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誤嚥性(ごえんせい)肺炎の症状 | 高齢者に多くみられるケースは?

病気
高齢になると、のどの機能が衰え誤嚥(食べ物や唾液が気管に入ってしまうこと)を引き起こしやすくなり、「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」になる可能性が高くなります。誤嚥性肺炎は聞きなれないかもしれませんが、2018年の統計では、日本人の死亡原因の第5位に位置する「肺炎」の中には「誤嚥性肺炎」が少なからず含まれていることも知られており、実は身近な疾患です。そんな誤嚥性肺炎の種類、症状、誤嚥を招く摂食嚥下障害(せっしょくえんげしょうがい)を説明します。
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(1)誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)とは

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/450272

本来食べ物を食べたときには、食道を経由して胃へと運ばれることで消化が進みます。

しかし、口から食道を通るべきものが誤って気管や気管支に入ってしまうことがあり、このことを誤嚥(ごえん)と呼びます。特に、誤嚥によって起こる肺炎を誤嚥性肺炎といいます。

誤嚥を起こした場合、むせこみを経験されたことがある方も少なくないのではないでしょうか?これは人間に生まれつき備わった防御機能であり、誤嚥を防ぐために必要な反射機能であることが知られています。

しかし、加齢などによってこの機能が衰えると、異物を排出することができずに、肺の中に異物が混入します。

食物に加えて口の中に生息する細菌も同時に肺の中に取り込まれてしまい、細菌が肺で繁殖して、結果として肺炎を引き起こしてしまうことがあります。これが誤嚥性肺炎です。

先に記載したように、誤嚥性肺炎の発症は、誤嚥を防ぐための反射機能が大きく関与しています。

そのため、反射機能が衰える状況では誤嚥性肺炎の発症リスクが高まることが知られています。具体的には、高齢者に多く、他にも脳卒中や糖尿病などの基礎疾患がある人、喫煙習慣がある人、多剤内服している人は特に注意が必要です。

また、口を使って食べ物を飲み込んでなければ、誤嚥もしないだろうという過信は禁物です。チューブを使って胃に直接栄養物を送り込む経管栄養を行っている人も、誤嚥性肺炎になる可能性はあります。

家族や介護者は十分に気をつけて、しっかりと口腔ケアを行うようにしましょう。

(2)  誤嚥性肺炎の種類

一口に誤嚥といっても、症状の有無や原因の違いから2つに分けることができます。

顕性誤嚥(けんせいごえん)

通常、食べ物や唾液が誤って気管や気管支に入ると健康な人はむせることで異物を吐き出します。このように、症状が現れる誤嚥を顕性誤嚥といいます。

不顕性誤嚥(ふけんせいごえん)

誤嚥を起こしてもむせたり、呼吸が苦しそうな症状を見せたりしないことがあります。これを不顕性誤嚥といいます。

健常者でも睡眠中に無意識のうちに起こすことがあるほか、胃にチューブを入れて栄養物を送り込んでいる、経管栄養状態でも、唾液などが気管に入り引き起こされることがあります。

また、症状が目で見てわからないため、周りが気づきづらいのが不顕性誤嚥です。知らず知らずのうちに誤嚥が起きて肺炎症状が出たときにはじめて気付くこともあります。

(3)誤嚥性肺炎が起こるタイミング

誤嚥が起こるタイミングはいくつかあります。誤嚥というと、食べ物を飲み込んだその瞬間にのみ生じると思われる方も少なくないかもしれません。

しかし実際には、口でものを咀嚼している時、食べ物を飲み込んでからしばらく後、などにも生じる可能性があります。

さらに、誤嚥は食事中だけではなく、誤嚥とは無関係に思われる睡眠中にも起こることがあります。こうしたことから、誤嚥性肺炎のリスクは、日常生活のあらゆる時に存在しうる、とも言うことができます。

こうした誤嚥を繰り返し起こしていると、食べ物や唾液などに含まれる細菌が肺に入り込み、誤嚥性肺炎を引き起こす危険が高まります。

(4)誤嚥性肺炎の症状

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/939839

誤嚥性肺炎の典型的な症状としては、発熱や激しい咳、そして膿性痰(のうせいたん)と呼ばれる黄色い痰が出る、呼吸が苦しい、肺雑音(聴診器でわかる症状)があるといったものがあります。

しかし、こうした症状は風邪でも見られうる症状であるため注意が必要です。風邪と診断され、処方された薬を飲み続けてもなかなか症状が改善せず、詳しく検査をしてようやく誤嚥性肺炎と診断されることもあります。

高齢者の場合は、呼吸不全や心不全を起こし、調べてみたら誤嚥性肺炎が背景にあったというケースもあります。症状が悪化を食い止められるように、早期発見を心がけましょう。

(5)高齢者に多い症状

高齢者の場合において、誤嚥性肺炎とは一見無関係と思われる症状が病気の発症を示唆しうるため、特に注意が必要です。

例えば、下記のような症状です。

  • 何となく元気がない
  • 食事の時間が今までよりも長くなっている
  • 食事の後、疲れてぐったりしている
  • うわの空でいることが多い
  • 失禁をするようになった
  • 口の中に食べ物をため込んだまま飲み込まずにいる
  • 体重が徐々に減っている
  • 夜間にせき込むことが多い

