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介護事業者2タイプの未来。「保険依存度」の高い事業所と低い事業所の明暗は?

施設サービス
大転換を迎えている介護業界 介護保険は今、大きな岐路に立たされています。介護を必要とする要介護者が増加する一方で、それを支える生産労働人口は減り続けており、社会保障費の削減は避けられない状況です。 そんな状況下にあって、高齢者福祉事業所はどのように振舞うべきなのでしょうか。今回は保険依存度に着目して事業所の未来を見ていくことにします。
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(1)介護保険内サービスと保険外サービスの違いを知ろう

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1872769

保険依存度とは、会社や法人が行う介護事業のうちどの程度が介護保険からの収入によっているかを示したものです。

「え、介護サービスを行う事業所は全部介護保険からお金が出ているんじゃないの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。これは半分正解で、半分間違いだといえるでしょう。

確かに訪問介護やデイサービス、それに施設介護サービスを提供した場合、利用者の1割負担に加えて、国から残りの金額が給付されます。

会社内のすべての事業が介護保険を利用するものであれば、保険依存度は100%ということができます。これは従来のごく一般的な高齢者福祉事業所の姿といえるでしょう。

では保険依存度が100%ではない事業所とはどのようなものでしょうか?

先ほど紹介したような介護保険サービス以外のサービスを提供している事業所がそれにあたります。 介護保険外サービスの代表的なものとしては、家事代行サービスや配食サービスなどが挙げられるでしょう。

居宅介護支援や訪問介護などの介護保険内サービスに加えて、 これらの介護保険外サービスを組み合わせている事業所は、保険依存度が低いといえます。  

(2)保険に頼らないメリットとは

保険依存度についてある程度理解できたところで、次に依存度の高低が事業所にどのような影響をもたらすのか、考えていくことにしましょう。

まず最初に整理しておきたいことは、保険内サービスと保険外サービスの料金の違いです。

前者は介護保険サービスであるために、利用料金は国によって定められています。 また要支援および要介護認定を受けた人でなければ、利用することができません。

一方保険外サービスに関しては定められておらず、自由に、誰にでも提供することが可能です。

両者の違いをみれば一目瞭然ですが、保険内サービスは非常に制限の多いものであることがわかります。

訪問介護を例にとってみましょう。 訪問介護サービスでは対象者の衣類の洗濯や食事の準備などを行うことは可能ですが、同居家族の食事を準備することや、庭の草むしりなどをお願いすることはできません。

あくまで介護が必要な人に対して、必要なだけのサービスを提供するというのが介護保険の趣旨であり、そこから外れたサービスに関しては、行うことができないのです。

保険外のサービスであれば、これらすべてを賄うことができます。介護保険内サービスと併用することも可能ですから、これまでしてもらっていたことに加えて、別のことをお願いすることもできるのです。

今後介護保険外サービスはどんどん拡大すると言われています。その理由は利用者のニーズは多様化し、よりその人らしい生活を求めるにつれて、 既存の介護保険サービス内ではカバーしきれない領域が拡大しているためです。

また国の指針として、介護度の高い人へ介護サービスを集中させ、介護度の低い人に関しては保険外サービスで賄う意図があることも見逃せません。 これまで保険内サービスでしてもらえていた範囲のことも、保険外サービスにお願いするケースも増えてくるでしょう。  

(3)依存度が高いとどのような弊害がある?

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2514611

政策の動きに大きく左右

依存度が高いと、保険料による安定した収入を得られるメリットがあります。その一方で、国の政策によって収入が大きく左右される点も見逃せません。

2015年の介護報酬改定によって、全体でマイナス2.27%の引き下げとなりました。この影響は保険依存度が高い事業所ほど顕著に現れます。

保険依存度が100%の事業所の場合、前年度と同じだけの稼働率を上げていたとしても、収入は2%強下がってしまいます。

反対に保険依存度が低い事業所であれば、保険収入の減少を保険外サービスの拡大によって補うことも可能ですし、依存度が低ければ低いほど報酬改定の影響は軽微にとどまるでしょう。

現在の財政状況を考えた場合、今後も介護報酬のプラス改定が続くとは考えにくく、その影響を和らげるためにも保険外サービスの提供は必要不可欠となりそうです。  

(4)保険依存度は高いよりも低い方がいい?

結論としては、保険依存度は高いよりも低いほうがリスク管理を行いやすいといえるでしょう。サービスを多様化することでリスク分散ができ、経営としては健全なものになります。

とはいえ、あまりに低すぎると介護報酬がプラス改定された場合の恩恵を受けにくくなってしまいます。

また保険外サービスは競合他社が多く、簡単に利益を上げにくいという問題も存在します。

適切な依存度がどれくらいかは一概に言うことはできませんが、少なくとも現在保険依存度が100%の事業所は、保険外サービスに積極的に進出していく必要があることは間違いなさそうです。

時流は保険外サービスの拡大および保険内サービスの集中に向かっており、今この流れに乗り遅れてしまうと、今後浮上のきっかけを見つけるのは難しいかもしれません。  

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