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【保存版】認知症の介護のポイント│対応方法や介護疲れ防止策

病気
認知症の患者を介護する場合は認知症の基本的な情報、介護するうえでの心構えや介護の負担を軽減するサービスなどを理解しておくことが重要になります。ここでは認知症の症状、症状別の介護方法、在宅介護で利用できるサービスを説明します。
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(1)介護するうえで心がけること

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/417780

介護をするうえで一番重要なことは、介護を受ける側と介護をする側との信頼関係です。信頼関係が成り立っていなければどちらにも心身ともに大きな負担が生じてしまいます。

では信頼関係を築くためにはどんなことが必要なのでしょうか。

まずは相手のことを理解することから始めましょう。認知症の方にはしてはいけない、3つの「ない」があります。それは「急がせない・心を傷つけない・後ろから声を掛けない」です。

まず最初に「急がせない」ですが、介護が必要な方のできることを奪わないことが大事です。

確かに、介護者が代わりに行ったりサポートをすることで事はスムーズに進むかもしれません。しかし、相手の考えやペースに合わせてそばで見守ることも介護の一つです。

次に「心を傷つけない」です。認知症の方の話すことを否定したり、強く叱ったりなど、相手が不安を感じるようなことはしてはいけません。相手を尊重した関りを常に意識するようにしましょう。

最後に「後ろから声を掛けない」です。認知症の方にとって、視野に入っていないものはないのと同じことです。突然後ろから声をかけることは、本人にとっては大きな恐怖になり、驚いて転倒してしまうこともあります。

このように、認知症の方を理解し丁寧な言葉がけや関りをすることが、信頼関係を築くうえで重要になってきます。

(2)認知症の主な症状

認知症の症状と言っても人によって症状は大きく異なりますが、主に挙げられるのは、物忘れなどの記憶障害、見当識障害、睡眠障害、徘徊、物を盗られたなどの妄想、抑うつなどがあります。以下で1つ1つ見ていきましょう。

記憶障害

認知症に伴う記憶障害は「短期記憶障害」「長期記憶障害」「エピソード記憶障害」「意味記憶の障害」「手続き記憶の障害」があります。

短期記憶障害

「短期記憶障害」とは例えば、今日の日付や曜日が分からない、物をどこに置いたかわからない、ついさっき言われたことやしたことを忘れてしまう、などです。

長期記憶障害

「長期記憶障害」とは、自分が子供のころのことを忘れる、自分の学校の名前を忘れる、など長期にわたる過去の記憶障害です。

エピソード記憶障害

「エピソード記憶障害」とは、学歴や職業など、これまで自分が経験してきたことそのものを忘れてしまうことを言います。

意味記憶の障害

「意味記憶の障害」は、物や言葉自体の意味を忘れてしまい、「あれ」や「その」「これ」などの表現が増えてきます。

手続き記憶の障害

「手続き記憶の障害」は、これまでの生活において繰り返し体験したり学習して身についていたものを忘れてしまうことを言います。

これらの記憶障害は、初期の段階では短期記憶障害から始まり、症状が進むにつれて先述した順に記憶障害が現れるようになります。

見当識障害

見当識障害も、認知症の中で多く見られる症状の一つです。主に時間や季節、自分がいる場所が分からなくなります。症状が進んでくると、家族や身内であっても誰なのか認識できないようになります。

睡眠障害

認知症でなくても、老化に伴い「メラトニン」という脳内の睡眠ホルモンの分泌が減少することで睡眠障害は起こりやすくなります。

認知症の場合は、同年代に比べて更に睡眠が浅くなる傾向が見られます。記憶障害や見当識障害によって生活リズムを整えている体内時計が狂ったり、昼夜逆転になることもあります。睡眠の異常は、せん妄や徘徊を引き起こす原因にもなります。

徘徊

徘徊は、記憶障害や見当識障害などの中核症状の影響で、ストレスや不安が生じ、絶えず歩き回ってしまうことを言います。本人にとっては、何かを探していたりどこかへ行こうとしたり、何らかの目的を持った行動です。

妄想

妄想にも色々な種類がありますが、その中でも一番多いのは「物を盗られた」という妄想です。記憶障害や見当識障害などの中核症状の影響で、自分の大切なものの場所が分からなくなったりすることで引き起こされます。女性に多く見られる傾向があります。

抑うつ

認知症が進んでくると、自分でできないことが増えたり眠れなかったり、日常生活に様々な支障が出てきます。それによって気分が落ち込んだ状態になることを言います。症状からうつ病と間違われることもあります。

これら以外にも、排尿障害や弄便(ろうべん)、異食などもあります。

(3)症状別の対応法

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/220433

認知症の症状に対してどのように関わればよいのでしょうか。症状別の対応法を説明していきます。

記憶障害、見当識障害

忘れてしまっていることに本人は自覚はありません。本人の言動や行動を見たり聞いたりしている周囲の人たちは、ついつい訂正したり否定してしまうことがあります。

しかしそれによって、本人は自分を否定されたと感じてしまい、不安や焦りを助長し、怒りや混乱を招くことにつながります。そのため、まずは本人の話を傾聴し受け止めてあげることで安心感を与えるようにしましょう。

睡眠障害

できる限り生活リズムが整うような環境を整えましょう。例えば、昼間は日光を浴びるようにして夜間は寝室を暗くし、睡眠に入りやすい環境を作るなどです。夜間の中途覚醒を最小限にするために、寝る前にトイレを済ませておくなどの配慮も必要です。

