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介護予防とは│介護予防・日常生活支援総合事業や運動法について

悩み
介護予防の目的、対象者、サービスの種類、運動法などを説明していきます。自分自身、または両親に対して「いつまでも元気に暮らしたい・暮らしてほしい」という思いを実現してくれる制度です。
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(1)介護予防とは

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1814459

将来訪れる「超高齢化社会」を見据えて平成18年の介護保険法改正に伴い、介護予防を大きな柱に据え、国の制度として新たに組み入れました。

介護予防は介護保険制度の継続的な維持も含め、高齢者が介護や支援を必要とせず終身までいきいきと自立した生活が行えるようにサービスの充実は勿論、住み慣れた環境で総合的な支援が出来る体制を整えていくことを目指しています。

老後を考えている方、高齢の両親を持つ方など高齢になっても元気に過ごせるように、介護予防のサービス内容、費用など詳しく知っておく必要があります。

(2)介護予防の目的

介護予防の目的は、単に「要介護状態になるのを未然に防ぐ」のではなく、「要介護状態になることをできるだけ遅延させる」、「介護状態になっても、それ以上状態が悪化しないように改善する」ことを目的としています。

具体的に行っているサービスとしては以下のようなものがあります。

  • 食生活を栄養面で改善
  • 体操等による身体機能及び運動能力の低下防止
  • 口腔機能の向上

いずれにしても、高齢者となっても日常生活の「質(QOL)」を高めることを目的としており、自立した生活ができるよう様々なサポートを行います。

(3)「介護予防・日常生活支援総合事業」の創設

将来的な「超高齢化社会」を見据えて介護予防を制度化していましたが、平成27年の介護保険改正により「介護予防・日常生活支援総合事業」が新しく設置され、平成29年より全国の市町区村で様々なサービスが開始されています。

従来の介護予防事業同様、高齢者が要介護状態にならないように支援することを目的としており、これは「介護予防・生活支援サービス事業」と「一般介護予防事業」に大きく分かれています。

介護予防・生活支援サービス事業

従来の介護予防事業である、要支援者の訪問介護と通所介護(デイサービス)に加え、要介護認定を受けずとも「明らかに介護予防や生活支援を必要とする高齢者」でも訪問介護と通所介護を利用することが出来るサービスです。

一般介護予防事業

市区町村が、その地区の住民民間サービスと連携しながら介護予防を行うサービスです。高齢者の生活機能の改善だけでなく、生きがいや地域環境を整える事を目的としています。

「介護予防・日常生活支援総合事業」は、従来の介護保険サービスとは異なり、各自治体が主体となって行うサービスなので、サービスの運営基準、単価、費用などを独自に決めることが出来る、自治体の権限が強いのが特徴です。

(4)「介護予防・日常生活支援総合事業」のサービス内容

介護予防・日常生活支援総合事業は、先述した通り「介護予防・生活支援サービス事業」と「一般介護予防事業」に分けることができますが、それぞれに対象者が異なります。提供しているサービスと一緒に紹介していきます。

介護予防・生活支援サービス事業

<対象者>

  • 要支援者
  • 基本チェックリストで認定された方

「基本チェックリストで認定された方」とは、高齢者自身の生活機能低下の有無をチェックするリストで認定された方です。

なお、基本チェックリストは、25項目の質問が用意されており、日常生活での状況、身体機能の状態、栄養状態、外出頻度などで構成されています。

基本チェックリストについてより詳しい記事はこちら

→『基本チェックリストで何がわかる?対象者、チェック項目などを解説

また、行っているサービス内容には以下の様なものがあります。

<サービス内容>

介護予防・生活支援サービス事業で提供されるサービス内容には、次の4つがあります。

訪問型サービス

提供元によってサービスが異なります。

訪問サービス事業者の場合は従来の要支援者への身体介護と生活援助に加え、要支援者以外の対象者は生活支援があります。

市区町村の場合は、市区町村で研修を経た人が行う日常生活支援(掃除、洗濯、調理など)に限定された生活援助、及び専門家の短期間の運動機能などのトレーニングや指導が受けられます。

NPOや地域住民の場合はゴミ出しや掃除といった簡単な日常生活支援が受けられます。

通所型サービス(デイサービス)

