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老老介護とは | 解決策や問題点、認認介護に発展する危険性も

社会問題
高齢化社会である現代の日本において介護問題の一つである老老介護が増加傾向にあります。 本記事では、そんな老老介護の現状に対する解決策や問題点、また認認介護に発展する危険性についても詳しく解説します。
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(1)老老介護とは

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/443961

進む老老介護

年々、高齢化社会が進行しつつある日本という国において、「老老介護」というトピックが非常に深刻な問題になってきています。

老老介護とは「ろうろうかいご」と読み、家庭の事情などによって65歳以上の高齢者(*)が、同じく65歳以上の高齢者の介護をせざるを得ない状況のことを指します。

例を挙げると、高齢の夫婦間での介護、高齢の兄弟や姉妹間での介護、高齢の子どもが高齢の親を介護するケースなどがあります。

世界保健機関(WHO)では、高齢者を以下のように定義しています。

65歳以上の方、もしくは定年退職者や老齢年金給付金対象者のこと

(2)老老介護は増加している

現在は高齢者世帯のうち2世帯に1世帯以上が老老介護にあたる

厚生労働省が2017年6月27日に発表した2016年の国民生活基礎調査(厚生労働省『国民生活基礎調査「Ⅳ 介護の状況」』)によると、「老老介護」に該当するとされる高齢者の世帯の割合は54.7%になり、老老介護が必要な世帯の割合は増加傾向にあります。

このことは、要介護者でない高齢者の負担が増え、結果として心理的・身体的なストレスが増加し、その方まで要介護者になってしまうという、負の連鎖を呼び込むという恐ろしい可能性を示しています。

そのため、老老介護は現在、介護の分野のなかでも大きな問題となっているのです。

(3)老老介護から生じる問題

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2368820

老老介護の状態が、具体的に被介護者と介護者の間に具体的にどのような問題を生むのでしょうか?

老老介護に限らず、介護に必要な時間は、被介護者の、5段階による要介護度によって違ってきます。要介護度が高くなるにつれ、介護に必要な時間も長くなり、ストレスや疲労感を感じるようになります。

そしてその期間が長くなるほど介護者は疲弊し、いわゆる「介護うつ」という状態に陥ります。介護うつの主な症状としては、

  • 食欲不振
  • 睡眠障害
  • 疲労・倦怠感

などがあります。

回りまわって被介護者にも被害が

高齢者の方々は、体力的にも精神的にもストレスを感じやすいため「介護うつ」状態に陥りやすいうえに、その症状も比較的重くなってしまうことが多いといわれています。高齢の介護者が感じるこれらのストレスが原因で、介護虐待といった問題も発生してしまうこともあります。

介護虐待の実態について、より詳しい記事はこちら

→『高齢者虐待の事例 | 通報の義務・原因・防止の取り組みまとめ

(4)老老介護が増加している原因

老老介護はなぜ増加傾向にあるのでしょうか?

その主な原因を5つ挙げ、それぞれについて説明していきます。

少子高齢化

老人の方が増え、若年層の数が伸び悩むことで、高齢化率(全体の人口に対する老人の割合)が高まっています。それにより、老人の方に対して介護ができる若年層の方が、全体として見たときに少なくなっているため高齢者同士の夫婦間の介護などの状況が増えているといえます。

平均寿命と健康寿命の差

著しい医療の進歩によって、日本人の平均寿命は年々延びています。

しかし、その平均寿命と健康寿命の差が浮き彫りになりつつあります。

「健康寿命」とは、健康上何の問題もなく、介護なしでの日常生活を送れる期間のことを指します。平均寿命と健康寿命の差は男性約9年、女性約13年の差があることが、厚生労働省の発表により明らかになりました。

つまり、50代の子供が親の介護を続けていくうちに60歳を超え、そのまま老老介護に突入するという状況が起こり得るということです。

世帯構造の変化

高齢化とともに、社会全体の傾向となっているのが「核家族化」です。

介護を必要とする高齢者の子供が、仕事などの理由により独立して別居する世帯の家族が増えたことが背景にあります。住居が近距離ならばまだしも、遠距離であるならば子供にサポートを求めることができず、結果的に高齢者同士による夫婦間での老老介護を余儀なくされてしまいます。

他人に頼りづらい

他人を頼ることに関して負い目を感じてしまう高齢者の方は老老介護に陥る可能性があります。特に介護であれば、入浴や排せつなどといったデリケートな部分のケアも任せなくてはいけないため、より抵抗を感じることになります。

金銭的負担

「そもそも介護をしてもらえるだけの金銭的な余裕がない」「生活保護を受給している」といったケースにおいても、老老介護に陥る可能性が高くなります。施設にしても訪問型の介護サービスにしても、金銭的な負担が生じます。

もし仮に施設ではなく自宅介護であったとしても、その設備を整えるための費用が必要になります。介護をする人が高齢のためプロの介護サポートを受けたいと思っても、このような金銭面での問題から、その希望がかなわないことが多いのです。

