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介護医療院とは | 施設基準や老健との違い、メリットなどを解説

施設サービス
介護医療院とは、医療と介護を同時に提供するために設置された「介護療養型医療施設」が抱えていた諸問題を解決する形で、2017年に新たに設置予定が決まった施設です。本記事では、そんな「介護医療院」について、設置基準や人員基準、メリットなど、詳しく説明していきます。
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(1)介護医療院とは


出典:https://www.photo-ac.com/

高度な看護、医学的管理を提供することができる、介護保険施設

「介護医療院」とは、介護保険法第8条第29項により設置された、長期に渡り療養が必要な人々に対し、必要な医療や日常生活の支援を行う、すなわち介護と医療の両方を行う事を目的にした施設です。

介護医療院は、介護保険法の法律が新たに2017年6月に交付され、介護を必要とする高齢者のための施設3種類のうちの、医療療養病床と介護療養型医療施設の転換先として、介護医療院となりました。

要介護認定を受けていることが利用の条件であるなど、すべての人が受けることができるサービスではありませんが、療養上必要な管理、看護、医学的管理などを受けることができる点を特徴としています。

本記事では、この「介護医療院」について、詳しく説明していきます。

(2)介護医療院の施設基準

介護医療院の主な施設の基準は下記の通りです。

施設の種類 施設の基準
療養室
  • 1の療養室の定員は、4人以下とすること。
  • 入所者一人当たりの床面積は、8m2 以上とすること。
  • 地階に設けてはならないこと。
  • 一以上の出入口は、避難上有効な空地、廊下又は広間に直接面して設けること。
  • 入所者のプライバシーの確保に配慮した療養床を備えること。
  • 入所者の身の回り品を保管することができる設備を備えること。
  • ナース・コールを設けること。
診察室

診察室は、次に掲げる施設を有すること。  

  • 医師が診察を行う施設
  • 喀痰、血液、尿、糞便等について通常行われる臨床検査を行うことができる施設
  • 調剤を行う施設
処置室

 処置室は、次に掲げる施設を有すること。

  • 入所者に対する処置が適切に行われる広さを有する施設
  • 診察の用に供するエックス線装置(定格出力の管電圧(波高値とする。)が十キロボ ルト以上であり、かつ、その有するエネルギーが一メガ電子ボルト未満のものに限る。)
機能訓練室 内法による測定で40㎡以上の面積を有し、必要な器械及び器具を備えること。 ただし、併設型小規模介護医療院にあっては、機能訓練を行うために十分な広さを有し、必要な器械及び器具を備えること。

(参考:平成30年度厚生労働省委託 介護医療院開設移行等支援事業『介護医療院開設に向けたハンドブック』)

(3)介護医療院の人員基準

介護医療院Ⅰ型の人員基準

職種 基準(利用者との割合)
医師 1:48(医師:利用者)
看護職員 1:6(看護職員:利用者)
介護職員 1:5(介護職員:利用者)

医師は最低3人以上必要です。

なお、介護医療院Ⅰ型にて勤務する看護師は喀痰吸引などの医療行為も行うので、現場スタッフには、医療、看護の高い知識と技術が必要となります。

介護医療院II型の人員基準

職種 基準(利用者との割合)
医師 1:100(医師:利用者)
看護職員 1:6(看護職員:利用者)
介護職員 1:6(介護職員:利用者)

(4)介護医療院の受け入れ対象者

介護医療院I型の受け入れ対象者

介護医療院I型の受け入れ対象者は、施設基準が介護療養病床に相当し、容態が急変するリスクが高い患者を受け入れていて、

  • 重篤な身体疾患を有する人
  • 身体合併症を有する認知症高齢者

などとなっています。

現在の介護療養病床は、要介護1から5を受け入れていますが、転換後は、医療重要度やニーズに合わせて、24時間看取り、ターミナルケアにも対応した施設としているので、I型の入所基準は、要介護4から5とかなり狭くなります。

介護医療院Ⅱ型の受け入れ対象者

介護医療院II型の特徴は、施設基準が介護老人福祉施設に相当し、介護医療院II型は、I型と比較して、医療、介護の容態が比較的安定している人を受け入れる方針となっています。

