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介護問題とは | 高齢化社会での現状、具体的な解決策など徹底解説

社会問題
高齢化社会において、介護の需要が高まる中、さまざまな介護問題が発生しています。解決にはまずその実態について知ることが大切です。介護問題の解決策、その背景や原因を詳しく解説します。
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(1)介護問題とは?

出典:https://www.photo-ac.com/

超高齢化社会を迎えるにあたって、日本ではますます介護問題の重要性が高まっています。なかでも、特に対策が急がれているのが次の5つの介護問題になります。

  • 介護難民…高齢者で要介護認定を受けているにもかかわらず、介護サービスが受けられない。
  • 老老介護・認認介護…高齢者が高齢者を介護する、あるいはどちらも認知症をわずらっている。
  • 高齢者の虐待問題…家庭や介護施設などで、抵抗できない高齢者に対して虐待が行われる。
  • 高齢者の一人暮らし…認知症になっても気づかれにくく、孤独死のリスクが高まる。
  • 成人後見人トラブル…判断力のおとろえた高齢者をサポートする成年後見人が、財産管理などのトラブルをまねく。

これらの介護問題には、いったいどのような原因が考えられるのでしょうか。また、それを防ぐにはどのような対策を打てばよいのでしょうか。

(2)介護問題が起こる現状の原因

5つの介護問題にはいずれも介護サービスの不足が原因として挙げられます。

高齢者は75歳になると介護の必要性が高まり、85歳以上ではその半数近くが要介護認定を受けているとされています。現在も要介護認定の数は増え続け、75歳以上の人口の増え方を上回る勢いとなっています。

それにつれて、介護施設や介護サービスの利用者も当然増えることになります。

ところが、介護にたずさわるスタッフはそれに追いつくほど増えておらず、現状では人手不足が叫ばれており、サービスが十分に届きにくい状況になっているといえます。

これが、介護難民などの介護問題を生み出す直接の原因となっているわけです。

また介護を第三者に「任せたくても任せられない」ために在宅介護を選択する人々も含めると日本においての在宅介護の割合がかなり高くなっており、現在のおもな介護者はその4分の3が家族だとされています。

それが介護疲れによる高齢者の虐待問題などにもつながっていると考えられています。

(3)介護問題の背景である高齢化社会

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/995102

介護問題の背景には、超高齢化社会といわれる日本の人口構造があります。

すでに2010年台に人口減少時代を迎えた日本では、その反面、65歳以上の高齢者が増えつづけています。高齢者はこのまま2020年まで急激に上昇し、2025年には人口のほぼ3割を占める計算となっています。それ以降も、85歳以上の人口はさらに増え続けていきます。

一方で、子供や若者の数は比率が少なくなり、50年後には人口構成のグラフが逆ピラミッドの形を取るようになるといわれています。

この形は、そのまま若い世代にかかる負担を示しており、1985年には7人で1人の現役世代が高齢者を支えていたのが、2035年には2人を割ってしまうと考えられています。

また、核家族化の進行も見のがせません。高齢者の世帯に若い世代がいなくなることで、高齢の夫婦のみ、あるいは中高年の子供と親という家族構成が増えています。

このような環境が、老老介護や認認介護、高齢者の一人暮らしの介護問題の背景にあるのです。

(4)介護問題解決策① 介護難民 

介護難民は、将来において多くの人が直面する最大の介護問題ともいえます。

団塊の世代約800万人が75歳を迎える2025年には、約43万人もの介護難民が生じるという予測も出ています。

国はこの介護問題の対策として、地域包括ケアシステムを考案しました。これは、日常生活の圏内で、医療や介護、生活支援などをすべて提供できるようにするというシステムです。これにより、人手不足の解消が期待されています。

その中心となる地域包括支援センターは相談窓口にもなっているので、介護について悩みや不安があるときは積極的に活用しましょう。

一方、家庭では介護そのものが不要となるように、できるだけ健康を保つことが大切になります。たとえ高齢者であっても、日常生活のなかでできることはしっかりと行いましょう。

また、脳卒中などにならないように生活習慣をあらたり、骨折や転倒を起こさないようにバリアフリーを取り入れるなどの工夫も必要です。

頭や体をよく使って、家族一体となって健康寿命を伸ばす努力をしましょう。

(5)介護問題解決策② 老老介護・認認介護

厚生労働省による2013年の国民生活基礎調査では、在宅介護の世帯のうち、ほぼ70%が老老介護にあたるという結果が出ています。

周囲からは問題が見えにくいこともあり、隠れた形で進行している重大な介護問題といえます。

老老介護で何より心配されるのは、体力のおとろえや介護疲れによる共倒れです。また、それが認認介護を生み出すきっかけにもなります。

この介護問題の対策として大事なことは、当事者だけに悩みやトラブルを抱え込ませないようにすることです。

ほかに、子供や兄弟など家族や親戚がいれば、積極的に頼るようにしましょう。

家族に迷惑がかかると抵抗を感じる高齢者も多いのですが、状況が悪化すればかえって家族に大変な思いをさせてしまう可能性があるので早めに家族に相談することをお勧めします。

