応じサービス内容の是正を促していきます。

⑥障害福祉制度の相談支援専門員との密接な連携

障害福祉サービスを利用していた利用者が介護保険サービスへスムーズに移行できるよう、連携に努める必要があるという旨が明示されました。

(9)他に改定されたサービス

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/232833

2018年度の介護報酬改定では、上記の項目だけではなく、介護保険サービスにおける多くの分野で改定が行われています。

改定されたサービスの内容は厚生労働省のホームページからも確認できます。

主なものとして具体例を挙げると、以下のような介護保険の制度そのものに大きな影響を与える改定も行われました。

  • 高額介護サービス費の上限額の引き上げ
  • 介護サービス費の「3割負担導入」

介護に関する経済的な負担に関係があるトピックなので、一度は目を通しておくことをお勧めします。

(10)年度介護報酬改定を理解し役立てよう

このように、2018年度の介護報酬改定では、4つのポイントを基本として、様々な分野での改定が行われています。2018年を迎え超高齢社会が進む中、2025年の後期高齢者の急増にも対応できるよう考えられています。年々要介護者は増加し、介護サービスのニーズも多様化・複雑化する中で、いかに効率よく低コストで質の高い介護サービスが続けられるかが今後の日本の展望にかかっていると言っても過言ではありません。

要介護者の自立支援を行い、重度化の予防を図ることは、結果として利用者本人はもちろん、人材やリソースが不足する介護業界やひいては国家予算にも潤いをもたらすことでしょう。

本記事で説明したように、新たになった介護保険サービスを上手く利用し、可能な限り負担が軽減された状態で生活が送れるようにしていきましょう。

この記事が気に入ったら
いいねしよう!