コチラも提供先によってサービスが異なります。

通所介護事業者の場合は介護予防通所介護(デイサービス)の相当するサービス、及び専門家が必須でない運動機能訓練やレクリエーションのサービスが受けられます。

市区町村の場合は各種専門家による短期間のデイサービス、運動機能トレーニングや閉じこもり指導などが受けられます。

NPOや地域住民の場合は高齢者への場の提供、介護予防のための体操やレクリエーションなどのサービスになります。

その他の生活支援サービス

市区町村が主体となって、独自に栄養改善、配食サービス兼見守り、ボランティアによる見守りが提供されます。

介護予防ケアマネジメント

対象者に対して適切なサービスを提供するため、地域包括支援センターで介護予防ケアプラン作成するケアマネジメントが行われます。

一般介護予防事業

<対象者>

その市区町村にお住まいの65歳以上のすべての高齢者及び要介護者

<サービス内容>

一般介護予防事業では生活機能の改善と生きがいや地域環境を整える事を目的としたサービスが提供されています。

  • 体力作り教室
  • 介護予防をテーマとするディスカッション
  • 介護予防教室(栄養改善、口腔機能向上、認知症予防)
  • サークル活動

上記のサービスの他にも地域によって様々なサービスが用意されています。

(5)介護予防サービスを受けるためには

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/433921

介護予防サービス受けるためには、各自治体の相談窓口及び地域包括支援センターに相談することによって、サービスを利用することが出来ます。

サービス利用の流れ

①各自治体の相談窓口及び地域包括支援センターに相談

②「基本チェックリスト」による認定作業、要支援者に関しては認定無しで利用可能

③認定後、ケアプランの作成を経てサービス利用開始

なお、サービスを利用するにあたっては、「利用目的を明確にする事」、「利用可能なサービスの優先順位」を明確にし、担当のケアマネージャーに相談して実際に見学できるのであれば見学を行ってから利用することをお薦めします。

(6)介護予防サービスの対象者

出典:https://www.photo-ac.com/

介護サービスを受けることが出来る対象者は、以下の通りです。

  • 要支援1の認定者
  • 要支援2の認定者
  • 総合事業対象者

3つに分かれる対象者の中でも利用できるサービスや利用回数、介護保険の上限額が異なってきます。

要支援1の認定者の場合

介護予防サービスの一つ訪問介護は週1~2回の利用が可能、またデイサービスの場合は週1回程度でサービスを受けることが出来ます。

その他にも、

  • 「介護予防福祉用具購入」
  • 「介護予防福祉用具のリース(一部リース不可)」
  • 「介護予防に関する住宅改修」
  • 「短期入所生活介護」

といったサービスが利用可能です。

介護保険の適用により月額で50,030円を上限とした支援を受けることが出来ます。

要支援2の認定者の場合

訪問介護は週1~3回の利用が可能で、デイサービスは週2回程度でサービスを受けることが出来ます。その他のサービスに関しては、「要支援1の認定者」と同等のサービスを利用することが出来ますが、月額の支援額の上限は104,730円となっています。

総合事業対象者の場合

「総合事業対象者」とは、65歳以上の高齢者の事を指しており、介護認定の調査や審査を受けていなくてもサービスを利用する事が出来ます。

つまり、自立して健康な高齢者であれば利用可能なサービスで、限定的ですが地域支援型の予防サービス(訪問介護とデイサービス)のみを受けることが可能です。

(7)介護予防サービスの種類

介護予防サービスは大きく分けて以下の3タイプに分類され、更にそのサービス内容によって幾つかに細分化されています。

1.介護予防サービス

高齢者の居住する地域で、継続して自立した生活を支援するサービスで、その目的から在宅における支援が中心となっています。対象者は要支援認定1~2の方になります。

介護予防サービスには次の3つがあります。

サービス名 目的 サービス内容
介護予防訪問介護 利用者の自立支援 家事(掃除、洗濯、入浴、排泄など)、生活の質向上の相談
介護予防通所介護(デイサービス) 心身の機能維持及び向上 日常生活の支援(食事、入浴、排泄等)、体操やレクレーション
介護予防通所リハビリテーション 心身の機能維持及び回復 歩行練習や日常生活動作訓練、筋力や体力の維持等の訓練


2.地域密着型介護予防サービス

「介護予防サービス」同様、利用する高齢者の居住している地域で自立した生活が送れるように支援を行います。対象者は要支援認定1~2の高齢者です。

地域密着型介護予防サービスは、その地域に住んでいる人だけが利用できるサービスとなっています。

このサービスには次の4つがあります。

サービス名 サービス内容 備考
介護予防小規模多機能型居宅介護 家事(掃除、洗濯、入浴、排泄など)、機能訓練(健康管理、リハビリテーション)など 利用者の状況に応じて、訪問・通所・短期入所などケースバイケースで利用可
護予防認知症対応型サービス 日常生活の支援(食事、入浴、排泄)、リハビリテーション、健康管理、相談など

