介護に関わるすべての人を応援します

拘縮とは | メカニズム・症状・介護の際に気をつけること

病気
関節の動きを阻害する拘縮にはいくつかの種類があります。拘縮は予防ができ、一部の拘縮は治療で改善することもできます。介護するときの接し方で拘縮による痛みを和らげることや、拘縮により困っている対象者に安心感を与えることができます。拘縮についての理解を深め、介護に役に立ててみましょう。
公開日
更新日

(1)拘縮とは

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/286173

拘縮(こうしゅく)とは、関節が動かなくなること、もしくは関節の動きが乏しくなる状態のことです。

関節とは骨と骨の接触面のことを指します。関節が動く理由は、筋が関節を跨ぐようにして二つの骨について引き合うからです。筋の力を骨に効率よく伝える役割をするのが腱です。腱は筋と骨の中間にある組織です。

靭帯は骨と骨を結びつけて関節の運動を安定させ、関節を保護します。

関節を包むようにしている袋状の構造物を関節包といい、関節が滑らかに動くことを助けます。関節が動くと、身体の最表面にある皮膚は伸長して関節の動きに追随します。

拘縮は関節の運動に関与する部位の異常により、関節の運動が妨げられることによって起こります。

(2)拘縮の種類

拘縮が生じている関節を調べると、関節に関係する部位のいずれかの組織に異常が生じていることが観察できます。

変性している組織の違いで以下のように分類されます。

  • 筋性拘縮
  • 腱性拘縮
  • 靭帯性拘縮
  • 関節性拘縮
  • 皮膚性拘縮

分類はされているものの、実際は拘縮の進行とともに複数の組織の異常が並存してしまうめ、何性の拘縮かを明確に鑑別することは難しいです。

(3)拘縮が疾患となる場合

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1504416

一般的に拘縮は全身の関節のどこかに生じるものです。一般的な拘縮とは少し異なり、疾患名が付いている拘縮があります。

瘢痕拘縮(はんこんこうしゅく)

皮膚の損傷が一定以上の深さになると、傷ついた組織が元の皮膚組織とは異なり、硬い組織になることがあります。硬い組織を瘢痕と呼びます。瘢痕には皮膚特有の伸長性がありません。瘢痕組織は皮膚性拘縮の原因となり、瘢痕による拘縮を瘢痕拘縮と呼びます。

フォルクマン拘縮

阻血性拘縮とも呼ばれ、筋性拘縮の一種です。小児の肘の骨折で起きることがあり、骨折による血液の循環不全が肘から先の筋を変性させます。筋の変性により、肘から先の関節に特徴的な拘縮を呈した状態をフォルクマン拘縮と呼びます。

デュプイトラン拘縮

手に生じる腱性拘縮、皮膚性拘縮の一種です。手のひらには手掌腱膜という腱性の膜があります。手掌腱膜は手のひらの皮下にあります。

デュプイトラン拘縮は手掌腱膜や手のひらの皮膚に結節を生じることで手指の動きを阻害する拘縮です。薬指と小指に起きやすい特徴があり、拘縮の進行により、手指が曲がったまま動きにくくなっていきます。

(4)拘縮の発症メカニズム

拘縮のメカニズムとして有力視されているのは、それぞれの組織におけるコラーゲン繊維の増殖です。筋、腱、靭帯、関節包、皮膚は柔軟な動きをもたらす組織で構成されています。拘縮した組織は、柔軟性の乏しいコラーゲン繊維に置き換わっていることが観察されています。

それぞれの組織がコラーゲン繊維に置き換わってしまう原因にはどのようなものがあるのでしょうか。詳しく見てみましょう。

(5)拘縮の原因

出典:https://www.photo-ac.com/

拘縮の第一の原因は関節の不動です。

加齢や痛み、筋の緊張でも拘縮が起こることがわかっており、これらに共通する状態が不動です。

関節が不動状態になると関節の運動に関与する組織の変性や脱落が起こりやすくなります。組織が変性、脱落した部位がコラーゲン繊維に置き換わり、拘縮状態になります。

また、筋緊張も原因の一つとして考えられます。不動により筋が緊張することがあれば、筋が緊張することにより不動になることもあります。不動と筋の緊張が相互に影響し合うことで拘縮は進行していきます。

