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低い低い言われる介護士の給料は今後どうなる?「介護職賃上げ法案」が突破口となるか?

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人手不足が叫ばれ続けている介護業界ですが、人材が集まらない背景には、介護業界の賃金が一向に向上していかないという問題があります。 全産業における平均年収が約440万円なのに対して、常勤の介護士の平均年収は約320万円と、およそ120万円もの差がある現実があります。 給料が低いために人材が集まらず、人員配置水準をなんとかクリアする程度の少人数で運営していかざるを得ない介護施設も珍しくありません。 今回は介護職員の給与底上げとして議論が進められている「介護職賃上げ法案」について見ていきます。
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(1)介護職の賃金の救世主?「介護職賃上げ法案」とは?

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1872769

このような介護職の賃金の現状を鑑みて、現在いわゆる「介護職賃上げ法案」と呼ばれる法案が国会で審議されています。

これは、2015年9月に発覚した川崎市における老人ホームでの転落死事件などで浮き彫りとなった、人手不足による介護現場の負担の増大を解消するための法案であり、 介護職の給与を月平均6,000円から1万円程度引き上げるという事項が盛り込まれています。

2015年に行われた介護報酬の引き下げは、国が介護報酬を引き下げることで社会福祉法人などが持っているとされる潤沢な「内部留保」を、介護職の賃金に回させることを意図したものでした。

しかし結果的にその試みはうまくいかず、介護職の賃金はさらに引き下げられてしまうこととなりました。

この状況を打開するべく審議されているのが「介護職賃上げ法案」であり、介護職の賃金の根本的な引き上げへと繋げられるか否かが、重要な争点となっています。

審議が進められていく中で、このような賃上げ法案によって賃金が引き上げられることが、介護業界における優秀な人材の確保、 ひいては疲弊している介護・福祉サービスの基盤を立て直すことに繋がるのか?という点が話し合われ、「賃金に関する事項は、党派を越えて議論されるべき日本の課題である」という答弁も行われるなど、介護職の賃上げに関する熱は近年になく高まってきていると言えるでしょう。

(2)今後、介護職の給与が上がる見込みはあるのか?

このように介護職の給与水準アップに関して、現在、活発な議論がなされていますが、実際のところ今後介護職の給与が上がる可能性はどの程度あるのでしょうか。

前述した「介護職賃上げ法案」が可決されれば、下がり続けていた介護職の給与水準は若干の改善を見せると考えられますが、 それでも年収ベースで考えると年間10万円程度がプラスになるだけであり、大きな前進ではあるものの、介護職の給与水準を抜本的に改善することは難しいでしょう。

さらなる賃金アップを図るためには、前述した介護事業所における「内部留保」の利用が促進されるべきですが、これに関してはあまり期待出来ないのが現実です。

介護事業所における内部留保は通常の株式会社の持っている内部留保とは違い、配当金などの形で資金を流出させることが出来ないため、基本的に「持っているだけ」の資金がほとんどとなります。

さらに内部留保の金額に関しても施設ごとに違いがあり、ほとんど内部留保を有していないような事業所も存在しているため、 一律に賃金アップを図ることが出来ないということも大きな問題です。

このような事情から、少なくとも内部留保を用いた賃金上昇は今後あまり見込めないということが分かります。

介護職の給与が他の産業平均に比べ、抜本的に改善されるか否かは、今後の介護職員の賃金に関する法律改正がさらに行われない限り、難しい部分が大きいのではないでしょうか。

(3)法律改正と介護職員のスキルアップも賃金上昇のカギ!

介護報酬を収益基盤とする介護業界の特殊な構造と、通常とは異なる内部留保の構造、さらには介護事業所と地域との関わりといった数多くの要素が絡み合っていることから、介護職の給与水準改善は一筋縄ではいかない部分が多くなっています。

職員個人レベルでできることとしては、資格の取得を伴ったスキルアップがあげられます。

介護業界全体の流れとして、ヘルパー2級が廃止され、介護職員初任者研修と実務者研修が加わり、また現在「認定介護福祉士(仮称)」の新設が進められているように、 介護職員のスキルの底上げが潮流となっています。

介護事業所のアンケート調査でも「有資格者を優遇したい」という回答が大勢であり、今後、スキルの高い職員ほどますます優遇されるようになると予想されます。

介護職員が個々のレベルで地道に「資格・スキルアップ」を進めていくことが、現在ベースアップにつながる最良の方法であると考えられます。

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