少なくとも、現在の健康状態や金銭状況などは、つねにほかの人間が把握できるようにしておきましょう。

近くに頼る相手がいない場合は、介護サービスの利用をおすすめします。高齢者の場合、サービスそのものを知らなかったり、調べるのを面倒臭がる傾向があります。そのような場合は、しっかり内容を知らせることが大切です。

要介護認定を受けていれば、地域の高齢者総合相談センターに相談して、ケアマネージャーに適切なケアプランを作成してもらうこともできます。

本人たちが健康を保ち、認知症などを防ぐ努力も必要です。寝たきりにならないように、なるべく外出や趣味などを楽しむように心がけましょう。

老老介護についてより詳しい記事はこちら

→『増えている老老介護 | 認認介護に発展する危険性も・原因や対策

認認介護についてより詳しい記事はこちら

→『認認介護とはどのようなものか|原因や問題点、対策について解説

(6)介護問題解決策③ 高齢者虐待問題

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2061841

介護疲れや介護鬱などが主な原因とされる

高齢者虐待問題は、家庭や施設などあらゆる場所で置きている介護問題です。これも、多くの人の目の届かないところで行われている、見えにくい介護問題です。

施設の高齢者虐待では、そのほとんどが介護職員の手によって行われています。

一方、家庭の高齢者虐待では、同居人の介護者によるものが約80%。特に、息子は約40%と高い割合を占めます。続いて、夫が約20%、娘が約16%となっています。

この介護問題に対して、国では

  • 「各自治体による事態把握の強化」
  • 「介護職員などの研修の強化」
  • 「高齢者権利擁護等推進事業の活用」

を3つの柱として、施設での高齢者虐待を防ぐように指示しています。

一方、家庭での高齢者虐待は、介護疲れや介護うつが原因となっているケースも多くなっています。介護者一人に負担をかけるのではなく、協力できるところはなるべく分担して行うことが必要です。介護サービスの利用や、包括支援センターでの相談なども、負担の軽減につながります。

また、介護カフェなどで同じ境遇の人と会話をすると、共感によってストレスを解消しやすくなります。

(7)介護問題解決策④ 高齢者一人暮らし

高齢者の一人暮らしでは、おもに認知症孤独死が問題となります。

と、誰にも気づかれずにどんどん進行する恐れがあります。日常生活を送るのが難しくなり、近所とのトラブルも多くなります。最悪の場合、犯罪に関わったり、命を落としたりするケースも考えられます。

また、一人暮らしの高齢者の孤独死も、年々増加傾向にあります。2015年には、東京都23区内だけで3,000人以上を数え、10年前にくらべてほぼ倍増となっています。

この介護問題の対策としては、とにかく一人になる時間を少なくすることが重要です。そのために、介護保険サービスや介護施設の利用も、積極的にすすめるようにしましょう。

また、社会とのつながりを持つことも大切です。同じ趣味の集まりや、自治体の活動などにも参加するようにしましょう。

(8)介護問題解決策⑤ 成人後見人トラブル

成年後見人制度の利用者は年々増加していて、2016年には20万人以上となっています。

あまり耳慣れない人も多いかもしれませんが、将来的にとても身近な介護問題となる恐れがあります。

一方で、その職権を解任される数も近年になって急増しています。その背景にあるのが、成人後見人による横領や乱用といった、財産管理のトラブルです。

財産管理のトラブルの場合、その多くは親族同士の間で生じています。そのため、相続争いに発展していくこともめずらしくありません。

このような介護問題を解決するには、成人後見人を家族や親族以外から選ぶのがもっとも効果的です。特に、財産管理のプロフェッショナルである弁護士や税理士などにまかせるのがおすすめです。

成人後見人は、裁判所へ財産の用途や収支なども報告しなければいけません。このような手続きがあるので、弁護士や税理士に安心してまかせられます。

(9)介護問題を理解しておくべき理由

このような介護問題をよく知っておくことは、介護するうえでとても大切なことです。

基本的に、これらの介護問題は誰にでも起こりうるものばかりです。特に、少子高齢化が進む今後は、その可能性も高くなっていくことでしょう。

そこで実際にトラブルが起こったときに、何も知らないとうまく対処することができず、かえって事態の悪化をまねいてしまうこともあります。

しかし、あらかじめそれぞれの介護問題の特徴や対策をよく理解しておけば、すみやかに適切な対応を取ることができます。

また、そもそも介護問題自体に発展しないように、普段から予防を心がけておくこともできるようになります。

(10)介護問題を理解してどう取り組むべきか深く考えよう

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/970138

ここまで見てきた5つの介護問題は、すでに介護を行っている人はもちろん、これから介護をする立場の人、あるいはされる立場になる人にとっても、どれも重要な問題ばかりです。

それぞれの介護問題をよく理解したうえで、自分もふくめた家族全体でどのように取り組んでいけばよいのか、よく考えてみましょう。

事前に深く考えておくことが、未来においてもっともよい介護の選択をする手助けとなってくれるはずです。

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