介護医療院II型の職員は、緊急事態に即時に対応できるように、業務用のデバイスを持ち、待機するようになっています。

24時間体制ですが、オンコールの場合のみターミナル加算が発生する仕組みです。

(5)介護医療院のメリット

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/232833

介護医療院のメリットは大きく分けて二つあります。

介護と医療の両方をバランスよく行える

これまで述べたように、長期に渡り療養が必要な人々に対し、必要な医療や日常生活の支援を行います。たとえ急な容体の変化があった場合にも、医師や看護師をはじめとした医療スタッフが対応します。

プライバシーを尊重してくれる

プライバシーの尊重という点もメリットのひとつです。従来は、ベッドをカーテンで仕切るだけといった大部屋のような空間でしたが、介護医療院では、カーテンのみではなく、家具、パーティションなども組み合わせてプライバシーが守られるよう配慮されています。

床面積の設置基準も広くなり、入居者が安心して日常生活が送れるようになりました。

(6)介護医療院と老健(介護老人保健施設)の違い

介護医療院と老健の主な違いは、入居する目的と入居する期間です。

入居目的の違い

介護医療院は、長期に渡り療養が必要な人々に対し、必要な医療や日常生活の支援を行う、すなわち介護と医療の両方を行う事を目的とする施設です。

それに対して老健は、退居することが前提となっていて、自宅で生活できるようになるまでの一時的な施設として利用されます。つまり、介護を受けリハビリなどをして過ごすことを目的とする施設です。

入居期間の違い

介護医療院は、介護、医療の両方のサービスが受けることができ、長期に渡るサービスを受けることを想定されています。

それに対し老健は、退去することが前提となってる分期間も短く、3~6ヵ月ほどの期間となっています。

(7)介護医療院設立の背景

介護と医療、同時にケアできる施設へのニーズが高まっていた

まずは、日本の平均寿命が延びるにつれ、介護サービスだけでなく医療面でのケアも同時に提供できる施設へのニーズが強まったことは、大前提として背景にあるでしょう。

初めは、このような「介護」と「医療」の両面からケアを、「介護療養型医療施設」という種類の施設が担っていました。介護療養型医療施設は、医療施設であり、医療法人が運営しています。

この介護療養型医療施設には、「介護療養病床」「医療療養病床」の2種類が存在していました。

介護療養病床は、介護保険が適用され、長期間介護療養が必要な患者がその利用対象者です。

他方の医療療養病床は、医療保健が適用され、長期的に医療療養が必要な患者がその利用対象者でした。

曖昧になっていた2種類の「介護療養型医療施設」間の区別

このように、利用者が「医療ケア」と「介護ケア」、どちらへのニーズが高いかによって2種類に分類されていた介護療養型医療施設でしたが、政府により行われた利用状況に関する調査から、先述した2つ「介護療養病床」「医療療養病床」の区別があいまいになっていた、ということが分かりました。

つまり、医療と介護が明確に区別されておらず、2つの介護療養型医療施設があいまいに利用されていたのです。

こうなると、医療施設であるにもかかわらず、介護保険が適用されているなどのケースが生まれ、現場に混乱をきたしたり、医療療養病床の空きがなくなったりと、様々な問題が発生してしまいます。

この対策として、厚生労働省は、2006年時点で、2011年度末までに、介護療養病床を廃止し、新たな施設を設置することを定めました。

その新たな施設が、2017年5月に成立した「改正介護保険法」により設置の意向が明らかになった「介護医療院」なのです。

(8)介護療養病床としての受け入れ先には、3つの場所がある


出典:https://www.photo-ac.com/

療養病床が2017年度末に廃止され、介護医療院はその受け皿となります。

その際、それまで療養病棟を利用していた利用者は、その様態や状況に応じ、新しく3つの新施設になります。

厚生労働省は、身体機能や医療重要度によって3つに分かれると想定してして、新しい3つの新設は、日常的な管理と、看取り、ターミナルケアなどの医療機能や生活生活施設の機能をもち、医療機能、介護機能、生活施設を合わせ持った介護保険施設になります。

介護医療院は、I型II型医療外付け型と3つに分かれ、

  • 介護医療院I型の施設の基準は介護療養病床(のちの介護医療院)に相当
  • 介護医療院II型の施設の基準は介護老人福祉施設に相当
  • 医療外付け型の基準は、医療機関+有料老人ホームに相当

