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介護疲れとは?事件や介護うつのリスクも、相談サービスで対策しよう

社会問題
介護疲れは、少子高齢化や核家族化が進むなかで、介護者一人にかかる負担が増大し、様々な問題、事件を引き起こす社会問題です。介護うつになる前に、一人ですべて抱え込まず、周囲に相談することで介護生活と自身の生活をバランスを取っていきましょう。
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(1)介護疲れとは

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1689463

高齢化が進むにつれて介護者・被介護者が増えている中で、「介護疲れ」という言葉も浸透してきています。「介護疲れ」というのは、介護生活が長きにわたって続いていく過程で、介護者側に疲労が蓄積していき、だんだんと生活に余裕がなくなってしまうことを指します。

介護は突然始まるケースが多く、家族が要介護状態になってしまったショックと何から手をつければよいのかわからないパニックの中、ライフスタイルの激変を強いられます。休みなく続く介護は、家族介護者にとって大きな負担です。

また介護疲れは、介護離職や介護うつ、さらには虐待や介護放棄、殺人や自殺などを引き起こす可能性があり、大きな社会問題にもなっています。

介護疲れには、精神的なものだけでなく、肉体的なもの、経済的なものがあり、それぞれの要因が複雑に絡み合っています。まさにその複雑さが、介護疲れを厄介な問題にしているのです。

(2)介護疲れの原因① 精神的な負担

介護疲れを生む1つ目の要因は、精神的な要因です。介護生活中、様々な負担を強いる周囲の環境などに対し、つらい思いをしてしまうことが介護疲れにつながります。

終わりが見えない

介護は子育てとは異なり、いつ終わるのかわかりません。子育ての場合、子どもが成長し自立するにしたがって少しずつ楽になっていき、将来の見通しも立てやすいです。

一方で介護の場合は、最終的には要介護者を看取るまでになりますが、先は見えず、しかも症状が悪化していくケースがほとんどです。

負の感情と自己嫌悪

介護疲れの結果、要介護者の死を望んでしまったり、そしてそれによって自責の念に苛まれたりする介護者もいます。これまで頼りにし、敬愛の念を抱いてきた相手の介護をするという事実に葛藤を覚えるものです。

要介護者に自分の意図が伝わらなくて苛立ちを覚える、要介護者の言動に我慢できなくなってつい怒鳴ってしまい、そのたびに自己嫌悪に陥るといったこともあります。

人間関係と孤独感

介護の責任が誰か一人に集中してしまい、相談したり協力したりしてもらえる相手がいなければ、介護者は一人で思い詰め、強烈に孤独を感じてしまうことが多くなります。

周囲の非協力的な姿勢にストレスがたまり、なぜ自分だけ自由がないのかという怒りや不満になり、家族間でもめごとが発生する可能性もあります。

またヘルパーやケアマネージャーなど介護スタッフとの相性が合わず、介護サービスに不満があっても言い出せないことが精神的な負担になってしまうこともあります。

精神的な介護疲れが蓄積すると、介護うつに発展しやすくなります。

(3)介護疲れの原因② 肉体的な負担

肉体的な介護疲れもあります。

肉体労働をともなう介助

毎朝の起床介助から始まり、移動介助や体位介助、衣服の着脱、食事や排泄や入浴の介助など、介護にはさまざまな肉体労働がともないます。

介護者は要介護者の体を一日に何度も持ち上げたり支えたりするため、腰、膝、肩、腕などに過度な肉体的な負担がかかります。

十分な休息を取れない

昼夜問わずの長時間労働で休息時間が持てず、介護者が寝不足に陥ったりすることもあります。とくに介護者が仕事をしている場合、過労による体調不良やうつ病を引き起こすおそれがあります。

また、現在では高齢者が高齢者を介護する老老介護も多くなりました。体力のない高齢者が介護をするとなると、その分肉体的な負担はきわめて大きいものとなり、介護疲れを引き起こしやすくなります。

(4)介護疲れの原因③ 経済的な負担

出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1641624

さらに、介護疲れには経済的な要因もあります。

介護用品やサービスの利用

介護には相当なお金がかかります。

在宅介護では、紙おむつや防水シーツ、介護食品などの介護用品にお金がかかります。さらに、デイサービスや訪問介護などのサービスを利用すれば経済的な負担が膨らみます。経済的な余裕がなければそれらのサービスを利用するのは難しくなり、介護者の精神的負担や肉体的負担が増加します。

