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介護業界の今後の展望 | 現状は?人手不足解消への課題や動向

社会問題
介護業界の現状と今後の展望を解説します。また、人手不足に対する解決策や給料など待遇改善に向けた取り組みもあわせて紹介します。介護業界への就職・転職をお考えの方はぜひ参考にしてください。
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(1)介護業界の現状


出典:https://www.photo-ac.com/

介護業界の今後の展望を知るために、現状について理解を深めましょう。

業界は拡大の一途をたどるものの…

超高齢社会と呼ばれる日本では、高齢者人口が年々増加している一方、少子化により、子世代である家族による在宅介護だけでシステムを回すことは事実上難しくなってきています。

昨今は高齢者通所デイサービスや居宅介護事業所など、高齢者介護事業所を多く目にするようになりました。介護サービスの利用側、各市区町村において要介護の認定を受けた高齢者は年々増加し、介護サービス提供側の介護施設の数も増加の一途をたどっています。

数年後には団塊の世代が後期高齢者となる年齢を迎えることになり、さらに介護サービスの需要は拡大すると予想されています。

現時点から将来にわたって介護業界へのニーズは大きく、今後も介護業界は拡大していくものと思われます。

一方、人手不足の問題や、他の業界と比べて低いとされる待遇など、「需要は高くなる一方で、供給はあまり上がっていない」というのが現状であるともいえます。

(2)介護業界が成長産業とみられる理由① 高齢化社会

高齢化社会の進行は、介護業界が成長産業である大きな理由のひとつです。

日本の高齢化社会は、止まることなく進行しています。

内閣府の高齢社会白書によれば、日本の高齢化率(年齢65歳以上の割合)は、2015年10月の段階で26.7%であり、世界で最高の水準に達しています。医療の発展による死亡率の低下、結婚率の低下や晩婚化などによる出生率の低迷の影響もあり、今後この傾向はさらに進んでいくとされています。

(出典:高齢社会白書ー内閣府 http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2017/html/zenbun/index.html

日本の総人口が2010年以降減少している一方で、75歳以上の高齢者数は急速に増加しています。

2010年には1419万人だった75歳以上の高齢者数が、2025年にはその1.5倍の2179万人に増加。そして、日本の人口が2010年の3分の2近くに減少する2060年になっても、75歳以上の高齢者数は2336万人へと増え続けることが予想されているのです。

高齢者の数が増えれば、介護サービス受給者も当然増え、介護業界が拡大していくことが予想されます。

(3)介護業界が成長産業とみられる理由② サービス受給者の増加

高齢者の中には心身ともにお元気な方もおられるので、高齢者の全員が介護サービスの受給者になるとはかぎりません。

しかし、多くの高齢者が介護サービスを必要としているのは確かです。

介護サービスの受給者数は、2000年から2012年の12年間で、約296万人と約2倍も増加しています。入居する施設サービス(特別養護老人ホームなど)は65%の増加、居宅サービス(訪問介護やデイサービスなど)は、なんと238%の増加となっています。

高齢者の数が増えていくため、介護サービスの受給者も今後も増え続けていきます。

介護サービスの需要が増える、つまりニーズが増えるわけで、介護業界は成長産業だということができます。

(4)介護業界が成長産業とみられる理由③ 介護職員の不足

介護業界の人手不足は、もちろん大きな課題です。しかし、この人手不足は、見方を変えるとこれからの成熟が期待できる部分もあるのです。

人手不足の現状

まずは、人手不足の現状を簡単に見ていきましょう。

2000年に55万人だった介護職員の数は、わずか12年ですでに約3倍に増加しました。ところが、2025年には約250万人が必要になると予想されています。

現状の取り組みや環境のもとで2025年度の推計される介護職員数は218~229万人にとどまっています。必要とされる237~249万人には20万人ほど不足しているのです。

本記事の見出し(5)でも後述する通り、人手不足は介護業界が抱える非常に大きな課題の一つです。

必要な人員を確保できていない介護施設では、求人を数多く出しています。資格や経験の有無や年齢などによる選別がなく、やる気や熱意に重きを置いている事業所もあるほどです。

