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福祉のセーフティーネットである救護施設 | 対象者/利用方法/費用など

公的制度
救護施設は、障がいの程度や種類などに関わらず、社会的に必要とする人が誰でも利用できる総合的な福祉施設です。費用はすべて生活保護費で賄われており、衣・食・住の提供をはじめとして、リハビリや介護サービスなども行っています。対象者に制限はありませんが、利用する場合には、施設の特徴や内容を正しく理解しておく必要があります。
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(1)救護施設とは?

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/306017

救護施設とは、生活保護法を根拠とし、社会福祉法における第1種社会福祉事業によって運営されている保護施設のことを指します。

救護施設には身体や精神に障害があるほか、経済的にも日常生活を送るのが困難な人たちが健康で安心して生活するための「最後の砦」としての機能を期待されています。

また、日本国憲法で保障されている「健康で文化的な最低限度の生活」を営むために、障がいの種類などに関わらず、必要とする人が必要なサービスを受けられる総合的な福祉施設としての機能も備えています。

厚生労働省の「平成27年社会福祉施設等調査報告」によれば、平成27年10月現在、救護施設は全国に185箇所あり、約17,000人が利用しています。

出典:厚生労働省・https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/fukushi/15/dl/sankou01.pdf

(2)救護施設の対象者

救護施設は、身体や精神に障害があるほか、経済的な問題も含めて日常生活をおくるのが困難な人たちを対象とする施設です。

実際には、下記のような人々が利用しています。

  • 身体・精神・知的障害のある方
  • アルコール依存症などの症状を持っている方
  • ホームレスの方
  • 犯罪歴がある障害者の方
  • DVや虐待から逃れてきた方
  • 台風や地震で被災した方

様々な要素により、健康で文化的な生活を自立して送ることが難しいものの、医療や介護など、各種福祉サービスの利用を必要としている人々が、救護施設の利用対象者であるといえるでしょう。

(3)救護施設の利用にかかる費用

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/390526

救護施設の利用の費用は、利用者に収入があるかどうか・どの施設を利用するか、で異なります。

利用者に収入がなければ、救護施設を利用する費用の負担は一切かかりません。また、医療機関等の受診が必要な場合にも、費用はすべて生活保護費で賄われることになります。

一方、利用者に年金などの収入がある場合には、生活保護法の規定に基いて、受給している一部または全額が救護施設の保護費・事務費として支払いを求められることがあります。料金及び費用の詳細については、各救護施設を運営している自治体により異なります。

この支払金(負担金)についてですが、各福祉事務所によっては公表がされていないため、いざ利用を検討している場合には、福祉事務所に直接聞いてみるのがもっとも正確です。

なお、利用者の家族については、基本的に費用を負担する必要はありません。

(4)救護施設の入所にはどのような制限があるのか

救護施設は、障害者福祉施設や民間の高齢者施設などとは異なり、障がいの程度や年齢、利用期間などによって対象者が限定されることはありません。

身体上または精神上の著しい障害のため日常生活を営むことが困難な人のすべてに開かれています。このため、社会における、事実上最後のセーフティーネットとしての役割を果たしているともいえます。

ただし、18歳未満の場合は児童福祉法での対応となるため、注意が必要です。

(5)救護施設の4つの機能とは?

救護施設は、①「入所事業」、②「一時入所事業」、③「居宅生活訓練事業」、④「通所事業」の4つの機能を有しています。

入所事業

救護施設の根幹となる入所事業は、生活保護を受けており、自立した生活が困難な人を対象としています。救護施設にて一定期間、サービスを提供していくというサービスです。

入所期間を通じ、自立や地域移行を促し、生活の安定を図ることを目的としています。

一時入所事業

一時入所事業は救護施設へのいわゆるショートステイを行う事業です。多くの場合、施設を利用してはいないが生活保護を利用している人や、施設を退去した人を対象としたサービスです。

利用できる期間や費用は施設によって異なるので、個別に確認が必要です。

居宅生活訓練事業

居宅生活訓練事業は、訓練をすることで自立生活に復帰できそうな見込みのある入所者に個別の訓練を行う事業です。

通所事業

通所事業とは、利用希望者本人が施設に通所することにより、あるいは施設のスタッフが自宅を訪問することにより利用者の地域における自立を促進する事業です。入所事業の定員の半数を受け入れ上限としています。

(6)救護施設のサービス内容

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/650678

救護施設は、上記の4つの機能に基づいて、それぞれ様々なサービスが提供されています。

入所事業

入所事業は、施設自体が生活の場となるため、利用者が安心して生活できるようなさまざまなサービスが提供されています。このため、衣・食・住の提供はもちろんのこと、健康管理や障害があれば介護サービスも提供されます。

また、利用者の能力向上のための作業訓練をはじめ、身体機能や日常生活動作、生活習慣などに関するリハビリテーションプログラムの提供、利用者が抱えている問題解決のための相談援助なども行われています。