また、本人の不安を取り除く関りをすることで、リラックスして入眠することができます。

徘徊

徘徊は先にも述べたように、本人にとっては目的ある行動です。まずは徘徊している理由を確認してみましょう。その理由が何かを探しているなら一緒に見つけてあげるようにしましょう。

もしどこかへ外出するような場合は、無理に止めても逆効果です。本人が安心して納得するまで、少し一緒に歩くこともいいかもしれません。他のことに気持ちをそらせたり不安を取り除いてあげることで徘徊が落ち着くこともあります。

徘徊は最悪の場合、事故などにもつながりかねませんので、できる限り事前に防ぐための対策が必要です。普段からよく探しているものを目につきやすい所へ置いておいたり、トイレやよくいく部屋の場所を分かりやすくする工夫なども効果的です。

そして、万が一目を離している隙に外へ出てしまうケースを想定して、服などに名前や住所を書いておきましょう。

妄想

物を盗ったと泥棒扱いをされると、やはり気分がいいものではありません。とっさに強く否定してしまいがちですが、まずは落ち着いて話を聞くようにしましょう。「なくなったんですね、大変ですね。一緒に探しましょう」など気持ちをそらせるような声かけも効果的です。

物を盗られた妄想に駆られている時は、本人も精神的に興奮しています。まずは気分を落ち着かせて安心してもらえるような関りが大切です。

抑うつ

抑うつの原因は何らかのストレスや不安によるものが多いです。そのため、その原因を探り解決してあげることが重要です。

うつ状態が進行すると話をすることもだんだんと少なくなってくるので、そういう場合は無理に聞き出そうとせず、リラックスして過ごすことができる環境を整えてあげましょう。

(4)認知症の介護はどのくらい続くのか

一般的に認知症の介護期間は、平均で6~7年といわれています。他の疾患を合併している場合、その長さは変わってきます。

中には10年以上の介護期間を経験された方もおられるように、認知症の介護期間は長期にわたります。

ただし、認知症の方は、同じ年齢の正常な方と比べると、約2.5倍のスピードで老化が進みます。そのため、介護をはじめた当初は元気がありすぎて大変だったのが、数年で衰弱してしまうケースも少なくありません。

そのことを念頭に、介護に臨む必要があります。

(5)認知症の介護が長期間になる理由

なぜ認知症の介護期間は長期になるのでしょうか?

認知症の中で最も多いアルツハイマー型認知症など、大半の認知症は進行を遅らせることはできても完治させることはできません。

このことから、介護の期間は長期にわたってしまうと考えられます。

(6)介護における「ストレス」を軽減するために心得ておくこと  

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1285674

認知症の介護期間は長期にわたることにより、介護をする人は多くの場合、心身ともに疲労やストレスを抱えることになります。

そのため介護をする人は、

  • 頑張りすぎない
  • 一人で何でも抱え込まず誰かに相談する
  • 周囲と自分を比べない
  • 介護もいつかは終わりが来る

これらのことを忘れてはいけません。介護を受ける人も介護をする人も、双方がより良い環境で過ごすことができるように考えましょう。

(7)介護の「負担」を軽減するためには

少しでも介護負担を軽減するために、一人で抱え込まず誰かに相談することも大切ですが、介護サービスなどを利用することも忘れてはいけません。

デイサービスやショートステイ、訪問介護など様々な介護サービスをうまく利用して、介護者の負担が少しでも軽減できる方法を見つけましょう。

介護サービスを利用して自分の時間を作ることで、介護する人もリラックスや休息になります。そしてそれは結果的に介護を受ける人にとっても大きなメリットにつながるのです。

(8)在宅で受けられる主なサービスを紹介

在宅で受けられる介護サービスには、先述したデイサービスやショートステイ、訪問介護以外にも、入浴のサポートを行ってくれる訪問入浴、訪問リハビリ、短期入所生活介護など様々なサービスがあります。

その他にも、福祉用具のレンタルや住宅改修の支給などもあります。

介護される方の状態に合わせて必要な介護サービスを利用することで、介護者の負担を軽減することができます。

(9)「介護保険」で受けられるサービス

介護保険で利用できるサービスには様々なものがありますが、その中に介護予防サービスというものがあります。このサービス内容は要介護度別に異なります。

要支援1,2の場合

介護予防通所介護 高齢者向けデイサービスセンターなどに日帰りで通い、食事や入浴、排泄など日常生活に必要な支援を受け、体操やレクリエーションを行います。
介護予防通所リハビリテーション 病院や介護老人保健施設といった施設で、理学療法や作業療法などのリハビリテーションを行い、利用者が自立した日常生活を送れるよう、心身機能の維持と回復を促します。
介護予防訪問介護 利用者の居宅を訪問介護員が訪問し、家事などを行うサービスです。
地域密着型介護予防サービス 介護予防小規模多機能型居宅介護と介護予防認知症対応型サービスがあります。

要介護1~5の場合

居宅サービス 訪問介護や訪問看護、訪問リハビリテーションなど
施設サービス デイサービス、デイケア、ショートステイなど
地域密着型サービス 定期巡回・随時対応型訪問介護・看護、夜間対応型訪問介護、認知症対応型通所介護など

(10)無理をしない介護生活を送ろう

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/348157

介護が始まると、体力や精神力だけではなく、時間的にも金銭的にも大きな負担が生まれます。

介護をする人が一人で抱え込んで一杯一杯にならないために、行政機関や介護サービスを積極的に利用したり、誰かに相談できる環境を作るなどして、頑張りすぎない、無理をしない介護生活を送るように心がけましょう。

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