(5)老老介護の問題点

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2396508

介護者への身体的・精神的な負担が大きい

人は高齢になるほど体の自由が利かなくなり、それにより介護者の身体的な負担が増えます。ですので高齢者の介護となればより負担が大きくなるのは容易に想像がつきます。

さらに「老老介護」は身体的な負担だけではなく、精神的な負担・ストレスもあり、その身体的・精神的ストレスが、被介護者への虐待行為へとつながる可能性があります。

認認介護となってしまう可能性も

また精神的ストレスは、認知症を引き起こす引き金になるとされ、このような事態になれば「認認介護」に陥ってしまうリスクもあるのです。

このような、介護者・被介護者どちらにとっても過酷な状況が続けば、介護者本人にも悪影響が及び、第三者の助けなしでは生活することができない「共倒れ状態」に陥ってしまいます。

(6)老老介護から認認介護への危険性

介護も日常生活もままならなくなる可能性が

老老介護の状況が進み、認知症高齢者が認知症高齢者を介護することを「認認介護」と呼びます。

この認認介護の状態は、老老介護よりも事態は深刻になります。それは認知症による記憶障害や認識力の低下により、病院で処方された薬の管理や食事や排せつなど、介護に必要な世話をしたかどうか介護者自身にもわからなくなってしまうことです。

ただでさえ体力の衰えている高齢者にとって、食事の有無は死活問題になります。

そして認知症の症状により、金銭面での管理が曖昧になり、水道代や光熱費などの支払いを忘れて生活環境を維持することが困難になり、悪徳商法や詐欺などといったターゲットになる危険性も出てきます。

認認介護についてより詳しい記事はこちら

→『認認介護とはどのようなものか|原因や問題点、対策について解説

(7)老老介護の限界

要介護度による介護時間が長くなるほど介護者への負担は増し、その期間が続けば介護者自身が介護うつや認認介護に発展する可能性が高まります。

かといって、誰かほかの人に介護を任せたい、と思っても、介護者の方々の家庭環境や経済状況によっては、金銭面での負担から施設や介護サービスを受けることができないという場合もあるのです。

このように、確固とした解決の糸口がなかなか存在しないことから、現状、老老介護の実態は非常に過酷なものです。

(8)老老介護の解決策

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1488199

老老介護・認認介護の対策に一番大事な心構えは、「介護者が一人で問題を抱え込まないこと」です。

もしも介護で自分一人では解決できないような問題に直面したときは、素直に子供や兄弟・姉妹又は親戚を頼りましょう。一人で抱え込んで「共倒れ」などといったより深刻な問題に発展する前に、手助けをしてもらうほうがお互いのためにもなります。

もし仮に、兄弟・姉妹の中で親の介護を担っている方は、自身の兄妹や姉妹に相談し、肉体的・精神的な負担を軽減しましょう。頼れる状況ではないとしても、事前に事情を説明しておくことが大切です。

また、介護サービスについて調べることも大切です。老老介護や認認介護に限った話ではなく、介護生活の手助けとなる情報(介護保険制度や介護サービス)についての知識を蓄えているだけでいざとなったときに、迅速に対応することができます。

これらのサービスを有効活用せずに一人で抱え込み、肉体的・精神的に限界を迎えることがないように意識しましょう。

(9)老老介護は介護サービスを活用しよう

介護サービス利用のために必要な「要介護認定」と代表的な介護サービスの一つ、「デイケア・デイサービス」について解説します。

要介護認定

各市区町村の役所窓口で要介護認定の申請を行い、そのプランを立てることで介護保険サービスを受けることができます。

そして申請が認定されれば自己負担約1割~2割で介護サービスを利用することができます。2000年に導入された介護保険制度により40歳以上の国民全員に介護保険料を納めることが義務付けられています。

※注意:保険料を支払って受けられるサービスは介護保険サービスではなく、医療保険です。介護保険サービスは保険料を納めているだけでは利用することはできません。

デイケア・デイサービス

老人ホームなどの施設に入居するのではなく、自宅から通いで介護やリハビリなどといったサービスを受けることを「デイケア」「デイサービス」と言います。

これらのサービスを、心身ともに疲れ切っていたりする時など、適宜必要なときに利用することで、自宅で必要な設備を整えるよりも費用を各段に抑えることができるうえ、「辛いときは、ほかの人の手を借りればいい」というマインドが身に付くことでストレスも軽減することができ、「介護うつ」に陥る危険性も軽減することができます。

デイケア・デイサービスについてより詳しい記事はこちら

→『デイケアとデイサービスの違い | 利用目的や料金を徹底比較

(10)老老介護の問題は今後更に深刻に

本記事で繰り返し述べてきたように、年々高齢化が進行しつつある日本においては、65歳以上の高齢者同士による老老介護、ひいて75歳以上の高齢者同士による老老介護の割合が増えていくことはほぼ間違いないでしょう。

そのような傾向の中、自分たちが要介護状態になる前にできることは、まずは自身の生活を見直し、できるだけ健康に入れるよう意識することと、「もし配偶者などの家族が要介護状態になったら誰に相談できそうか、どうしようか」などといったことを知っておくことが重要だといえます。

介護に関する相談ができる場所に関しては、是非以下の記事をご参考下さい

→『介護に関する相談ができる場所6つ|メールや電話でも可能な窓口

高齢者もそうでない人も、老老介護の問題を他人事としてとらえるのではなく、「老老介護の状態を避けるために何ができるだろう」「老老介護の状態になってしまったら、どう対処しよう」といったことを、できるだけ余裕のある状態の時に考えておきましょう。

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