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接遇とは | 医療・介護施設でのマナー・挨拶・身だしなみ

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接遇とは、接客業務に不可欠なおもてなしの心を持ってサービスを提供するためのスキルです。この記事では、主に介護施設における接遇を身に着けるための基本マナーを解説します。介護職だけでなく、接客業に携わる方もぜひ参考にしてみてください。
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(1)接遇の意味

接遇 サムネイル画像

接遇とは、「おもてなしの心を持って人と接すること」を指します。

介護の仕事に限らず、接遇の意識は対人援助を行う上での基本であり、欠かすことはできません。なぜなら、人が他人に対してできる援助の量には限りがあるため、真に相手の満足度を高めるためには、おもてなしや思いやりなどの言葉に示される、「援助の質」が重要になるからです。

自分がもてなされる側になるなら、どのようなおもてなしを望みますか?

介護の必要な利用者だからといって特別なおもてなしが必要なわけではありません。接遇は誰に対しても同じです。思いやりを持って接すれば、もてなしの心は相手にもきっと伝わることでしょう。

(2)介護職にとっての接遇とは

介護職は利用者の生活を支えるサービス業であり、利用者に安心される、信頼されることが大切です。信頼関係が築けなければ、利用者が求めるおもてなしをすることができません。利用者に必要な介護を提供するだけが介護職の仕事ではありません。

たとえば、食事介助や移動介助などの際、いくらその介護士の介助技術が高くても、接遇の意識が欠けている限り、介助を受ける側がそのサービスを受けることに抵抗感を感じてしまいますし、そのサービスを受けた後の満足感にもつながらないからです。

利用者によりよいサービスを提供するために接遇は欠かせないものです。そのため、要介護者の日常生活の援助を安心して任せてもらえる介護職を目指すためには、接遇技術を磨く必要があるのです。

(3)接遇マナーを身につけるメリット

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/348154

接遇・マナーについての研修を定期的に行うなど、接遇に関する教育に力を入れる施設が増えてきました。接遇マナーが利用者と接する上で基本であることを多くの介護施設が認識しはじめているようです。

適切な接遇マナーを身につけることは、利用者や利用者の家族の信頼を得ることにつながります。信頼が得られる接遇マナーは、個人が努力するばかりでなく、組織全体で行うことで、所属する施設の強みになります。利用者や家族と一番身近で接する介護職の接遇マナーは施設の印象にもかかわります。

ここからは、具体的に介護職としてどのような接遇マナーを求められているか、トピックごとに分けて説明していきます。

(4)挨拶

「おはようございます」「こんにちは」「こんばんは」など、人に対しての挨拶はコミュニケーションの基本です。挨拶の際に気をつけることは、相手に好印象を持ってもらうための第一歩です。

下を向いて聞こえるか否かの小さな声での挨拶では、誰に何を言っているのか伝わりません。明るく元気な挨拶は相手にも良い印象を与えます。

気持ちの良い挨拶は、気持ちの良い1日の始まりにつながるでしょう。大きな声で挨拶することだけにとらわれず、気持ちを込めて、相手が聞き取りやすい声で伝えることが接遇の基本です。

(5)利用者との距離感

利用者との距離感は目に見えるものではないため、介護の中でも経験が必要になる部分でもあります。機械を相手に介護を行っているわけではないため、利用者に対して寄り添い、その人にとって必要なことを支援していきます。寄り添いを仲良くすることと勘違いし、馴れ馴れしい態度で接することは適切な距離感とは言えません。

だからと言って事務的に淡々とした声かけに人間味は感じられません。介護は仕事ではありますが、気持ちに寄り添うことや心の支えになることが求められます。一方で寄り添い過ぎることは、よいとは言えません。

大事なのは、仕事であることを忘れず、介護のプロとしての意識を忘れず、それでいて利用者に寄り添う意識をバランスよく持ちながら接することであるといえるでしょう。

(6)態度

態度は、言葉以上に相手に不快な思いをさせるときがあります。例えば、人と話をするときは相手の目を見て話す、依頼をされたことに対して「はい」の返事は1回など、介護の仕事に限らず、人と接する上で基本となるようなことを忘れずに行動することが求められます。

また腕を組む、足を組む、貧乏ゆすりや肘をつくなどの行為は、仕事で疲れているときについ気づかないうちにとってしまいがちですが、「態度が悪い」という印象を与える可能性があるため要注意です。

実際にはきちんと相手を思いやっていたとしても、一度悪い印象を与えてしまうと、なかなか信頼を取り戻せないのがサービス業の特性であるともいえるため、介護施設においても、利用者の前ではなるべく「どのように見られているか」といった部分にも注意を払って行動することが重要です。

(7)身だしなみ

身だしなみも接遇において重要です。

男性の場合、髭・装飾品、女性の場合、派手なメイク・装飾品・爪の長さ・強い匂いの香水などに注意しましょう。身だしなみが整っていないとまじめに仕事をすると言われても信用できない、と考える方が多いからです。

人は見た目で判断してはいけませんが、安心できるような印象を与えることも介護を行っていく上で忘れてはいけないことです。清潔感のある見だしなみは安心や信頼にもつながります。見られていることを意識し、印象を大切にしましょう。

(8)表情

態度と同様に、表情も言葉以上に、相手に多くのことを伝える場合があります。いくら丁寧な声かけをしていても、それが険しい表情をしながらは、相手は不安になります。聞く姿勢も同様です。

真剣に聞いているようでもつまらなそうな表情をする、早く話を終わらせてほしい気持ちは表情に現れてしまうことがあります。「目は口程に物を言う」ということわざがあるように、相手に安心感が与えられる表情を意識する必要があるといえるでしょう。

(9)接遇において大切なこと

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/348257

接遇において大切なことを2つ紹介します。接遇を実践する際には以下のことを気をつけてみてください。

仕事であることを忘れない

接遇の基本は、人によって態度を変えないことです。家族やものごとの理解ができる利用者には丁寧な対応を心かけているが、認知症で理解ができない、寝たきりで意思疎通ができない人に対しては横柄な態度を取る、といったことなどは、当然ながら、仕事としての介護では許されません。

接遇マナーの大切さを理解すること

接遇は、お客様である利用者によりよいサービスを提供するための技能や能力のことを意味します。接客業では、接遇は基本です。

特にホテルやデパートなどでは、言葉遣い、身だしなみ、お辞儀について社員教育を徹底しています。それは、お客様と対応する職員一人ひとりの印象がサービスの質にかかわるからです。

介護現場でも同様です。介護職員の接遇の向上は、利用者の安心感や信頼関係を築くために大切な要素となります。介護職として、利用者への対応は常に見られています。

施設単位、フロア単位、職種単位など接遇マナーを常に振り返ることが、接遇の向上につながります。個人が接遇マナーを振り返り、おもてなしの心で接することで、働く職員や生活している利用者も生き生きし、施設の魅力につながります。

(10)利用者から信頼されるおもてなしを目指して

介護の仕事におもてなしの心は欠かせません。介護職にとって接遇は利用者を支える上で大切なことです。接遇は以下のことに注意が必要です。

  • 挨拶は自分から進んで行う
  • 安心感、信頼を得られる言葉遣い、態度、表情を心がける
  • 清潔感のある身だしなみを心がける
  • 利用者を敬う気持ちを持ち、一定の距離間を保って接する
  • 相手の目を見て、声かけ、傾聴を行う

利用者は介護が必要な人という前に同じ人間です。人を大切にすることがおもてなしの基本です。利用者から信頼されなければ、信頼される介護を提供することはできません。接遇マナーを身につけ、利用者から信頼されるおもてなしができるようにしましょう。

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