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レビー小体型認知症とは | 症状の特徴や治療法

病気
三大認知症の一つ「レビー小体型認知症」は高齢者の発症例が多く、また40~50代の発症例も少なくないといわれています。このように発症例が多いレビー小体型認知症についてどのような治療法があるのか把握しておくことはとても重要だといえます。レビー小体型認知症の治療法をはじめ、症状、対応法を説明します。
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(1)レビー小体型認知症とは


出典:https://www.irasutoya.com/

レビー小体型認知症は1995年に提唱され、1990年代後半頃から広く知られるようになった脳の神経細胞が変化し萎縮していく変性性認知症のひとつです。進行性の認知機能障害に加えて、幻視やパーキンソン症候群の症状が現れます。

レビー小体型認知症は、脳内にレビー小体と呼ばれる蛋白(たんぱく)が溜まることで引き起こされる進行性の病気です。脳内の神経細胞が徐々に減少し、認知障害を引き起こします。アルツハイマー型認知症や脳血管性認知症と共に、「三大認知症」と呼ばれています。

65歳以上の高齢者の発症例が多く確認されますが、40~50代の発症例も少ない訳ではありません。女性の発症例が多いアルツハイマー型認知症に対し、レビー小体型認知症は男性の発症例が多い傾向があります。

(2)レビー小体型認知症の症状

レビー小体型認知症の特徴は、進行性の認知障害とパーキンソン症状が現れることです。

進行性の認知障害とは、注意力や視覚認知力の低下、記憶障害、理解や感情の変化、幻視、抑うつなどの認知症の症状を引き起こすものです。

夢を見ることが多いレム睡眠中に、大声で寝言を言う、暴れる、怒り出すなどの異常行動(レム睡眠行動障害)が見られる場合もあります。

特に抑うつ症状はレビー小体型認知症を発症した人の約50%~80%にみられるとも言われており、アルツハイマー型認知症の倍近くの発症率があります。

また、認知障害とともに以下のようなパーキンソン症状が現れるケースが多いといわれています。

パーキンソン症状

  • 立ちくらみや失神
  • 自律神経失調の症状
  • 体が硬くなり動きがぎこちなくなる
  • 表情が乏しくなり体の動きが減る
  • 前傾姿勢で小刻みに歩く
  • 突進して止まれなくなる
  • バランスを崩しやすくなる
  • 手が震える

(3)レビー小体型認知症の症状の経過

その症状は初期、中期、末期の3つに大別することができます。

初期症状

初期症状では、便秘、嗅覚異常、うつ症状、レム睡眠行動障害、自律神経失調症が現れるケースが比較的多いと言われています。

初期から視空間認知障害とともに注意障害、構成障害などの症状が強く出現するのも特徴です。

アルツハイマー型認知症と異なり、病初期には記憶障害が目立たないことが多いです。

中期症状

レビー小体型認知症の中期に差し掛かるとパーキンソン症状が強く表れ歩行が困難となるケースが多くなります。

また認知機能が大きく低下し、記憶のない時間や見当識や理解力の低下から周囲の人とのコミュニケーションが取れない時間が長くなります。幻視や妄想の症状も出始めるので、治療とともに介助支援が必要となってきます。

末期症状

パーキンソン症状と認知障害が悪化し、車いすの使用が必要となり介助なしでは日常生活を送れなくなります。

中期には意識がはっきりし周囲の人とのコミュニケーションが取れる時間も存在しますが、重度期に差し掛かると認知の変動が見られなくなり症状がさらに悪化します。嚥下障害が目立ち始めるのもこの時期です。

(4)レビー小体型認知症の診断基準


出典:https://www.irasutoya.com/

レビー小体型認知症は、「日常活動に支障を来す進行性の認知機能低下(必須)」に加えて、「中核的特徴(脳の神経細胞が壊れることで、直接起こる症状)」および「指標的バイオマーカー(病気の進行度を判断する指標)」の該当する数によって診断します。

中核的特徴

  • 注意や覚醒レベルが著明に変わる
  • ありありとした幻視が繰り返し現れる
  • レム期行動異常症…睡眠中の大声の寝言、奇声を上げる、怒る、怖がる、暴れるなどの行動
  • パーキンソン症状

指標的バイオマーカー

  • 脳血流シンチグラフィ(大脳基底核・後頭葉の血流低下)
  • 心筋シンチグラフィ(心臓への取り込み低下)
  • 睡眠中のポリソムノグラフィ検査(筋活動の低下を伴わないレム睡眠を確認)