となっています。

(9)介護医療院の役割

介護医療院は、患者に合わせて柔軟に人員を配置し、財源設定が可能となるように、サービス内容を提示しています。

介護療養病床相当の施設系サービスを中心に、長期に渡る医療、介護サービスが必要な患者の容体の安定性などによって、施設が行う医療や介護の内容や期待される役割は違ってきます。

介護医療院のタイプと役割は、主に以下の3つに大別されます。

①介護療養病床相当の施設サービス

医療ケアの必要度が高く、容体が急変する可能性の高い利用者の、痰吸引などの継続的な医療管理

24時間の看取り、ターミナルケア、当直体制などの高いニーズに対応しています。

②老健施設相当以上の施設系サービス

容態が安定していて、住むことに重視したサービスをし、日常的な医学管理、オンコール体制の看取り、ターミナルケアになります。

③医療併設型サービス

医療併設型サービスは主に、慢性期医療を提供している病院が、空いたスペースを居住スペースに活用することを考えられたサービスです。

日常的な医学管理、併設する病院、診療所からのオンコール体制による看取り、ターミナルケアなどのサービスをしています。

(10)介護療養病床よりも充実した施設内容

介護医療院は、その種類にもよりますが、基本的には従来の介護療養型病床よりも充実した施設内容となっています。

これまでの介護保険療養型病床は、病床数5.9万床、医師3名以上、看護職員6:1、介護職員6:1、面積6.4㎡に対し、介護医療院の医師は、介護医療院I型は、48対1、介護医療院II型は、100対1、看護職員I型、II型は6:1、介護職員I型5対1から4対1、II型6対1から4対1、面積は8.0㎡以上になっています。

療養室は、定員を4名以下にし、床面積を8.0㎡以上にすることで、プライバシーに配慮した環境になるようにしています。

談話室は、談話を楽しめる広さとし、レクリエーションルームは、十分な広さを確保するようにしています。

(11)介護医療院の利用には、介護保険が適用される


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介護医療院は、介護保険が適用され、低所得者の食費や居住費の負担を軽減するために、利用者負担第1~第3段階の人を対象に、所得に応じた負担限度額を設定し、標準的な費用の額と負担限度額の差額を介護保険から補足給付をとして給付されます。

  • 第1段階 市町村民税世帯非課税、年金受給者、生活保護受給者
  • 第2段階 市町村民税世帯非課税で、課税年収と合計所得金額が80万以下の人
  • 第3段階 市町村民税世帯非課税で、療養者負担第2段階以外の人
  • 第4段落 市町村民税課税世帯の人

(12)介護医療院の設置基準

介護医療院Ⅰ型の設置基準

設備の種類 基準
療養室定員 4名以下
床面積 8.0㎡以上
訓練機能室 40㎡以上

介護医療院II型の設置基準

設備の種類 基準
療養室定員 4名以下
床面積 8.0㎡以上
訓練機能室 40㎡以上

(13)介護医療院の開設状況

介護医療院開設の平成30年6月30日時点での開設状況は、以下のとおりです。

  • 施設数…21
  • I型の療養床数…781
  • II型の療養床数…619

転換先の情報は、以下のとおりです。

  • 介護療養病床病院621
  • 介護療養病床診療所10
  • 介護療養型老人保健施設629、医療療養病床
  • 入院科1または2を暫定している病床97
  • 医療療養病床
  • 経過措置が適応されている病床19
  • 有床診療所24

都道府県ごとの状況は、以下のとおりです。

  • 北海道188
  • 群馬県67
  •  埼玉県98
  • 富山県170
  • 石川県143
  • 静岡県58
  • 愛知県42
  • 島根県52
  • 広島県42
  • 山口県75
  • 徳島県51
  • 香川県130
  • 愛媛県31
  • 佐賀県22
  • 長崎県231
  • その他の都道府県は0

となっています。

(14)介護医療院は今後も増加の見込み

介護医療院は、医療と介護、生活支援、住まいを併せ持っていて、今後も増加していく見込みとなっています。

この増加の背景に、日本の高齢者の人口は、2042年頃がピークとなり、年間の死亡者が、今より30万人以上増えるという予測があります。

今後、増加が見込まれる慢性期の医療、介護ニーズに対応するために、要介護の受け入れや、看取り、ターミナルケア、生活施設としての介護医療院の施設が多く必要となってきます。

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