一時入所事業

一時入所事業において提供されるのは、入所を検討することを前提においた、施設での生活や雰囲気を確認するための体験入所サービスです。あるいは施設に通所しながら自立を目指している通所利用者の休息、DV被害者や被災者などの避難先としての緊急一時入所サービスでもあります。

居宅生活訓練事業

居宅生活訓練事業とは、地域移行を目指すための個別訓練を提供する事業です。

救護施設に入所しており、訓練を行うことで自立した生活に復帰できる見込みのある入所者のうち、1施設につき3~5名が対象者となっています。訓練期間は原則として1年ですが、延長によって最大2年に渡って継続されることもあります。

訓練の具体的な内容として定められているのは、日常生活訓練(食事、洗濯、金銭管理等)・社会生活訓練(公共交通機関の利用、通院、買い物、対人関係の構築等)・その他、自立生活に必要な訓練の3種類です。

これら3種類の個別訓練を通じて、対象となった入所者が施設を退去し、居宅で生活した生活を自力で行えるようになることが目的です。

通所事業

通所事業では、利用者が施設に入所することはないものの、生活に関わるさまざまなサービスが提供されます。

具体的には、食事提供や服薬管理、通院同行、金銭管理、公的書類の説明や代筆、掃除などの定期訪問、安否確認、遺品整理、役所や買い物への同行など多岐に渡るサービスが提供されることになります。

このほかにも、緊急時には救急車の手配や同乗をしたり、ヘルパーや訪問看護を利用するための利用申請の補助、またサービス開始後の連絡や調整を救護施設が代行することもあります。

出典:全救協レポート・http://www.zenkyukyo.gr.jp/report/pdf/133.pdf

(7)救護施設ではどのような生活を送るのか

救護施設に入所した場合の生活については、施設によって特色があるために一概にはいえませんが、基本的にどのように過ごすかは利用者が決めることになります。そのため、何もしないで過ごしている利用者も少なくありません。

これは、最後のセーフティーネットとしての役割を果たすためでもあり、利用者の中には、単純作業などにすら従事できない心身状態の人も少なくないからです。

ただし場所によっては、地域社会で生活するのと同じように、趣味や学習活動、レクリエーション、中には旅行などが行われている場合もあります。このような余暇活動は、基本的には救護施設が主体になって行われますが、施設によっては利用者が役員を務める自治会が組織されていて、利用者同士の話し合いによって行われていることもあります。

(8)救護施設の入所に必要な手続きとは?

救護施設は利用者が自ら施設と契約して入所するのではなく、福祉事務所からの委託によって利用者を受け入れる措置施設のため、利用する際にはまず各市町・都道府県の福祉事務所への問い合わせが必要です。

その上で生活保護の認定の手続きを行い、希望者を調査の上、福祉事務所によって救護施設への入所が申請されます。

ただし、救護施設が定員を満たしていると利用することはできないため、この場合には待機が必要です。

入所が可能な場合には、事前に家族や利用を希望する本人と面談などが行われるたのち、施設の見学や体験入所の上、入所を希望する場合には福祉事務所によって入所に必要な書類を施設に提出します。

入所が認められると、希望者は衣類や洗面用具といった日用品を事前に用意し、実際に入所が可能になります。

(9)救護施設の課題とは?

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/124135

イメージや、医療サポート面

救護施設は生活保護法に基づく保護施設として福祉全体の中で一定の役割を果たしていますが、セーフティーネットとして機能しながらも、やはり社会復帰の可能性の低い人たちを保護して、終生介護「してあげている」というネガティブなイメージを持たれることがあります。

また、近年では精神障害やアルコール依存症などの利用者が急増していることから、医療との連携や、職員の専門知識の習得も急務です。

さらには、対処に際する収入認定の厳しい適用によって自立への意欲が削がれていることも課題となっています。

しかし、むやみに出所を促してしまうと、救護施設の利用者が出所した後に金銭的な問題が発生することがあります。たとえば病気などを患った時に、所持金のみでは入院できない、といった事態を招きかねないという問題です。

(10)福祉の最後の砦である救護施設について知ろう

ここまでのように、救護施設は社会における最後のセーフティーネットとして機能している施設です。また、障害の程度などによって利用が制限されることもないことから、福祉全般においても最後の砦としての役割を果たしているという事実もあります。

しかし実際に利用する際には、受けられるサービスなどのついてきちんと知っておかないと、入所できたとしても日々の過ごし方や雰囲気などに関して満足できる生活が送れない、ということにも考えられます。入所を検討する際には、救護施設の特徴や内容を正しく理解しておかなくてはなりません。

その際には、本記事や類似記事を確認するだけでなく、お近くの福祉事務所や、各救護施設に相談してみることもお勧めいたします。

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