以上の2つの項目より、

「2つ以上の中核的特徴がある」または「1つの中核的特徴があり、1つ以上の指標的バイオマーカーがある」場合は、レビー小体型認知症であることは確実、と診断します。

「1つの中核的特徴があるが、指標的バイオマーカーの証拠がない」または「1つ以上の指標的バイオマーカーがあるが、中核的特徴がない」場合→レビー小体型認知症を疑う、と診断します。

(5)早期に治療・対応するのが大切な理由

レビー小体型認知症の症状は非常に見極めにくいものであることから、誤診されるケースがよくあります。

例えば、アルツハイマー型認知症であると判断されたり、初期から現れる特徴的なパーキンソン症状を、通常のパーキンソン症候群であると誤診され適切な治療を受けずにいることが少なくありません。

レビー小体型認知症は中期以降になると進行が早まるという報告もありますので、早期に診断して正しい治療を受けることが重要だと言えます。認知症がまだ目立たないうちに精神症状やパーキンソン症状を治療することによって、その後の介護が随分楽になる可能性があります。

(6)薬での治療について

レビー小体型認知症を発症すると、脳内で情報伝達を行う「アセチルコリン」という物質が、大きく減少することが確認されています。

アルツハイマー型認知症のケースよりもアセチルコリンが減少するケースが多く認められるため、レビー小体型認知症の治療にはアセチルコリンの分泌を促し、活性化させる作用のある薬の投与が効果的だと考えられています。

この薬は、幻視や妄想などの精神症状にも有効であることが報告されています。

中核症状であるパーキンソン症状に対しては、パーキンソン病の治療薬を使用します。初期にはよく効くことがありますが、末期に進行する四肢・体幹の筋固縮に対してはほとんど効果がありません。

(7)リハビリテーションでの治療について


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レビー小体型認知症の症状の1つとして発症するパーキンソン症候群は体の硬化により、動きがぎこちなくなったり体の動きが少なくなる、前傾姿勢で小刻みに歩く、バランスを崩しやすくなるなど様々な運動症状が出ます。

しかしパーキンソン症候群の治療を行いながら、無理のない範囲で体を動かすリハビリを行うことで、体の柔軟性や歩幅の拡大、姿勢の矯正、バランス感覚の修復などを行うことができます。

レビー小体型認知症の発症とともに運動量が減少してしまうと、パーキンソン症候群を悪化させてしまうことに繋がりかねません。治療と共に適度な運動を行うリハビリを取り入れることでレビー小体型認知症の進行の悪化を防ぐことができると言われています。

(8)薬の処方で注意する点

レビー小体型認知症の初期の代表的な症状として抑うつが挙げられることから、症状緩和の治療法として抗うつ剤が用いられることがあります。

しかし抗うつ剤治療は副作用として歩行障害を引き起こす可能性があります。歩行障害を引き起こすと、レビー小体型認知症の特徴であるパーキンソン症状を悪化させる可能性もあるので、治療を行う際には十分注意するべきでしょう。

また従来の抗精神病薬は非常に低用量であっても副作用が現れやすいので、現在では使用を避ける傾向にあります。

(9)レビー小体型認知症者の対応で注意する点

進行性の認知症であるレビー小体型認知症の方の対応を行うことは、特に家族の方にとっては辛いものとなるかもしれません。

レビー小体型認知症の方の対応にはいくつかの注意点があります。

基本は「自分が必要な存在だと伝えること」です。本人ができることを把握し、できることは積極的にお願いすると達成感を感じさせることができます。

また依頼したことを達成した際には大げさにほめることで承認欲求を満たすことができ、互いの信頼関係を築くことができます。

同時に、レビー小体型認知症の方のプライドを傷つけないことも重要になります。

本人の言葉を受け入れて「むやみに否定しない、叱らない、指摘しない、議論しない」などの対応が求められます。このようなルールを受け入れレビー小体型認知症者に対応できる環境整備を行うことが有効な治療と共にレビー小体型認知症者の対応を行うための第一歩だと言えるでしょう。

(10)レビー小体型認知症を理解しよう


出典:https://www.irasutoya.com/

アルツハイマー型認知症や脳血管性認知症と共に、三大認知症と呼ばれるレビー小体型認知症は併発する症状が多岐に及ぶので治療や対応が難しい認知症だと言えます。

しかしレビー小体型認知症に対する研究も進み、新たな治療法の開発も進んでいますので、レビー小体型認知症を「面倒な認知症」として切り捨てるのではなく、理解を深めながら症状にあわせて適切な治療を行うべきだと考えられます。

有効な薬の投与と適度なリハビリを行うなど、レビー小体型認知症者が快適に過ごしながら治療できる環境整備を行うことが今後必要になってくるでしょう。

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