しかし、逆にいえば、それだけ人や技術が求められている領域である、ということです。実際、近年様々なベンチャー企業や大手企業による業界への参入がみられているように、テクノロジーやビジネスの知見から、様々な刺激が加わっている業界なのです。本サイトでも、そのような新しいテクノロジーやビジネスについて紹介しているので、少しでも興味を持たれた際は、ぜひご一読ください。

介護業界の新テクノロジーを概観できる記事はこちら

→『業界内で注目度が高まる「介護ロボット」とは?|現状/種類/課題等まとめ

コミュニケーションロボットに関する詳しい記事はこちら

→『成長著しいコミュニケーションロボット | 種類や今後の展望を紹介

新しい介護システムの構築に関する詳しい記事はこちら

→『富山型デイサービスとは | 富山県での取り組み/見学方法/場所

(5)介護業界の課題

成長産業と見られている介護業界にも、以下のようないくつかの課題があります。

人手不足による、介護従事者の負担増大

まずは人手不足です。これにより、少ない介護職員に対して過大な負担がかかってしまっています。人手不足がより一層深刻化する懸念が強まっています。

待遇面での満足度が低い

次に、給料を含めた各種待遇が、他業界と比べて低く、介護従事者の満足のいくレベルとギャップがあることです。2014年の介護職員の月給は、全国平均で21万9700円でした。これは全産業平均の32万9600円より約11万円も低くなっています。

介護サービスの質を確保しにくい状態

介護の質の低下も問題点です。もちろんあくまで一般的に、という話ではありますが、どうしても人手が足りないため、一人ひとりの利用者に対するサービスが手薄になってしまいがちなのです。

人手不足による繁忙と収入の低さなどが原因となり、介護業界では離職率が高めになっています。離職率が高いことで人手不足になり・・・という悪循環に陥ってしまう施設も少なくありません。身体的にも精神的にもきつい仕事であるにもかかわらず、介護職員が低賃金であるために、新規に採用することも困難となっています。

(6)介護業界の今後の取り組み① 人手不足を改善するために

このように大きな問題となっている介護業界の人手不足。これを改善するための対策のひとつとして、外国人の登用が行われています。

2006年にフィリピンと、翌2007年にインドネシア、さらにベトナムと、それぞれ交わされたEPA(経済連携協定)によって、介護・看護の分野での人材の受け入れが決まりました。

このEPA合意の当初は、2年間で2000人の介護士と看護師を受け入れる予定でした。しかし、受け入れ開始から6年以上が経過しても、その数字は達成できませんでした。

これは、介護士として働くために来日した外国人は、介護施設で3年間働いた後、介護福祉士の試験に合格しなければいけない、というハードルが高すぎたためと見られています。

日本人の試験合格率が6割超なのに対し、外国人の合格率は3割弱でした。日本語の難しさやホームシックなどの原因もあったようです。

こうした現状を受け、外国人介護士の受け入れが、大きく規制緩和されました。2017年11月から、外国人技能実習制度の対象に介護職種が追加されたのです。

当所は、受け入れを認める実習生の日本語能力には日本語能力試験3級(N3)が要求されていましたが、これが一段階引き下げられ、N4での来日が可能となりました(入国時N4所持、1年後N3の取得義務)。

外国人の登用が介護業界の人手不足の解消につながるか、期待が寄せられています。

(7)介護業界、今後の取り組み② 給料について


出典:https://www.photo-ac.com/

介護業界の給料についての取り組みは以下通りです。

政府により、複数の施策がとられている

介護業界の給料が低いことに対しても、対策がとられています。

介護事業所は、自治体から受け取る介護報酬の中から経費などをやりくりし、介護士への給料を支給しています。介護報酬の金額は、国によってあらかじめ定められており、介護事業所の裁量でサービス料金を高く設定して収入を増やすことはできません。