介護休暇や介護離職

介護のためにやむをえず離職すれば、収入が途絶えてしまいます。そうなると貯蓄や要介護者の年金などに頼るしかなく、経済的に困窮する可能性が高まります。経済的な理由で介護疲れを感じている介護者は少なくありません。

(5)介護疲れが引き起こす介護うつ

介護疲れによるストレスで、うつ状態に陥ってしまうことがあります。これが、いわゆる介護うつと呼ばれる状態です。介護うつになりやすい人の特徴には次のような点があります。

  • 責任感が強い
  • 真面目で几帳面
  • 完璧主義者

介護うつには、食欲不振や睡眠障害になったり、疲労感や倦怠感、不安感や焦燥感を感じたりするなどの症状があります。上記の症状が1日中、2週間以上続くと、うつ病の可能性が高いです。

(6)介護疲れが引き起こす事件、社会問題

介護疲れにより、さまざまな問題が起こる可能性があります。

介護離職

介護と仕事との両立ができなくなり、仕事のほうを退職せざるをえなくなることを「介護離職」といいます。

仕事をやめれば介護に専念はできますが、収入の断絶や減少のほか、キャリア中断による将来への影響など、多くの問題が付随してきます。

時間的に余裕ができても、精神的、経済的な負担など、新たな介護疲れの原因が生じてしまいます。

介護殺人

近年ニュースでも取り上げられることが増えているのが介護殺人です。介護疲れによって将来を悲観、絶望した結果、被介護者を殺害してしまうのです。

老老介護で、介護者が限界を感じてしまったために起こるケースが多いです。また、被介護者を殺害した後、介護者自身も自殺してしまうケースもあります。

介護事故

介護による疲れが介護者の注意力を低下させ、誤った薬を服用させる、体位交換の時の介助中に骨折をさせてしまったりや利用者の皮膚を傷つけてしまったり等の介護のミスが事故を引き起こします。

これらのミスは、被介護者の死亡を招く恐れもあり、介護職員のさらなる心的外傷につながります。

▼介護事故について詳しく知りたい方は以下記事をどうぞご覧ください!

介護事故を防ぐには|死亡事例、種類、原因を徹底解説

(7)介護疲れの対策① 介護保険サービスの利用

介護疲れの対処法として、介護保険サービスを利用する方法があります。

公的介護保険の支給限度額を考慮しつつ、ケアマネジャーに依頼して必要な介護サービスを提案してもらいます。

介護のどの部分を自分が行い、どの部分をプロに任せるかの判断を明確にすることがポイントになります。体裁にこだわらず、介護者の正直な要望や気持ちをケアマネジャーに伝えることが大切です。本音を話すことで、精神的にも介護疲れを軽減する効果があります。

介護者の負担軽減につながる主な介護サービスは、以下のとおりです。

 訪問介護

ホームヘルパーが訪問し、排せつ・入浴・食事介助などの身体介護や生活支援を行います。

訪問入浴介護

訪問スタッフが専用の浴槽を持ち込み、入浴介助を行います。

デイケア・デイサービス

要介護者の自立支援のため、介護施設などに通い、食事や入浴などの生活支援や各種レクリエーションを受ける日帰りサービスです。

ショートステイ

介護施設などに宿泊するサービスです。

介護者が休息できる支援をレスパイトケアといい、介護疲れの防止に注目されています。介護を離れて、自由な時間をもつことに罪悪感を抱く必要はありません。

介護疲れで心身を壊すことのないように、外部サービスを活用し、リフレッシュする機会を持ちましょう。

▼レスパイトについて詳しく知りたい方は以下記事をどうぞご覧ください!

介護保険も利用できる、「レスパイトケア」とは|サービス例や注意点

レスパイト入院とは?|ショートステイとの違いや費用、注意点など

(8)介護疲れの対策② 保険適応外のサービスの利用

経済的に余裕があれば、介護保険適用外の有償のサービスを利用する方法もあります。全額自己負担となるサービスもあるため、利用の際は費用をよく確認しておきましょう。

利用する場合は、ケアマネジャー、地域包括支援センターなどに相談するほか、近所の口コミやインターネットの情報を参考にすると良いでしょう。

同居家族がいる場合の掃除、洗濯、買い物、調理などの日常生活援助、リハビリ目的でない散歩、旅行の付き添いなどが、介護保険外サービスとして利用できます。

訪問ヘルパーの仕事を見ることで、自分が知らなかった介護技術を学ぶことができたり、客観的な視点から被介護者の体や心の様子に気付けたりするといったメリットもあります。

▼介護保険外サービスに関して詳しくはこちら!