認知症をもつ高齢者向け

「通所介護」と「共同生活介護」に分かれる

介護予防認知症対応型通所介護 日常生活の支援(食事、入浴、排泄)、リハビリテーション、健康管理、相談など

認知症をもつ高齢者向け

デイケアサービスセンターでサービスを提供

介護予防認知症対応型共同生活介護

日常生活の支援(食事、入浴、排泄)、リハビリテーションなど

対象が要支援2の方のみ

3.地域支援型の予防サービス

介護及び支援される状態になることを未然に防ぐ事を目的としたサービスで、住み慣れた地域で将来的にも自立した生活が続けられる様に支援を行います。

対象者は、要支援認定1~2の高齢者に加え、65歳以上の健康な高齢者も含まれています。

このサービスは主に次の2つです。

サービス名 サービス内容 備考
介護予防特定高齢者施策 訪問型 ホームヘルパーによる日常生活の支援、看護師等による生活指導及び栄養改善、食事の宅配や見守りサービス
通所型 介護予防にまつわるディスカッションへの参加、介護予防ケアプラン作成の支援 各自治体が指定した病院等に訪れる
介護予防一般高齢者施策 健康に関するセミナーや親睦会、ウォーキングや料理教室など 介護予防の支援、普及が目的

この他にも、介護用品の購入・リースの支援(10万円を上限)、介護・支援を目的とした自宅改修を行うサービスも設けられています。

(8)介護予防サービスの費用

介護予防サービスは、介護保険が適用されるので基本的に1~3割の自己負担で利用する事が出来ます。

サービスを利用した事業者に負担分を支払うような仕組みになっており、場合によっては一旦全額分の費用を支払い、その後自治体に申請することによって費用が払い戻しされる「償還払い」等もあります。

償還払いになるのは次のようなケースです。

  • 福祉用具購入…年間10万円を上限とし、9~7割が払い戻しされる
  • 住宅改修…20万円を上限とし、9~7割が払い戻しされる


代表的な介護予防サービスの費用

代表的な介護予防サービスの費用を幾つか紹介します。なお、次の費用は自己負担1割の金額です。

サービス名 サービス内容 費用
介護予防訪問入浴介護 自宅に移動入浴車などで訪れ入浴の介助を行う 834円/回
介護予防訪問リハビリテーション 理学療法士や作業療法士によるリハビリ 302円/回
介護予防居宅療養管理指導 医師、歯科医師、薬剤師等による健康上の管理・指導 352~553円/回
介護予防訪問看護 看護師による介護予防上の診療補助など 392~814円/回
通所リハビリテーション(デイケア) 介護老人保健施設や医療機関に通所しリハビリなどを受ける 要支援1 1,812円/月
要支援2 3,715円/月
ショートステイ 日常生活の支援(食事、入浴、排泄など)、リハビリなど 要支援1 433~508円/日

要支援2

538~631円/日

費用はあくまで目安です。ショートステイなどは入所する施設の居室タイプによって費用が異なってくるので事前に確認するようにしましょう。

(9)介護予防できる運動法

より細かなサービスを提供することを目的としている総合事業(介護予防・日常生活支援総合事業)ですが次のようなデメリットもあります。

  • 各自治体によって費用の限度額が決められており、サービスの質及び量に格差が出る
  • すべてのサービスが専門家によるサービスでは無いので、サービスへの不安がある(質や安全性)
  • 地域包括支援センター及び介護サービス事業者における仕事量増加によるサービスの質の低下への懸念

このようなデメリットもあるため介護予防サービスに頼りっきりではなく、普段から介護予防体操や健康保持運動を試すのも重要です。自分でもできる介護予防を紹介していきます。

棒体操

座って出来る体操で、30cmの棒(丸めた新聞)を使って、上下運動や横運動を行い、廃用症候群(体を動かさない事でどんどん弱っていく状態)を予防します。

嚥下・発語体操

大きく口を開けて「あ・い・う・え・お」等の発語訓練を行うことによって、口や舌のの動きを活発にし嚥下能力を維持向上します。また、嚥下・発語体操で唾液の分泌促進にもなるので、食べ物の消化を促す効果も期待できます。

セラバンド体操

伸縮性の高いゴムをお尻の下に敷き、ゴムの両端を手にとって上下に上げるなどして筋力トレーニングを行う体操です。

健康保持運動

運動全般が挙げられますが、無理のない程度でウォーキングやストレッチング等がお薦めです。いずれにしても、週2回30分程度を目安に行うことがお薦めです。

(10)介護予防サービス制度について理解して、利用してみよう

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/348157

介護予防サービスは、超高齢化社会を見据えた上で導入された制度で様々なサービスを提供しています。

しかしながら、現状での認知度が低く、存在自体を知らない人が多いのが現状です。自治体ごとに高齢者の受け皿が用意されているわけですから、利用しないのは非常にもったいないことだと言えます。

また、一度要介護状態になると回復はほどんど見込めなくなるので、早めに介護予防サービスを利用して介護状態を予防することが後々、本人及び家族にとって大きなメリットになります。

両親が高齢者になっている人だけでなく今後自分が利用することも含めて、介護予防サービスを検討してみましょう。

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