(6)拘縮の症状

関節が動かないというのが主症状です。関節が全く動かない状態と、関節の動く範囲が狭くなっている状態があります。

また、拘縮している関節を無理に動かすと痛みが生じることがあります。拘縮している筋は緊張が強いことが多く、触れると硬くなっているのを確かめることができます。

(7)拘縮の改善方法

手術による治療が選択されるケース

変性している組織が明確な

  • 瘢痕拘縮
  • フォルクマン拘縮
  • デュプイトラン拘縮
  • 皮膚性拘縮

は、手術による治療法が選択されます。

手術以外の治療法には、他動的関節可動域運動やストレッチ、温熱療法や超音波療法が選択される傾向があります。

手術以外の改善方法① 他動的関節可動域運動・ストレッチ

他動的関節可動域運動とは、他者の力で関節の動かせる範囲を動かすことをいいます。動かせる範囲まで動かし、それ以上動かすことが難しい場所でストレッチをします。

ストレッチは痛みが生じない強さで数十秒の時間をかけながら行います。痛みがあると痛みから逃げる反応が起こり、身体が緊張を強めて拘縮が悪化する可能性があるので注意が必要です。

手術以外の改善方法② 温熱療法や超音波療法

物理療法の一種であり、熱や音波の特性を利用します。硬くなり伸長性が乏しくなった拘縮の原因となっている組織の柔軟性と伸長性を少し取り戻してくれます。

(8)拘縮の予防法

一番の予防は関節の不動状態を作らないことです。予防法として代表的なものには、関節可動域運動、ポジショニング、早期離床や早期運動が挙げられます。

関節可動域運動

関節を動かす運動です。関節を自分で動かせる場合は自分で動かし、自分で動かせない場合は他者に動かしてもらいます。1日に数回、関節が動く全範囲を動かします。

ポジショニング(良肢位保持)

寝ている姿勢を安楽な姿勢に保つポジショニングや、拘縮している部位の関節を装具等を用いることで安定させる方法です。ポジショニングは身体の緊張を緩和します。緊張の緩和が拘縮の発生や進行を予防します。

早期離床、早期運動

廃用症候群や寝たきりと呼ばれる状態は拘縮を合併する要因になります。寝たきりの場合は早期に離床させ、運動が可能な場合は早期に運動することで不動状態を作らないようにします。起きているだけで全身の筋が活性化するので、拘縮を予防することができます。

(9)介護する際に気をつけること

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/348234

介護者、介護される対象者の双方にとって気持ちの良い介護経験になるために、介護をする際に気をつけることとして3点挙げます。

急に動かさず、優しく動かす

拘縮している関節は筋の緊張が高まっていることが多いです。介護のために普通の速度で身体を動かしても、普通の速度に筋の反応がついていけず、痛みや不快を生じることがあります。

関節の動く範囲を把握し、動かし過ぎない

身体を動かす前にどの程度関節が動くか把握しておくといいです。関節の動く範囲を把握していないと動かし過ぎてしまい、痛みを出してしまうことがあります。

また、動く範囲を事前に把握するやり取りを行うことで、介護される対象者は介護されることに対して安心できます。

常に声かけをする

どんなに注意しても介護の際に痛みを出してしまうことはあります。一つ一つの介護の際、今からどんな介護をするのか、どの方向にどこを動かすのかなどの声かけるだけで、痛みが生じる頻度が減ります。

これから起こることを教えてもらえると、介護される対象者は身体をその方向に意識的に反応させてくれます。声かけをすることが介護者にとっても介護をされる人にとっても介護を快適なものにしてくれます。

(10)拘縮についての理解を深めて介護に役立てよう

拘縮の主な原因は関節の不動であり、拘縮が起きると痛み等の不快な経験をすることがあります。

拘縮についての理解を深めることで、介護体験の不快を少なくすることができます。拘縮は予防や治療を行うことで軽減する可能性があり、声かけのような気遣いにより不快な経験をなくすことができます。

拘縮についての理解を深めることが拘縮のある対象者の置かれている状況の理解に繋がり、対象者の気持ちに寄り添うきっかけになります。拘縮の理解を深め、これからの介護に役立てましょう。

この記事が気に入ったら
いいねしよう!