介護保険外サービスとは|メリット・デメリットや費用のまとめ

(9)介護疲れの対策③ 行政サービスの利用

行政サービスも活用することで、介護疲れを軽減できます。

市区町村や地域包括支援センターの窓口やウェブサイトなどで、どのようなサービスがあるかを確認するとよいでしょう。また、地域の行政や福祉団体が開催する、無料の講習会・研修会などに参加して情報収集することもできます。

各市区町村には独自の高齢者支援サービスがあります。その中でも代表的なものが、紙おむつ助成です。おむつにかかる月額数万円の費用のうち、何割かが助成されるため、経済的負担が軽減されます。

国の制度には、介護サービス費や医療費が高額になったときに、

  • 高額介護サービス費
  • 高額医療費
  • 高額医療合算介護サービス費

など費用負担を緩和する制度があります。

市町村に設けられている地域包括センターや介護相談専用の窓口を活用してもよいでしょう。

各都道府県に1つずつ用意されている高齢者相談センターは、シルバー110番とも呼ばれています。相談料は無料で、電話で相談できます。面接なども行ってくれますし、専門的な助言が期待できます。

また、通院している病院の専門職員(ソーシャルワーカーなど)に相談することもできる場合があります。

介護疲れを一人で抱えて思い悩み続けると、知らぬ間に視野が狭くなり、精神的にも追い込まれてしまうかもしれません。ストレスを溜め込まないよう、普段から誰かに相談するように心がけておきましょう。

▼介護に関する詳しい相談先はこちら!

介護に関する相談ができる場所6つ|メールや電話でも可能な窓口

(10)介護疲れの対策④ 介護施設の利用

デイサービスやショートステイを利用しても自宅で介護し続けることが困難で、介護離職や介護うつを引き起こしかねないときは、介護施設を利用するのも選択肢になります。

介護施設の利用には、周囲から非難されたり、家族を見捨てたと罪悪感を覚えたりして自責の念を自ら強めてしまう方もいらっしゃいます。

しかし、介護施設の利用というのは、決して周囲から非難されるべきことでも、家族を見捨てることでもありません。

在宅での介護にこだわった結果、介護する側が介護疲れを悪化させ、介護者も被介護者も不幸になってしまう場合があります。

被介護者のことだけではなく、自分の心身の健康についてもよく考え選択しましょう。施設への入所は介護者の介護疲れを解消するだけでなく、被介護者にとっても同年代の仲間と接する機会が増えるなどのメリットがあります

介護施設には以下のようなものがあります。

特別養護老人ホーム

特養とも呼ばれ、長期間にわたる入所が可能です。

入所費用が比較的安く、終身利用できます。老人ホームでは、日常生活の介護や機能訓練、レクリエーションが提供されます。要介護の度合が進んだ人でも受け入れてくれます。

ただ、入所希望者による順番待ちが多いです。各施設の入所を検討する委員会により、入所優先順位が判定されます。

介護老人保健施設

老健とも呼ばれます。3か月に1回の判定が行われるため、長期入所は難しいです。特養に比べて機能訓練が手厚いという特徴があります。

グループホーム

専門的知識を有した介護スタッフが駐在しています。複数の利用者と共同生活を送りながら、日常生活上の支援や機能訓練サービスを行います。認知症患者にも対応しています。

これらの施設の存在を知り、いざというときの選択肢を持っておくことは、介護疲れを軽減したり回避したりするために役立ちます。

▼上記施設についての詳しい記事はこちらから

地域密着型特別養護老人ホームとは|料金やメリット、人員基準など

介護老人保健施設(老健)とは | 費用や介護老人福祉施設との違い

グループホームとは | 費用や老人ホームとの違いなど

(11)相談して介護疲れを一人で抱え込まないようにしよう

出典:https://www.photo-ac.com/

介護疲れはさまざまな原因から引き起こされ、さまざまな問題を引き起こします。介護疲れを防止したり、軽減したりするには、介護を全て一人で抱え込まないことと、自分自身を追い込まないことが大切です。

介護を必要とする人口が増えている今、悩みを相談する窓口や負担を減らすサービスの提供は増えています。それらを効果的に活用し、介護疲れを解消しましょう。

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