こうして介護事業所は限られた収入の中から介護職員への給料をやりくりすることとなり、結果として介護職員の給料が上がりにくくなっています。

そんな中、社会にとって必要な仕事につく人を確保するため、介護職員の処遇改善策として、政府は介護職員処遇改善加算という制度を始めました。

介護保険には処遇改善加算という項目があり、従業員の処遇を改善した介護事業所に加算がつき、介護報酬を多く得られる仕組みになっています。

なお、介護事業所が介護職員処遇改善加算により取得したお金は、賃金として介護職員に還元することが義務付けられています。

介護職員処遇改善加算を取得するための4つの改善項目は、以下の通りです。

  1. 〈キャリアパス要件〉役職や職務内容に応じた賃金体系の整備
  2. 〈キャリアパス要件〉スキルアップのための研修や資格取得支援の実施
  3. 〈キャリアパス要件〉経験や資格に応じた昇給制度の整備
  4. 〈職場環境等要件〉賃金以外の職場改善に対する取り組み

厚生労働省が2016年度に行った介護従事者処遇状況等調査の概要によれば、介護職員処遇改善加算を取得している事業所は全体の90%となりました。その中で、最も加算率の高い加算1を取得している事業所は70%を超えていることから、ほとんどの事業所において介護職員の給料が増加したといえそうです。

介護職員処遇改善加算に関するより詳しい記事はこちら

→『介護職員処遇改善加算とは | 対象者/受給条件/メリットなど

このような施策により、介護業界の給料の問題にも改善の兆しが見られます。

(8)介護業界、今後の取り組み③ 介護レベルの低下に対して


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介護レベルの低下に対しては、介護記録のシステム化による取り組みが見られます。

たとえば、介護現場で働くケアマネージャーの仕事の悩みは「記録する書式が多く、手間がかかる」が最も多く、7割を占めました。

報告書は事業者の収入となる介護報酬の計算に使われるため、ひとつひとつきちんと作成する必要があり、仕事の多くの時間を書類作成に費やされています。

こうした状況に対し、厚生労働省は電子情報で報告書を受け取りしやすくするシステムを整えました。

事務作業に費やしていた時間を利用者へのサービス提供に回せれば、介護レベルが向上し、また、介護事業者の請求する報酬額を高める効果が期待できます。

システム化により、介護業界の効率化や省力化、生産性の向上が期待されます。

(9)介護業界、今後の取り組み④ 介護離職ゼロを目指して

介護業界は、キャリアアップしやすい業界です。

介護職の場合は、経験年数などによって資格試験の受験資格が与えられます。

試験に合格し、上位の資格を取得すれば、多くの場合資格手当がつき、給料がアップします。また、担当する仕事の幅が広がったり、管理職に昇進したりと、キャリアアップの道も開けていきます。

たとえば、無資格で介護施設で働きはじめたとします。まずは働きながら「介護職員初任者研修」を修了するのが目標です。さらに実務経験を3年以上積んだら「実務者研修」が次の目標になります。

実務者研修を修了できれば、いよいよ国家資格である「介護福祉士」の試験を受けることができます。

この資格を取得できれば、日本全国どこででも胸を張ってプロの介護職として働くことができます。

さらに介護支援専門員の資格をとってケアマネージャーになったり、社会福祉士などの資格を取得してソーシャルワーカーになったりと、キャリアアップが望めるのです。

これらのキャリアアップを、介護業界では積極的にサポート・バックアップしています。具体的には、研修や受験に併せて勤務シフトを施設が調整してくれたり、受験にかかる費用を自治体が助成してくれたりします。

年齢・学歴・経歴に関係なく、努力次第でキャリアアップできる介護業界は、魅力的な業界といえるでしょう。

(10)介護業界、今後の展望について

政府は、高齢化と介護者不足による介護の現場の負担軽減を図る打開策として、「介護ロボット等導入支援特別事業」を創設しました。

この制度の導入の際には補助金が交付されること、2020年には診療・介護報酬の対象となることが、すでに決定しています。このため、多くの介護施設が補助金の申し込みに殺到しました。

このように、介護業界では介護業界を支える最先端の取り組みが促進されています。

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