これらの症状がみられる場合にはかかりつけの医師や病院に相談することで、誤嚥性肺炎の早期発見につながることがあります。

一般的に肺炎は高熱を伴い、咳や痰、息切れなどに苦しむイメージがありますが、誤嚥性肺炎の場合はこうした明確な症状が現れず、気付くのが遅れる可能性があるので注意が必要です。

(6)  症状に気付くためには

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2650128

誤嚥性肺炎の場合、非常にあいまいな症状の場合もあるため、日ごろの細かな変化にも気を配ることが大切です。食事中に頻繁に咳込んだり、喉が常にゴロゴロ鳴ったりする、唾液がうまく飲み込めなくなったといった症状がみられる場合は要注意です。

また、原因不明の発熱や食欲減退が起こっている、食べ物の好みが突然変わった、食後に声がかれるといった症状がある場合にも、一度病院で検査を受けたり、介護の専門家に相談したりすることをおすすめします。

誤嚥性肺炎は一度発症すると自然治癒が難しく、専門的な治療が必要です。おかしいなと思ったらすぐに受診しましょう。

(7)誤嚥性肺炎に発展する誤嚥

誤嚥を起こしたからといっても、すべての場合において必ずしも誤嚥性肺炎が引き起こされるわけではありません。

誤嚥によって誤嚥性肺炎を発症するかどうかは、誤嚥したものの量や内容、喉の強さや体力の有無、免疫力など、体の抵抗力とのバランスがポイントとなります。

また、それに加えて、口の中の衛生環境も大きなポイントです。口の中の衛生環境が悪いと、細菌が活発に増えていきます。そうすると、誤嚥した際にその細菌に汚染された唾液が肺に入ってしまい、誤嚥性肺炎の発症リスクが高まります。

例えば、誤嚥したものがごく少量であったり、肺に影響を及ぼすような刺激の強いものでなかったりする場合には、誤嚥性肺炎が引き起こされるリスクは低いです。

また、仮に誤嚥したものが刺激の強いものだったとしても、咳をきちんとすることができ、体に免疫力が備わっていれば誤嚥性肺炎は発症しにくいと考えられます。

しかし、誤嚥したものが不潔であったり、体の免疫力や抵抗力が落ちたりしていると誤嚥性肺炎を発症しやすくなります。

(8)誤嚥を招く摂食嚥下障害(せっしょくえんげしょうがい)

摂食嚥下とは、食べ物を認識してから口に運んで咀嚼(そしゃく)し、飲み込みまでの一連の流れをいいます。

摂食嚥下障害を起こすと、飲食が思うようにできなってしまい、様々な不具合が生じる可能性が出てきます。具体的には、栄養失調や脱水、誤嚥性肺炎の発症などといった、健康被害につながる危険性があります。

さらに、飲食とは人が生活をする上でなくてはならない行為です。飲食そのものを楽しむこともままならなくなってしまい、食べる楽しみを失ってしまうQOL(クオリティオブライフ:生活の質)の低下につながることもあります。

特に高齢者は、加齢による歯の欠損や、舌の運動機能が低下するのをはじめ、咀嚼能力・唾液の分泌量も低下しやすくなっています。口腔内の機能の低下により、摂食嚥下障害を起こしやすくなるとされています。

摂食嚥下障害になると、誤嚥を引き起こす可能性が高くなります。摂食嚥下障害が見られたら、誤嚥性肺炎にはより一層警戒するようにしてください。

(9)摂食嚥下障害の症状

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1693294

摂食嚥下障害者の症状としては、まず、食事中に特に水分の多いものでよくむせるようになり、汁物の食事を避けるようになることが挙げられます。場合によっては食事中でなくても唾液で突然むせたりせき込んだりする症状が現れます。

また、食べ物を飲み込んだつもりでも口の中に残っていることがあり、咀嚼力の低下や歯の問題で、ごはんよりも麺類といったやわらかいものを選ぶようになります。

さらには、食事後にがらがら声になる、食事の最中に疲れて出されたものを全部食べられないといった症状もあります。

このほかにも、それまで毎日飲んでいた薬を飲みたがらなくなったり、水分を取らずに尿量が減ったり、発熱を繰り返して夜間せき込むなどの症状も見られます。こうした症状がある場合、誤嚥性肺炎を発症しているケースがあります。

(10)誤嚥性肺炎の症状を理解してしっかり予防しよう

飲み込む力は加齢によって徐々に衰えていきます。高齢者が食べ物をのどに詰まらせる事故によって命を落とすケースがあるのもこのためです。そしてこれは、誤嚥性肺炎にも直結するものです。

特に高齢者は、一見すると今までと変わらず、はっきりした症状が見られなくても、気づかないうちに誤嚥性肺炎を発症して、重症化してしまうケースも珍しくありません。

そのため、周りの人が小さな変化も見逃さず、ささやかな症状にも気づき、早い段階で治療をすることが重要です。

また、誤嚥性肺炎にならないためにも、日頃の口腔ケアをしっかり行う、必要に応じてとろみをつけて食べ物の誤嚥をしにくくする、飲み込む力が衰えないようなリハビリを行う、などの予防策を講じることが大切です。

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